リーズ(イギリス):現代美術家、ダミアン・ハーストが芸術を学んだ街

「ダミアン・ハースト」は、現代のイギリスを代表する美術家の一人。動物をホルムアルデヒドに漬けた作品「ナチュラル・ヒストリー」は、彼の作品の代名詞です。多くの議論の的にもなった、非常に有名な作品といえるでしょう。そんなダミアン・ハーストが芸術を学んだ街が、イングランド北部の「リーズ」です。羊毛産業で発展を重ね、現在は金融と文化の中心的な役割を担う文化都市。ダミアン・ハーストとリーズの魅力を、お伝えしていきます。

イギリスを代表する現代美術家「ダミアン・ハースト」

「ダミアン・ハースト(Damien Hirst)」は、現代美術を牽引する存在です。若手の頃は、「ヤング・ブリティッシュ・アーティスト(Young British Artists)」とも呼ばれ、芸術活動を行いました。1965年生まれ、イギリスのブリストル出身の彼は、「リーズ・アーツ大学(Leeds Arts University)」で芸術の基礎を、「ロンドン大学(University of London)」でさらなる芸術の学びを深めました。1991年には初の個展を開催。当時から作品は注目を集めていたのです。

芸術といえば絵画や彫刻を連想する人が多いかと思いますが、ダミアン・ハーストの代名詞といえば、動物を使用した作品の数々です。本物の動物を使用することで表現される芸術性は、深淵そのもの。生死の尊さを深く問いかけるような作品の多くは、議論の的になることもしばしば。現在では、イギリスで最も重要な芸術家の一人とも称されるダミアン・ハースト。その芸術性と話題性は、現在においても大きく変わることはないでしょう。

「ナチュラル・ヒストリー(Natural History)」と題される、動物をホルムアルデヒドで保存した作品は、ダミアン・ハーストの代名詞。「生者の心における死の物理的な不可能性(The Physical Impossibility of Death in the Mind of Someone Living)」は、1991年に制作された、彼の代表作品です。ガラス容器にたっぷりと入れられたホルムアルデヒドと、空間に浮遊するように配されたイタチザメが放つ存在感は圧倒的。イギリスを代表する芸術家、ダミアン・ハースト。彼の芸術性の原点となったのは、間違いなくリーズの街でしょう。

ダミアン・ハーストが芸術を学んだ街「リーズ」

イングランド北部に位置する広大な地、「ヨークシャー(Yorkshire)」。その一角にある街が「リーズ(Leeds)」です。中世には農業で栄え、14世紀以降は羊毛産業で発展を重ねてきた一大都市。商業都市としての側面を見せる一方で、郊外にはヨークシャーの豊かな自然と牧草地が広がっています。街としての2面性も、リーズの魅力のひとつでしょう。

羊毛産業での発展のほか、流通の拠点としても地位を確立してきたリーズ。1816年には運河が建造され、1848年には鉄道も開通、街の繁栄を加速させていきました。18世紀中盤〜19世紀にかけての産業革命時代での大規模な発展も、リーズを語る上では外せません。「北の首都」とも呼ばれるリーズは、金融や観光分野での存在感も放っています。大学も2つあるため、活気も豊か。近年注目を集めるリーズの街は、現在も革新を続けているのです。

リーズの見所

イングランド北部、ヨークシャー地方の中でもひときわの存在感を放つリーズには、魅力的な見所が豊富にあります。豪華絢爛な邸宅「ヘアウッド・ハウス」や、神秘的な雰囲気をまとった「カークストール修道院」、1822年からの長い歴史を誇る「カーク・ゲート・マーケット」など、見所が尽きることはありません。世界のさまざまな武器や防具が展示された、「王立武具博物館」も見逃せないでしょう。それではリーズの見所を、ご紹介していきます。

豪華絢爛な邸宅「ヘアウッド・ハウス」

「ヘアウッド・ハウス(Harewood House)」は1759年に建造を開始、1771年に完成した貴族の邸宅です。美しく整備された邸宅は豪華絢爛。見た目から上品さと洗練された雰囲気が漂う、リーズの見所の筆頭です。位置するのは、リーズの中心から車でおよそ30分の距離。鮮やかな緑が周辺を取り囲むヘアウッドハウスは、春〜秋にかけて一般に公開されています。訪れる前に日程の確認は必須でしょう。豪華な内装や芸術品のコレクションは見逃せません。

初代ヘアウッド男爵位を受けた「エドウィン・ラッセルズ」が、お祝いとして建造したというヘアウッドハウス。現在は8代目にあたるヘアウッド伯爵が住んでいます。内部では17世紀のスペインの皮を壁紙に使用した「スパニッシュ・ルーム」や、豪奢な装飾と絵画が展示された「ザ・ギャラリー」などが見所でしょう。また、バルコニーから目にすることができる左右対称の庭園も必見です。贅沢で豪華な時間を、ぜひともお過ごしください。

