ベルン(スイス):孤高の画家、フェルディナント・ホドラーの故郷

孤高の画家と称されたスイス出身の画家『フェルディナント・ホドラー』。著名な画家のほとんどがフランスのパリなどを拠点にする中、スイスを活動の拠点とし続けた人物。そんなフェルディナント・ホドラーの故郷がスイスの首都である『ベルン』です。国内で4番目の規模を誇り、旧市街がユネスコ世界遺産にも認定されている観光都市。孤高の画家フェルディナント・ホドラーと故郷であるベルンの魅力を、当記事で紹介していきます。

孤高の画家『フェルディナント・ホドラー』

(Public Domain /‘Selbstbildnis mit aufgerissenen Augen III’ by Ferdinand Hodler. Image via WIKIMEDIA COMMONS)

『フェルディナント・ホドラー(Ferdinand Hodler)』は孤高の画家、世紀末芸術の巨匠とも称されるスイス出身の画家です。苦難に満ちた人生から絵画の題材に『死』や『夜』を多く用いていることでも有名。1911年〜1958年から流通していたスイス紙幣のデザインも担当し、国内でその名前を知らない人は少ない存在です。平行主義という独自の理論で描かれた作品の数々はフェルディナント・ホドラーの代名詞。現在も注目を集めています。

1853年、スイスの首都であるベルンに誕生したフェルディナント・ホドラー。その父親は大工であったといいます。幼い頃に両親や兄弟を結核で相次いで失ったホドラー。このときの悲しみの経験は、彼の作品に大きな影響を及ぼしてきました。初めて絵画の手ほどきを受けたのは、母親の再婚相手である義理の父親。後にジュネーヴの美術学校に入り、芸術の基礎を学んでいきました。画家として世間に認められたのは50歳の頃だといいます。

(Public Domain /‘The night’ by Ferdinand Hodler. Image via WIKIMEDIA COMMONS)

フェルディナント・ホドラーの代表作といえば『夜』が真っ先に挙げられるでしょう。1889年に制作されたこの作品は、平行主義という理論を用いて描かれたもの。中央には自画像と思われる人物が描かれていることでも有名です。『木を伐る人(Wood Cutter)』は1910年に描かれた傑作のひとつ。斧を振りかざして今にも振り下ろしそうな男性像を描いた作品です。迫力と希望を感じる描写は、ホドラーを語るうえで欠かせない作品でしょう。

歴史にその名前を刻み込んだ偉大な画家フェルディナント・ホドラー。その生まれ故郷がスイスの首都であるベルンです。ベルンの魅力を、次章から詳しくお伝えしていきます。

フェルディナント・ホドラーの故郷『ベルン』

『ベルン(Bern)』はベルン州の州都にあたり、スイスで4番目の規模を誇る大都市です。名前の由来は『熊』からきており、市の紋章    にも熊の姿が描かれています。ドイツ語圏に属するベルンは、中世の雰囲気を色濃く残す美しい街並みが特徴。1983年にはユネスコ世界遺産に『ベルン旧市街(Old City of Berne)』として認定され、注目を集めてきました。

1191年にツェーゲリン大公のベルトルト5世によって創設されたベルン。名前の由来となったのは公爵が殺した熊であったといいます。1218年には神聖ローマ皇帝フリードリヒ2世が帝国自由都市に任命。その領土を広げていきました。1353年にはスイス連邦に加盟し、1831年にはベルン州の州都に、1848年にはスイスの首都としての役割を担い始めました。歴史が紡いだ景観と建物、美しい街並みが自慢のベルンは、観光にも最適の街です。

ベルンの見所

ベルンには魅力的な見所が多数点在しています。街のランドマークであるゴシック様式の『ベルン大聖堂』や世界遺産に認定された『ベルン旧市街』、20世紀の画家であるパウル・クレーの作品を多数所蔵した『パウル・クレー・センター』は、その筆頭候補でしょう。そのほか、アインシュタインが相対性理論の論文を書き上げたといわれる『アインシュタインハウス』や『熊公園』も見所のひとつ。ベルンの街の見所をご紹介しましょう。

ベルンのランドマーク『ベルン大聖堂』

『ベルン大聖堂(Berner Muenster)』は、雄大なアーレ川沿いに佇むゴシック様式の大聖堂です。1421年に建造が始まったベルン大聖堂は、工事の中断や宗教改革による破壊を相次いで経験。建物が完成したのは1893年のことです。威風堂々とした尖塔は、街のどこからでも目にすることができるランドマーク。高さ100.6mにもなる尖塔はスイス最大のもので、頂上まで登り街の姿を一望することもできます。世界遺産の街並みは必見でしょう。

正面の扉に施された『最後の審判』のレリーフは、芸術家『エルハルト・キュング(Erhart Kung)』によるものです。234体の彫像が織り成す雰囲気は荘厳さすら感じてしまうでしょう。キリストの受胎告知から復活までのシーンが描かれたステンドグラスも必見です。上下に分かれて描かれた詳細な描写には息を飲むでしょう。そのほか、5,040本のパイプを使用したパイプオルガンも見逃せません。ベルン大聖堂はまず訪れたい見所ですね。

