サン=ジェルマン=アン=レー(フランス):歴史的な作曲家、ドビュッシー誕生の街

フランス出身の作曲家「ドビュッシー」。伝統から外れた和声法を用いて、数々の名曲を生み出してきた歴史的な人物です。初期のピアノ曲である「2つのアラベスク」など、現在も語り継がれる名曲の数々は、人々の心を掴んで離しません。そんなドビュッシーが誕生した街が、フランスの首都パリ郊外に位置する「サン=ジェルマン=アン=レー」です。作曲家ドビュッシーと故郷サン=ジェルマン=アン=レーの魅力を、ご紹介します。

歴史に残る作曲家「ドビュッシー」

「クロード・アシル・ドビュッシー(Claude Achille Debussy)」は1862年生まれ、フランスの作曲家です。独自の和声法を用いた曲の数々は、それまでの伝統から外れたオリジナリティ溢れる作品ばかり。19世紀後半〜20世紀初頭にかけて、最も大きな影響力を有していた人物です。ジャズやポップスなどの音楽への影響も色濃いでしょう。ドビュッシーの音楽は印象主義に分類されています。しかし本人は否定し、象徴派を標榜していたといわれています。

5人兄弟の長男として、パリ郊外のサン=ジェルマン=アン=レーに誕生したドビュッシー。1870年にはカンヌでピアノを習い始めました。このときの経験は、彼の音楽に大きな影響を及ぼしているといいます。1871年には基礎的な音楽の勉強を始め、3年間ほどはピアノの手ほどきを受けていました。このときからすでにその才能を見出されていたといいます。10歳のときにパリの音楽院に入学。1878年、16歳から作曲活動を始めていきました。

「2つのアラベスク(Deux Arabesques)」は1888年に作曲されたドビュッシー初のピアノ曲です。彼の作品の中でも最も有名な曲のひとつ。2曲から構成される優雅なリズムは、心を虜にするでしょう。「牧神の午後への前奏曲(Prélude à “L’après-midi d’un faune)」は1892年〜1894年に制作されたドビュッシーの出世作です。現在も愛される管弦楽の音楽。演奏時間10分に及ぶ大作は、必聴といえます。今もなおその名声が衰えることのない作曲家ドビュッシー。そんな彼が誕生した場所が、サン=ジェルマン=アン=レーです。

ドビュッシー誕生の街「サン=ジェルマン=アン=レー」

イル・ド・フランス地域圏、イヴリーヌ県に属する街。「サン=ジェルマン=アン=レー(Saint-Germain-en-Laye)」は、フランスの首都パリの郊外に位置する高級住宅街です。パリ郊外にいくつもある住宅街の中でも、屈指の知名度を誇る場所。1124年に「ルイ6世(Louis VI)によって城塞が建造され、16世紀にアンリ2世によって新しいお城が建造されました。1689年に当時の国王が離れるまで、王の居城として役割を担っていました。

1837年には鉄道が開通し、発展を重ねてきたサン=ジェルマン=アン=レーの街。現在は静寂と洗練が流れる高級住宅街としての側面を覗かせており、歴史的な名所も点在しています。パリからの快適なアクセスも、その人気の秘密でしょう。ドビュッシーのほか、多くの芸術家ゆかりの地としてもその名を馳せています。穏やかな時間を謳歌できますよ。

サン=ジェルマン=アン=レーの見所

歴史上、国王の居城としての役割を果たしてきたサン=ジェルマン=アン=レーの街。街中、もしくは近郊にはさまざまな見所が点在しています。「サン=ジェルマン=アン=レー城」は荘厳な姿をした街のランドマーク。歴代の国王が住んできた場所は、現在考古学博物館として多くの人々を魅了しています。「ドビュッシー博物館」や「モーリス・ドニ美術館」も注目でしょう。サン=ジェルマン=アン=レーの見所を、詳しく紹介します。

街のランドマーク、1122年に建造された「サン=ジェルマン=アン=レー城」

サン=ジェルマン=アン=レー城(Chateau de St-Germain-en-Laye)」は1124年に建造、1230年に拡張された、かつての国王の居城です。現存している部分で最古のものは、1539年に建造されたもの。現在は「国立考古学博物館(Musée d’Archéologie Nationale)」としての役割を果たしています。くすんだ外観に連なるアーチ状の窓は荘厳そのもの。堂々とした存在感には息を飲みます。内部の展示作品の総数は30,000点以上。その数も圧倒的です。

1238年に建造された礼拝堂は、サン=ジェルマン=アン=レー城を象徴する美しさを醸す場所です。この礼拝堂は1248年に建造されたパリの「サント・シャペル(Sainte chapelle)」の、モデルにもなったのだとか…。長さ27m幅11m、高さ16mにもなる礼拝堂は、圧倒的な美しさ。正面に位置するバラ窓にも注目です。ゴシック・レイヨナン様式を代表する一大建築物。光がたっぷりと差し込む幻想的な雰囲気は絶対に見逃せませんよ。

