アーヘン(ドイツ):近代建築の三大巨匠、ミース・ファン・デル・ローエ誕生の地

「ミース・ファン・デル・ローエ」は、近代建築の三大巨匠と称される偉大な建築家です。1929年におこなわれたバルセロナ国際博覧会のドイツ館「バルセロナ・パビリオン」は、近代主義を代表する建物として、大きな注目を集めました。その功績は計り知れません。そんな彼が誕生した街が、ドイツ西部に位置する「アーヘン」です。壮麗な大聖堂が佇む歴史ある街でもあります。ミース・ファン・デル・ローエとアーヘンの魅力を、詳しくご紹介していきます。

近代建築の三大巨匠「ミース・ファン・デル・ローエ」

(Public Domain /‘Portrait Ludwig Mies van der Rohe, 1934’ by Hugo Erfurth. Image via WIKIMEDIA COMMONS)

「ルートヴィヒ・ミース・ファン・デル・ローエ(Ludwig Mies van der Rohe)」は、ドイツ出身の建築家です。「ル・コルビュジェ(Le Corbusier)」や「フランク・ロイド・ライト(Frank Lloyd Wright)」と比肩する存在として、近代建築の三大巨匠と称されています。「より少ないことはより豊かなこと(Less is More)」を標語に掲げた彼の作品の数々は高い評価を集め、近代主義建築のコンセプト成立に大きな貢献を果たしてきました。

1886年、ドイツ西部のアーヘンに生まれたミース・ファン・デル・ローエ。その父親は石工職に就いていたといいます。大学には通わず、職業訓練学校で製図工を学んだという彼は、卒業後、漆喰装飾のデザイナーとして仕事を開始。1907年、別の事務所で手がけた処女作「リール邸」で高い評価を受け、事務所で製図工としてのキャリアをスタートさせました。1912年には独立を果たし、自身の事務所をオープン。名作の数々を手がけてきました。

1929年におこなわれた、国際博覧会のドイツ館「バルセロナ・パビリオン(Barcelona Pavilion)」は、ミース・ファン・デル・ローエの代表作。鉄とガラス、大理石を用いた建物は、近代主義を実現した建物として、高い評価を集めました。1986年には復元され、現在は彼の記念館としての役割を担っています。当時デザインされた「バルセロナ・チェア(Barcelona Chair)」も、彼の代表作のひとつ。時代を経ても変わらない、普遍的なデザインが魅力でしょう。その豊かな感性の原点は、故郷アーヘンにあるのでしょうか。

ミース・ファン・デル・ローエ誕生の地「アーヘン」

「アーヘン(Aachen)」はドイツ西部に位置するノルトライン=ヴェストファーレン州の街です。ベルギーとオランダの国境に隣接しています。多様な国々の文化を感じることができるのも、アーヘンの特徴でしょう。温泉地として古くからその名前を馳せてきたアーヘン。古代ローマ時代には温泉の保養地として、多くの人々の疲れを癒してきました。情緒溢れる街の佇まいは、唯一無二のものでしょう。穏やかな空気感が、街中を満たしています。

初代ローマ皇帝ともいわれる「カール大帝(Karl der Große)」のお気に入りの地として、「新ローマ」と称されるほどの人気を集めていた街。歴史上30人のローマ皇帝の戴冠式が執りおこなわれた場所でもあります。街中には世界で初めてのユネスコ世界遺産登録物件が現存するなど、世界的に貴重な遺産が残されていることでも有名です。歴史の中の重要な出来事の数々がおこなわれた街アーヘンには、見逃せない名所が溢れています。

アーヘンの見所

ミース・ファン・デル・ローエの革命的な感性。その源泉の一角となったのは、間違いなくアーヘンの佇まいの中にあります。世界で初めてのユネスコ世界遺産登録物件のひとつである「アーヘン大聖堂」や隣接する「宝物館」、豪奢な造りが目を引く「市庁舎」や温泉施設「カルロス・テルメン」など、見所は尽きません。街の歴史を現在に伝える「セントレ・シャルルマーニュ博物館」も注目でしょう。アーヘンの見所を詳しくご紹介します。

ユネスコ世界遺産初の登録物件「アーヘン大聖堂」

アーヘンの街を統べるランドマーク。「アーヘン大聖堂(Aachener Dom)」は、1978年に初めて認定された、ユネスコ世界遺産の登録物件のひとつです。アーヘン大聖堂は「皇帝の大聖堂(Kaiser Dom)」とも呼ばれており、814年に亡くなった初代ローマ皇帝カール大帝が埋葬されていることでも有名です。805年に一旦の完成を見た大聖堂は、プレロマネスク様式。その後、幾度もの増改築を経て、現在の姿にはさまざまな建築様式が混在しています。

936年〜1531年、およそ600年の間には、神聖ローマ帝国の30人の皇帝戴冠式もこのアーヘン大聖堂で執りおこなわれました。歴史上も重要な役割を経てきた大聖堂。その荘厳な姿の核にあるのは「アーヘン宮廷礼拝堂」です。八角形の形をした神秘的な一角。「8」はキリスト教では復活を意味する神聖な数字です。高さ32mに及ぶ礼拝堂には、特別な意味が込められていたのでしょう。天井から吊られた「バルバロッサ・シャンデリア」にも注目です。

