シュトゥットガルト(ドイツ):ドイツの哲学者、ヘーゲルの出身地

ドイツを代表する偉大な哲学者『ヘーゲル』。17世紀〜18世紀初頭を代表する哲学者の一人であり、後世にも色濃い影響を与えた人物です。哲学史の中では難解といわれるヘーゲルの哲学論は、この先も普遍的な真実を私たちに教えてくれるでしょう。そんなヘーゲルの出身地が現在ドイツに属する街「シュトゥットガルト」です。かつてはヴュルテンベルク公国の首都であった街。ヘーゲルとシュトゥットガルトの魅力をお伝えしていきます。

ドイツの哲学者『ヘーゲル』

『ゲオルク・ヴィルヘルム・フリードリヒ・ヘーゲル(Georg Wilhelm Friedrich Hegel)』は17世紀〜18世紀初頭を代表するドイツの哲学者です。主にドイツ語圏で展開された哲学思想『ドイツ観念論(Deutscher Idealismus)』を代表する思想家であるヘーゲル。その目覚ましい功績は、当時はもちろん、後世の哲学論にも大きな影響を与えてきました。哲学史上難解といわれるヘーゲルの哲学論。現在も多くの人々がその理解に熱を注いでいます。

1770年、当時はヴュルテンベルク公国の首都であったシュトゥットガルトに誕生したヘーゲル。入学したテュービンゲン大学では寮生活を送りながら神学や哲学の勉強に勤しんでいました。大学卒業後は家庭教師の仕事をはじめ、大学の講師などにも就任。1807年に初めての著書を刊行しています。その後大学教授や新聞の編集者、教育機関の校長などの職を歴任するも1831年にコレラで急逝。その思想はいくつかの著作にまとめられています。

(Public Domain /‘Hegel with his Berlin students Sketch’ by Franz Kugler. Image via WIKIMEDIA COMMONS)

1821年に刊行された『法の哲学(Grundlinien der Philosophie des Rechts)』は政治哲学や法哲学について書かれた、ヘーゲルの代表的な作品のひとつです。また、没後はヘーゲルの講義を受けていた教え子たちのノートを基にいくつもの本が出版されました。ヘーゲルの哲学論は現代まで確かに受け継がれています。「あらゆる現実は歴史的な過程だ」など、名言もさまざま残されています。ヘーゲルの説いた教えは、今後も世界で学ばれ続けるでしょう。

ドイツを代表する哲学者であるヘーゲル。そんな彼の出身地がドイツ南西部に位置する街『シュトゥットガルト』です。次章からシュトゥットガルトの魅力を紹介していきます。

ヘーゲルの生まれた街『シュトゥットガルト』

『シュトゥットガルト(Stuttgart)』はバーデン=ヴュルテンベルク州の州都。ドイツの南西部に位置する街は、地域一帯の中心地として発展を遂げてきました。ポルシェやダイムラーなど、世界に名だたる自動車メーカーの本社があることでも有名。シュトゥットガルトの紋章は、ポルシェやフェラーリの特徴的な『跳ね馬』の紋章のベースにもなっています。地域一帯の文化経済の中心地であるシュトゥットガルトは国内屈指の工業都市です。

街の歴史の始まりは13世紀に与えられた都市特権から。その後徐々に発展を重ねていくも17世紀には荒廃した時代を経験。19世紀にヴェルテンベルク公国の首都の役割を担ってからは、再度の繁栄を重ねてきました。現在のシュトゥットガルトは博物館や美術館、音楽にまつわる施設が充実している、芸術都市の様相を呈しています。

9月〜10月に開催されるビールの祭典『カンシュタッター・フェルクス・フェスト(Cannstatter Volksfest)』はドイツで2番目の規模を誇る収穫祭。ビールの他、ワインも種類豊富に用意されており、さまざまな味の違いを堪能できるでしょう。栄光ある歴史から繁栄を遂げてきた街シュトゥットガルト。豊かな街の見所は、滞在を彩ってくれます。

シュトゥットガルトの見所

芸術の街としての存在感を放つ街。ドイツ南西部の代表都市としての脚光を浴びるシュトゥットガルトには、魅力的な見所が点在しています。街の中心地『宮殿広場』にある2つの宮殿『旧宮殿』と『新宮殿』。中世から現代まで、幅広い美術作品を展示した『州立美術館』や、世界的な自動車メーカーであるポルシェやメルセデス・ベンツの博物館も見逃せません。滞在の目玉といえる数々。ここからはシュトゥットガルトの見所を紹介します。

2つの宮殿が佇む街のランドマーク『宮殿広場』

『宮殿広場(Schlossplatz)』はシュトゥットガルトの街の中心に位置する広場です。2つの噴水や石柱が生み出す煌びやかな風景は壮観。周囲には歴史的な建造物が所狭しと軒を連ねています。

中でも『旧宮殿(Altes Schloss)』は注目を集める建物のひとつ。円形の塔とベージュの外壁、赤い屋根が印象的な旧宮殿は、10世紀に城塞として造られた建物です。14世紀には王家の居城としての機能を果たしていました。色褪せた外壁は時代を重ねた古城の様相。現在は、州立博物館として一般に公開されています。先史時代の品の他、王家の宝物などのコレクションも展示。とりわけ時計の展示は目を見張るほどの充実ぶりです。

