ボン(ドイツ):ロマン派音楽の先駆け、ベートーヴェンの生まれた街

音楽の歴史を語る上で、避けては通れない偉大な音楽家「ベートーヴェン」。古典派音楽の集大成、ロマン派音楽の先駆け、と称されることもある人物です。難聴でありながらも、歴史に残る作品の数々を生み出し続けた彼の功績は、計り知れません。そんなベートーヴェンが生まれた街が、ドイツ西部に位置する「ボン」です。かつては首都の役割を担っていた重要な街でした。ベートーヴェンとボンの魅力を、余すところなく解説していきます。

ロマン派音楽の先駆け、ドイツの音楽家「ベートーヴェン」

(Public Domain /‘Portrait of Ludwig van Beethoven when composing the Missa Solemnis’ by Joseph Karl Stieler. Image via WIKIMEDIA COMMONS)

「ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(Ludwig van Beethoven)」は1770年生まれ、ドイツの音楽家です。ピアニストとして、作曲家として、音楽史上に残る偉大な人物です。「楽聖」とも呼ばれるベートーヴェンは、後世の音楽家に大きな影響を与えてきました。18世紀〜19世紀の音楽、「古典派音楽」の集大成、「ロマン派音楽」の先駆けともされています。彼の生み出した作品の優雅な旋律に、心奪われた経験がある人も多いでしょう。

父親が宮廷歌手であったというベートーヴェン。1774年からは父親に熱烈なまでの音楽の指導を受けたといいます。16歳のときには母親と死別。家計を支えるためにいくつもの仕事をこなしていました。1792年には音楽の都ウィーンへと移住。ベートーヴェンはそこで、ピアノの即興演奏で名声を獲得しました。20代後半からは難聴に悩み、遺書を書くまでに思い詰めるも復活。1804年からの10年間は多くの作品を生み出し「傑作の森」と称されています。ハンデを抱えながらも、ベートーヴェンは真摯に音楽に向き合いました。

「エリーゼのために(Fur Elise)」は1810年に作曲されたピアノ曲です。演奏時間はおよそ3分。優雅な旋律は、聴く人の心を掴むでしょう。ベートーヴェンの没後40年に発表された、代表作のひとつです。「交響曲第9番(Sinfonie Nr. 9)」は、1824年に作曲された自身最後の交響曲。70分以上に及ぶ最長の交響曲は、独唱と合唱を伴う重厚な作品です。歴史に残る偉大な音楽家ベートーヴェン。そんな彼の生まれた街が、ドイツ西部の「ボン」です。

ベートーヴェンの生まれた街「ボン」

「ボン(Bonn)」はドイツの西部に位置する、ノルトライン=ヴェストファーレン州に属する街。紀元前1世紀にはローマ帝国の駐屯地として、13世紀からはケルンの大司教の居住地としての役割を果たしてきました。また、「ボン大学(Universität Bonn)を擁する学術都市としての地位も確立。現在のボンには、学生をはじめとした多くの人が暮らしています。

ボンはドイツの分断時代、1949年〜1990年の間、西ドイツの首都として機能していました。現在でも首都の機能を分担して担っています。ベートーヴェンの生誕地として有名なほか、同じくドイツを代表する作曲家「シューマン(Schumann)」ゆかりの場所としても有名。長きに渡る歴史を誇るボンは、偉大な音楽家を引き寄せる何かがあるのでしょう。

ボンの見所

かつては西ドイツの首都の役割を担っていたボンの街。雄大なライン川に沿うように佇む街並みには魅力的な見所が点在しています。ベートーヴェンの生まれた場所「ベートーヴェン・ハウス」や、コンクリート造りのモダンな姿が印象的な「ボン美術館」、バロック様式の「ホッペルスドルフ城」などはその代表でしょう。古代からの所蔵品を展示した「ライン州立博物館」や、「ミュンスター教会」も見逃せません。街の見所をご紹介します。

ベートーヴェンにまつわる展示は世界一「ベートーヴェン・ハウス」

「ベートヴェンハウス(Beethoven-Haus)」は、1770年にベートーヴェンが生を受けた場所です。生後数年間、ベートーヴェンはこの場所で過ごしました。1893年から博物館として一般に公開されています。バロック調の石造りの建物は、ピンクの外壁が目を引く鮮やかな姿。音声ガイドも充実しており、さまざまな展示品から偉大な音楽家ベートーヴェンの軌跡を知ることができます。ベートーヴェンにまつわる展示品数は世界一なのだとか。

