ブザンソン(フランス):ロマン主義の小説家、ヴィクトル・ユーゴーの生まれ故郷

フランスを代表する小説家「ヴィクトル・ユーゴー」。世界的な名作「レ・ミゼラブル」は現在でも舞台化、映画化の絶えない傑作中の傑作。時代を経ても色褪せないユーゴーの小説の数々は、世界中で多くの人々を感動の渦に巻き込んでいます。その名前をご存知の人も多いでしょう。そんなヴィクトル・ユーゴーの故郷がフランス東部の街「ブザンソン」です。ヴィクトル・ユーゴーとブザンソンの魅力を、当記事でお届けしていきます。

フランスを代表するロマン主義の小説家「ヴィクトル・ユーゴー」

「ヴィクトル=マリー・ユーゴー(Victor-Marie Hugo)」は1802年生まれ、ロマン主義を代表する詩人で
あり小説家。1862年に発表した「レ・ミゼラブル(Les Misérables)」はフランス文学の金字塔。現代でも人気や注目が衰えない代表作といえます。現在も変わらない存在感を放つ小説家ヴィクトル・ユーゴーは、フランス東部の街ブザンソンに3人兄弟の末っ子として誕生しました。誕生から6週間後、家族と共にマルセイユへ転居しています。

その後は両親の不和が影響し、主に母親と共にヨーロッパの各地を転々とします。パリやマルセイユなど、さまざまな場所での暮らしを経験してきました。自身の両親の不和もレ・ミゼラブルの作中に反映されているといいます。17歳のときには詩のコンクールで1位を獲得。1822年以降、ロマン主義の旗手として、目覚ましい活躍を重ねてきました。1825年、23歳のときには、現在もフランスの最高勲章であるレジオンドヌール勲章を受賞しています。

若かりし頃から溢れんばかりの才能を発揮してきたヴィクトル・ユーゴー。その功績はまさしく天才的といってもよいでしょう。代表作のレ・ミゼラブルの魅力的な登場人物には、つい感情移入をしてしまうはずです。「九十三年(Quatrevingt-Treize)」は1874年に発表されたヴィクトル・ユーゴー最後の長編小説です。人間愛を題材にした奥深い表現や文章の数々は完読必至でしょう。語り継がれる名作の数々は今なお輝きを放っています。

フランス文学を代表する小説家ヴィクトル・ユーゴー。その原点ともいえる場所が生まれ故郷である「ブザンソン」。フランス初の緑の都市に指定された、自然豊かな街です。

ヴィクトル・ユーゴーの生まれ故郷「ブザンソン」

「ブザンソン(Besançon)」はフランス東部に位置するドゥー県の県庁所在地。フランシュ・コンテ地区の中心的な役割を果たしている街でもあります。なだらかに波打つドゥー川に沿うように建造されたブザンソンの街。政治的、軍事的、宗教的にも重要な役割を果たしてきました。フランスで初めての「緑の都市」として宣言されたことでも有名です。気候の変わりやすさは街の特徴。自然が豊かな緑が映える街として人気を集めています。

古代ローマ時代はウェソンティオの名称で呼ばれていたブザンソン。当時はガリア人のセクアニ族の拠点であったといいます。時計産業や繊維業で街は発展。現在は情報産業をはじめとする幅広い分野でフランスを牽引しています。また、ブザンソンではクラシック音楽の祭典「ブザンソン国際音楽祭(Festival de musique de Besançon Franche-Comté)」が定期的に開催されています。毎年9月に開催されるため、時期を合わせてみるのもよいでしょう。1948年からの歴史を誇る音楽祭。音楽好きでなくとも楽しめるはずですよ。

ブザンソンの見所

長い歴史を誇るブザンソン。石畳が連なる中世の街並みと溶け込むような自然の豊かさは、多くの人々を虜にしています。ユネスコ世界遺産に認定されている「シタデル」や美しい「サン・ジャン大聖堂」、「グランヴェル宮殿」は街の見所の代表です。そのほか近郊に位置する「アルケ=ス=ナンの王立製塩所」や、名物の「コンテ」や「ヴァン・ジョーヌ」も欠かせません。ブザンソンに広がる見所を詳しくご紹介していきます。

ブザンソンで一番の見所!世界遺産「シタデル」

「シタデル(Citadelle)」はブザンソンに築かれた重要な城砦。17世紀に活躍した建築家「ヴォーバン(Vauban)」の手により設計されたもののひとつです。ルイ14世に仕えていたヴォーバンは、軍事的にも重要な役割を果たしていた建築の名手。150以上の城砦を設計し、作りだした功績と、「落ちない城はない」といわれるほどの攻城の天才であった人物です。ヴォーバンの築いた城砦のうち12個が、ユネスコ世界遺産に認定されています。