「ラ・テラス(La Terrasse)」と呼ばれるお城の庭園部分も必見です。イタリア式の見事に整備された庭園は、現在サン=ジェルマン=アン=レーに暮らす人々の憩いの地として人気を博しています。とりわけ高台に位置する展望台からの景色は素晴らしいもの。全長2400mになるラ・テラスは自然も豊富です。深呼吸しながら歩いてみるのがオススメ。パリを象徴するエッフェル塔やモンマルトルの丘まで、その景色を堪能してみてください。

ドビュッシーの軌跡を知る場所「ドビュッシー博物館」

「ドビュッシー博物館(Musee Claude Debussy)」は、1862年に世界的な作曲家ドビュッシーが誕生した場所です。過ごしたのは2歳までのわずかな期間ですが、この場所は現在ドビュッシーの軌跡を伝える博物館の役割を担っています。1階には街の観光案内所があり、2階にはドビュッシーゆかりの品々が豊富に展示、3階には時折コンサートもおこなわれる小規模なホールが設置されています。ドビュッシー好きであれば必見の場所でしょう。

55年に及ぶ生涯で、さまざまな名曲を世に送り出してきたドビュッシー。2階の展示フロアには、ランプやペンなどの私物や、机に指揮棒など、多くの品々が展示されています。ドビュッシーの写真などもあり、その人生の軌跡を、追体験することもできるでしょう。とりわけ、彼自身のデスマスクは展示作品の目玉です。ぜひ、足を運んでみてくださいね。

ナビ派の作品を展示した「モーリス・ドニ美術館」

「モーリス・ドニ美術館(Musée Départemental Maurice Denis)」は、19世紀末に活躍した芸術集団「ナビ派(Les Nabis)」の作品を主に展示した美術館です。「モーリス・ドニ(Maurice Denis)」は、ナビ派の画家の中でも中心的な役割を果たしていた人物。モーリス・ドニ美術館は、彼が1914年に購入した建物を基礎に構成されています。建物の修復を担当したのはコンクリートの父、建築家「オーギュスト・ペレ(Auguste Perret)」です。

モーリス・ドニ美術館は1980年から一般に公開されています。館内にはモーリス・ドニの作品をはじめ、ボナールやエミール・ベルナールなど、ナビ派の画家たちの作品が多数展示。「木の葉の階段」や「シャンゼリゼのロータリー」など、見逃せない作品ばかりです。また、壁画と鮮やかなステンドグラスが印象的な礼拝堂も注目です。彫刻やテラス、菩提樹やイチイの木が目を引く3つの庭園部分も美しいもの。隅々まで見逃せませんよ。

街中に佇む教会と、シンプルな美味しさが味わえるガレットを堪能

「サン=ジェルマン教会(Eglise Saint-Germain)」は、サン=ジェルマン=アン=レー駅の出口正面に位置する教会。ギリシャ宮殿のような神秘的な様相を呈しています。6世紀からの歴史を持つサン=ジェルマン教会。現在の建物は1827年に建造されました。外観はもちろん、内部のフレスコ画や鮮やかな輝きを放つステンドグラスも注目。週末は多くの人が訪れる場所。散策中に、立ち寄ってみてください。

「ガレット(Galette)」は「丸く薄いもの」を意味するフランスの郷土料理です。多くの種類が存在する国民食。サン=ジェルマン=アン=レーでも、多くのカフェやレストランで供されています。「ガレット・コンプレ(Galette Complète)」は、ガレットにたっぷりのチーズと生ハム、卵を乗せた贅沢な一皿です。口いっぱいに広がる芳醇な香りと旨味。快晴の下、テラス席で頬張ればその味わいはまさしく至福といえるでしょう。

美しい自然と街並みの共存、サン=ジェルマン=アン=レーの魅力を堪能!

歴史にその名を刻み込んだ作曲家、ドビュッシー誕生の街サン=ジェルマン=アン=レーの魅力をご紹介してきました。パリ郊外に位置する屈指の高級住宅街。サン=ジェルマン=アン=レー城やドビュッシー博物館、モーリス・ドニ美術館などの見所も豊富です。落ち着いた気品ある街の佇まいに、多くの人々が魅了される理由もわかるでしょう。ゆったりと穏やかな時間を過ごす場所としては、フランスでも指折りの街のひとつといえます。

サン=ジェルマン=アン=レーは、フランスの首都パリから電車でおよそ30分の距離です。快適な交通の便も、街を支える魅力でしょう。思い立ったその日に、日帰りで訪れてみるのもよいかもしれませんね。美しい自然と街並みが見事に溶け込み調和した街。サン=ジェルマン=アン=レーを、次回の旅の目的地に定めてみてはいかがでしょうか?

※本記事はコロナウイルス感染症拡大より以前に執筆・掲載された記事です。

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