対して『新宮殿(Neues Schloss Stuttgart)』は現在州の庁舎として使用されている建物です。残念ながら内部鑑賞をすることはできませんが、その姿はぜひ目にしておきたいところ。バロック様式の重厚な建物は世界対戦時に崩壊したものを再建したものです。コの字型の新宮殿は圧倒的な存在感を放っています。夜にはライトアップもされ幻想的な一面を覗かせてくれるでしょう。宮殿広場を飾る2つの宮殿は、街を訪れたら必見といえます。

14世紀〜現代までの芸術作品を展示した『州立美術館』

『州立美術館(Staatsgalerie Stuttgart)』は14世紀の中世〜現代までの芸術作品を幅広く展示した美術館です。旧館と新館に分かれた施設内では、時代ごとの芸術を堪能することができるでしょう。1983年に造られた旧館では1300年〜1550年までのドイツ絵画をはじめとして、1900年までの作品が展示されています。中世絵画や貴重なデッサンなど見所は尽きないでしょう。それぞれの年代で異なる芸術様式を如実に知ることができるはずです。

もう一方の新館は、1984年にイギリスの建築家『ジェームズ・スターリング(James Frazer Stirling)』によって設計された建物です。20世紀の芸術作品を中心に所蔵しています。ドイツ最大級の『パブロ・ピカソ(Pablo Picasso)』のコレクションや、スペインの画家『ジョアン・ミロ(Joan Miró)』、シュルレアリスムを代表する画家『サルバドール・ダリ(Salvador Dalí)』など傑作揃い。芸術鑑賞で豊かな時間をお過ごしください。

『ポルシェ』と『ベンツ』2つの博物館で自動車の歴史を知る

『ポルシェ博物館(Porsche Museum)』は2009年に開館した施設です。ポルシェは世界に名だたる高級車メーカー。1931年からの歴史を誇るその優雅な変遷を、目で見て肌で感じて知ることができます。上層階から時代の流れを追体験できるような仕組みは、ポルシェファンならずとも必見でしょう。解説は英語とドイツ語の2ヶ国語表記です。アンティークカーからスポーツカーまで、貴重な車の数々は必見ですよ。

『メルセデス・ベンツ博物館(Mercedes-benz Museum)』は2006年にオープンしたメルセデス・ベンツのための博物館です。館内は9つのフロアに分かれており、ポルシェ博物館同様に時代ごとのベンツの変遷を知ることができます。製造技術に関する解説も充実。カーマニアも納得の内容でしょう。およそ150台の車の展示と、1,500にもなる展示品の数々は見逃せません。ショップでミニカーなどのお土産を探してみるのも、オススメですよ。

街で最古の『シュティフト教会』と名産のワインを堪能できる『ワイン醸造博物館』

『シュティフト教会(Stiftskirche)』は10世紀に建造された由緒ある教会です。1321年から、およそ100年の歳月をかけてゴシック様式に再建造されました。赤い三角屋根が印象的な教会は、時代の流れを感じさせないモダンな造り。シラー広場に隣接した、街で最古かつ最大の教会です。内部のステンドグラスも神秘的で美しいもの。穏やかな気持ちをもたらしてくれる静かな時間を、ぜひこの場所でお過ごしください。

『ワイン醸造博物館(Weinbaumuseum Stuttgart)』は、ワインの街としても有名なシュトゥットガルトの見所のひとつです。『ヴュルテンべルクワイン(Württemberg)』と呼ばれる名産のワインはとりわけ赤ワインの種類が豊富。博物館内では、12に分かれたブースでワインの歴史や醸造方法などを学ぶことができますよ。100年以上前のワインの樽や木彫りの人形など、幅広い展示品の数々にも注目でしょう。2階にはワインバーも併設されていますよ。

ドイツ南西部の中心地、シュトゥットガルトの魅力を謳歌!

ドイツを代表する哲学者ヘーゲル。その出身地であるシュトゥットガルトの魅力をご紹介してきました。博物館や美術館などが豊富な芸術都市の様相を呈する街は必見。歴史を重ねた雰囲気ある建物も豊富に立ち並び、散策をするだけで心を潤すことができるでしょう。今回ご紹介してきた2つの宮殿や美術館、世界的な自動車メーカーであるポルシェとベンツの歴史も、ぜひ学びに訪れてみてはいかがでしょうか。

『シュトゥットガルト空港(Flughafen Stuttgart)』は街の中心地から南へおよそ13kmの距離にある空の玄関口です。近郊の大都市『フランクフルト(Frankfurt)』からは電車でおよそ1時間半の距離。日帰りで訪れることも十分に可能でしょう。地域一帯の発展を牽引してきた工業都市。魅力的な側面を多く擁するシュトゥットガルト。次回の旅の目的地は、ぜひこの場所に定めてみてはいかがでしょうか?印象に残る滞在を、お約束します。

※本記事はコロナウイルス感染症拡大より以前に執筆・掲載された記事です。

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