R3コンソーシアム:世界の金融機関はブロックチェーン技術をどう見ているのか

R3コンソーシアムとは、世界中の銀行や証券会社、規制当局と300社を超えるテクノロジー会社によって構成され、ブロックチェーンに関する調査研究から実証実験、試作品開発などを共同して行うためのコンソーシアム(共同事業体)です。それぞれが独自で開発するだけでなく、知識と技術を持ち寄ることでより効率的に研究開発を進める狙いがあります。

R3コンソーシアムとは?

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R3コンソーシアムとは 、ブロックチェーンを開発している企業、R3(R3CEV LLC)が中心となって進めているコンソーシアム(共同事業体)です。既存のブロックチェーン技術はまだ発展途上にあるため、実際のビジネスに適用するにはまだまだ技術面での進歩が必要です。

そのため、R3社は世界中の銀行や証券会社、規制当局と300社を超えるテクノロジー会社と共にブロックチェーン業界に関する調査・研究、開発支援などを実施しています。本社はニューヨークに置かれ、2015年にバークレイズ、クレディ・スイス、UBSを含む9つの金融機関とともにコンソーシアムとしての活動を開始しました。

彼らが設計・開発を進めているコルダ(Corda)はオープンソースの分散台帳プラットフォームです。R3社はこの非常に複雑なプロセスを持つプラットフォームにおいて、高い機密性を求められる金融業界でのブロックチェーンを用いた効率化という課題に対する、一つの答えを提示しようとしています。

※オープンソース:公開されたソースコード
プラットフォーム:システムやサービスの土台や基盤となる環境

R3の歴史

本格的に活動開始した2015年当時は、

バークレイズ

ビルバオ・ビスカヤ・アルヘンタリア銀行

オーストラリア・コモンウェルス銀行

クレディ・スイス

ゴールドマン・サックス

JPモルガン

ロイヤルバンク・オブ・スコットランド

ステート・ストリート

UBS 

上記の9つの金融機関が加盟していました。

日本では、ブロックチェーンの実証実験を行うために2016年(平成28年)2月にみずほ銀行がマイクロソフトなどと提携し、同年3月には富士通とも実証実験を実施すると発表されました。

2016年(平成28年)3月にはSBIホールディングスが参加を発表し、日本では非常に話題となりました。

R3コンソーシアムが解決しようとしている課題

1)ブロックチェーンで何ができるのか

ビットコインとは「決済手段」や「価値の保管手段」として使われる、インターネット上でやりとりされる「電子通貨」のことであり、イーサリアムとは「インターネット上での価値交換を可能にするプラットフォームとその基盤技術」の名称です。

仮想通貨とは、ブロックチェーン技術に基づき、インターネット上でやりとりされる「通貨(価値の保管手段、交換手段などとして使われるもの)」です。

ブロックチェーンとは、例えるならばOSのことです。このOS上で動くアプリケーションが、ブロックチェーンでいうところ仮想通貨であると想像してください。OSが違えば、ダウンロードして利用できるアプリも異なります(iOSのアプリは、Androidでは動きません)。それと同様です。

※OS:アプリやデバイスを動作させるための基本となるソフトウェア

ブロックチェーンには、いつ、誰(どのアカウント)が誰(どのアカウント)と、いくらのやりとりをしたのかが時系列で記録されています。これを利用することで、送金や社内外との契約のやりとり、不動産の取引などが効率化・自動化できると想定されています。

現在は、このブロックチェーン上で管理するデータ量の増量や外部ストレージとの連携、異なるブロックチェーン上のデータを誰もが活用できるようにするための研究・開発が進んでいます。

2)ブロックチェーン開発における課題

いくつか課題がありますが、そのなかでも注目すべきものは「開発に莫大な資産が必要」であることです。誕生してから10年も経過していないため、既存のインターネットの基盤技術やデータベース技術に比べると、業界全体の技術レベルがそこまで高くありません。

また、ブロックチェーンにおけるデータの処理速度が遅いこともあり、実際のビジネスでは活用しにくいという現状もあります。

しかしながら、第一線で活躍する技術者達や金融企業は、ブロックチェーン技術が既存のビジネスにおける様々な無駄を省き、コストをさげ、利用者にとって使いやすい環境をもたらしてくれると期待しています。

そのため、各社のリソースを集結し、どの会社であってもブロックチェーン技術を本業に活用できるようにするための基準が必要です。さらにその基準を作るためには、様々な試行錯誤が欠かせません。

これらを1社で賄うのは金銭的にも時間的にも非常に負担がかかります。そこで、R3社が世界中に呼びかけてR3コンソーシアムを立ち上げたのです。

3)R3コンソーシアムが開発したCorda(コルダ)とは

Cordaとは、金融業界に特化したオープンソースの分散台帳プラットフォームです。

これを使うことで、

・金融取引に必須のシステムがダウンしない

・金融機関の壁を超えてデータが共有されるため、ユーザーが複数の銀行口座を開く必要がない

・金融機関がユーザーの与信調査をする際に、そのコストと時間を削減できる

という上記のようなメリットを得ることができると期待されています。

これらを可能にするのがブロックチェーンです。これまでユーザーデータ取引データは会社ごとに管理されていました。しかし、ブロックチェーン技術を使うことで、ユーザーが個人情報に関するコントロール権を持つようになります。これは、会社にとってはサイバーセキュリティにかかる費用削減になりますし、ユーザーにとっては知らないところで個人情報が売買されるようなことを防ぐことができます。

ブロックチェーン技術は、フィンテック(金融サービスと情報技術を結びつけた革新的な動き)の中でも華やかさのない技術です。VRのように目に見えるわけでもなく、IoTやAIのように使用目的がすぐに思い浮かぶものでもありません。しかしながら、その目立たない技術こそが生活や仕事を支える重要な技術なのです。

参考記事

r3 ホームページ
https://www.r3.com/

R3 (企業)
https://ja.wikipedia.org/wiki/R3_(%E4%BC%81%E6%A5%AD)

R3 / Cordaのご紹介
http://www.kmkworld.com/re2018/corporate/wp-content/uploads/2018/02/3757a4f565facc2ac01b2c76f86c53da.pdf

ニュース

R3コンソーシアム、カナダの大手信用組合連合が参加
https://jp.cointelegraph.com/news/canada-s-large-credit-union-coalition-joins-blockchain-consortium-r3

R3プラットフォーム:銀行や規制当局が参加し、顧客確認アプリケーションの試験完了
https://jp.cointelegraph.com/news/banks-and-regulators-complete-kyc-app-test-on-r3-blockchain-platform

【FinTech】~国内企業4社協働による取り組み~ブロックチェーン技術の実証実験開始について
https://www.mizuho-fg.co.jp/release/20160216release_jp.html

みずほ銀行と富士通、国境を越えた証券取引の決済プロセス効率化に向けた実証実験を実施https://www.mizuhobank.co.jp/release/pdf/20160308release_jp.pdf

米国のフィンテック企業R3 CEV社が主導するブロックチェーンコンソーシアム「R3」への参加に関するお知らせhttp://www.irstreet.com/etrade/brand/document.php?brand=143&document_url=https%3A//ircms.irstreet.com/contents/data_file.php%3Ftemplate%3D396%26brand%3D143%26folder_contents%3D17570%26src_data%3D187884%26filename%3Dpdf_file.pdf&url=http%3A//www.irstreet.com/etrade/brand/contents.php%3Fbrand%3D143%26contents%3Dnewsrelease

※本記事はコロナウイルス感染症拡大より以前に執筆・掲載された記事です。

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