トーキー(イングランド):ミステリーの女王、アガサ・クリスティ誕生の地

ミステリーの女王「アガサ・クリスティ」。代表作「そして誰もいなくなった」をはじめとする作品の数々は、世界のミステリー好きの心を虜にして止みません。その卓越した描写とトリックの巧みさには、脱帽というほかないでしょう。そんなアガサ・クリスティ誕生の地が、イングランド南西部に位置する街「トーキー」です。温暖な気候から人気を集める、保養地であり観光都市。アガサ・クリスティとトーキーの魅力を、お伝えしていきます。

ミステリーの女王「アガサ・クリスティ」

「アガサ・メアリ・クラリッサ・クリスティ(Agatha Mary Clarissa Christie)」は1890年生まれ。アガサ・クリスティの名前で親しまれている作家です。生み出す推理小説は世界中でベストセラーを連発。卓越的なトリックの数々は多くの読者を魅了し続けてきました。その功績から「ミステリーの女王」とも呼ばれ、未だ変わらない支持を集めています。本屋に並ぶさまざまな名作の数々、一度は手に取ったことがある人も多いでしょう。

イングランドのトーキーが生まれ故郷。3人姉弟の末っ子として誕生したアガサ・クリスティは、正規の学校教育は受けていないといいます。母親は変わり者として知られた人物で、学校には行かず、教育は母親から受けていたのだそう。「7歳までは字を教えてもらえなかった」という事実には驚きです。学校に通わない間、父親の書斎で本を読み耽っていたというアガサ・クリスティ。このときの経験が、彼女の大きな飛躍に繋がることは自明でしょう。

1920年に初めての作品を発表。11日間に及ぶ失踪事件も、彼女を語るうえでは欠かせないものです。未だ謎が多く残る事件は映画化もされ、話題の的になりました。1926年に発表された「アクロイド殺し(The Murder of Roger Ackroyd)」も、同様に大きな話題を巻き起こした代表作。アガサ・クリスティ6つ目の長編小説です。1934年に発表、1974年には映画化もされた「オリエント急行殺人事件(Murder on the Orient Express)」も傑作でしょう。

歴史に残る傑作小説を生み出し続けてきた推理作家アガサ・クリスティ。そんな彼女の故郷が、イングランド南西部に位置する街「トーキー」です。

アガサ・クリスティ誕生の地「トーキー」

「トーキー(Torquay)」はイングランドの南西部、デヴォン州に位置する街です。温暖な気候が人気を集める、保養地であり観光都市。トーキーの魅力的な姿は、多くの人々を魅了してきました。トーキーの歴史は古く、現在の地域には古くから人類が居住していたといいます。ヨーロッパで最古の骨が発見されていることには驚きでしょう。1196年には街の主要な建物が建造。1803年〜1815年の「ナポレオン戦争(Napoleonic Wars)」時代は艦隊の避難拠点として使用されていました。当時から多くの人々の疲れを癒していたそう。

その穏やかな気候から療養地として注目を集め始めたトーキー。街の人口は徐々に増加し、1848年の鉄道開通を機に一層の発展を遂げてきました。現在はイングランドでも屈指の人気を集める保養地として、国内のみならず海外からの観光客も多く訪れています。アガサ・クリスティの生まれた街として、ミステリー好きの間でももちろん有名な街。輝く太陽と鮮やかな海のコントラストも魅力的。トーキーは、旅の目的地にも最適です。

トーキーの見所

保養地として長年の人気を獲得してきたトーキー。時計台や観覧車、中世の雰囲気が残る落ち着いた街の佇まいも魅力です。自然豊富なことも特徴でしょう。イギリスで最古の洞窟といわれる「ケンツ洞窟」や、イギリスの時代ごとに異なる建物をミニチュアで再現した「ババクーム・モデル・ビレッジ」、近郊に位置する世界遺産「ジュラシック・コースト」の存在も見逃せないでしょう。トーキーに点在する見所を詳しく紹介していきます。

イギリス最古の洞窟「ケンツ洞窟」

「ケンツ洞窟(Kents Cavern)」はトーキーの街からおよそ1.5kmの地点に位置する洞窟。イギリスで最も古い洞窟ともいわれており、古代から現代に至るまでの、時代の流れを肌で感じることができる場所です。先史時代や氷河期時代など、さまざまな時代の生活の痕跡や化石を目の当たりにすることができるでしょう。ヨーロッパでも貴重な歴史の歩みを語る場所。400万年前に生まれた岩など、日常生活では出会えないシーンの連続です。

