ライプツィヒ(ドイツ):音楽の父、バッハゆかりの歴史都市

「音楽の父」とも称されるドイツの音楽家「バッハ」。「G線上のアリア」などの名曲を作曲した、18世紀を代表する音楽家として知られている人物です。音楽の歴史を語るうえで、彼の存在は欠かすことができないでしょう。そんなバッハゆかりの街が、ドイツ東部に位置する「ライプツィヒ」です。音楽の街としてバッハ以外にも著名な人物が過ごした街。偉大な音楽家バッハとゆかりの街ライプツィヒの魅力を、詳しくご紹介していきます。

18世紀を代表する音楽家、音楽の父「バッハ」

(Public Domain /‘Portrait of Johann Sebastian Bach’ by Elias Gottlob Haussmann. Image via WIKIMEDIA COMMONS)

「ヨハン・ゼバスティアン・バッハ(Johann Sebastian Bach)」は1685年生まれ、ドイツのアイゼナハ出身です。18世紀を代表する作曲家であり音楽家。とりわけバロック音楽に残した影響は色濃く、バッハが生み出した作品の数々はバロック音楽の集大成ともいわれています。その偉大な功績から西洋音楽の基礎を築いた人物ともいわれ、「音楽の父」と形容されることもあります。音楽の歴史上欠かすことができない存在でしょう。

8人兄弟の末っ子として誕生したバッハ。その家系は音楽家であったといいます。中には同姓同名の人物もいたのだとか。そんな著名な一族の中でも、とりわけ注目を集めていた存在。1703年にはドイツのヴァイマルの宮廷楽団に就職し、ヴァイオリンやオルガンを担当していたといいます。1723年にはライプツィヒのトーマス教会のカントル、すなわち音楽監督に就任。没後も著名な音楽家の支持により、その評価を高めていきました。

「トッカータとフーガ(Toccata und Fuge)」はバッハが作曲したオルガン曲です。劇的な旋律から始まる作品は、即興的な要素と重厚感のある編成が魅力。複雑な表現が心に深い感銘を与える名曲です。「G線上のアリア(Air auf der G-Saite)」は、バッハ没後およそ100年を迎えたのち急速に評価が高まった作品です。ヴァイオリンの4本ある弦のうち、最も低い音を鳴らす「G線」のみで演奏することができるバッハの傑作のひとつです。偉大な音楽家バッハ。そんな彼が長い時間を過ごしたのがドイツ東部の街、ライプツィヒです。

バッハが長い時間を過ごした街「ライプツィヒ」

「ライプツィヒ(Leipzig)」はドイツ東部に位置するザクセン州の街です。州都であるドレスデンよりも人口数は上回り、州最大の都市としての地位を獲得している街。また、ドイツの首都ベルリンの南西120kmに位置し、音楽の街としての名声も獲得しています。バッハをはじめ、ワーグナーやシューマンなどの著名な音楽家が学んだ街としても有名です。音楽性を刺激するなにかが、ライプツィヒには宿っているのでしょう。

7世紀頃に建造された城塞の集落が街の基礎。ライプツィヒは交易上の交差点に位置する商業都市として、発展を遂げてきた歴史があります。19世紀にはヨーロッパを代表する音楽の街として存在感を高め、ウィーンやパリと比肩する存在として認識されてきました。工業化時代には工業都市としても発展。さまざまな側面で成長を遂げてきたライプツィヒは、現在ドイツを代表する文化都市として、世界中からの熱視線を独占しているのです。

ライプツィヒの見所

歴史上さまざまな役割を担ってきたライプツィヒ。特徴的な環状大通り、通称リングに囲まれた旧市街は注目の見所です。直径1kmに及ぶ中世の街並みは、ライプツィヒの見所の中心でしょう。バッハがカントルを務めていた「トーマス教会」やヨーロッパ最大の記念碑「諸戦争記念碑」、旧市街の中心にある「マルクト広場」は、見所の筆頭候補です。そのほか「バッハ博物館」や「ライプツィヒ動物園」も注目。街の見所を紹介していきます。

バッハが27年間カントルを務めた場所「トーマス教会」

「トーマス教会(Thomaskirche)」はルター派の教会。基礎となった教会は12世紀に建造されたもので、現在の建物は1496年に完成したものです。ゴシック様式の優雅で落ち着いた外観が印象的。白の外壁と黒の屋根が見事な調和を見せる美しい教会です。トーマス教会は音楽の父バッハが27年間カントル、すなわち音楽監督を務めた場所です。音楽史上に残る名曲の数々をこの場所で生み出し、また多くの人々をこの場所で魅了してきました。

1539年には、ドイツの聖職者「マルティン・ルター(Martin Luther)」が説教をしたことでも知られているトーマス教会。バッハがカントルを務めていた「トーマス教会少年合唱団(Thomanerchor)」は現在でもこの場所が拠点となっています。教会内部にはバッハのお墓や肖像画が描かれたステンドグラス、銅像も設置されています。18世紀の音色を表現しているパイプオルガンも注目でしょう。時折コンサートも開催されているようですよ。

歴史を伝えるヨーロッパ最大の記念碑「諸国民戦争記念碑」

「諸国民戦争記念碑(Völkerschlachtdenkmal)」は、1813年に発生した「諸国民戦争(Völkerschlacht)」、通称ライプツィヒの戦いを記念して建造された記念碑です。戦後100年の節目である1913年に建造。その高さは91mにも及び、規模としてはヨーロッパで最大の記念碑となっています。記念碑は登ることもでき、頂上からは360℃の絶景パノラマビューが堪能できます。かつておこなわれた戦いに思いを馳せてみてはいかがでしょうか?

