チェルシー・フラワーショー:庭好きが集まるフラワーショー

ロンドンと言ったら何を思い浮かべますか?
博物館や、美術館。二階建ての赤いバスに、バッキンガム宮殿の衛兵交代式。
世界初の百貨店ハロッズにビッグベン…
サッカーにミュージカル、ビートルズにシャーロックホームズ、ハリーポッター!
あちこちにある大きな公園と古い建物に癒されます。
あちこちのマーケットでは世界中の料理を堪能できます。
いつも世界中からの観光客で賑わっていて、どこに行っても沢山の人でいっぱいです。

様々な顔を持っているロンドン。
道の向こう側はガラリと雰囲気が変わり、地下鉄を降りるとまるで違う国に来たように感じることさえあります。
世界中の雰囲気を一度に味わえるのがロンドンの一番の魅力です!
そんなロンドンですが、5月にあることを目的に世界中から人が集まってくるのをご存知ですか?

それはズバリ、チェルシー・フラワーショー!
正式名称は「RHSチェルシー・フラワーショー」、エリザベス女王が主催する世界一のフラワーショーで、この展示会は150年以上の歴史を誇ります。

イギリス庭園はブリティッシュガーデンやイングリッシュガーデンと言われ、世界中の庭好きや園芸・造園関係者の中では聖地!
なんと、このチェルシー・フラワーショーを題材とした映画が作られるほど愛される展示会なのです。

「Dare to Be Wild」

どれだけロンドンっ子に大切にされているか?というと、連日BBCのチャンネルがチェルシー・フラワーショーにジャックされ、開催中あちこちでリポーターらしき人がテレビカメラに向かって話をしていました。
貴族や有名人、銀行家などの影響力のある方々も集まってくるそうなのです。

RHSとはThe Royal Horticultural Society の略で、イギリス王立園芸協会のこと。
この王立園芸協会は、200年以上の歴史があり、イギリスだけでなくヨーロッパ、世界中に影響力のある園芸を奨励するための団体です。
王立というだけあって、慈善事業も活発で子供達のグリーン活動にも力を入れています。

この協会は年間を通してたくさんのガーデニングイベントやフラワーショーを開催するほか、主に会員のモデルガーデンを一般公開する活動もしています。

さて、そのRHSが開催するフラワーショーの中で特に有名なのがチェルシー・フラワーショーです。
毎年5月に開催されるこのフラワーショーは、イギリス全土からガーデニング関連業者が集まってくる、イギリス最大のフラワーショーです。
ショーの初日はロイヤルファミリーの貸切日で、この日はエリザベス女王も来られ、ショーをご覧になるというのです。
ガーデニング天国イギリスで最大級のイベントなのですから、世界最大といっても過言ではありませんね。

新品種のお披露目から、最新のガーデンデザイン、園芸の最新情報が全てわかるとあって、世界中のガーデニング業者はもちろん庭好きのガーデナー達が集まってきます。
5月のロンドンといえば、花々が咲き始める頃で、ガーデン巡りにはうってつけの季節。
そのため毎年15万人以上のガーデナーが世界中から集まります。
まさに、世界的な園芸の祭典と言えます。

チケットもプラチナチケットとなっていて、開催日には最寄駅にダフ屋がいるほど…

チェルシー・フラワーショーが世界中の人を虜にしている秘密を探ってみましょう!


