AC/DC:アンガス・ヤング、ギブソンSGを愛する永遠のロックンローラー

AC/DCはオーストラリア出身の世界的ロックバンドです。
リードギターであるアンガス・ヤングが半ズボン姿で激しいヘッドバンギングを行いながらステージを動き回る姿は、ファンならずとも目にされた方も多いのではないでしょうか。
そんな彼がデビュー以来一貫して使い続けているギターがギブソンのSGです。

世界的ロックバンドAC/DC

バンドの人気を測る物差しにアルバムの売上があります。
世界でもっとも売れたアルバムはポップスの帝王マイケル・ジャクソンのスリラーですが、なんとAC/DCの「Back In Black」というアルバムは、それに続く歴代2位という統計もあるのです。
累計販売枚数の統計は、調査会社などによっても変わってくるため100%正確な数字ではありませんが、少なくともハードロックというジャンルにかぎって言えば、世界でもっとも売れたアルバムは「Back In Black」で間違いありません。

現在までのアルバム総売上枚数は実に2億枚以上。

もちろん、本国オーストラリアでも彼らはトップスターであり、メルボルンには彼らの名前を冠したAC/DC通りと呼ばれるストリートまで存在します。
AC/DCは、1973年にアンガス・ヤング(リードギター)、マルコム・ヤング(サイドギター)の兄弟を中心に結成されたバンドですが、現在までスタイルを変えること無く一環として泥臭いハードロックを展開しています。

残念ながらアンガスの兄マルコムは認知症を患っていると発表され、後に他界。現在はヤング兄弟の甥であるスティーヴィー・ヤングがサイドギターを担当しています。
ボーカルのブライアン・ジョンソン、ドラムのクリス・スレイド、アンガス・ヤングにスティーヴィーを加えた4人が現在のラインナップとなっています。

通好みのギブソンSG

ギブソンがレスポール氏と関係なく独自に開発・発売したギターがSGシリーズです。そのためレスポールの後継機と位置づけられているにもかかわらずレスポールの名前は付いていません。
ボディ両サイドが大きくえぐられたダブルカッタウェイ、材質の軽量化を実現するために従来の2枚重ね構造からマホガニーの1枚板を採用するなど、当時としてはかなり画期的な技術が詰め込まれていました。

なによりボディカラーであるチェリーレッドは、レスポールのサンバーストカラーと並んでギブソンの代表的なカラーとしてファンの間で認識されることになります。
ただし、音的には若干パワーが足りないと言われることが多く、レスポールやストラトキャスターに比べると使用しているアーティストはあまり多いとは言えません。

特に大音量で音の歪みに重きを置くハードロックにおける使用者となると、ブラック・サバスのトニーアイオミ、ジューダス・プリーストのグレン・ディプトンなど一部のギタリストに限られるようです。
そんな中でもAC/DCのアンガス・ヤングはデビュー以来SGスタンダード一筋。他のギターを抱えた写真を見たことがないほど徹底したSGフリークと言えるのです。

アンガス・ヤングはこんな人

ロックンローラーと言えば、お酒が大好きでギグのあとは毎晩パーティーというイメージを持っている方も多いと思いますが、アンガス・ヤングはお酒を飲めません。
コンサートの打ち上げでも、昔は牛乳を飲んでいたとか…。最近はもっぱら紅茶にハマっているらしく世界中のリーフを試しているのだそうです。
バックヤードで愛用のタバコであるベンソン&ヘッジスの煙を美味しそうに吸い込みながら、アイスティーで乾杯。これがアンガス・ヤングの打ち上げパーティーの楽しみ方のようです。

ちなみに、オーストラリアではAC/DCワインなるものが発売されています。AC/DCのヒットアルバム「Highway To Hell」「Back In Black」「You Shook Me All Night Long」「Hells Bells」のジャケット写真がラベルに貼り付けられたもので、ファンならぜひ1本ストックしておきたいデザインになっています。

激しいヘッドバンギングと独特なリズムの取り方こそがアンガス・ヤングのプレイスタイルといっても過言ではありません。
ブルースを基調としたオーソドックスなプレイは、昨今のハードロックやヘヴィメタルに多く見られる速弾きやトリッキーなプレイと比べると、少し物足りなさを感じてしまう方もいるようですが、ライブにおける圧倒的なパフォーマンスは他の追随を許しません。
サウンド的には、ギブソンSGとマーシャルの組み合わせで、ナチュラルにオーバードライブをかけたオーソドックスな音色が中心です。