廃墟となったかつての修道院「カークストール修道院」

「カークストール修道院(Kirkstall Abbey)」は、1152年に建造を開始、1182年に完成した修道院。1539年の解散法によって解散され、現在は廃墟となっています。シンプルながらも重厚感を残した修道院は、ロマネスク様式。かつてのシトー派の修道院は、現在も神秘的な存在感を醸し出しています。その印象的な見た目と雰囲気から、絵画の題材としても多用されているのだとか。ひっそりと佇む修道院は、確かに圧倒的な神秘性を備えています。

周辺には自然も多く残されているため、ゆっくりと穏やかな時間を過ごすことができるでしょう、建物の天井こそないものの、当時の状況を想起するに十分な建物の姿は残されています。また、敷地内には博物館も併設されており、当時の資料や情報を目にすることもできるでしょう。まるでタイムスリップしたかのような錯覚を起こすこと、間違いなしです。リーズの街で神秘的かつ穏やかな時間を過ごすなら、ぜひ足を運んでみてください。

リーズの街を彩る「カーク・ゲート・マーケット」

「カーク・ゲート・マーケット(Kirkgate Market)」は、1822年からの歴史を誇る屋内マーケット。建造当初は屋外マーケットでしたが、1857年に現在の場所へ移転。屋内マーケットとして、その規模を拡大してきました。1975年には火災により大部分を焼失するものの、現在は見事な復興を遂げています。およそ800ものお店が軒を連ねるマーケット内部は、散策して眺めるだけでも楽しむことができるでしょう。お店の種類は多種多様です。

カーク・ゲート・マーケットは、観光に訪れた人々はもちろん、地元の人たちにも屈指の人気スポットです。また、イギリスに300店舗ある小売店「マークス&スペンサー(Marks & Spencer)」が1884年に開業した場所としても、その名を馳せています。食べ物はもちろん、衣類や雑貨など、華やかで鮮やかな商品の陳列には目を奪われるでしょう。リーズのお土産を探すにも最適の場所です。旅の思い出を選ぶのに、これ以上の場所はないといえます。

武器と防具の競演と美しいショッピングモール、地産のビールも見逃せない!

「王立武具博物館(Royal Armouries)」は、世界の武器や防具を一堂に集めた貴重な施設。その所蔵作品の総数は75,000点ともいわれています。「ホール・オブ・スティール(Hall of Steel)」は、およそ2,500点の武器や防具を1部屋に展示した博物館のハイライト。見上げるように眺める所蔵品の数々は必見でしょう。また、16世紀の象用の全身鎧も見逃せません。歴史を飾ったさまざまな武器や防具の競演。リーズの中でもオススメの場所です。

「穀物取引所」は1864年に建造された、かつての商業の中心地です。特に農産物取引の中心地として、その役割を果たしてきました。1980年代からは、ショッピングモールとしての役割を担っています。滑らかな曲線が美しい穀物取引所内部は、見事なシンメトリーです。横に並んだアーチの上部にはショップのロゴが掲げられ、個性的なお店の数々が軒を連ねています。ショッピングを楽しみながら、建物自体も楽しむことができるはずですよ。

旅の醍醐味のひとつに、土地の「食」を楽しむことが挙げられるでしょう。リーズでは、地産のビールを楽しむことを推奨します。「リーズ・ブリュワリー(Leeds Brewery)」は、2007年に開業したビール醸造所。個性豊か、かつ華やかなビールの味わいに虜になるはずです。「ザ・ブリュワリー・タップ(The Brewery Tap)」は、リーズ・ブリュワリーのビールを楽しめる駅近のパブ。地産地消の食事と合わせて、リッチな時間をお過ごしください。

見所豊富なリーズの街、旅の目的地に定めてみては?

イギリスを代表する芸術家、ダミアン・ハースト。彼が芸術の基礎を学んだ街、リーズのさまざまな魅力をご紹介してきました。豪華絢爛な邸宅「ヘアウッド・ハウス」や、神秘的な雰囲気をたたえる「カークストール修道院」など、滞在中に足を運んでみたい場所は豊富です。また、北の首都とも呼ばれるリーズの街並みそのものにも、ぜひ注目をしてもらいたいところ。これまでにない印象的な滞在になることを、お約束出来ますよ。

リーズの玄関口となるのは、「リーズ・ブラッドフォード空港(Leeds Bradford Airport)」です。街の中心地からの距離はおよそ11km。近郊に位置しているため、アクセスも難しくはないでしょう。イングランドの首都であるロンドンからは、電車でおよそ2時間30分ほど。ゆっくりと電車の旅を楽しんでみるのも一興かもしれませんね。イングランド屈指の文化都市、リーズの魅力を知るために、次の旅の目的地に定めてみてはいかがでしょうか?

※本記事はコロナウイルス感染症拡大より以前に執筆・掲載された記事です。

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