フランスを筆頭としたナポレオン軍と、ロシアやオーストリアなどの連合軍が激しく激突。結果としてナポレオン軍が敗戦し、ナポレオンのヨーロッパ支配が終わりを告げた場所です。戦地の中央に建造された記念碑には、さまざまな思惑が刻み込まれているのでしょう。記念碑には諸国民戦争の背景〜終結までの歴史を展示した「1813年記念館(Forum 1813)」も併設されています。歴史を変えた出来事の真実を、ぜひ学んでみてください。

ライプツィヒの旧市街、その中心に位置する「マルクト広場」

「マルクト広場(Markt)」は、環状大通り、通称リングに囲まれた街の旧市街の中心地です。石畳が広がる広場の中心には、見事な市章が描かれたモザイクが設置。周辺にはライプツィヒを彩るさまざまな歴史的建造物が軒を連ねています。パノラマモードで写真に収めれば、印象に残る一枚を撮ることができるでしょう。カフェやレストランも多く、散策中の休憩にもオススメ。1458年からの歴史を誇るクリスマスのマーケットも要注目です。

「旧市庁舎(Altes Rathaus)」はマルクト広場に佇むさまざまな建造物の中でも、ひときわの美しさをたたえる建物です。1556年〜1557年に建造されたというルネサンス様式の建物。1905年までは街の市庁舎としての役割を果たし、現在は歴史博物館としての役割を担っています。音楽家バッハの肖像画のほか、地下牢もあり見応えも抜群。ガイドツアーも開催されているようなので、参加してその見事な佇まいを堪能してみるのも一興です。

偉大な音楽家バッハのための博物館と動物園、名物のライプツィガー・アーレライ

「バッハ博物館(Bach-Museum)」は、バッハが長年カントルを務めたトーマス教会の近郊に位置する、バッハのための博物館です。バッハとその一族に関する資料が充実。存命中に作曲したすべての作品を聴くことができる試聴室や、楽譜や直筆の書類などの展示も豊富にあります。歴史に名を刻んだ偉大な音楽家の軌跡を体感する、またとない機会になるでしょう。バッハも実際に訪れたことのある建物も見もの。ぜひ訪れてみてください。

「ライプツィヒ動物園(Zoo Leipzig)」は1878年に開園した動物園。たくさんの動物が檻に閉じ込められることなく、広大な空間にのびのびと暮らしています。2020年までは「未来の動物園」をコンセプトにさまざまなエリアがオープン。野生的なサバンナを表現した「キヴァラ・サバンナ」や類人猿のための「ポンゴ・ランド」、熱帯を体験できる「ゴンドワナ・ランド」をはじめ、ボートツアーや吊り橋など、楽しむポイントも豊富です。

「ライプツィガー・アーレライ(Leipziger Allerlei)」は19世紀末〜20世紀にかけて定着したライプツィヒの名物です。コールラビやニンジン、カリフラワーなどの温野菜と鮮やかなザリガニの組み合わせ。添えられたクリームソースをたっぷりとかけていただきます。繊細な野菜の滋味溢れる美味しさを堪能できる名物です。ザリガニを食べたことがない人でも恐れず挑戦してみてください。ヘルシーな旨味は、一度食べたらやみつきになりますよ。

音楽の街、魅力豊かなライプツィヒで贅沢な時間を

音楽の父、バッハゆかりの街ライプツィヒ。ドイツ東部に位置する街には、底知れぬ魅力が豊かに備わっていました。バッハがその多くの時間を過ごしたトーマス教会やヨーロッパ最大の記念碑である諸国民戦争記念碑などはその代表です。長い歴史を刻み込んできた旧市街の散策も、心踊る時間になるはずですよ。歴史に文化に美食まで、さまざまな側面で発展を重ねてきたライプツィヒには、さまざまな魅力が深く根付いています。

ライプツィヒの中心地から北西におよそ18km。空の玄関口「ライプツィヒ=ハレ空港(Flughafen Leipzig)」がライプツィヒの入口です。空港から街までは電車でおよそ10分の距離。電車が辿り着くライプツィヒの中央駅は1915年に建造された壮大な駅です。高さ27mの駅舎も見所。ぜひ注目してみてください。ドイツを代表する街の筆頭ライプツィヒ。パスポートを握りしめて、この音楽の街をぜひ訪れてみてはいかがでしょうか。

※本記事はコロナウイルス感染症拡大より以前に執筆・掲載された記事です。

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