クリス・コロンバス:子ども時代に帰れる映画

クリス・コロンバスは、1958年9月10日生まれの映画監督・映画プロデューサー・脚本家。代表作は、「グーニーズ」(1985年)、「ホーム・アローン」(1990年)、「ミセス・ダウト」(1993年)、「ハリー・ポッターと賢者の石」(2001年)など。

「ホーム・アローン」や「ハリー・ポッター」など、多くの子ども向け映画の制作に関わってきたクリス・コロンバス。その作品はユーモア溢れ、子どもはもちろん、大人も楽しめる内容となっています。彼のキャリアや制作してきた映画に焦点を当て、今一度クリス・コロンバス映画の良さを考えてみたいと思います。

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【若いころから才能を発揮!クリス・コロンバスのキャリア】

中学生のころから8ミリ映画を撮り、ニューヨーク大学に入学して映画の制作を学びます。在学中から映画の脚本を執筆し、24歳のときにはあの有名なスティーヴン・スピルバーグの目に留まりました。そして「E.T.」のロゴマークで有名な、アンブリン・エンターテインメントで、脚本家として働き始めます。「グレムリン」や「グーニーズ」といった映画の脚本を担当したのち、1987年に「ベビーシッター・アドベンチャー」で監督デビューを果たしました。1990年に「ホーム・アローン」で名前を広め、その後もファミリー向けのコメディを中心に活躍し、2001年には「ハリー・ポッターと賢者の石」が世界中で大ヒットしました。他にも「ナイト・ミュージアム」や「パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々」など、話題の作品を手がけ、ハリウッドトップクラスのヒットメーカーであり続けています。

【少年時代に戻って冒険したくなる「グーニーズ」】

伝説の海賊が隠した財宝を探す、やんちゃな少年たちの冒険を描いたこの映画。世界中で大ヒットし、80年代を代表する名作の1つとなりました。当時26歳だったクリス・コロンバスが脚本を手掛けています。もう30年以上前の作品ですが、今でも時々見返してしまう大人も多いのではないでしょうか。CGなどがふんだんに使われている昨今の冒険映画とは違い、まだまだお手製感が強い「グーニーズ」。だからこそ、何度観ても飽きない面白さがあります。
このころから彼のスタイルは成熟していたようで、例えば冒頭のカーチェイスの過程でテンポよく映画の登場人物を紹介していく演出は「上手い!」の一言でしょう。このカーチェイスの後半で、物語のキーとなる3つの岩もしっかりと登場しています。
ストーリーはもちろん、素通りしてしまいそうなシーンにもこだわりがあるこの作品。「片目のウィリー」のドクロには本物の頭蓋骨が使用されていたり、会話の中で映画「グレムリン」が登場したり。制作総指揮のスピルバーグ、監督のリチャード・ドナーやほかのスタッフの意見も盛り込まれていることでしょうが、こういったちょっとした場面にも工夫が凝らされていて、もう一度観たくなるような作品になっています。
制作陣だけでなく、俳優陣も魅力的。主演のショーン・アスティンは、のちに「ロード・オブ・ザ・リング」でサムを演じています。「デッドプール2」のジョシュ・ブローリン、「スタンド・バイ・ミー」のコリー・フェルドマンなども出演しており、まだ観たことのない方も、このキャスティングを知ったら観てみたいと思うのではないでしょうか。

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【何度観ても笑えて、最後にほろりとさせられる「ホーム・アローン」】

クリス・コロンバスが監督を務めた作品。クリスマスになると観たくなる人もいるのではないでしょうか。
クリスマス休暇で家族旅行に行くはずが、うっかり家に取り残されてしまった8歳の男の子ケヴィン。2人組の泥棒から我が家を守ろうと、数々のトラップを仕掛け奮闘するさまに笑い転げます。筆者は子ども時代、家からツリーハウスまで伸びたロープ渡りのシーンをやってみたくなりました。