ユネスコ世界遺産に認定された『ベルン旧市街』

1983年にユネスコ世界遺産に認定されたベルンの旧市街。赤茶色の瓦屋根に統一された建物が連なる姿は、街を訪れる人々を魅了し続けています。中世の雰囲気を色濃く残した街の姿は、ベルン観光のハイライトといってもよいでしょう。『ラウベン』と呼ばれるヨーロッパ最長のアーケードは、旧市街の見所のひとつです。その総長はなんと6km。旧市街の散策をするときの拠点として、ラウベンは知っておいて間違いのないスポットでしょう。

『噴水の街』とも称されるベルンには100以上の噴水が設置されています。熊や女神がモチーフになったものなど、その種類も多種多様。旧約聖書を題材にした『サムスンの噴水』など、オリジナリティ溢れる名前にも注目してみてください。また、1218年より建造された『時計塔(Zytglogge)』も同様に注目でしょう。スイス最古の時計台のひとつで、黄金の文字盤が印象に残ります。毎時間稼働する熊や道化師が登場する仕掛けも見逃せません。

さまざまな見所が点在する旧市街はベルン観光のハイライトといえます。数ある噴水の中からお気に入りを探したり時計塔の歴史ある佇まいに魅了されたり、旧市街の魅力は尽きません。もちろんカフェでの休憩にも最適です。ゆったりした時間をお過ごしください。

20世紀の画家パウル・クレーの作品を所蔵した『パウル・クレー・センター』

『パウル・クレー・センター(Zentrum Paul Klee)』は、20世紀のスイスを代表する画家『パウル・クレー(Paul Klee)』の作品を中心に所蔵した美術館です。所蔵している作品数はおよそ4,000点、この数はパウル・クレーが生涯で生み出した作品の40%に相当するといいます。2005年に開館してから、ベルンの見所のひとつとして脚光を浴びてきました。

波を切り取ったかのような先進的な建物のデザインにも注目です。建物の設計を担当したのはイタリアの建築家である『レンゾ・ピアノ(Renzo Piano)』。ガラスとスチールを多用した洗練されたデザインは、外観のみならず内装にも大きな影響を与えています。自然光が豊富に差し込む館内は明るく、芸術鑑賞にも最適。コンサートホールやレストランも併設されているので、1日過ごすこともできるでしょう。月曜は休館日なので要注意です。

相対性理論が書かれた『アインシュタインハウス』と『熊公園』、ベルンの美食を堪能!

『アインシュタイン・ハウス(Einsteinshaus)』は、20世紀最高の物理学者ともいわれる『アインシュタイン』が1903年〜1905年までの3年間を過ごした場所です。当時はベルンの特許庁に勤務していたというアインシュタインは、この場所で相対性理論を含むいくつかの論文を執筆してきました。2005年から公開された館内では、手記や研究資料が豊富に展示されています。当時の暮らしぶりが伺える館内を、じっくり見学してみてください。

『熊公園(BärenPark)』はベルンのシンボルである熊が飼育されている公園です。2009年に現在の場所に移転してから、より一層の人気を獲得してきました。広々とした空間に暮らす熊たちの自然の姿を見ることができるでしょう。敷地には川から水も流れ込み、時折ですが熊が泳ぐ姿を目撃することもできます。愛らしい熊たちに癒されてみてください。

旅の醍醐味のひとつに地元の美食を食べることが挙げられるでしょう。ベルンでは『ベルナー・プラッテ(Bernerplatte)』がオススメの美食メニューです。肉類を煮込んだ洋風のおでんで、中には牛肉やベーコン、ソーセージや牛タンがたっぷりと詰め込まれています。食べるときは煮汁から出して旨味の詰まった肉をそのまま堪能してください。付け合わせにはジャガイモやザワークラウトがベストです。ベルンの美食をお楽しみください。

魅力の詰まったベルン!世界遺産の街並みをゆったりと

孤高の画家フェルディナント・ホトラー。その故郷であるスイスの首都ベルンの魅力をお伝えしてきました。ユネスコ世界遺産に認定された旧市街をはじめ、街中には魅力的なスポットが点在しています。ベルン大聖堂やパウル・クレー・センターでの豊かな一時を、ぜひお楽しみください。赤茶色が印象的な街の風景は、きっとあなたの旅の思い出に強く残るでしょう。絵画を切り取ったような芸術的な姿を、ぜひあなた自身でご覧ください。

ベルンの玄関口は『ベルン空港(Bern Belp)』です。街の郊外に位置しており、アクセスするにも容易でしょう。また、ベルン中央駅は国内屈指の規模を誇る駅です。ジュネーヴなど、スイスの他の街への移動も快適にできますよ。次回の旅の目的地はベルンに決めてみてはいかがでしょうか?めくるめく新しい出会いが、あなたを待ち受けていますよ。

※本記事はコロナウイルス感染症拡大より以前に執筆・掲載された記事です。

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