鍾乳洞内は年間を通して気温が安定。夏でも冬でもおよそ14℃を維持しているといいます。古くはこの洞窟の中で暑さや寒さを凌いでいたのでしょう。ひんやりとした空気と鍾乳洞の神秘的な佇まいには、ただただ息を飲みます。内部では岩の表情にも注目。人間の顔やドラゴンの顔など、探検しながらさまざまな自然の造形美を堪能できるはずですよ。

イギリスの時代をミニチュアで堪能「ババクーム・モデル・ビレッジ」

「ババクーム・モデル・ビレッジ(Babbacombe Model Village)」は、イギリスの時代ごとに異なる建物をミニチュアサイズで再現した場所。茅葺屋根の可愛らしい家から荘厳な雰囲気溢れる中世のお城、現代的な建造物まで幅広いミニチュアの数々は必見です。ユーモア溢れる細部のこだわりにも注目でしょう。ミニチュア同様に美しく整備された庭園部分も必見です。大人も子供も楽しめる場所。写真映えも抜群です。カメラの準備をお忘れなく!

トーキーから車でおよそ1時間!世界遺産「ジュラシック・コースト」

「ジュラシック・コースト(Jurassic Coast)」はトーキーから車でおよそ1時間。2001年に「ドーセットと東デヴォンの海岸(Dorset and East Devon Coast)」の名称でユネスコ世界遺産に認定されたスポットです。その全長は153km。果てまで続く長い海岸には、2億5千万年前の地層が露出しています。西に向かうにつれて地層は古いものに変化していくのだとか。美しいイギリス海峡に沿うように形成された絶景は一見の価値アリでしょう。

ジュラシックコーストにはビーチはもちろんハイキング用のコースも完備されています。地球が生んだ壮大な景色を、散策しながら味わってみるのもよいでしょう。道すがらアンモナイトの化石を目にすることもあるはずです。崖の上から望む風景は、旅の最も印象的な時間になるはず。崖と海のコントラストはもちろん、「ダードル・ロア(Durdle Dor)」を代表とする岩の造形美も見逃せません。まるで恐竜が化石になったかのようですよ。

ジュラシック・コースト近郊はいくつかの街があります。「ウェーマス(Weymouth)」はトーキーと同様に保養地として有名な街。散策がてら立ち寄ってみるのもよいでしょう。

茅葺屋根が可愛らしい村と、アガサ・クリスティゆかりのグランド・ホテル

「コッキントン・ビレッジ(Cockington Village)」はトーキーの中心地から徒歩で20分〜30分。茅葺屋根の家が立ち並ぶ、可愛らしい印象の村です。まるで絵本の中に迷い込んだかのような不思議な空間。美しく広がる芝生の上で、のんびりした時間を過ごすのもよいでしょう。ギフトショップやクラフトセンターなどお店も充実。ぜひ訪れてみてください。

1908年に開業した「グランド・ホテル(Grand Hotel)」は、アガサ・クリスティが新婚初夜を過ごした場所として有名なホテルです。純白の外観が美しいホテル。周囲はヤシの木が植えられ、南国の様相を呈しています。イギリス伝統「アフタヌーン・ティー(Afternoon tea)」はここでいただくのがベストでしょう。紅茶にスコーン、贅沢なデザートの数々は必食です。アガサ・クリスティも利用したで、ホテル旅を彩る時間をお楽しみください。

イギリスでも屈指の保養地、アガサ・クリスティの故郷トーキー

潤沢な自然と落ち着いた雰囲気が魅力の街、アガサ・クリスティの故郷トーキーの魅力をご紹介してきました。歴史を伝えるケンツ洞窟やババクーム・モデル・ビレッジ、近郊に位置する世界遺産ジュラシック・コーストも見逃せないでしょう。茅葺屋根が印象的なコッキントン・ビレッジやアガサ・クリスティゆかりのグランド・ホテルに立ち寄ることもお忘れなく。温暖な気候とゆったりした時間が流れる街。トーキーは非常に魅力的です。

トーキーへのアクセスは首都であるロンドンから電車の利用が一般的です。所要時間はおよそ4時間。週末のバカンスに訪れる人が多いトーキー。訪れる際は時間に余裕を持っておくのがよいでしょう。石畳が続く街並みや美しいハーバーの雰囲気、もちろんビーチも豊富です。トーキーは休暇のための保養地としても最適。もちろん旅の目的地のひとつとしても楽しめます。パスポートを用意してぜひトーキーを訪れてみてはいかがでしょうか。

※本記事はコロナウイルス感染症拡大より以前に執筆・掲載された記事です。

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