奈良:世界文化遺産「古都奈良の文化財」

古都奈良の文化財(Historic Monuments of Ancient Nara)は、日本の奈良県奈良市にある仏教寺院などから構成される世界文化遺産です。
構成資産は8つで、東大寺や薬師寺など、その多くが1,000年以上の歴史を持ち、世界的にも大変貴重な木造建築物になります。古都奈良の文化財は、日本における「奈良時代」の首都の様子と、当時行われた中国や朝鮮との交流によって育まれた文化を知ることができるとても貴重なものとなっています。

東大寺

古都奈良の文化財の概要

古都奈良の文化財(Historic Monuments of Ancient Nara)は、日本の奈良県奈良市にある仏教寺院など、8つの構成資産からなる世界文化遺産です。1998年12月2日に京都で開催されたユネスコ世界遺産委員会で、日本で9件目の世界遺産として登録されました。

古都奈良は、西暦710年、当時の中国唐王朝の都であった「長安」をモデルに、平城京として建設されたのがはじまりです。その後74年間、京都の長岡京に遷都されるまでの間、日本の政治・経済の中心地となりました。

この時に、「古都奈良の文化財」の構成資産である東大寺や薬師寺といった仏教寺院、春日大社のような神道の神社が建立されました。

こうした世界文化遺産「古都奈良の文化財」に登録されている構成資産の多くは、大変貴重な木造建築物であり、これほどの古さの木造建造物は中国や朝鮮半島にもほとんど現存していません。世界的にみてとても貴重な文化遺産であると言えます。

春日大社の燈篭

登録基準

「古都奈良の文化財」はユネスコが定める世界文化遺産の6つの登録基準のうち、(ii)(iii)(iv)(vi)の4つに当てはまると認定されました。

登録基準(ii):「芸術や技術の発展をもたらした重要な文化交流を示すもの」
奈良時代には、中国や朝鮮との交流により「天平文化」がうまれました。建築様式や文字(漢字)、新しい宗教(仏教)、服装(漢服)などを当時の日本は全て中国や朝鮮から学び、発展していきました。はるか遠く、シルクロードの彼方のペルシャ文化の影響が感じられる施設や芸術作品も残されています。

登録基準(iii)「ある文化や文明の極めて貴重な証拠」
平城京は奈良時代における日本の首都であり、時代の最先端をいく場所でした。 平城宮跡など、当時の首都としての繁栄が証拠として残されています。

登録基準(iv)「人類の歴史の上で重要な時代を物語る優れた実例」
奈良時代は、日本の国家や文化の基礎が整った重要な時代でした。聖武天皇は仏教を取り入れた国造りを行い、その中心が今も残る東大寺でした。東大寺の大仏には、国を1つにまとめたいという当時の願いがこめられており、奈良に残る遺産は、国としての「日本の始まり」を物語る場所でもあります。

登録基準(vi)「普遍的な意義のある事柄と密接な関連があるもの」
奈良の遺産は、神道や仏教など日本の2大宗教と深い関係があります。
神社・寺院などの歴史的建築物や、長い年月に渡って続く伝統行事を受け継ぐ場所として、非常に重要な意味を持つのが奈良の世界遺産です。

構成資産

世界文化遺産「古都奈良の文化財」の構成資産は以下の8つです。

  • 東大寺
  • 興福寺
  • 春日大社
  • 元興寺
  • 薬師寺
  • 唐招提寺
  • 平城宮跡
  • 春日山原始林

東大寺

東大寺は、奈良県奈良市の中心部に位置する、日本大乗仏教の宗派「華厳宗」の総本山です。聖武天皇および高僧の行基らの主導によって8世紀に建立されました。

東大寺の中心的な建物である金堂(大仏殿)には、高さ14.98m(座高)の立派な大仏(盧遮那仏)が鎮座し、奈良時代から現代に至るまで、人々の信仰が集まる場所となっています。
その他に二月堂などの建物があります。二月堂では毎年3月上旬に行われる「修二会」といった宗教行事が行われています。

【基本情報】
住所:〒630-8211 奈良市雑司町406-1
アクセス:JR奈良駅、近鉄奈良駅から市内循環バスで「大仏殿春日大社前」下車徒歩5分
TEL:0742-22-5511
休業日:無休

興福寺

興福寺は、奈良県奈良市の中心部に位置する寺院で、西暦669年に前身の山階寺が建立されました。710年の平城遷都に合わせてこの寺院も奈良へ移され、興福寺と名づけられました。日本大乗仏教の宗派「法相宗」の大本山です。
当時の有力氏族であった藤原氏ゆかりの寺院でもあり、藤原氏の祖である藤原鎌足と、その息子である藤原不比等らによって手厚く保護されました。

境内には東金堂や南円堂といった寺院のほか、五重塔などの木造建築物があります。また、日本文化財の収蔵を目的とした国宝館と呼ばれる施設も建てられており、阿修羅像や乾漆八部衆像といった日本を代表する国宝を鑑賞することができます。

