イーロン・マスク:火星を目指す起業家

イーロン・リーヴ・マスクは、スペースXの共同設立者の一人です。南アフリカ共和国出身のアメリカ合衆国で活動している人物で、民間企業初の宇宙船の打ち上げなどに成功したスペースX社やテスラ、PayPalなど多くの企業を立ち上げてきました。起業家や実業家としてだけでなく、エンジニアや投資家としても活躍しているマスクについて詳しく解説します。

※画像はイメージです。

<幼い頃からエンジニアの才能を発揮、人類の進歩で必要な分野を見出す>

マスクは、南アフリカ人のエンジニアをしている父親とモデルや栄養士をしている母親の間に生まれました。10歳のときに両親がコンピュータを買ってくれたことで、彼はプログラミングを独学で習得。12歳になるとソフトウェアを開発し商業用の製品として販売をはじめました。

その後、高校に通いながらも大学入学資格を17歳で取得し、家を出て独立した生活をはじめます。この独立は一切親の手を借りずに実現しましたが、その理由の一つとして南アフリカ共和国が行っている徴兵制度があるからだといわれています。彼自身も過去に懲役制度について「兵役につくことは、それ自体私には問題はないが、南アフリカ軍で黒人を抑圧することに時間を費やすのは、あまりよい方法のようには思えなかった。」と語っています。

※画像はイメージです。

アメリカへの移住も考えていたようで、「アメリカは、すごいことを可能にする国だ」とも語っており、自身の可能性を感じていた彼は移住を目指します。18歳になった頃、マスクはカナダ国籍を持っていたことからカナダに移住。母親の親戚である従兄弟が営んでいた小麦農場で働きながら生活をしていました。農場では野菜畑で仕事をしたり穀物貯蔵所を掃除したりするなどさまざまなことを任されます。その後は引っ越しをして、銀行のコンピュータ部門で働いたこともありました。

アメリカ合衆国に移り住むと、ペンシルベニア大学ウォートン・スクールに進学。入学の際に奨学金を受け取りながら、無事に学位を取り卒業します。マスクは大学在学中に人類がこれから進歩する上で重要な分野は、インターネットやクリーン・エネルギー、宇宙だと考えていたと述べており、卒業後はその分野でさまざまな企業を立ち上げ世界的に活躍することとなります。

<Zip2を起業。その後も多くの企業を立ち上げ「世界最高の起業家」となる>

1995年、24歳になるとスタンフォード大学院で高エネルギー物理学を学ぶため入学。ですが2日で辞めると、弟とともに「Zip2」という会社を立上げ、オンラインコンテンツ出版ソフトを提供。最終的にはコンパックに買収されてマスクは、日本円で約25億円もの大金を手に入れました。

1999年になると「X.com」の共同設立者になります。X.comは、オンライン金融サービス、そして電子メールでの支払いが可能なサービスを提供しました。金銭のやり取りは「PayPal」を介して行うため、取引先にクレジットカード番号などを知られることがなく安全に決済ができることが評判を呼び、多くのユーザーから評価されます。X.comは2000年にコンフィニティと合併することになり、社名が「PayPal」へと変更されました。その後、PayPalはアメリカを中心に世界各地で普及し、190ヵ国以上の国と地域で利用できるほど成長を遂げます。

マスクはX.comの買収でまたも多くの大金を手にしましたが、2002年に新しい会社を立ち上げます。今度は宇宙に物資を輸送するためのロケットを製造・開発する会社「スペース・エクスプロレーション・テクノロジーズ」(通称:スペースX)を起業。2000年代には多くの民間宇宙ベンチャー企業が誕生しましたが、スペースXはそのなかでも有力企業として力をつけます。2006年になるとスペースXはNASAと、国際宇宙ステーションに物資補給するためのデモ飛行をする契約をしました。2010年にはデモ飛行の打ち上げを行い、軌道に乗っている宇宙機を回収することに成功。これは民間企業として初めてのことで、まさに快挙と言える出来事でした。この成功をきっかけに、その後もNASAとドラゴン宇宙船の開発やデモ飛行を行う宇宙飛行士養成プログラムの契約をして実績を伸ばします。2015年には衛星打ち上げロケットを垂直着陸させ世界中を驚かせました。PayPalに続きスペースXでも成果を残したことで、マスクの名声はさらに高まり「世界最高の起業家の一人」と言われるようになります。