1.ショーのメインイベント、ガーデンデザイナー達による競演

この日を目指して世界中の有名園芸家が揃い、競い合うように自分のガーデンデザインを披露します。決まった広さの敷地内に、それぞれ趣向と技術を凝らして庭を作り、そのデザインを披露します。
芸術性はもちろん、職人技をも必要とするガーデンデザインの世界で、この最高峰の展示会で賞を取るために世界屈指のガーデンデザイナーが切磋琢磨しているのです。ここでは、厳密な審査の上、優秀なものには賞が与えられます。

・ゴールド(Gold)
・シルバーギルト(Silver Gilt)
・シルバー(Silver)
・ブロンズ(Bronze)

そしてこの中から「ベストガーデン」が毎年選ばれます。
まさに競い合って、デザインと技術の向上をしているのですね。

新進気鋭のデザイナー達にとっても、自身の発表の場となるこのショーガーデン。
もちろん、この審査にはエリザベス女王を始め王室の方々も参加しますので、ここでメダルを取ることは世界中のガーデナーの憧れなのですね。
そしてガーデン好きにとってはそれを一同に観られる、またとない機会となっています。

審査員は植物学者や大学教授などの専門家、ガーデンデザイナーの他に建築家なども。
伝統的なベースに基づきながら、新しく革新的なランドスケープデザインの提案をしています。

テーマも多彩。

・日本庭園
・地中海地方の庭
・南アフリカの庭
・ヨークシャー地方のコテージガーデン
・世界の子供達の問題を支援する機関による、子供の心が解放されていく様子を描いた庭
・飲料水の会社による環境を配慮した庭

それぞれにコンセプトがあり表現されています。
タイミングが良ければ、それぞれのガーデンデザイナーから話を聞くこともできます。
まるで絵画を鑑賞するようにガーデンウォッチングを楽しんでください!


2.新品種に目を奪われる、屋内パビリオン

広い屋内パビリオンには、主にイギリス国内の園芸農家、ナーセリーが丹精込めて育てた花木が展示されています。
もちろん、ここで商談が行われるため営業マンと思われる方が沢山いらっしゃいました。
各ブースにはカタログが置かれており、苗や樹木を購入することができます。

さすが園芸大国!
バラ一種類とっても数百品種はありますし、菊やクレマチス、クリスマスローズ、ダリア、ラベンダー、ヒヤシンス、チューリップにスイートピー…
それぞれ見たことのない色合いに品種改良されたものが咲き誇っていました。
ヨーロッパの熱い日差しの中で育った色鮮やかなものはもちろん、流行のニュアンスカラーも何色も揃っていました。
白と黄色が定番の花、カラーも薄いグリーンから濃いピンクまで何色ものグラデーションで揃っていて思わず何枚も写真を撮ってしまうほど。
見たことのない色合いのものも多く、園芸の流行はまさにここから始まっているんだなぁと感じずにはいれません。

実はチェルシー・フラワーショーの開かれる5月は平均気温15~20度。
花が咲き乱れるには少し早いのですが、各ナーサリーは技術を駆使してこの日に合わせて花が咲くように開花調整をしているのです。
おみごと!
このフラワーショーの会場だけは、季節を感じさせないまさに園芸の祭典なのでした。

花ばかりではありません。
モミジや松などの樹木も豊富。
変わったところではシダ植物専門店や食中植物、観葉植物専門店も。
盆栽ショップもあります。

新品種ももちろんですが、ブースごとに趣向をこらしたレイアウトも見所のひとつ。
それぞれの自慢の花木をテーマに沿ってディスプレイしています。
スタンド全体のバランスを考えて、ただ鉢植えを並べるだけではなく適材適所に、色合いも考えて配置します。
それぞれのテーマに沿ったディスプレイは圧巻です!
例えばバラのブランドとして有名なディヴィット・オースチンのバラ園では数百種類のバラが咲き誇り、日本の樹木のブースでは日本庭園さながらのモミジや松が綺麗に配されていました。
伝統的な部分を忘れずに、かつ新しいものを追い求めよう!という、イギリス人独特の世界観がここにも息づいています。
お花の色が最大限活きるような、趣向をこらしたブースデザインに思わず見入ってしまいました。

何と言っても花や植物を愛して止まない人たちによって考えられていますから、それも十分庭づくりの参考になります。
どの鉢植えも鉢と花のバランス、鉢と花の色合いが良く考えられていていました。
この屋内パビリオンでは、ショーの最終日に「セルオフ」(Sell Off)というセールが開催されます。
ディスプレイなどで使用したものを入場者が買うことができるのです。


