バチカン美術館:イタリア芸術の宝庫

バチカン美術館は、歴代ローマ教皇の膨大なコレクションを展示した世界最大級の美術館です。20以上ある美術館内には、イタリアルネサンス期の三大巨匠の作品をはじめ、古代オリエントから現代までの絵画や彫刻、タペストリーなど、お宝アートがズラリと並んでいます。宮殿として使われた建物も見物です。世界一小さな国家、バチカン市国にある壮大な美術館で、イタリア芸術の傑作に触れる至福のひと時をぜひお過ごしください。

1.バチカン美術館のある「バチカン市国」とは?

バチカン市国は、国土がほんの0.44平方キロメートルしかない世界最小の独立国です。教皇を元首としてローマ教皇庁が治めており、カトリックの総本山と位置づけされた神聖な場所となっています。

国土は小さいですが、「サン・ピエトロ教会」をはじめ、教皇が暮らす宮殿や美術館、庭園など観光資源も豊富です。また、バチカン市国はカトリックの総本山という聖域です。肌の露出の多い服を着ていると入館を断られることもありますのでご注意ください。

2.約20の美術館の総称「バチカン美術館」とは?

バチカン美術館は、世界最大級の美術館で、歴代ローマ教皇が収集した膨大な数の美術品を展示しています。正式名称は「教皇の記念物・博物館・ギャラリー」です。

バチカン美術館内にはイタリアルネサンスの芸術家たちが各々の腕を競い合い、内装を施した教皇の居室やシスティーナ礼拝堂をはじめ、古代彫刻や現代キリスト教美術などの専門美術館、バチカン図書館など様々な建物があります。
キリスト教美術だけではなく、世界各地の民族美術や古代ギリシャ美術なども収蔵されており、ラインナップも多彩です。

3.「バチカン美術館」の成り立ち

(Public Domain /‘Pope JuliusⅡ’ by Raffaello Santi. Image via WIKIMEDIA COMMONS)

16世紀末ごろの教皇だったユリウス2世が、1506年に、エスクイリーノの丘にある、ぶどう畑で発掘された古代ギリシア彫刻『ラオコーン』を、ぶどう畑の所有者から購入し、公開したことが始まりです。(ユリウス2世は、絶対君主としての教皇の地位を確立し、ルネサンス美術を保護したことでも有名な教皇です。)

その後、教皇は宮殿内のベルヴェーデーレの中庭に枢機卿時代や教皇になった時に集めた芸術品を展示しました。宮殿を芸術品で埋め尽くした美しい空間にしたいと思った教皇は、イタリアルネサンスを代表する芸術家たちを集めて宮殿内の装飾をさせました。もちろんその中には、イタリアルネサンスの三大巨匠といわれる、ミケランジェロやラファエロ、ダ・ヴィンチもいました。これにより、収集した美術作品だけでなく、バチカン美術館の建物自体も芸術的な価値を高めていきました。

ユリウス2世以後の歴代教皇も芸術家を保護していたため、膨大なコレクションを有するようになります。18世紀後半には中庭やピオ・クレメンティーノ美術館が、また19世紀にはエジプト美術館やエトルリア美術館、キリスト教美術館などが建設され、バチカン美術館は20世紀までどんどん規模を拡張していきました。今では、この魅力的な芸術作品を観賞するために、毎年1,800万人を超える人々が訪れるほどの美術館へと成長しています。

4.アクセス

地下鉄A線の「オッタヴィアーノ駅(Ottaviano)」で下車し、大通りを通ってリソルジメント広場方面に向かいます。徒歩で10分程度、城壁沿いの坂道を上れば入口があります。

予約をしていれば、入口近くの予約者専用レーンに並べるので迅速に手続きができます。

5.バチカン美術館の巡り方や注意点

・時間はどれくらいかかる?

バチカン宮殿の大部分を占める美術館は、公開されているだけでも42,000平方メートル、全長約7キロメートルあり、じっくり見て歩けば1週間はかかります。見たい場所を決めてサクッと2~3時間で巡るのが一般的です。

・バチカン美術館の営業日

毎月最終日曜日は無料で入場することができます。それ以外の日曜日はお休みです。
1/1、2/11、3/19や復活祭とその翌日、宗教の祭日が休みです。事前にホームページでご確認ください。
(2018年11月現在)

・事前チケットの購入がおすすめ

予約をしなければ入館できないということはありませんが、入口には長蛇の列ができており入場までに2~3時間待たなければならないこともあるので、公式ホームページから事前チケットを購入しておくのがおすすめです。予約した時間にプリントアウトした予約確認書と身分証明証を持っていけば、予約者専用の入り口から入場できます。

料金は高くなりますが、60日前から購入可能で、クレジットカードで支払うことができます。

公式ホームページ

・持ち物に注意

美術館内には大きな荷物は持込まない方が賢明です。総合案内所の近くにはクロークがあるので、そちらに預けるのもいいでしょう。

持ち物としては、カメラ、スマホなどの撮影機器と、できればオペラグラスがあった方が便利です。撮影ポイントはたくさんあるので、充電は十分にしておいてください。聖地だけに服装には厳しいので、肩や膝を露出した服装やビーチサンダルなどは入場拒否をされる可能性があります。女性は膝下丈のスカート、男性は長ズボンで、靴は歩きやすいスニーカーが良いでしょう。