【基本情報】
住所:〒630-8213 奈良市登大路町48番地
アクセス:近鉄奈良駅から徒歩5分
TEL:0742-22-7755
休業日:無休

春日大社

春日大社は、奈良県奈良市の奈良公園内にある神社です。西暦768年に、奈良時代の都である平城京の守護と、国民の繁栄を祈願するために創建されました。当時の奈良で絶大な権力を握っていた藤原氏の氏神を祀る神社です。建立以降多くの人に信仰され、日本各地に3,000ほど分社が作られるなど歴史的に重要な神社の1つです。

毎年2月の節分と8月14・15日には、燈籠に火を入れる「万燈籠」の行事が行なわれ、その美しい光景を目当てに多くの人が訪れる一大イベントとなっています。

【基本情報】
住所:〒630-8212 奈良市春日野町160
アクセス:
JR奈良駅、近鉄奈良駅から春日大社本殿行バス11〜15分・終点下車すぐ、
または市内循環バス9〜13分「春日大社表参道」下車徒歩10分
TEL:0742-22-7788
休業日:国宝殿は年3回の展示替えの時、春日大社神苑萬葉植物園は3月~11月無休、12月~2月は月曜日休業(ただし、祝日等と重なった場合は翌日)

元興寺

元興寺は奈良県奈良市、平城宮跡内に位置する仏教寺院です。その歴史は古く、6世紀末に蘇我馬子によって開かれた法興寺が前身です。平城京への遷都に伴って現在の場所に移転され、この時に名前も元興寺と改められました。僧坊の一画のみが現存している文化財です。

【基本情報】
住所:〒630-8392 奈良市中院町11
アクセス:JR奈良駅から徒歩20分、近鉄奈良駅から徒歩12分
TEL:0742-23-1377
休業日:無休

薬師寺

薬師寺は、奈良県奈良市西ノ京町にある寺院です。西暦680年に天武天皇が、皇后(のちの持統天皇)の病気回復を祈り、藤原京に建立したものが最初となります。その後、平城京への遷都に伴い、西暦718年に今の場所へ移されました。東と西にそれぞれ、立派な三重塔が建てられており、その他にも金堂や講堂といった歴史的価値の高い建築物が配置されています。その配置構成は、薬師寺式伽藍配置と呼ばれ、他の日本の寺院ではあまり見られない独特なものとなっています。薬師寺は複数回の火災に見舞われた歴史があり、その度に修復が重ねられてきました。そのため、創建当時の姿を残すのは東の三重塔のみとなっています。

【基本情報】 
住所:〒630-8563 奈良市西ノ京町457
アクセス:JR奈良駅、近鉄奈良駅より六条山行バス18分「薬師寺」下車すぐ。近鉄西ノ京駅から徒歩すぐ。
TEL:0742-33-6001
休業日:無休

唐招提寺

唐招提寺は、奈良県奈良市五条町にある寺院です。西暦759年、聖武天皇の招きに応じて中国から日本へやってきた鑑真により、仏教の教えを講じる場として建立されました。また、鑑真が晩年を過ごした寺院としても知られています。

唐招提寺には、本尊を安置する金堂や、東塔、講義用の講堂、生活のために用いられた食堂や倉庫といった建築物が残されています。

【基本情報】
住所:〒630-8032 奈良市五条町13-46
アクセス:JR奈良駅、近鉄奈良駅、近鉄西ノ京駅から六条山行バス17分「唐招提寺」下車すぐ、近鉄西ノ京駅から徒歩10分
TEL:0742-33-7900
休業日:無休

復元された朱雀門

平城宮跡

平城宮跡は、奈良時代の都「平城京」の北端部分にあった「平城宮」の跡地です。奈良県奈良市佐紀町の、大和西大寺駅と新大宮駅間に広がるとても広大な敷地に、当時の大極殿、朱雀門や東院庭園などが復元されています。

【基本情報】
住所:〒630-8577 奈良市佐紀町
アクセス:大和西大寺駅から徒歩10分
TEL:0742-30-6753
休業日:月曜日(祝日の場合は翌日)、年末年始

春日山原始林

春日山原始林は、奈良県奈良市中心部にある奈良公園の東側一帯を占める春日山の森林です。春日山は、春日大社の神山として1,000年以上伐採や狩猟が禁じられていたため、原始林として残っています。域内の原始林はカシやシイといった広葉樹林が主となっており、モリアオガエル、ヒメハルゼミ、カスミサンショウウオといった珍しい動物が生息しており、貴重な生態系を残す場所にもなっています。

【基本情報】
住所:奈良市春日野町
アクセス:JR奈良駅、近鉄奈良駅より春日大社本殿行きバス「春日大社本殿」下車徒歩5分

紹介した8つの文化財の他にも、歴史ある建造物や美しい自然など、奈良の見所は盛り沢山です。鹿との触れ合いや美味しい料理を楽しむのも良いでしょう。世界遺産を巡りにぜひ奈良を訪れてみてください。

参考(公益社団法人 奈良市観光協会):奈良の世界遺産 (奈良市観光協会サイト)

※本記事はコロナウイルス感染症拡大より以前に執筆・掲載された記事です。

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