ケルン(ドイツ):超現実主義を代表する芸術家、マックス・エルンストゆかりの街

非現実的な作風が特徴の芸術家『マックス・エルンスト』。超現実主義の筆頭に挙がる人物であり、20世紀を代表する芸術家の一人です。作品から受ける不可思議な感覚は、初めて目にした人の心を独特の世界へ誘うでしょう。そんなマックス・エルンストゆかりの街が、ドイツで第4の規模を誇る街『ケルン』です。ユネスコ世界遺産に認定された大聖堂をシンボルとして擁する観光都市。マックス・エルンストとケルンの魅力を紹介します。

超現実主義を代表する芸術家『マックス・エルンスト』

(Public Domain /‘Cover of Répétitions’ by Paul Éluard. Image via WIKIMEDIA COMMONS)

『マックス・エルンスト(Max Ernst)』は、20世紀を代表するドイツ出身の画家であり彫刻家です。“シュルレアリスム”とも呼ばれる『超現実主義』を代表する人物でもあり、その知名度は世界的にも高いもの。まるで夢の中の世界へと誘われるような独特の作品の数々は、多くの人々を魅了しています。フロッタージュやコラージュなどを使用した、幅広い技法を駆使していたことも、マックス・エルンストの大きな特徴のひとつでしょう。

マックス・エルンストは1891年、ドイツの大都市ケルン近郊のブリュールに誕生しました。同じくドイツにあるボン大学では哲学や美術史を専攻し、学びを深めていきました。画家を志したキッカケは、ケルンで目にした『フィンセント・ファン・ゴッホ』の作品との出会いだといいます。フランスのパリやアメリカでの生活も経験し、1948年にはアメリカ国籍も取得しました。晩年はパリで時間を過ごし、多くの作品を制作したといいます。

(Public Domain /‘The Elephant Celebes’ by Max Ernst. Image via WIKIMEDIA COMMONS)

『セレベスの象(Elephant Celebes)』はマックス・エルンストが1921年に制作した作品です。トウモロコシの倉庫をモチーフにした巨象が印象に残る代表作のひとつとなっています。『ナイチンゲールに脅かされる2人の子供(Two Children are Threatened by a Nightingale)』は、1924年に制作された作品です。ウグイスの1種であるナイチンゲールと2人の子供が生み出す非現実的な空間描写は独特。オレンジの小屋と水色の空のコントラストも印象的です。

超現実主義を代表する画家マックス・エルンスト。彼が生まれたブリュールの近郊に位置し、また画家を志すキッカケとなった場所が、ドイツ第4の街『ケルン』です。

マックス・エルンストゆかりの街『ケルン』

『ケルン(Köln)』はドイツ西部に位置するノルトライン=ヴァストレン州に属する街です。街の規模はドイツで4番目のもので、ヨーロッパでも屈指の大きさを誇っています。街中にあるケルン大学はヨーロッパで最古の歴史を誇る学校のひとつであり、その影響からケルンは多くの学生が住んでいることでも有名です。また、30以上の博物館と100以上の美術館を持つ芸術の都としての側面もあります。ケルンは豊かな文化も自慢の街なのです。

ケルンの歴史の始まりは紀元前39年にまで遡ります。ゲルマニア人がケルンの土地に入植したことが、そのキッカケです。462年までは周辺地域の軍の司令部が置かれ地域の中心的な役割を担っていました。4世紀にはキリスト教の司教座が置かれ、8世紀には大司教座が設置されたことも、ケルンを語るうえでは外せない史実でしょう。東西ヨーロッパを結ぶ重要な交易路として発展を重ねてきた街。ケルンの持つ魅力は歴史以上に深いものです。

ケルンの見所

ケルンは世界大戦時におよそ9割の建物が壊されてしまった悲しい過去があります。しかし、現在の街並みはその後の見事な復興を遂げ、かつての歴史的な街並みが息づく魅力的な姿を披露しています。中でも注目が集まるのは、世界遺産に認定されている街のランドマーク『ケルン大聖堂』や『ホーエンツォエルン橋』、近代美術作品が充実した『ルートヴィヒ美術館』でしょう。伝統ある地ビール『ケルシュ』も絶対に外せない名物ですよ。

ユネスコ世界遺産に認定!ケルンのランドマーク『ケルン大聖堂』

『ケルン大聖堂(Cologne Cathedral)』は、ケルン中央駅からすぐの場所に佇む街のランドマークです。正式な名称は『ザンクト・ペーター・ウント・マリア大聖堂(Dom St. Peter und Maria)』で、ユネスコ世界遺産にも認定されています。現在の大聖堂は1248年〜1880年の632年の歳月を要して建造された3代目です。初代の大聖堂は4世紀に、2代目の大聖堂は818年に完成を見ました。途方もない歴史を経てきた、貴重な建物といえます。

ゴシック様式としては世界でも最大の規模を誇るケルン大聖堂。奥行きは144mにも及び、シンボルである尖塔の高さは157mにもなるといいます。その荘厳たる姿には圧倒されてしまうでしょう。正面玄関に施された細やかな彫刻や、キリストの誕生を予言した東方の3賢者の聖遺物など、見所も豊富です。ドイツ最高峰の画家とも称される『ゲルハルト・リヒター(Gerhard Richter)』が手がけた72色のモザイク柄のステンドグラスも必見ですよ。