世界遺産「ヴォーバンの防衛施設群(Fortifications de Vauban)」の中でもひときわの注目を集めるブザンソンのシタデル。その内部に足を踏み入れると威風堂々のヴォーバンの銅像が出迎えてくれます。幾重にも重なる城壁は堅牢な城砦の証。現在のシタデルは自然と調和し、穏やかな表情を覗かせています。高台に位置しているため、街並みを望むにも最適でしょう。敷地内には強制収容所博物館や動物園、水族館までが完備されています。歴史の変遷に思いを馳せながら、ブザンソンを見守る城砦を訪れてみてはいかがでしょうか。

19世紀の天文時計は見逃せない!「サン・ジャン大聖堂」

「サン・ジャン大聖堂(Cathédrale Saint-Jean)」は3世紀に建造が始められた、ブザンソンの歴史的建造物の代表です。9世紀や11世紀に大規模な改築が施された結果、現在の大聖堂にはロマネスクやゴシックなど、時代ごとの建築様式が混在しています。その見た目の美しさには注目でしょう。また、4世紀に設置されたサン・ジャンのバラは必見です。白亜の大理石を多用した祭壇は一見の価値アリでしょう。30枚以上に及ぶ絵画の展示やステンドグラスが生み出す幻想的な雰囲気も見逃せません。絶対に訪れてほしい見所です。

また、サン・ジャン大聖堂を訪れたら「天文時計台(L’Horloge Astronomique)」に行くこともお忘れなく。19世紀に作られた天文時計は39の文字盤が特徴的。世界20の地域や月食、日食の時間に至るまで、趣向が凝らされた時計の細部には注目です。使用されている部品はなんと30,000点以上にもなるのだとか…。振り子やカラクリ人形に至るまで、その姿は必見。入場は有料ですがガイドによる案内もあります。ぜひ足を運んでみてください。

優雅な佇まいと時計の展示は必見!「グランヴェル宮殿」

「グランヴェル宮殿(Palais Granvelle)」は16世紀に建造されたルネサンス様式の建物です。イオニア様式も溶け込んだ外観は優雅そのもの。正面の3層の壁や彫刻が作り込まれた屋根窓にも注目でしょう。円柱が連なる造りは美しく、写真にもよく映えますよ。

「時の博物館(Musée du Temps)」は2002年にグランヴェル宮殿の敷地内に開設された博物館。ブザンソンの主要な産業のひとつである時計について、詳しく知ることができるでしょう。1階部分では時計の歴史についての解説を、2階部分では幅広い種類の時計の展示を、それぞれ楽しむことができます。時計が重ねた時間の歩みを知ることができる場所。原子時計から天文時計まで、過去から現在の時計の変遷を学ぶことができるはずです。

近郊に位置する製塩所と、名物のコンテチーズとヴァンジョーヌを堪能!

「アル=ケ=スナンの王立製塩所(Saline royale d’Arc-et-Senans)」は、ブザンソンの中心地からおよそ40kmの地点に位置するスポットです。1982年にユネスコ世界遺産に認定。現在は博物館や資料館としての役割を担っています。幻視の建築家と呼ばれる「クロード・ニコラ・ルドゥー(Claude Nicolas Ledoux)」によって設計された製塩所は、経営難のため未完成。本来は円形になるはずの敷地は半円の状態で、その姿を維持しています。

製塩所を中心に放射状に建物が建てられた敷地内。研究所や住宅など、さまざまな使用用途の建物が建造されています。赤色の屋根と白色の外壁、広がる緑のコントラストは素晴らしい美しさ。その佇まいはぜひとも写真に収めておきたいところでしょう。ブザンソンの街から少し距離はありますが、訪れる価値は十分にあります。絶対に見逃せませんよ。

ブザンソンがあるフランシュ・コンテ地方の特産品。「コンテ(Comté)」はナッツのような香ばしい風味が特徴のチーズです。栗のような食感もその特徴のひとつ。熟成が進むにつれて変化する味わいは世界のグルメを唸らせています。そんなコンテと合わせるのがサヴァニャン種のブドウを用いた「ヴァン・ジョーヌ(Vin Jaune)」。6年3ヶ月の熟成が義務付けられた希少なワイン。ぜひコンテと合わせてその味を堪能してみてください。

豊かな魅力溢れる街ブザンソン、次回の旅の目的地はぜひココで!

フランスを代表する小説家、ヴィクトル・ユーゴーの生まれ故郷ブザンソンの魅力をご紹介してきました。豊かな水をたたえるドゥー川の恩恵の元、繁栄を重ねてきた魅力的な街でした。シタデルやサン・ジャン大聖堂、グランヴェル宮殿などの主要な見所は外せないでしょう。また、街中にはヴィクトル・ユーゴーの博物館もあります。ユーゴーの生涯を豊富な展示やオーディオガイドを通して知ることができるでしょう。合わせて注目ですね。

フランス東部に位置するブザンソンへのアクセスは、首都であるパリから電車の利用がオススメです。所要時間はおよそ2時間。距離的には日帰りも可能でしょう。しかし、隅々までブザンソンの魅力を堪能するためには宿泊することをオススメします。自然と街が見事に共存、調和した街。ブザンソンを次回の旅の目的地に選んでみてはいかがでしょうか?

※本記事はコロナウイルス感染症拡大より以前に執筆・掲載された記事です。

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