ナント(フランス):SFの父、ジュール・ヴェルヌの生まれ故郷

SF(サイエンス・フィクション)の父と呼ばれるフランスの小説家『ジュール・ヴェルヌ』。20世紀のパリなどで知られる、世界的にも著名な人物です。執筆された作品は映画化などもされ、形を変えて現代も多くの人々に親しまれている傑作ばかりです。そんなジュール・ヴェルヌの生まれ故郷がフランスの『ナント』。1598年に発令されたナントの勅令はあまりに有名です。ジュール・ヴェルヌと故郷ナントの魅力をお伝えしていきます。

SFの父『ジュール・ヴェルヌ』

(Public Domain /‘Photograph of Jules Verne’ by Nadar. Image via WIKIMEDIA COMMONS)

『ジュール・ガブリエル・ヴェルヌ(Jules Gabriel Verne)』は1828年生まれのフランスの小説家。科学的な空想に基づいたジャンルであるSFの父とも称される偉大な人物です。

フランスのナントに生まれたジュール・ヴェルヌ。人里離れた島の家での暮らしは、彼の創造性の源泉になったといわれています。また、交易を通してナントを訪れていたたくさんの船乗りたちの話も、幼いジュール・ヴェルヌ少年に大きな影響を及ぼしたのでしょう。父親は弁護士だったため、当初は法律を学んでいたといいますが、友人が制作した気球を基に書いた作品が人気を博し、小説家としてのキャリアをスタートしました。

(Public Domain /‘1874 Edition Book Cover’ by Sherurcij. Image via WIKIMEDIA COMMONS)

1848年、入学したパリの法律学校在籍中に交流を深めた芸術家との出会いも、ジュール・ヴェルヌの作品に多大な影響を及ぼしてきました。1864年に発表した作品『地底旅行(Voyage au centre de la terre)』は、センター・オブ・ジ・アースなどの映画作品にまで派生しています。1863年に手がけたSF未来小説の処女作『20世紀のパリ(Paris au XXe Siècle)』は長らく発見されなかった幻の作品。1994年に発表され、脚光を浴びました。

夢と冒険を詰め込んだワクワクの源泉を、世界に送り届けてきた小説家ジュール・ヴェルヌ。そんな彼の生まれ故郷がフランスで第6の規模を誇る街『ナント』です。

ジュール・ヴェルヌの故郷『ナント』

『ナント(Nantes)』はフランスの西部に位置する街です。ペイ・ド・ラ・ロワール地域圏の首府の役割を務めています。フランスでは第6の規模を誇る大都市。大西洋の玄関口とも呼ばれるナントは、交易を主軸に栄えてきた歴史があります。年間を通して温暖な気候で雪もあまり降らないため、観光に最適の場所でしょう。公園などの自然豊かな点も人気を集める理由のひとつ。また、フランスで最も住みやすい街に選ばれたこともあります。

ナントの起源は紀元前70年頃にガリア人が建造した街にあります。3世紀〜4世紀にはロワール河口地域の主要な都市に発展。1598年、アンリ4世によって発令された『ナントの勅令(Édit de Nantes)』は、近世ヨーロッパで初めて個人の信仰の自由を認めたものです。ナントが歴史上で注目を集める理由もわかるでしょう。18世紀には交易を通して、19世紀には工業都市として発展を経験。歴史と芸術の街にも登録されたナントは、注目必至です。

ナントの見所

重要な史実も残るナントの街。かつてはブルターニュ公国の中心地として、その名を馳せていました。見所の筆頭である『ブルターニュ公爵城』は当時の名残が色濃く残る貴重な建物です。『サン・ピエール・サン・ポール大聖堂』や、機械仕掛けの遊園地『レ・マシーン・ド・リル』なども、見逃せないスポットでしょう。そのほか『ジュール・ヴェルヌ博物館』や『ナント美術館』にも注目です。ナントの見所をご紹介していきましょう。

かつての公国の姿を現在に伝える『ブルターニュ公爵城』

『ブルターニュ公爵城(Château des ducs de Bretagne)』は、1207年にブルターニュ公である『ギィ・ド・トゥアル』によって建てられたお城です。13世紀〜16世紀まではブルターニュ公の居城として、1532年以降はフランス王家のブルターニュでの居城として、使用されてきました。また、ナントの勅令が発令された場所もこのお城です。ナントの歴史を語るうえで公爵城を外すことはできないでしょう。その姿は威風堂々としたものです。

現在、城内は歴史博物館として使用されています。32の展示室に置かれた800以上のコレクションは必見でしょう。ブルターニュやナントの歴史を知るための貴重な資料が多数展示されています。また、周囲を囲う城壁に登れば、美しいナントの街並みが一望できます。中庭も美しく整備されており、目を楽しませてくれますよ。夜にはライトアップもされ、より一層の荘厳さをたたえてくれます。ブルターニュ公爵城はぜひ訪れてみてください。

