メキシコシティ(メキシコ):メキシコを代表する画家、フリーダ・カーロのふるさと

「フリーダ・カーロ」はメキシコの現代芸術を代表する画家の一人です。幼い頃から写真家の父親の影響を受けて育ったという彼女の人生は壮絶であり、数々の苦難や葛藤を作品に描き出したフリーダ・カーロの名作は、現在も高い評価を集め続けています。「メキシコシティ」はそんな彼女のふるさとであり、長い時間を過ごしたメキシコの首都。歴史に残る偉大な画家フリーダ・カーロと、彼女の故郷メキシコシティの魅力をお伝えしていきます。

メキシコを代表する画家「フリーダ・カーロ」

本名「マグダレーナ・カルメン・フリーダ・カーロ・イ・カルデロン(Magdalena Carmen Frida Kahlo y Calderón)」、通称「フリーダ・カーロ」は、メキシコの現代芸術を語るうえでは外すことのできない存在です。19世紀〜20世紀に発生したペルーの文化的復権を求める社会運動「インディへニスモ(Indigenismo)」を代表する画家の一人でもあります。独特の世界観に心の葛藤を巧みに表現した描写は、一度見たら忘れられないものばかりです。

1907年、メキシコシティ近郊のコヨアカンに誕生したフリーダ・カーロ。その父親はメキシコ初の公式写真家としての地位を確立した人物でした。幼い頃に病気を患ったフリーダ・カーロは、そのリハビリとして父親とハイキングに出かけ、写真や水彩画の基礎を習ったといいます。このときの経験が、彼女の作品に大きな影響を及ぼしたことは間違いないでしょう。また、1925年に遭遇した交通事故では、入院中の退屈を紛らわすために絵画に没頭した経験も飛躍に繋がりました。その後1940年代にはメキシコ国内でも著名な画家となったのです。

(Public Domain /‘Block Kahlo Rivera 1932’ by Carl Van Vechten. Image via WIKIMEDIA COMMONS)

残した作品数はおよそ200点。その多くは自画像であるといいます。「ちょっとした刺し傷」は1935年に制作された、フリーダ・カーロの代表作のひとつです。夫であったリベラが妹と関係を持ったことによる心の葛藤を表現した作品。独特の引き込まれるような描写はほかで目にすることはできません。「モーゼ、あるいは、創造の核」は1945年に制作された作品です。当時の絵画賞を受賞したという作品は、妖艶な魅力を放っています。多くの功績を残した画家フリーダ・カーロ、その原点は故郷メキシコシティにありました。

フリーダ・カーロのふるさと「メキシコシティ」

「メキシコシティ(Ciudad de México)」はメキシコ合衆国の首都であり最大の街。ラテンアメリカの経済の中心を担う街でもあります。かつて同じ場所に栄えたアステカ王国の首都であった「テノチティトラン(Tenochtitlan)」は、メキシコシティとほぼ同義です。温暖な気候と四方を山に囲まれた盆地形状は、街の持つ大きな特徴のひとつです。

13世紀末に現在の土地にやってきたアステカ人。アステカ人が築いたテノチティトランの街は、1519年にやってきたスペインの「エルナン・コルテス(Hernán Cortés)」によって征服されました。かつての街は破壊され、上部には新たな街が建造。この街が、現在のメキシコシティです。今の街並みは高層ビルが並ぶ中心街が目を引く一方で、長い歴史を誇るさまざまな建造物も林立。新旧が混在した街並みも、メキシコシティの魅力といえます。

メキシコシティの見所

世界でも屈指の街並みを形成しているメキシコシティ。高度に発展を重ねた中心街にも、魅力があることは確かでしょう。しかし、やはり魅力が勝るのは長い歴史を刻んできた地区ではないでしょうか。メキシコシティの街はユネスコ世界遺産にも認定されています。「歴史地区」やかつての水上都市の姿を残した「ソチミルコ」、神秘の遺跡「テオティワカン遺跡」も見逃せません。また、フリーダ・カーロの生家も現在は美術館として開放されています。街の魅力を堪能できる、メキシコシティの見所をご紹介していきます。

ユネスコ世界遺産認定「メキシコシティ歴史地区」

1987年にユネスコ世界遺産に認定された「メキシコシティ歴史地区とソチミルコ(Historic Centre of Mexico City and Xochimilco)」。「ソカロ(Zocalo)」はその中心にある世界最大規模の広場です。現在のメキシコシティを支える重要機関が立ち並ぶほか、スペイン植民地時代の建造物も多く軒を連ねています。周囲を見渡せば、その光景は壮観でしょう。

「国立宮殿(Palacio Nacional)」は、アステカ帝国を征服したスペイン人、エルナン・コルテスが自身の宮殿として建造したものです。ソカロの東一帯を占める巨大な建造物で、横に広がったそのスケールは圧倒的といえます。正面階段1階から2階にかけて描かれた、メキシコの画家「ディエゴ・リベラ(Diego Rivera)」による壁画「メキシコの歴史」は国立宮殿のハイライトです。アステカ王国の誕生からを描いた大作は見逃せないでしょう。