・撮影禁止場所

システィーナ礼拝堂での写真撮影は禁止です。また、フラッシュと三脚の使用もできないので注意してください。

6.バチカン美術館のみどころ

最低でも、ピオ・クレメンティーノ美術館、ラファエロの間、システィーナ礼拝堂、ピナコテーカの4スポットは必見です。これだけでも3時間はかかります。

半日時間が取れる方は、グレゴリウス・エジプト美術館やキアラモンティ美術館、バチカン図書館も、追加で巡ってみてはいかがでしょう。それでは、バチカン美術館で絶対に見逃せない見どころをご紹介します。

・システィーナ礼拝堂

ミケランジェロの『天地創造』や『最後の審判』を見られるシスティーナ礼拝堂は、バチカン美術館最大の見どころでしょう。
ユリウス2世は、ミケランジェロに墳墓彫刻を依頼するつもりでしたが、長さ約40mの天井画の作成を命じました。

(天地創造)

旧約聖書を題材にした、『天地創造』から『ノアの洪水』までの9つの物語が描かれています。カメラは禁止ですが、オペラグラスは持ち込みが許されているので、細部までじっくり観賞するのもおすすめです。

祭壇壁画の『最後の審判』は、教皇パウルス3世の命により書かれたものです。新約聖書の「この世の終末における神の審判」を、400人以上の人物で現しています。ミケランジェロ独自の目線から描かれており、天使さえもが興奮・驚愕し動転している様子が見ものです。この2つの作品は姿や仕草、動作など人体表現に優れている彼の才能を顕著に見られる興味深い作品といえます。

ボッティチェリやギルランダイオによる、両壁の壁画も必見です。15世紀に書かれたもので、『最後の審判』に向かって右には、モーセの生涯があり、左側にはキリストの生涯があります。それぞれ6枚ずつのフレスコ画で描かれています。
システィーナ礼拝堂は、他より30分速く閉館するので注意してくださいね。

・ラファエロの間

ここには4つの部屋があり、ラファエロと弟子たちが描いた壁画や室内装飾を見ることができます。署名の間にある、『聖体の論議』と『アテネの学堂』、4つの壁画で描かれている『2つの真理、美、善』は欠かさず見るべきです。

特に『アテネの学堂』は、遠近法を用いて立体的に見えるところや、自画像の襟元に「R.V.S.M.」とラファエロのサインが描かれているところも見どころです。
他にも『アダムとイヴ』や『ボルゴの火災』も見逃せない作品となっています。

・ピナコテーカ(絵画館)

(ピエタ像)

ビザンチン時代から現代までの宗教画が、18の部屋に分けて展示されています。ここでは、フィレンツェ派の作品やミケランジェロの『ピエタ像(レプリカ。本物は大聖堂にあります。)』、ラファエロの『聖母の戴冠』、ダ・ヴィンチの『聖ヒエロニムス』、バロックの巨匠ベルニーニ作『キリスト降架』など、世界中の傑作が集結しているため、必見の絵画が揃っています。タペストリーもぜひ。

・ピオ・クレメンティーノ美術館

何といっても、中庭にある彫刻『ラオコーン』が一押しです。ロードス島の彫刻家が1世紀ごろ作成したものといわれています。
ヘレニズム期の傑作と賞賛され、ミケランジェロや後世の芸術家たちに多大な影響を与えたといわれている作品です。女神アテナの怒りを買ったトロイアの神官ラオコーンと二人の息子が、ヘビに絞殺されるシーンを表現しています。

・らせん階段

1932年ジュゼッペ・モーモ作の二重構造のらせん階段は、上りと下りに分かれているのに、上から見ると一つに見えるユニークな作品です。先に降りて、残った人が下にいる友達を写真に撮るのもおすすめです。

7.まとめ

館内には、いくつものショップやレストラン・カフェもあります。お土産は荷物になるので、出口間近のショップで購入することをお勧めします。エコバックを持っていけば更に安心です。世界一小さな独立国にある、巨大な美術館では、さまざまな芸術作品を見ることができます。見たいスポットを、効率よく巡ってアーティスティックなバカンスを楽しんでください。

基本情報
住所:Viale Vaticano, Vatican City
電話番号:+39 06 69884676  +39 06 69883145

営業時間
・月曜日から木曜日
10:00~18:00(最終入館18:00まで)

・金曜日から土曜日
10:00〜22:00(最終入館 20:00まで)

・毎週日曜日は休み

入場料
大人:€17
25歳以下の大学生割引(学生証要):€8

オーディオガイド:大人€7、子ども(6~12歳)€5
(2018年11月現在)

ホームページ

※本記事はコロナウイルス感染症拡大より以前に執筆・掲載された記事です。

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