完成まで457年の歳月を要した『サン・ピエール・サン・ポール大聖堂』

『サン・ピエール・サン・ポール大聖堂(Cathédrale Saint Pierre – Saint Paul)』は1434年から建造を開始、1891年に完成を迎えたゴシック様式の大聖堂です。完成までにかかった歳月はなんと457年!これは建造を命じたブルターニュ公『ジャン5世』が、公国で最も立派な大聖堂の建造を目指したからといわれています。その言葉通りに堂々たる佇まいを披露する大聖堂。3つのアーチが連なる優雅な外観は、他の建造物とは一線を画します。

外観に施された繊細な彫刻はもちろん、2本の四角い尖塔も印象的です。街のシンボルといってもよいでしょう。内部の翼廊にはブルターニュ公『フランソワ2世』と公妃のお墓が設置されています。ルネサンス様式で施された装飾も見事なものですよ。また、ステンドグラスも美しいことで有名です。白亜の外観を備えた大聖堂はナントでは見逃せませんね。

高さ12mの機械像がお出迎え!『レ・マシーン・ド・リル』

『レ・マシーン・ド・リル(Les Machines de l’île)』は、機械仕掛けの動物が詰まった遊園地です。中でも脚光を浴びているのが、高さ12mにもなる機械の象でしょう。歩いたり、鼻から水を撒き散らしたり、本物の象のような動きには驚きです!この機械の象には乗ることもでき、敷地内を一周することもできるようですよ。所要時間はおよそ30分です。

また、メリーゴーランドには馬だけでなく、人間の骨を模したものやクワガタなどの珍しいモチーフが登場。ここでしか味わえないレアな体験ができるでしょう。『ギャラリー・デ・マシーン(Galerie des Machines)』は、小説家ジュール・ヴェルヌの世界観を表現した空間です。職人集団によって生み出された作品の数々は必見でしょう。機械仕掛けの鳥や木の姿はクールな見た目です。ロボットによるパフォーマンスも開催されていますよ。

『ジュール・ヴェルヌ博物館』と『ナント美術館』、名物の『ガレット』は必食です!

『ジュール・ヴェルヌ博物館(Musée Jules-Verne)』は1978年に創設された、SFの父ジュール・ヴェルヌに関する施設です。自筆の原稿や挿絵などの展示の他、地下には図書室や視聴覚室まで併設されています。冒険心をくすぐる、船の模型を展示した部屋もありますよ。1階のサロンではジュール・ヴェルヌとその妻の自画像がお出迎え。地下1階は作品が展示されています。あなたのまだ知らないジュール・ヴェルヌに出会えるはずです。

(Public Domain /‘The Dream of St. Joseph’ by Georges de La Tour. Image via WIKIMEDIA COMMONS)

『ナント美術館(Musée des Beaux-Arts de Nantes)』は1801年に創設された美術館。13世紀からの芸術作品を多く所蔵しており、あなたの知的な好奇心を満たすコレクションが満載です。中でも『夜の画家』と呼ばれた『ジョルジュ・ド・ラ・トゥール(Georges de La Tour)の作品は見逃せません。『ヨセフの夢』をはじめとした3作品が展示されています。そのほかアングルやクールべ、モネなどの著名な画家の作品も十分に楽しめますよ。

ナントの名物である『ガレット(Galette)』は、簡単にいえばソバ粉のクレープです。サーモンやチーズを使ったものから、塩バターやアイスクリームを使ったものまで、味のバリエーションは多種多様。5ユーロ〜10ユーロあれば楽しめるのもポイントです。ガレットをいただくときは同様に名物である『シードル(Cidre)』をお忘れなく!リンゴを原料にしたアルコール飲料で、ガレットとも相性抜群です。ぜひ一緒にお召し上がりください。

ブルターニュ公国の中心地!ナントの魅力を隅々まで

SFの父と称される小説家ジュール・ヴェルヌ。その生まれ故郷であるナントの魅力を、ふんだんにお伝えしてきました。かつてのブルターニュ公国の中心地であるナントには、魅惑のスポットが溢れています。公爵城や大聖堂、世にも珍しいレ・マシーン・ド・リルは見逃せません。名物のガレットやシードルは街のカフェやレストランで楽しむことができますよ。上品で洗練された雰囲気もナントの魅力です。後悔しない旅をお約束しますよ。

ナントに最も近い空港は『ナント・アトランティック空港(Aéroport Nantes Atlantique)』です。ナントの中心地からおよそ8kmの地点に位置する玄関口。ナントの街へはバスで20分の距離ですよ。バスから見える景色は旅のワクワクを加速させてくれるでしょう。平日は20分間隔、休日は30分間隔で運行しています。歴史ある建物が印象に残る街ナント。ぜひ次回の旅は、この街を目的地に定めてみてはいかがでしょうか?

※本記事はコロナウイルス感染症拡大より以前に執筆・掲載された記事です。

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