3.屋外ショップでは世界の園芸トレンドが満載

屋外では何百というショップが立ち並びます。
世界中から選りすぐられた、ガーデニングや園芸に関連した業者が集まります。
園芸バサミなどの道具屋さん、鉢やテント、麻紐屋さんから、レインウェアまで。
庭に飾るオブジェなどもあるので屋外ということもあり、見ているだけでウキウキしてきます。

ここに出店するためには王室の厳しい審査を通過しなくてはいけないとか。
なるほど、クオリティが高いわけです。
そのため、世界中からここへの出店を目指している業者が毎年何千といるそうですよ。

中には温室やバラ園、流木アートなどのコンセプトガーデンもあり、思いもよらないアイディアに巡り合えます。
この屋外ショップの中には、WEDGWOOD(ウェッジウッド)が展開する花とインテリアの世界観を体感できるブースもありました。
他にもこういった一流ブランドが名を連ねています。


4.中庭の芝生広場で開かれるイベントと美味しいもの

開催期間中、ステージで様々なイベントが開かれています。
有名ガーデナーのトークショーはもちろん、地元の子供たちの演奏会なども開かれます。
その周りには美味しいものが沢山!
フィッシュアンドチップスと共にビールを楽しめます。


5.チェルシー・フラワーショーおすすめのお土産

もちろん、実際にフラワーショーを堪能するのがなによりのお土産ですよね。
ですがここでは持って帰って嬉しいお土産が沢山あります。

1)種、球根 花苗を持ち帰るのは難しいですが、種や球根は手軽ですね。
実際に自宅で植えてみて、どうなるか試すのも楽しいものです!
ただし、国によっては輸入を制限しているところもありますのでご注意ください。

2)ガーデニング雑誌
イギリスの最新ガーデニング雑誌は、眺めているだけで大変勉強になります。
何冊も販売されていますし、チェルシー・フラワーショーの中でバックナンバーも販売されています。

3)最新ガーデニンググッズ
世界最先端のガーデニンググッズが集まってきますので、こんなのが欲しかった1というものに出会える可能性大。
剪定鋏などの実用的なものから、ガーデンシューズやエプロンなど気分がアガるものまで。
明日からのガーデニングが更に楽しくなりますね!

4)ガーデンがテーマの小物
意外と目に付いたのが、花柄の小物。
ハンカチやポーチ、グリーティングカードなどもあるので家族や友人へのおみやげにも良いですね。

チェルシー・フラワーショーはもちろんですが、この時期に合わせてロンドン市内、郊外では沢山のオープンガーデンが開催されています。
オープンガーデンとは、個人や会社、施設の自慢の庭を無料公開し、自由に見ていってね!というイベントのことです。
チェルシー・フラワーショーを開催しているRHSの会員さんのお庭もこぞってオープンしています。
ホームページでチェックできますので、ぜひ一緒に巡ってみてください。

またロンドン市内ではハンギングバスケットや、建物の上階の窓から下がる花々も見所ですね。
ロンドンが都会なのにどこか癒されるのは、どこに行っても目に入る花々やグリーンの力が強いのだと思います。
チェルシー・フラワーショーの開催時期には、会場となるロイヤルホスピタルの周りも花だらけ。
いつもは閑静な住宅地のようですが、この時ばかりは華やかに彩られます。

一年でいちばん華やかな5月のこの時期のロンドンをぜひ堪能してみてください。

RHSチェルシー・フラワーショー2018

RHSチェルシー・フラワーショー(RHS Chelsea Flower Show)
Royal Hospital Road, London SW3 4SR, UK
https://www.rhs.org.uk/shows-events/rhs-chelsea-flower-show

※本記事はコロナウイルス感染症拡大より以前に執筆・掲載された記事です。

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