クイーン:時代を築いた天才集団!メイの愛機は父親の手作りギター

CDの総売上枚数は3億枚を超え、世界で5番目に売れたアーティストとも言われるクイーン。
イギリスはロンドン出身の彼らは、他のバンドとは一線を画す天才集団であったことも有名な話です。美しいメロディと斬新なアレンジ、今は亡きフレディ・マーキュリーの4オクターブの歌声とともに、クイーンを支えてきたのは、誰も真似することの出来ないブライアン・メイのギターなのです。

最高峰のロックバンド

(Bohemian Rhapsody)

もはや説明の必要すらないスーパーロックバンド、クイーンですがデビューまでの道のりは決して楽なものではありませんでした。ファーストアルバム「Queen」がリリースされたのは1973年、ブライアン・メイが26歳の時ですから新人アーティストのデビューとしてはかなり遅い部類になります。
しかし、デビュー後の活躍には目を見張るものがあります。

セカンド・アルバムが全英5位まで売上を伸ばし、サード・アルバムからシングルカットされた「Killer Queen」は全米でも12位を獲得します。そして、クイーンの成功を決定づけた「A Night at the Opera」からのシングルカット「Bohemian Rhapsody」が全英で9週連続第一位の大ヒットとなります。
これは、ビートルズの「Hey Jude」に匹敵する記録で、クイーンは世界でもっとも長く全英ヒットチャートにランクインしたバンドとしても認定されることになるのです。

2011年の記録ですが、クイーンよりも多い売上を持つアーティストは、ビートルズ、エルビス・プレスリー、マイケル・ジャクソンしか存在しません。ロックバンドとしてはもちろん世界No.1と言えるわけです。

他に類を見ない天才集団

クイーンのデビューが遅かった理由に、メンバーそれぞれが社会的な成功を掴みかけていた点が挙げられます。
ボーカルのフレディ・マーキュリーは、音楽だけでなくグラフィックデザイナーとしての資格も持っており、一時はヒースロー国際空港で仕事をしていたこともあります。ベースのジョン・ディーコンは電子系の大学を卒業しており、エンジニアとしての資格も持っています。クイーンではブライアン・メイが使うエフェクターを自作提供しており、あの独特のサウンドの構築に一役買っているのです。

クイーンのコーラスパートを語る上で欠かせないドラムのロジャー・テイラーは、歯科技工士としての免許を持っているほか、生物学の理学博士号まで取得しています。そしてブライアン・メイは大学院で航空宇宙学を学び、卒業後は中学の教師をしていました。クイーンとして世界的な成功を収めながらも、天文学は続けており、卒業後35年たってから完成させた論文により天文学の博士号を授与されています。

このように、メンバーそれぞれが音楽以外に生活できるだけのスキルを身に着けていたことが、デビューが遅れた原因とも言われているのです。
インテリなミュージシャンは彼ら以外にもいますが、一つのバンドのメンバーが揃って高学歴というのも非常に珍しいパターンと言えるでしょう。

完全オリジナルハンドメイドギター

クイーンは4人の個性が組み合わさることで唯一無二のサウンドを展開していますが、中でもブライアン・メイのギターサウンドは他のロックバンドと完全に一線を画しています。
その理由は使用している機材に秘密があるのです。

ブライアン・メイが使用しているギターはレッドスペシャルと呼ばれるオリジナルギターで、世界に一台しかありません。ブライアン・メイの父親がエンジニアをしていたこともあり、メイと二人でマホガニー製の暖炉の木材を使用して作られています。
トレモロシステムは傘のバネを利用し、フレットのドットインレイは母親の真珠のネックレスを利用して作られたと言われるレッドスペシャルは、まさしく世界でただ1本のギターと言えるのです。
レッドスペシャルはシングルコイル×3のピックアップを搭載し、それぞれに位相の切り替えが行えるスイッチが付いています。さらにナイフエッジトレモロシステムという独特のトレモロアームが付属していることも特徴です。
ボディは一見するとレスポールのようなソリッドギターに見えますが、実は内部に大きな空洞があり、どちらかと言うとセミアコやテレキャスター・シンラインのような構造になっています。
この構造についてブライアン・メイは、フィードバック奏法(わざとハウリングを起こさせて永久的に音を伸ばす奏法)を行いやすくするためと言っており、制作段階から考えられていたもののようです。
使用している弦のサイズは0.08。通常ロックでは重低音を効かせるために0.10や0.09を使用するギタリストが多い中、あえてデリケートな0.08を選ぶあたりブライアン・メイらしいと言えます。
弦を弾くピックがまた変わっていて、昔イギリスで実際に使用されていた6ペンスコインを使用していました。
このコインは周囲にギザギザが施されている硬貨で、弦に当てる角度を変えることで微妙な音の変化を作ることができ、ハードな曲からスローなバラードまでさまざまな音色を奏でることが可能ということです。
さらに、「Brighton Rock」で聴かれる、まるで何人ものギタリストが一斉にギターを弾いているように錯覚させるエコーマシンは、マエストロのテープエコーをジョン・ディーコンが改造したものです。

