ニュルンベルク(ドイツ):ルネサンスの画家、デューラーが生まれた街

ドイツ出身の「デューラー」はルネサンスを代表する画家の一人。多くの自画像を残した彼が手がけた作品の数々は、数百年のときを経た現在でも変わらない輝きを放っています。「騎士と死と悪魔」などの版画作品の素晴らしさも、折り紙付きでしょう。そんなデューラーが生まれた街が、ドイツ南部に位置する「ニュルンベルク」でしょう。今なお高い評価を集める画家デューラーと、彼の生まれた街ニュルンベルクの魅力をお伝えしていきます。

ルネサンスを代表する画家「デューラー」

(Public Domain /‘Self-portrait’ by Albrecht Dürer. Image via WIKIMEDIA COMMONS)

「アルブレヒト・デューラー(Albrecht Dürer)」は14世紀のイタリアから始まった文化運動「ルネサンス(Renaissance)」を代表する画家です。ドイツのニュルンベルクに1471年に誕生。父親は金銀細工師として成功を収めていた人物といわれています。デューラーは多くの自画像を残している画家としても有名です。その生涯も豊富に文書化されており、多くの情報が残されています。1484年に画家としての修行を開始し、20代前半にはすでに高い知名度を誇っていました。絵画を描く手先の器用さは、父親譲りだったのでしょうか。

短期間のイタリア滞在を経たのち、デューラーは故郷ニュルンベルクに自身の作業場を建造しました。以降多くの名作を生み出し続けたデューラーは、ヨーロッパの主要な芸術の中心地での地位を確立。再度のイタリア滞在を経たのち、晩年の多くは故郷であるニュルンベルクで過ごしたといいます。また、1520年頃にはネーデルランドにも滞在したのだとか。

(Public Domain /‘Adam and Eve’ by Albrecht Dürer. Image via WIKIMEDIA COMMONS)

「アダムとイヴ(Adam and Eve)」は、1507年に制作されたデューラーの代表作のひとつです。黒一色に埋め尽くされた背景に、浮かび上がるように描かれたアダムとイヴ。2枚で一対となる作品の写実的な描写には息を飲みます。「騎士と死と悪魔(Knight, Death and The Devil)」は、1513年に制作された銅版画です。堂々たる騎士と悪魔、そして死の姿を表現した傑作は、芸術作品のひとつの頂点でしょう。歴史に名を刻んだ画家、デューラー。彼の豊か過ぎるまでの感性の源泉は、故郷であるニュルンベルクの街にあったのでしょう。

デューラーが生まれた街「ニュルンベルク」

「ニュルンベルク(Nürnberg)」は、ドイツ南部、バイエルン州に属する街です。州第2の規模を誇る著名な街で、街は市内を東西に貫くペグニッツ川の両岸に建造されています。穏やかな気候で、観光に適していることもニュルンベルクの特徴でしょう。旧市街を囲むように残された中世の城壁も、街の個性を彩る魅力のひとつ。散策すれば心は自然と踊ります。

現在のニュルンベルクの始まりは、1000年〜1400年にかけてのことです。街道が交わる場所に徐々に街が建造された結果、現在のニュルンベルクの街が建造されました。中世以降は貿易都市としての地位を確立。革新的な発展を遂げてきました。また、歴代の神聖ローマ皇帝に気に入られることも多く、街にはすべての皇帝が一度は居城したというお城が残されています。1835年に、ドイツ初の鉄道が通った街でもあります。ニュルンベルクの見所は多様です。

ニュルンベルクの見所

ドイツ南部で大きな存在感を放つ街、ニュルンベルクには、魅力的なスポットが豊富にあります。壮麗な佇まいを披露する「聖ローレンツ教会」や、歴代のローマ皇帝が居城とした「ニュルンベルク城」、おもちゃの街ともいわれる街を代表するスポット「おもちゃ博物館」などがその代表でしょう。街の中心「ハウプト広場」と、周辺の歴史的な建造物、名物の「ニュルンベルク・ソーセージ」も必食です。それでは、ニュルンベルクの見所をご紹介します。

直径9mものバラ窓が壮麗な「聖ローレンツ教会」

「聖ローレンツ教会(Sankt Lorenz Kirche)」は、15世紀までに建造された街のシンボルたる教会です。ニュルンベルク最大の教会としても注目を集めています。ゴシック様式で建造された左右対称の2本の塔と、直径9mに及ぶ巨大なバラ窓は壮麗そのもの。正面玄関に施された細かな装飾や彫刻の数々には、息を飲みます。世界大戦の影響で大部分が損傷、戦後に修復されたという教会は、堂々たる佇まい。色褪せた外壁が、歴史の重みを雄弁に語ります。

アーチ天井が開放的な空間を演出する教会内部。中でも見所は、天蓋から吊るされた「受胎告知」のレリーフです。彫刻家「ファイト・シュトス」が手がけたレリーフは、優雅な色使いと滑らかな質感が特徴。背後に配されたステンドグラスが、神秘的な印象を与えます。また、横に設置された高さ19mの「聖体安置塔」にも注目必至。生きているかのような躍動を感じる詳細な細工は、見るものを魅了します。ぜひ併せて見てみてください。