スペースXのCEOとして事業を行いつつも、電気自動車会社である「テスラ・モーターズ」(通称:ステラ)へ投資もしており、2008年にはステラの会長兼CEOにもなります。彼が関わるようになると世間から大きく注目され、テスラが販売した「テスラ・ロードスター」や「モデルS」は、テスラファンから熱烈な支持を集めています。

マスクは複数の有力企業を経営するだけでなく、次なる構想も打ち出しました。その構想とは「ハイパーループ」と呼ばれる次世代の交通システムです。彼がこの構想を考えたのは、「サンフランシスコとロサンゼルスを結ぶカリフォルニア高速鉄道の計画はコストが高すぎて実用的でない」と結論付けたからでした。マスクは自身が経営しているテスラとスペースXの社員からアイデアを募り、最終的にハイパーループ構想を作り上げたのです。

その後も、学生時代に語っていたインターネットやクリーン・エネルギー、宇宙の分野で多くの企業を立上げ、現在は「火星に都市を建設する」ことを目標に、今もなお第一線で活躍しています。

<「世界一の起業家」の派手なプライベート>

マスクは複数の企業を経営するなどハードワーカーとして知られていますが、プライベートも派手な人物として有名です。作家をしているクイーンズ大学の同級生と2000年に結婚。最初の子どもは双子、その次に三つ子が生まれ子宝を授かりますが、2008年には離婚することとなりました。
その後は2010年に女優のタルラ・ライリーと再婚しますが、2012年にまたしても離婚。翌年にライリーと復縁しますが2016年に再び離婚してしまいました。
離婚直後の2016年には、俳優のジョニー・デップと離婚申請をしていたアンバー・ハードとの噂がスクープされますが2017年になると交際を認めました。多くの有力企業のトップを勤めながらも、プライベートでも結婚と離婚を繰り返すマスクの派手な生活にも注目が集まっています。

また、彼は問題発言が原因でソーシャルメディアを炎上させることでも有名です。2018年のエイプリルフールには、「テスラが破綻した」と冗談のツイートをしたことで株価が大幅に下落しました。
同じく2018年にタイのチエンラーイでサッカーチームのコーチと子どもたちが洞窟に閉じ込められたときは、小型潜水艇を製作し提供することを申し出たことで世界中から称賛されます。しかし、それを現場にいるダイバーなどから「知識を伴わない単なるPR活動」などと非難されたため、これに反論する形で「この小児性愛者には悪いが、あなたが自ら招いたことだ」と悪態をついてしまい世界中から批判されることとなりました。このときも彼の言動が原因となり、テスラの株価が下落。他にもいくつか問題発言や問題行動で世間を騒がせており、しばしば企業経営に悪影響を与えています。

<今後も目が離せない努力家、イーロン・マスク>

今回はイーロン・マスクについて紹介していきました。マスクはいくつもの会社を起業・経営し、その全てが成功を収めた人物といっても過言ではないでしょう。その実績から2016年には有名雑誌フォーブス誌にて「世界で最も影響力のある人物ランキング」から21位に選ばれ、2020年には「世界一の富豪」にもなりました。たびたびトラブルを起こすことはあるものの、卓越した起業家・経営者として今後も目が離せません。

参考サイト:Wikipedia イーロン・マスク

※本記事はコロナウイルス感染症拡大より以前に執筆・掲載された記事です。

関連記事一覧