このように、ブライアン・メイが使用するさまざまなオリジナルの機材によって、誰にも真似することができないクイーン独特のサウンドが生み出されていくわけです。

ブライアン・メイのプレイスタイル

ブライアン・メイのプレイ自体はペンタトニックを中心としたオーソドックスなものが多いですが、曲調に合わせてジャズやクラシカルなスケールを取り入れることで他のロックギターとは一線を画すソロプレイを繰り広げています。

ブライアン・メイは天文学に対する姿勢と同じように、音楽に対して研究熱心なことで知られています。自身のソロアルバム以外にも、エドワード・ヴァン・ヘイレンやガンズ・アンド・ローゼスとも共演しており、ディープ・パープルのリッチー・ブラックモアやブラック・サバスのトニー・アイオミともセッションを行っています。
また、AC/DCの熱烈なファンとしても知られていて、クイーンのサウンドと対極にあるAC/DCとアンガス・ヤングのギタープレイを高く評価し、リスペクトしていることを公言しています。

クイーン自体はフレディ・マーキュリーの死後、しばらく活動していませんでしたが、バッド・カンパニーのボーカル、ポール・ロジャースやアダム・ランバートらとツアーを展開するようになりました。
さらに、ブライアン・メイがアメリカのポップクイーン、レディ・ガガに楽曲を提供した関係上からか、一時期クイーンの新しいボーカルにガガの名前が取り上げられることもありました。

クイーンのおすすめアルバム

イギリス音楽史上はじめて同一曲が2回に渡り1位を獲得する快挙を成し遂げた「Bohemian Rhapsody」が収録された「A night at the Opera」は外せないでしょう。

当時6分を超えるようなポピュラー音楽は存在せず、レコード会社からもカットするよう何度も要請されたと言われる同曲ですが、世界的な大ヒットを記録しました。その他にも、フォークギターを全面に出した「39」や未だにライブで演奏される「Love of my Life」など完成度の高いラインナップになっています。
ちなみに、ライブでの「Love of my Life」ではブライアン・メイの弾く12弦アコースティックギター1本に合わせてフレディ・マーキュリーが歌うという演出がなされていて、コンサートのハイライトの一つにもなっていました。
その、「A Night at the Opera」の売上を超えたのが5枚目のアルバム「News of the World」です。このアルバムで初めてイギリスよりもアメリカでのセールスが勝り、世界的なバンドへの切符を手に入れたと言われています。
「We will Rock You」から「We are the Champions」は曲間がほとんどなく、どちらも3分に満たない曲の短さにもかかわらず大ヒットしました。多くのミュージシャンがカバーしただけでなく現在でも世界中のCMやアスリート大会でも使用されています。

クイーンのアルバムはどれも素晴らしいのですが、あと一枚おすすめするアルバムを挙げるとすれば、「Made in Heaven」です。フレディ・マーキュリーの死後、残された音源に他のメンバーが合わせて作られたアルバムはベストアルバムを除けば、クイーンのどのアルバムよりも多く売れているのです。
「Made in Heaven」からはタイトルナンバーも含め6曲がシングルカットされていて、これは「Innuendo」に並んでクイーンでは最多となっています。

こんなロケーションがおすすめ

幅広いジャンルの音楽を内包しているクイーンの曲は、どんなシチュエーションでもすんなり聞けてしまいます。あなたが聞きたい時、聞きたい場所こそベストシチュエーションです。仕事前に「We are the Champions」を聞くもよし、夜ベランダでウイスキーを嗜みながら「Made in Heaven」に思いを馳せるのもいいでしょう。

どんなに落ち込んでいても、どんなに悩んでいても癒やしてくれる一曲がクイーンにはあるのです。

※本記事はコロナウイルス感染症拡大より以前に執筆・掲載された記事です。

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