「ガラスの礼拝堂」は1355年〜1414年、およそ60年の歳月をかけて建造された、壮麗な大聖堂の見所です。煌めく青と幻想的な光のキャンバスに、あなたも一瞬で魅了されるでしょう。2階部分に置かれた「王の玉座」も見逃せません。また、アーヘン大聖堂の隣には「宝物館」もあります。ヨーロッパ北部の教会の宝物館としては最重要のもののひとつともいわれる場所。玉ねぎ型のアーチを抜けた先に、数々の豪華な展示品が披露されています。中でも、カール大帝の金の胸像は必見。大聖堂と併せて、ぜひ訪れてみてくださいね。

アーヘン大聖堂の向かいに位置する「市庁舎」

「アーヘン市庁舎(Aachener Rathaus)」は、アーヘン大聖堂の広場を挟んで向かい側に位置する建造物。その基礎の部分は800年頃に造られたものだといいます。元々はカール大帝の宮殿としての役割を与えられていた建物。豪華な造りを目にすれば、その事実にも大いに納得することができるでしょう。茶色のレンガと黒色の屋根が荘厳な雰囲気をたたえ、柔らかな印象の尖塔が全体を引き締めています。圧倒的な存在感はさすがでしょう。

アーヘン市庁舎は一般の人でも内部鑑賞することができます。天井のフレスコ画が見事な「議会の間(Rats Saal)」や、白の漆喰に金の装飾が施された「白の間(Weißer Saal)」、赤と緑の壁が印象に残る「赤の間(Roter Saal)」など、見所も豊富です。窓からは向かいに佇む大聖堂の姿を見ることも可能。また、アーヘン市庁舎にはレストランが併設、敷地内に立つ赤色の馬の像は必見です。コック帽をつけた姿は愛らしさ満点ですよ。

アーヘン名物の温泉を満喫するなら!「エリゼンブルネン」と「カルロス・テルメン」

歴史上温泉の名所として名を馳せてきたアーヘン。1827年に完成した「エリーゼンブルネン(Elisenbrunnen)」は、白い宮殿の外観をした、街の見所のひとつです。現存するのは正面玄関だった部分の外壁のみ。しかし、その外壁部分から現在も温泉の源泉が湧き出ています。源泉の温度はおよそ52℃。飲むことはできませんが持ち帰ることは可能です。黄金のライオンの蛇口から流れ出る豊かな源泉。温泉地としての魅力を知るなら外せません。

「カルロス・テルメン(Carolus Thermen)」は現在のアーヘンを代表する温泉施設です。癒しの保養地といってもよいでしょう。34℃〜38℃。少しぬるめの温泉が楽しめるカルロス・テルメンでは、ジェットバスやサウナなど、さまざまなスタイルの過ごしかたを提案しています。散策で疲れた心身を癒すにも最適でしょう。水着着用の混浴温泉。友達や家族で訪れるにもよいでしょう。のんびりと贅沢な時間をお過ごしください。

アーヘンの街の歴史を辿る博物館と名物「アーヘナープリステン」

「セントレ・シャルルマーニュ博物館(Centre Charlemagne)」は、アーヘンの歴史の変遷をさまざまな展示品と共に辿ることができる施設です。ローマ時代から現代まで、多くの皇帝を虜にした街の魅力を知るためには、外すことができない見所でしょう。ガラス張りのモダンな建物にも注目。特に、カール大帝にまつわる品が多数展示されています。

「アーヘナープリンテン(Aachener Printen)」は、スパイスとハチミツをふんだんに使用した、焼き菓子の一種です。噛むほどにじんわりと染みるような味わいは、どこか懐かしさを感じます。アーヘン屈指の老舗「ノービス(Nobis)」は、1858年に創業。アーヘン大聖堂の横に位置しているため、探し出すにも容易でしょう。カフェも併設されているため、大聖堂の見学後に立ち寄ってみるのも一興。街で長年愛される味わいを堪能してみてください。

歴史上も重要な役割を担ってきた街、アーヘンの滞在を満喫

近代建築の三大巨匠ミース・ファン・デル・ローエ。彼が誕生した街、アーヘンの魅力をご紹介してきました。ローマ帝国の歴代皇帝が戴冠式を執りおこなってきた地として、また、ユネスコ世界遺産初の登録物件がある街として、歴史上も重要な役割を担ってきました。アーヘン大聖堂やアーヘン市庁舎、温泉保養地としての魅力も見逃せません。中世の雰囲気が色濃く残る街並みを散策するだけで、立ち上る好奇心を抑えることはできないでしょう。

アーヘンへのアクセスは、ドイツで第4の規模を誇る街「ケルン(Köln)」から電車を利用することが一般的といえます。所要時間にしておよそ35分〜40分、日帰りで訪れることも十分に可能でしょう。アーヘンはベルギーとオランダの国境に位置しているため、各国周遊の旅をしてみるのもよいかもしれませんね。多種多様な魅力が宿るアーヘン。きっとあなたも虜になります。次回の旅の目的地に、アーヘンに定めてみてはいかがでしょうか?

※本記事はコロナウイルス感染症拡大より以前に執筆・掲載された記事です。

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