また、ケルン大聖堂のシンボルである塔には螺旋階段が設置されており、およそ100mの高さまで登ることができます。階段の総数は533段です。登るには少しの覚悟が必要ですが、頂上から見渡せる360度の街の絶景は思い出に深く残るでしょう。夜にはライトアップもされ、より幻想的な姿を楽しませてくれます。ケルンの中でも、ケルン大聖堂は間違いなく観光のハイライトになるでしょう。ゆっくり時間をかけて、堪能してみてください。

ケルン大聖堂と合わせて訪れたい!愛の南京錠『ホーエンツォエルン橋』

『ホーエンツォエルン橋(Hohenzollernbrücke)』は、ケルン大聖堂の正面に位置する大橋です。大聖堂とセットでの写真撮影はお忘れないように!また、ホーエンツォエルン橋は『愛の南京錠』と呼ばれる恋愛のパワースポットとしても有名です。名前と記念日を書いた南京錠を橋にかけ、鍵は下を流れるライン川へと放り投げます。こうすることで永遠の愛を誓うことができるのだとか。ケルンを訪れるときは恋人と一緒がオススメですよ。

ケルンで珠玉の現代美術を堪能!『ルートヴィヒ美術館』

『ルートヴィヒ美術館(Museum Ludwig)』は、ライン地方の実業家であるルートヴィヒ夫妻からの寄贈品を基に構成された美術館です。ケルン大聖堂の裏手に位置する美術館は1976年に創設されました。近代芸術を主に所蔵したルートヴィヒ美術館では、アメリカのポップ・アートのパイオニアである『アンディ・ウォーホル(Andy Warhol)』や『ロイ・リキテンスタイン(Roy Lichtenstein)』などの珠玉の名作を、幅広く展示しています。

また、キュビズムの創始者である『パブロ・ピカソ(Pablo Picasso)』のコレクションはヨーロッパで最大級のものです。絵画に限らずお皿に装飾が施されたものなど、貴重な作品を目にすることもできるでしょう。そのほか20世紀〜21世紀の現代美術、バウハウスやアヴァンギャルドなどの展示品の数々にも注目です。期間限定で開催される企画展も楽しむことができるでしょう。ケルンでの芸術鑑賞なら、ルートヴィヒ美術館で決まりです。

ケルンの街を川下り、香水の博物館と伝統のケルシュも見逃せない!

『ライン川(Rhein)』はドイツ発展の基礎となった雄大な川です。ドイツ人から『父なる川』と呼ばれているライン川は、ケルンの街を貫くように流れています。そこでオススメしたいのがライン川の川下りです。1時間ほどのクルーズで、ケルンの美しい街並みを堪能することができるでしょう。英語やドイツ語によるガイド放送に耳を傾ければ、街の歴史や特徴もより深く知ることもできますよ。穏やかな川の流れに身を任せてみてください。

『ファリナハウス(Farina Haus)』は、ケルン発祥といわれる香水のための博物館。その原点はイタリアから移住してきた香水職人によって作られたものだといいます。ファリナハウスの1階部分はショップになっており、さまざまな香水を購入することが可能。2階と地下室は香水の博物館になっていて、歴史や製造方法などを知ることができます。博物館内を見学するにはツアーへの参加が必要です。気になる人は事前に要チェックですね。

『ケルシュ(Kölsch)』はケルン伝統の地ビールです。ケルシュの名称を名乗ることができるのはケルンで製造されたもののみ。フルーティな香りとキレのよさが特徴のケルシュは、ケルンを訪れたら絶対に楽しみたい名物です。容量200mlほどの『シュタンゲ(Stange)』と呼ばれる細長いグラスに注いで、地元の人と杯を交わすのも一興ですよ。

歴史と魅力溢れる街、ケルンを旅の目的地に!

超現実主義を代表する芸術家マックス・エルンスト、そのゆかりの街であるケルンの魅力をご紹介してきました。ユネスコ世界遺産に認定されている街のランドマーク、ケルン大聖堂やホーエンツォエルン橋、現代芸術を堪能できるルートヴィヒ美術館など、ケルンの見所は豊富にあります。世界大戦後の見事な復興を遂げた街並みにも同様に注目でしょう。ドイツでも屈指の美しさを誇るケルンに、あなたが恋に落ちるのは必然といえます。

『ケルン・ボン空港(Flughafen Köln/Bonn)』は、ケルンの中心地から南東へおよそ15kmの地点に位置する空からの玄関口です。近郊に位置する街『ボン(Bonn)』へのアクセスも同様に良好です。ケルンと併せて訪れてみるのもよいでしょう。歴史と魅力が溢れる街ケルン。滞在を通して思い出に残る濃密な時間を過ごしてみてはいかがでしょうか。

※本記事はコロナウイルス感染症拡大より以前に執筆・掲載された記事です。

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