決して高度なプレイをするわけではありませんが、ツボを抑えた的確なソロはAC/DCの頑固なまでのロックスタイルに見事にハマっています。
どのような曲でも、両足を少し開き左右2回ずつ足踏みしながらヘッドバンギングでリズムを取るスタイルは、アンガス・ヤングの代名詞とも言えるほど有名なパフォーマンスです。ライブでは、オープニングからエンディングまでステージの端から端まで動き続け、頭を振り続けます。あまりの激しい運動量のため、ステージの袖には常に酸素吸入器が置かれているほどなのです。

AC/DCのおすすめアルバム

(Back In Black)

なんと言っても世界第二位の売上枚数をほこる名盤「Back In Black」は外せません。
アンガス・ヤングと並ぶバンドの顔だったボーカル、ボン・スコットを不慮の事故で亡くし、新しくブライアン・ジョンソンを迎えて作られたこのアルバムは、全世界で5,000万枚以上販売されています。

タイトルナンバーである「Back In Black」はもちろんのこと、重く響く鐘の音で始まる「Hells Bells」は亡くなったボン・スコットへのレクイエムとも言われる名曲です。
次作の「For Those About to Rock」では初のビルボード1位を獲得しており、こちらもぜひ聞いておきたい1枚になっています。
ボン・スコット時代の名盤と言えば、遺作となった「Highway to Hell」を挙げるファンが多いですね。タイトルナンバーのヒットと同時にアルバムはアメリカでプラチナ・アルバムを獲得しています。

また、彼らのデビューアルバムである「High Voltage」はオーストラリアで発表された2年後からワールドワイドで発売されるようになりました。アルバムタイトルの「High Voltage」は荒削りながら未来を感じさせるストレートなロックナンバーで、未だにステージで演奏されることもある名曲です。

こんなところにもAC/DCが

AC/DCのスゴイところはいつの時代、どの曲を聞いても1発で彼らのパフォーマンスであることがわかる点です。
そんな魅力的かつ特徴的で才能あふれる彼らの楽曲は幅広いジャンルで使用されています。
映画で言えば、1999年に公開されたパーシティ・ブルースではアルバム「The Razors Edge」から「Thunderstruck」が採用されていますし、2003年に公開されたスクール・オブ・ロックでは「Back In Black」が使用されています。
その他にも、1986年に公開されたスティーブン・スピルバーグ監督の「Maximum Overdrive」のサウンドトラックを担当し、1993年公開のアーノルドシュワルツネッガー主演の「Last Action Hero」でも曲を提供しています。
さらに、世界的大ヒットを記録したマーベルの「Iron Man2」では実に15曲もの楽曲が使用され、AC/DC名義でサウンドトラックも発売されているのです。

AC/DCはこれまでベストアルバムを作成していませんから、実質的なベストアルバムは「Iron Man2」のサウンドトラックだけということになります。

AC/DCを愛する人たち

AC/DCは多くの業界人に愛されるバンドとしても有名です。ローリング・ストーンズのキース・リチャーズやエアロスミスのスティーヴン・タイラー、ザ・フーのピート・タウンゼントなど世界的なミュージシャンがAC/DCのファンであることを公言しています。
また、クイーンのギタリストであるブライアン・メイは、自分がもしクイーンでギターを弾いていなかったらAC/DCで弾いていたかもしれないとインタビューで応えるほど、尊敬するバンドとしてAC/DCを挙げているのです。

AC/DCはこんなロケーションで楽しみたい

もちろん、どんなロケーションでAC/DCを聞いても個人の自由なわけですが、彼らの曲はハイウェイを走る車の中で聞くとさらに素晴らしいものに感じられます。
どちらかと言えば、ミドルテンポのロックが多いAC/DCですが不思議とマッチするのです。
地平線が見えるような広大な大地にまっすぐ伸びるハイウェイ。窓の外に悠久の時間を感じながらのロングドライブには、彼らの曲が実にピッタリ合うのです。
ドライブミュージックと言えば、映画「Easy Rider」で使用されたステッペンウルフの「Born to be wild」を挙げる方も多いですが、AC/DCの曲も負けていません。

彼らが育ったオーストラリアの大自然から影響を受けているのかもしれません。今度の週末は彼女をドライブに誘って、全開の窓から感じる風を感じながらAC/DCを聞いてみてはいかがでしょうか。

※本記事はコロナウイルス感染症拡大より以前に執筆・掲載された記事です。

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