ただ楽しいだけじゃないところが、この映画の内容を濃くしています。大家族の末っ子ケヴィンは兄にいじめられていますが、「いじめられた」と母親に言ったところで聞いてもらえません。年上の兄弟が次々「ケヴィンが悪い」と発言すると、大人は皆それを信じてしまうのです。問題の原因だと思われたケヴィンは罰として屋根裏部屋に行かされ、そのせいで旅行出発時も、いないことに気づかれなかったのです。最初は口うるさい兄弟や大人たちがいなくなって喜び、自由を楽しむケヴィン。しかし物語中盤になると、寂しさから街のサンタクロースに「家族を返して」と頼みます。このシーンは涙ぐむこと間違いなしです。
何年も色褪せない映画となったのも、製作陣の努力があったからこそ。主人公が当時10歳のマコーレー・カルキンだったこともあり、大人のスタッフはいろいろな気遣いをしたそうです。泥棒ハリーを演じたジョー・ペシは、意地悪で嫌な人だと思わせるように、マコーレーと必要以上に交流しないようにしたとか。また、泥棒退治の危険なシーンでは、なんと30歳の大人かマコーレーのスタント役をしていました。
家族と一緒でも、一人で観ても楽しめる映画です。

【全世界に魔法をかけた「ハリー・ポッター」】

世界中の子ども達を虜にした映画作品。筆者は「ハリー・ポッター」が好きすぎて、11歳の誕生日、友達に「ホグワーツ入学許可」の手紙を書いてもらったことがあります。ハリー・ポッターファンのなかには、落ちている木の枝で杖を作ったり、嫌いな先生に死の呪文「アバダ・ケダブラ」を唱えたりした経験がある人もいるのではないでしょうか。
クリス・コロンバスが制作に関わったのは、「賢者の石」「秘密の部屋」「アズカバンの囚人」までとなっています。次巻の「炎のゴブレット」からはコメディよりもダークな側面が色濃くなってくるからでしょう。

いつだって、原作ありきの映画化はファンの期待と反感を同時に背負いこみます。しかし、このクリス・コロンバスは原作を忠実に再現し、映画化を大成功させました。ホグワーツ魔法魔術学校やダイアゴン横丁などの魔法界シーンはもちろん、登場人物たちの見た目や内面までも表現。作中に登場する料理も、どう再現されるのかファンは楽しみにしていましたが、「賢者の石」の食事シーンは全て本物の料理を使ったとか。まるで、本当に映画の世界がそこにあるかのように映像化し、観客を魔法界の一員にしてくれました。
長編の原作をどこまで描くのかというファンの不安も払拭し、省くところは省いて、原作を読んでいない人でも楽しめる作品となっています。

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【ナイト・ミュージアム】

クリス・コロンバス作品には、豊かでなくとも愛に溢れた家族がよく登場します。
「ミセス・ダウト」のヒラード家は失業中の父親が主人公ですし、先ほど紹介した「グーニーズ」ではマイキー一家に借金があり、家の立ち退きを迫られています。「ハリー・ポッター」は両親を亡くしています。しかしどれも、愛のある家庭であることや、ちゃんと両親に愛されていたということがわかる描写がされています。
この「ナイト・ミュージアム」は、失業中の主人公ラリーが息子ニックに説得され、博物館の夜警として働くところから物語が始まります。
夜になると、博物館の展示物が動き回るというストーリー。走るティラノサウルスや、しゃべるルーズベルト大統領の銅像。小人の集団に襲われたり猿に鍵を取られたりと、展示物に翻弄される主人公と一緒に、観客も夜の博物館に夢中になってしまいます。
最初、息子ニックにいい父親ぶりを見せようと空回りするラリーに、「大人なんだからもっとしっかりしてよ」と思いますが、最後は「展示物が動く博物館で働いているなんて、素敵な父親だな」と羨ましくなります。
このように、「決して裕福ではないけれど、愛に溢れた家族」が登場するのも、彼の作品の魅力であり見所です。

【最後に】

彼の作品の面白さや素敵なところを改めて紹介してきましたが、いかがだったでしょうか。俳優重視で映画を選んでいた人の中には、知らないうちにクリス・コロンバス作品をたくさん見ていたことに驚いた方もいるでしょう。
この記事が、映画との出会いや新たな見方の発見に繋がれば幸いです。

※本記事はコロナウイルス感染症拡大より以前に執筆・掲載された記事です。

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