直筆の楽譜や楽器、ベートーヴェンが初めて人前で演奏を披露したオルガンまで、種類豊富な展示の数々には舌を巻くでしょう。生前のライフマスクや没後のデスマスクなども展示されています。また、3階には有名な肖像画も掲げられています。出生証明書などの珍しい展示品は、ベートーヴェン・ハウスならではの所蔵品といえるでしょう。併設のデジタル・スタジオではかつての住居を見たり、手紙の朗読を聞いたりすることも可能ですよ。

少数の芸術家の作品を集中的に展示した「ボン美術館」

「ボン美術館(Kunstmuseum Bonn)」はコンクリートのモダンな造りが目を引く美術館。ドイツ美術や現代美術を中心に所蔵しています。中でも注目を集めるのは、20世紀初頭に活躍した芸術家「アウグスト・マッケ(August Macke)」の作品です。総数34点にもなるという彼の作品の数々は、対照的な色を活用して感情を豊かに表現したものばかり。ボンに住んでいたこともあるというアウグスト・マッケの作品は、美術館では必見です。

自然に佇むバロック様式の「ホッペルスドルフ城」

「ホッペルスドルフ城(Poppelsdorfer Schloß)」は1715年に建造。後にバロック、ロココを代表する建築家「バルタザール・ノイマン(Balthasar Neumann)」によって改築された、バロック様式の建物です。黄色を基調とした穏やかな外観は、自然の緑と見事に調和。現在はボン大学が管理する鉱石博物館としての役割を果たしています。豊かな自然の中、散策がてら訪れてみるのもよいでしょう。黒色の屋根も目を引く特徴的な形です。

ホッペルスドルフ城に併設された庭園も、1818年からボン大学の植物園として管理されています。植物園で育てられている植物の総数はなんと9,500種類以上。中でも注目したいのは、巨大なスマトラオオコンニャクの木でしょう。数年に一度しか花を咲かせない貴重な植物。ボンでリラックスした時間を過ごすなら、この植物園が一番のオススメですよ。

古代からの歴史を知る博物館と美しい教会、歴史あるお城で贅沢な食事を!

「ライン州立博物館(Rheinisches Landesmuseum Bonn)」は原始時代〜現代までの品々を展示した博物館です。敷地面積3,500平方メートル。所蔵作品の総数は数千点を超えています。古代の墓碑やローマ帝国時代の金の財宝など、注目すべき所蔵品の数々は必見でしょう。ネアンデルタール人の頭蓋骨はとりわけの注目を集める展示品。蝋を使用した復元像も有名です。はるかに長い歴史の旅へ、飛び込んでみては?

「ミュンスター教会(Bonner Münster)」は11世紀〜13世紀に建造された教会です。ロマネスク様式からゴシック様式への過渡期に建造されたため、建物にはそれぞれの特徴が混在。中央に佇む八角系の尖塔が特徴的な佇まいです。内部には16世紀の家具やインテリアが設置され、モノクロのステンドグラスが落ち着いた印象を加速させます。白を基調とした本堂部分が生み出す雰囲気は荘厳です。静寂の中、穏やかな時間をお過ごしください。

「ゴーデスベルク城(Godesberg)」は722年に建造された、歴史深い建物。1859年にホテルレストランに売却され、現在はレストランとして営業をおこなっています。テラス席も完備されており、雄大なライン川を望みながら贅沢な食事を楽しむことができます。広大な山々の緑を眺めながら、絶品のイタリアンに舌鼓を打ってみてはいかがでしょうか。

音楽家を引き寄せる魅力の街、ボンで滞在を満喫

音楽史に残る偉大な作曲家、ベートーヴェンが生まれた街ボンの魅力を紹介してきました。かつての西ドイツの首都であり、現在もその役割を分担するボンは、ドイツの中でもひときわの存在感を放っています。「ベートーヴェン・ハウス」や「ボン美術館」、「ホッペルスドルフ城」など、価値ある見所は滞在を彩る鮮やかな名所でしょう。自然と見事に調和した街並みを散策するだけでも、充実した時間を過ごすことができるはずです。

「ケルン・ボン空港(Flughafen Köln/Bonn)」は、ボンの中心地から北東におよそ16kmに位置する、空の玄関口です。近郊に位置するドイツ第4の街「ケルン(Köln)」へのアクセスもよく、まとめて訪れることも可能でしょう。脈々と流れるライン川を望みながら、美しい街並みを満喫。次回の旅はドイツ西部の街、ボンを訪れてみてはいかがでしょうか?

※本記事はコロナウイルス感染症拡大より以前に執筆・掲載された記事です。

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