オーストラリア:コーヒーの都メルボルン

世界でも屈指の美味しいコーヒーが楽しめる、オーストラリアの都市「メルボルン」。アレンジができる幅広いコーヒーメニュー、味、そしてメルボルンに住む人たちのコーヒー愛はほかの国や都市と大きく異なります。
その違いはどこにあるのか、「世界一住みやすい街」としても有名なメルボルンが持つコーヒー文化の魅力に迫ります。

雑踏、行列、メルボルン

香り立つエスプレッソ、注がれるシルキーで艶やかなミルク、自分の名前が書かれたコンパクトなカップ。メルボルンではまるでジョギングにいくかのように、毎朝お気に入りのカフェへコーヒーを買いに行くのが定番です。

メルボルンの朝は雑踏の中の「行列」に並ぶことから始まります。時には10分以上の時間を待ちながら、それでも飽きずに過ごすことができるのはその時間の先にとっておきのお楽しみがあるから。長く待ってでも手に入れたい一杯のコーヒーは、メルボルンの人たちにとって一日を始めるためのスイッチなのです。
自分なりのカスタムオーダー、シュガーの量やミルクの温度、エスプレッソの味にまでこだわるメルボルンの人たちは、コーヒーを愛してやまないのです。

コーヒーを片手に朝の雑談や挨拶を交わし、時にはシリアスな表情で仕事の話や議論を交わしているのです。メルボルンの朝は早い、そしてこの時間にはコーヒーの存在が欠かせないのです。

メルボルンはコーヒーの都

メルボルンは「コーヒーの都」。そのコーヒーの美味しさは世界でもトップレベルといわれています。また、メルボルンにあるカフェの数はフランスのパリよりも多いといわれ、ひとつのストリートにいくつものカフェが立ち並んでいるのも大きな特徴です。

しかもそのどれもがオシャレで個性的です。洗練されたシンプルな内装のお店もあれば、パッと目をひくようなカラフルで独創的なお店まで、バラエティ豊かにあります。

とくにカフェの多い「デグレーブス・ストリート」では、ヨーロッパの街中へふらりと訪れたような雰囲気が味わえます。石畳の道、オープンテラスのテーブル、おしゃべりに興じるメルボルンの人たち。
初めてメルボルンを訪れた時は、そのカフェの多さに圧倒されることでしょう。

「世界で最も住みやすい都市」ともいわれる、メルボルンの住みやすさの要因のひとつは間違いなくこのコーヒー文化、カフェ文化が浸透していることが大きく影響しているでしょう。
美味しいコーヒーが飲める場所では、自然に誰もが社交的になります。コーヒーを待つ行列の中でも、メルボルンの人たちはしきりに話をしています。そしてそれは観光で訪れている人であったり、昔からメルボルンに住んでいなかったりする人でも同様です。コーヒーを通して様々なつながりが生まれることもメルボルンの魅力のひとつです。

アットホームで懐の深いメルンボルンの空気感は、「コーヒーの美味しさ」がその一助になっていると言っても過言ではありません。

オーストラリアのコーヒー文化

メルボルンのあるオーストラリアは、コーヒー大国として世界的に知られています。その始まりは、イタリアからの文化の輸入にあります。昔イタリアからオーストラリアへ移住をしたイタリア人がエスプレッソを淹れ始め、そこから徐々に国内でコーヒー文化が広がったといわれています。

このコーヒー文化が爆発的に広がったのは、2000年に行われたシドニー五輪がキッカケでカフェの屋外席設置が許可されたことから始まりました。

おしゃべりをするのが大好きなオーストラリアの人々は、よい天気の日にはお気に入りのカフェに出向くようになりました。お気に入りのコーヒーを何杯も頼んでは、テラス席でおしゃべりに興じていたのです。
飲む機会が増えれば、自然とその味にもこだわりが出てくるでしょう。その結果としてオーストラリアのコーヒーレベルは上昇し、現在のコーヒー大国としての地位を築くまでになりました。オーストラリアからは、世界的に有名なバリスタが何人も輩出されています。
その中でも、もっともコーヒーが美味しいといわれるのがメルボルンです。世界トップクラスの国でのトップ。まさに「トップ・オブ・トップ」のコーヒーがメルボルンのコーヒーなのです。

メルボルンで楽しみたいコーヒーの種類

オーストラリアのメルボルンで楽しめるコーヒー豆の種類は、酸味が特徴的な浅煎りのコーヒーから、パンチのある苦味たっぷりの深煎りコーヒーまで様々なものがあります。また、コーヒーの種類もオーストラリア独特の流れを汲んだメニューが数多く存在します。

ここではその中から、ぜひ楽しんでもらいたい3つのメニューをご紹介していきます。

⒈Flat White(フラットホワイト)

フラットホワイトは、オセアニア地域発祥のコーヒーメニューで、メルボルンでもその人気は随一です。人気の秘密はコーヒーとミルクのバランスです。キメが細かくシルキーで、エスプレッソの味わいを存分に引き出した絶妙な配分がたまらない一品です。

同じようにエスプレッソとミルクを使うコーヒーメニューには、「カプチーノ」や「ラテ」があります。フラットホワイトはこれら2つに比べて、泡を含んだミルクが少なく、より口当たりが滑らかなミルクをたくさん含んでいます。口に含むと広がるエスプレッソの豊かな香り、ミルクの甘味が滑らかな質感とともに味わえます。

メルボルンに行ったら、ぜひ試してもらいたいコーヒーメニューです。

⒉Magic(マジック)