神聖ローマ帝国皇帝のかつての居城「ニュルンベルク城」

「ニュルンベルク城(Nuremberg Castle)」は「カイザーブルク(Kaiserburg)」と「ブルクグラーフェンブルク(Burggrafenburg)」の2つの城から構成される建造物です。1050年に建造、11世紀半ばには改修がおこなわれ、現在の姿になりました。ニュルンベルク城は1050年〜1571年にかけて、神聖ローマ帝国のすべての皇帝が居城した場所として有名です。建造物としても、歴史的に見ても、非常に価値ある街のランドマークといえます。

坂道の上、高台に建造されたニュルンベルク城。その内部には1200年頃に建造された礼拝堂が残されています。ロマネスク様式の礼拝堂は、歴史の歩みを感じる重厚な佇まい。上下の構造が同じ造りの「二重構造」が特徴的な礼拝堂は、ニュルンベルク城の中でもひときわ重要な場所といわれています。ガイドツアーで見ることができる、深さ50mにもなる井戸も必見でしょう。敷地内にある「ジンヴェル塔」の頂上からは、ニュルンベルク城の全景はもちろん、ニュルンベルクの街並みが一望できます。印象深い時間をお過ごしください。

おもちゃの街の「おもちゃ博物館」

「ニュルンベルク国際玩具見本市(Spielwarenmesse International Toy Fair Nürnberg)」は、1950年から開催されているおもちゃの見本市です。その長きに渡る歴史から、ニュルンベルクは「おもちゃの街」と形容されています。「おもちゃ博物館(Spielzeug Museum)」はそんなこの街を代表する見所。ブリキや人形のコレクションのほか、木工細工のくるみ割り人形やミニチュアのドールハウスなど、さまざまなおもちゃが一堂に勢揃いしています。

ドールハウスの装飾に使用されているティーカップやポット、机や椅子に至るまで、その芸の細かさには目を見張るでしょう。まるで本物かのように精巧に作られたおもちゃの数々は、何時間でも眺めることができてしまいます。また、鉄道や飛行機、車や船などの模型も充実。子供だけではなく、大人も童心に帰って楽しめる。おもちゃ博物館はそんな場所です。一度訪れれば、忘れていたあの頃のワクワクを思い出すことができますよ。

街の中心ハウプト広場とデューラーハウス、名物のニュルンベルクソーセージを堪能!

「ハウプト広場(Hauptmarkt)」は、ニュルンベルクの街の中心地。特に、華やかなクリスマスマーケットで有名な場所です。中央には金色の装飾が鮮やかな「美しの泉(Schoner Brunnen)」が鎮座。周辺には、高さ40mを誇る尖塔を備えた「市庁舎」や、ゴシック様式が目を引く「フラウエン教会(Frauenkirche)」が軒を連ねています。中でもフラウエン教会に設置された仕掛け時計は必見。12時に作動するチャーミングな仕掛けは見逃せません。

「デューラーハウス(Albrecht Durer House)」は、ニュルンベルク出身のアルブレヒト・デューラーが晩年を過ごした家を、博物館として開放した建物です。赤と白、ピンクの外壁が織りなす雰囲気は、どことなく可愛らしさを含んでいます。当時の生活の様子を再現した内部は玄関や寝室、仕事場にギャラリーと多岐にわたります。デューラーの作品の複製も展示されており、独特の世界観に浸ることができるでしょう。ぜひ訪れてみてください。

ドイツといえば、大ぶりなソーセージが代名詞。地ビールとの組み合わせは間違いないでしょう。「ニュルンベルク・ソーセージ(Nürnberger Bratwurst)」は、その印象を覆す小ぶりなサイズのソーセージです。しかし、その歴史は14世紀からと非常に長く、香草を使った香りが食欲を刺激するのだとか!さまざまなお店をはしごして、食べ比べをしてみるのもよいでしょう。人気のビール「トゥーハー(Tucher)」と合わせてぜひどうぞ。

ローマ皇帝のお気に入り、多様な見所が溢れる街ニュルンベルク

ルネサンスを代表する画家デューラー。彼の出身地であるニュルンベルクの魅力を、詳しくご紹介してきました。街のシンボルたる聖ローレンツ教会や、歴代の神聖ローマ皇帝が居城としたニュルンベルク城、おもちゃの街の代名詞であるおもちゃ博物館まで、バリエーション豊かな見所が溢れていました。中世の雰囲気、石畳が広がるニュルンベルクの街並み自体も、主要な見所のひとつでしょう。飽きることなく滞在を謳歌することができます。

ニュルンベルク近郊には「ニュルンベルク空港(Flughafen Nürnberg)」があります。旅の目的地としても、設定しやすい土地柄といえるでしょう。また、ドイツ南西部に位置する主要都市「フランクフルト(Frankfurt)」からは、電車でおよそ2時間の距離です。さまざまな街を巡る途中に立ち寄ってみるのもよいでしょう。魅了される人が後を絶たない街、ニュルンベルク。あなたもぜひ、次回の旅でその魅力にはまってみてはいかがでしょうか?

※本記事はコロナウイルス感染症拡大より以前に執筆・掲載された記事です。

関連記事一覧