ヘント(ベルギー):バッハ演奏の開拓者、フィリップ・ヘレヴェッヘ誕生の地

ベルギーを代表する指揮者であり、バッハ演奏の開拓者とも称される『フィリップ・ヘレヴェッヘ』。活き活きとした音楽の表現は世界的にも高い評価を集め、現在もその活躍が注目される人物です。1970年代に指揮者としての活動を始めてから、脚光を浴び続けてきました。そんなフィリップ・ヘレヴェッへが誕生した街がベルギーの『ヘント』です。世界遺産に認定された鐘楼が印象的な街。フィリップ・ヘレヴェッヘとその故郷ヘントの魅力をお伝えしていきます。

バッハ演奏の開拓者『フィリップ・ヘレヴェッヘ』

(Public Domain /‘Philippe Herreweghe’ by Michiel Hendryckx. Image via WIKIMEDIA COMMONS)

『フィリップ・ヘレヴェッヘ(Philippe Herreweghe)』はベルギーを代表する指揮者として著名な人物です。バッハの研究家たちによって『バッハ演奏の開拓者』と称されており、世界的な賞賛を集め続けてきました。正統なバロック音楽の表現によって、多くの名声を獲得してきたフィリップ・ヘレヴェッヘ。その活き活きとした音楽の表現は、初めて耳にした人の心を揺さぶり、また虜にするでしょう。いくつかの音楽団体の統率者としてその存在感は抜群です。

フィリップ・ヘレヴェッヘは1947年、ベルギーの街ヘントに誕生しました。その家系は医者であったといいます。少年時代には修道会の聖歌隊に所属し、大学では医学部で心理学を専攻。卒業後1970年からは音楽家として、指揮者としての活動をスタートしました。医学を志していた道から一転、音楽家としてのキャリアを始め、輝かしい功績を紡いできたのです。

(Public Domain /‘No. 71 from Johann Sebastian Bach’s St Matthew Passion, BWV 244’ by Johann Sebastian Bach[. Image via WIKIMEDIA COMMONS)

フィリップ・ヘレベェッヘが指揮してきた曲の中でも代表的なものが『マタイ受難曲(Matthäus-Passion)』。キリストの受難をテーマにした壮大な作品です。また、モーツァルトが作曲した『レクイエム(Requiem in d-Moll)』もとりわけ有名といえるでしょう。鮮烈な印象を与える音楽表現はクラシックを普段聞かない人にもオススメできるものばかりです。これからの活躍にも注目が集まる音楽家フィリップ・ヘレベェッヘ。その故郷がベルギーの街『ヘント』です。

フィリップ・ヘレヴェッヘ誕生の街『ヘント』

『ヘント(Gent)』は“ゲント”とも呼ばれる、ベルギーのオースト=ヘレンデン州に属する街です。ベルギーで第3の規模を誇る大都市のひとつ。その華やかな雰囲気から『花の街』と称されることもあります。街中に川が流れ込むヘントの名前は『合流する』という意味。9世紀〜18世紀にかけては、『フランドル伯(Comte de Flandre)』によって支配されていました。中世の後期には織布産業の中心地として発展を遂げ、現在の繁栄した街並みを形成してきたのです。

15世紀にはブルゴーニュ公国の主要都市としての役割も果たしてきたヘントの街。経済的、文化的にも発展を重ね、周辺地域の中心地としての機能も担っていました。また、神聖ローマ皇帝でありカール5世が誕生した場所としても有名です。現在のケントは花や園芸などの農業が盛んにおこなわれている街として、ベルギー中に認知されています。石畳が広がる中世の街並みや歴史的な建造物の豊富さも魅力でしょう。ヘントは観光に最適な、ベルギー屈指の街です。

ヘントの見所

ベルギーで第3の規模を誇る街、ヘントには世界遺産に認定された鐘楼があります。『ベルギーとフランスの鐘楼群(Beffrois de Belgique et de France)』のひとつとして認定されたもので、現在も美しい鐘の音を街中に響かせています。また、『聖バーフ大聖堂』や『フランドル伯の城』、『聖ニコラス教会』などの歴史的な建造物も豊富です。素晴らしい街並みと共に堪能したい名所ばかり。ヘントに散らばる見所を詳しくご紹介していきます。

ベルギーの7大至宝は見逃せない!『聖バーフ大聖堂』

『聖バーフ大聖堂(Sint-Baafskathedraal)』は13世紀〜16世紀にかけて建造された、ローマ・カトリックの教会です。神聖ローマ皇帝カール5世もこの場所で洗礼を受けたといわれています。ロマネスク様式とゴシック様式が混在し、調和した外観は荘厳そのものでしょう。内部では祭壇やいくつもの礼拝堂に注目してみてください。装飾も立派なものです。