マジックはフラットホワイトのカスタマイズオーダーです。フラットホワイトの2倍の量のエスプレッソを贅沢に使い、滑らかなミルクを混ぜ込んだ至福の一杯です。エスプレッソの風味と甘み、ミルクの口当たりが口の中で混ざり合い、鼻に抜ける香りはフラットホワイト以上に芳醇です。

マジックは、メルボルン発祥のコーヒーメニューです。眠気覚ましの一杯に、濃厚な風味を楽しみたいときにぜひ一度試してみてください。メルボルンのカフェでは当たり前ですが、オーストラリアの他のエリアでは飲めないこともあります。メルボルンを訪れたら、飲まずに帰るのは損でしょう。

⒊Long Black(ロングブラック)

ロングブラックはアメリカでいう「アメリカーノ」です。お湯の上からエスプレッソを丁寧に抽出した、ブラックコーヒーです。カップから漂う香りと芳醇な風味は、メルボルンコーヒーの美味しさを堪能するためには最適でしょう。

こだわりのあるカフェでは、ロングブラックに使うエスプレッソの豆が頻繁に変わることも多々あります。お気に入りのお店を見つけたら、ぜひ毎回のコーヒー豆をバリスタに聞いてみてください。飲み続ければ、味の違いも自ずとわかるようになってきます。


フラットホワイトにマジック、そしてロングブラックはメルボルンのコーヒーの美味しさを存分に感じられるコーヒーメニューです。お店ごとの味わいの違いを、比べてみるのも面白いでしょう。
また、メルボルンでは近年「バッチブリュー」や「ハンドドリップ」などのコーヒーメニューを提供しているお店も増えています。これらは簡単にいえばコーヒーメーカーで淹れたコーヒーや手動で淹れたコーヒーの事です。
エスプレッソコーヒーとはひと味違ったコーヒーの側面を楽しむ事ができます。

様々なコーヒーの選択肢が増えていることで、これから更にメルボルンのコーヒー文化は加速していくでしょう。コーヒーを焙煎している「マイクロロースター」や、鮮やかなラテアートを目当てにカフェを選んでみるのも一興です。

バリスタとの会話が美味しさを加速させる

コーヒーを淹れるプロである「バリスタ」。メルボルンのカフェではお気に入りのバリスタを探してみるのも良いでしょう。バリスタの数だけ、味も個性もあります。
カッコイイ、カワイイ、オシャレなバリスタを探しながらのカフェ巡りも面白いかもしれません。

気になるバリスタには、ぜひ積極的に声をかけてみてください。慣れない英語でも大丈夫です。オーストラリアは移民の国、それはメルボルンも同様です。働くバリスタもオーストラリア人に限らずアジアやヨーロッパ、アメリカ出身など多様性に溢れています。

むしろバリスタの英語にも、訛り(なまり)があって当然です。そんな多国的な状況を楽しめることも、メルボルンにあるカフェのまた違った魅力といえるでしょう。

また、バリスタとの会話から、思いがけないコーヒーの知識を知ることができるでしょう。コーヒーをより美味しく感じるために、ぜひバリスタとの会話も楽しんでみてください。

狙いを定めるは「朝」

メルボルンでコーヒーを楽しむなら、狙いを定める時間帯は「朝」が最良です。
この時間帯は人気のカフェでは行列ができていたり、若干ピリピリした緊張感がお店の中に立ち込めていたりします。しかしこの時間帯は「特別」ではない、日常のメルボルンを知ることができます。

メルボルンの人たちは「朝」の時間をとても大切にしています。自分のお気に入りのカフェに狙いを定めて、スタッフに挨拶をし、お気に入りのバリスタに好みのコーヒーを淹れてもらう。もちろん中身は自分だけのカスタムオーダーです。

朝の時間がその日1日の原動力。メルボルンの人たちにとって朝一番のコーヒーはただのコーヒーではありません。その日のエンジンをかけるためのかけがえのない一杯です。その一端を知ることで、メルボルンで飲むコーヒーは数十倍も美味しく感じることができるはずです。
また、朝のカフェではコーヒーが最高ですが、同時にブレックファーストを食べることもできます。メルボルンのカフェはレストランスペースを併設しているところも多く、どこでも本格的な朝食を食べることが可能です。

中でもオススメは「Big Break Fast(ビッグブレックファースト)」。一皿に大きなベーコンやスクランブルエッグ、サラダにトーストやサワドーが乗ったボリューム満点のプレートです。遅めの朝食「Blanch(ブランチ)」にも最適でしょう。

朝の時間が最も贅沢といえるメルボルンのカフェ文化。美味しいコーヒーはもちろん、一緒にリッチな朝食を食べたら、その日は最高のスタートが切れるでしょう。 「朝」はメルボルンのコーヒーを語る上では欠かせない、大切なキーワードです。

メルボルンには星の数ほどカフェがあります。すなわち、星の数ほどコーヒーの味があると考えても良いかもしれません。世界でも有名なコーヒー大国の中でも抜き出て有名なメルボルンのコーヒー。その一杯を楽しむために必要なものは、ポケットに入った4ドルとお気に入りのコーヒーメニューの2つだけです。

もし旅に出ることがあれば、ぜひメルボルンをその候補地として考えてみてください。その時に狙うべきタイミングは「朝」です。行列の先で得られるコーヒーの「満足感」は他の場所では味わえません。


人生史上最高の一杯に、ぜひメルボルンで出会ってみてください。

※本記事はコロナウイルス感染症拡大より以前に執筆・掲載された記事です。

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