「メトロポリタン大聖堂(Catedral Metropolitana de la Ciudad de México)」は、1813年に完成を迎えた、壮麗かつ重厚な佇まいを披露する大聖堂です。完成までにおよそ250年を要したという建物には、ゴシックやルネサンス、バロックなど、さまざまな建築様式が混在しています。アメリカ大陸で最大のキリスト教の大聖堂でもあります。2本の塔が統べる存在感は見ものでしょう。有料のガイドツアーに参加すれば、鐘楼に登ることも可能。ぜひ参加してみてはいかがでしょうか。

かつて栄えた水上都市、世界遺産「ソチミルコ」

「ソチミルコ(Xochimilco)」は、運河が張り巡ったかつての水上都市です。現在はメキシコシティの歴史地区と同じく、ユネスコ世界遺産に認定されています。位置するのは、メキシコシティの中心地から南へおよそ28kmの地点。中心街の街並みとはガラッと異なるソチミルコの姿は、時間をかけて訪れてでも見る価値は十分にあります。メキシコシティに16ある行政区のうちのひとつでもあります。かつてのソチミルコ湖が形成した大量の運河は強く印象に残ります。

古くの伝統を今なお受け継ぐソチミルコ。子舟「トラヒノラ」が往来する光景は、メキシコのほかの地区で目にするものとは異なります。鮮やかな赤色や黄色、水色で彩られたトラヒノラは、かつては重要な交通手段として、現在は貴重な観光資源としての役割を果たしています。また、わずかに残ったソチミルコ湖には、絶滅危惧種「メキシコサラマンダー(Ambystoma mexicanum)」が生息。豊かな自然もソチミルコの魅力でしょう。

神々の都市「テオティワカン遺跡」

「テオティワカン遺跡(Teotihuacan)」は「神々の都市」を意味するメキシコシティ近郊の見所です。中心地から北東へおよそ50km。紀元前2世紀〜6世紀にかけて栄えた、テオティワカン文明の中心地といわれています。1987年には「古代都市テオティワカン(Pre-Hispanic City of Teotihuacan)」の名称でユネスコ世界遺産に認定。ラテンアメリカで最大といわれる遺跡の敷地内には、さまざまな建造物が当時の姿そのままに大切に保存されています。

「太陽のピラミッド」と「月のピラミッド」は、テオティワカン遺跡で最大の見所です。とりわけ太陽のピラミッドの高さは65mと高く、ピラミッドとしては世界第3の規模を誇っています。月のピラミッドの高さは47m。どちらのピラミッドも登ることが可能です。山々に囲まれた遺跡を上部から眺めれば、その対称的な美しさに気付くでしょう。中央を貫く南北4km幅45mの「死者の道」を歩けば、古代文明の風を感じることができるはずです。

壮麗な博物館とフリーダ・カーロの生家、名物のケサディーヤにぜひ挑戦を!

「チャプルテペック城(Castillo De Chapultepec)」はスペイン総督の別荘地としての役割を果たしていたお城です。大統領の公邸として使用されていた歴史も持ち、1944年からは国立歴史博物館としての役割を担っています。1996年に公開されたレオナルド・ディカプリオ主演の映画「ロミオ+ジュリエット(Romeo + Juliet)」の撮影現場としても使用されました。見事な彫刻や装飾、壁面のステンドグラスは、見るものの心を奪っていきます。

「フリーダ・カーロ美術館(Museo Frida Kahlo)」は、鮮やかな青色が印象的な、画家フリーダ・カーロのための美術館です。1907年に彼女の父親によって建てられた可愛らしい印象の家には、フリーダ・カーロの作品展示やアトリエの再現がされており、当時の生活を想起することができるでしょう。メキシコを代表する画家フリーダ・カーロ。彼女が生まれ、育ち、亡くなった場所です。その軌跡を体感するのにこれ以上の場所はないでしょう。

メキシコといえば「タコス(Taco)」が有名。「トルティーヤ(Tortilla)」と呼ばれるトウモロコシをすりつぶしたペーストを薄く伸ばして焼いた生地に、さまざまな具材を包んで食べる名物です。「ケサディーヤ(Quesadilla)」は、そんなタコスをアレンジしたファストフードです。たっぷりのチーズをトルティーヤに挟んで鉄板でこんがり焼き上げたもの。濃厚でとろけるチーズはクセになる美味しさです。野菜と合わせるのもアリですね。

ラテンアメリカを代表する街、メキシコシティをぜひ訪れて

メキシコを代表する画家フリーダ・カーロ。そのふるさとであるメキシコシティの魅力をご紹介してきました。高度に発展した街並みは世界でも屈指。一方で、色濃く残った歴史の名残も、街を彩る魅力のひとつです。ユネスコ世界遺産に認定された歴史地区、その中心にある広場ソカロや水上都市ソチミルコ、古代文明の名残たるテオティワカン遺跡で、歴史の流れを感じてみるのもよいでしょう。多種多様な見所が、あなたを待ち受けています。

「メキシコシティ国際空港(Aeropuerto Internacional de la Ciudad de México)」は、メキシコシティの玄関口です。中心地からの距離はおよそ8km。メキシコ最大級の空港であり、24時間営業をしていることでも有名です。また、標高2,230mと世界的にも高所に位置する空港といわれています。市街に近いため、着陸のシーンはスリリングな一時になるのだとか。鮮やかな名所を備えたメキシコシティ、次回の旅ではその魅力に浸ってみてください。

※本記事はコロナウイルス感染症拡大より以前に執筆・掲載された記事です。

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