中でも脚光を浴びているのが15世紀に制作された『神秘の子羊』という多翼の祭壇画です。別名『ヘントの祭壇画』とも呼ばれ、ベルギーの7大至宝のひとつにも選ばれています。フランドルの画家ファン・エイク兄弟による傑作中の傑作。兄の死後、弟の『ヤン・ファン・エイク(Jan van Eyck)』が完成させた、聖書の場面が描かれた壮大な作品です。聖バーフ大聖堂の外観はもちろん、ベルギーの7大至宝の存在も見逃せないでしょう。

ヘントの中心に佇む『フランドル伯の城』

『フランドル伯の城(Het Gravensteene)』はヘントの街の中心に佇む中世の城砦です。雄大なレイエ川の脇に建てられたお城は、建造された1180年当時の姿を色濃く残しています。窓が少ないその見た目から堅牢さが想像できるでしょう。館内は博物館として公開されており、城の辿った歴史や拷問器具、ギロチン台などがまじまじと展示されています。かつての見張り台からは街の景色が一望できますので、ぜひ足を運んでみてくださいね。

世界遺産認定の『鐘楼と繊維ホール』

『鐘楼と繊維ホール(Belfort en Lakenhalle)』はヘントの街を代表するランドマーク。高さが際立つ鐘楼の高さはなんと91mにもなるのだとか。鐘楼が完成を見たのは1380年のことです。また、頂上には黄金の龍が鎮座し、街の姿を見守っています。鐘楼にはエレベーターで登ることができ、ヘントの街並みを一望することもできますよ。また、鐘楼下にある繊維ホールは15世紀に建てられたものです。静かな存在感を放つ建物は、街の繁栄を支えた羊毛産業の名残を今に伝える場所。鐘楼と合わせてぜひとも訪れてみてください。

石造りが印象的な『聖ニコラス教会』と『市庁舎』、名物の『ワーテルゾーイ』を堪能!

『聖ニコラス教会(St. Niklaaskerk)』はスペルテ・ゴシック様式の教会です。青みがかった石を多用した石造りの教会で、堂々とした佇まいはまるで大聖堂かのようです。11世紀に建造された後、13世紀にかけて再建造。アーチ型の窓と柔らかい印象の尖塔が、穏やかな雰囲気を生み出しています。内部に設置されたパイプオルガンとステンドグラスも美しいものです。脇にはトラムが通り街に溶け込んだ教会は、必見の見所のひとつといえます。

『市庁舎(Stadhuis)』は、街の市庁舎とは思えないくらいの威風堂々とした佇まいが特徴的な建物です。内部鑑賞するにはツアーへの参加が必要ですが、その価値は大いにあるでしょう。ゴシック様式とルネサンス様式が入り混じった姿は壮観です。16世紀からの長い歴史を紡いできた市庁舎は、街の暮らしを支える重要な施設。隅々まで必見の場所です。

ヘントの名物といえるのが『ワーテルゾーイ(Waterzooï)』です。ベルギーの郷土料理のひとつですが、その発祥といわれるのがヘントの街。肉を茹でた後、その煮汁にクリームと卵黄を加えた仕立てた料理です。肉の代わりに白身の魚を用いることもあるのだとか。淡白な肉や魚と、クリーミーで濃厚なソースは好相性。白ワインと一緒に頬張れば、その味わいは至福といえます。ヘントを訪れたらワーテルゾーイは絶対に外せない名物ですよ。

見所満載のヘントを堪能!今度の旅の目的地はぜひココに

ベルギーを代表する指揮者であり、バッハ演奏の開拓者であるフィリップ・ヘレベェッヘの故郷ヘントの魅力を、まとめてお伝えしてきました。大聖堂やお城、世界遺産にも認定されている鐘楼の存在は、滞在を彩るハイライトでしょう。滞在を通してそのほかの魅力も知ることができるはずです。今回の記事で紹介しきれなかったヘントの魅力は、ぜひあなた自身で探し出してみてください。人生を彩る印象的な1ページになるはずです。

ヘントへのアクセスは、ベルギーの首都である『ブリュッセル(Brussels)』から電車でおよそ30分です。近郊の街『ブルージュ』や『アントワープ』にも近く、周遊の予定に組み込むのもよいでしょう。ベルギーの魅力を堪能する初めの一歩としてヘントを選んでみるのもよいかもしれません。魅力満載のヘントの滞在は、きっとあなたに強い印象を残すはずです。パスポートを用意して、次回の旅ではヘントを訪れてみてはいかがでしょうか?

※本記事はコロナウイルス感染症拡大より以前に執筆・掲載された記事です。

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