マルセイユ(フランス):19世紀の詩人、アルチュール・ランボー最後の地

19世紀を代表するフランスの詩人『アルチュール・ランボー』。『早熟の天才』とも称される稀代の人物です。その人生の中で詩を書いたのはごく限られた期間のみであり、兵士や翻訳家など、職業を転々としていたこともランボーの特徴でしょう。そんなアルチュール・ランボーが生涯を終えた場所が、フランスの『マルセイユ』です。国内最大の港湾都市として注目される街。ランボーとマルセイユの魅力を、詳しくご紹介していきます。

19世紀の詩人『アルチュール・ランボー』

『ジョン・ニコラ・アルチュール・ランボー(Jean Nicolas Arthur Rimbaud)』は1854年生まれ、フランス北東部のシャルルヴィル出身の詩人です。家出を繰り返していたという若い時代を経て、1871年には詩人である『ヴェルレーヌ(Verlaine)』と出会い、愛人関係にまで発展。1871年〜1875年まではランボーの創作期といわれています。ヴェルレーヌとの出会いが、ランボーの天才的な感性の導火線となったことは、間違いない事実でしょう。

しばしば早熟の天才と称されるアルチュール・ランボーが詩を書いたのは、20代前半までのごく限られた期間のみです。兵士や翻訳家などさまざまな職業を転々とし、1886年には武器商人として独立を果たしました。その商売は比較的成功していたといいます。詩をはじめとした幅広い分野で素養を持ち合わせていたことも、ランボーの特徴といえますね。

(Public Domain /‘First folio from the manuscript Les Illuminations’ by Arthur Rimbaud. Image via WIKIMEDIA COMMONS)

1873年に制作された『地獄の季節(Une Saison en enfer)』は、9章からなるアルチュール・ランボーの散文詩です。18歳のときに書かれた作品は、フランス象徴主義の傑作とも称されています。『イリュミナシオン(Illuminations)』は、42編から構成された散文の詩集。ランボーの名前を世界に広めた、代名詞ともいえる作品です。若き時代から才能を発揮してきたアルチュール・ランボー。その生涯を終えた場所が、『マルセイユ』です。

アルチュール・ランボー最後の地『マルセイユ』

『マルセイユ(Marseille)』はフランスで最大の港湾都市です。ブーシュ=デュ=ローヌ県の県庁所在地でもある大きな街。地中海性気候で年間を通して穏やかな気候が続くマルセイユは、観光地としても人気を集めています。マルセイユの起源は紀元前600年頃に築かれた植民地。その後は交易を通して発展を重ねてきました。3世紀にはキリスト教が伝来し、10世紀にはプロヴァンス伯が支配、1481年にフランスに併合された歴史があります。

18世紀には交易を通して再度の発展を遂げてきました。現在は南フランスを代表する貿易や工業の中心地として、繁栄しています。輝くような地中海を望む絶景のロケーションもマルセイユの人気の秘密でしょう。発展を遂げた街並みと圧倒的に雄大な自然。双方の魅力が共存し調和したマルセイユは、フランスで屈指の観光都市でもあるのです。

マルセイユの見所

地球に愛された絶好のロケーションが魅力の街マルセイユ。街中には魅力的な見所が多く点在しています。丘の上に佇む街のシンボル『ノートルダム・ド・ラ・ガルド寺院』や『マルセイユ大聖堂』、近代建築の巨匠が生んだ『ユニテ・ダビタシオン』などはその筆頭でしょう。地中海に浮かぶ『イフ城』や旧港を彩る『大観覧車』、新鮮な魚介の旨味たっぷりのスープ『ブイヤベース』も必食です。マルセイユの見所をご紹介していきます。

街のシンボル『ノートルダム・ド・ラ・ガルド寺院』

『ノートルダム・ド・ラ・ガルド寺院(Basilique De Notre-Dame-De-La-Garde)』は1864年に完成、高さ154mの丘の上に佇むマルセイユのシンボルです。『マルセイユの空の目印』とも呼ばれる寺院の頂上には、高さ11.2mにもなる黄金のマリア像が鎮座しています。地元の人々からは『優しき聖母様』と呼ばれる神々しさを備えた像。堂々とした中にも優しき慈悲深さをたたえた微笑みは、マルセイユを訪れる人々の心を癒してくれています。

白と緑の縞模様が特徴的なノートルダム・ド・ラ・ガルド寺院。地上の聖堂はビサンチン様式で、地下にある納骨堂はロマネスク様式で建造されています。壁や天井を埋め尽くすような一面の金色のモザイク画も必見でしょう。祭壇には銀色の聖母マリアの像が設置され、堂内の雰囲気を統一しています。また、船の模型や絵画が展示された特別な部屋もありますよ。360度の絶景が見渡せる展望スペースで街並みを堪能してみるのもよいですね。

威風堂々の姿でマルセイユの街を見守るノートルダム・ド・ラ・ガルド寺院。マルセイユを訪れたら、真っ先に目が向く建物でしょう。独特の縞模様は思い出を彩ってくれます。

地中海に面した『マルセイユ大聖堂』

『マルセイユ大聖堂(La Cathédrale de la Major)』は地中海に面したジョリエット地区にある建物です。1906年に歴史遺産に認定されました。全長142m、丸みを帯びたドーム天井やアーチ状の窓が連なる外観は、穏やかな印象を街並みに添えています。中央に位置するドームは直径17.2m、高さ70mにもなるというから驚きでしょう。1852年〜1896年にかけて建造された大聖堂は、現在のマルセイユを代表する観光スポットのひとつといえます。

ローマ・ビサンチン様式が生み出す細かい縞模様も、マルセイユ大聖堂の特徴でしょう。床には鮮やかなタイルが敷き詰められ、華やかな空間を演出しています。ノートルダム・ド・ラ・ガルド寺院と共にマルセイユを彩る歴史的な建物。ぜひ訪れてみてくださいね。

三大巨匠の代表作『ユニテ・ダビタシオン』

『ユニテ・ダビタシオン(Unité d’Habitation)』は、近代建築の三大巨匠と呼ばれる建築家『ル・コルビュジェ(Le Corbusier)』が生み出した代表作のひとつです。ル・コルビュジェの作品群で構成された世界遺産のひとつとしても有名な建物。フランスでは『輝く都市(Cité radieuse)』とも称され、人気を博しています。世界各国にいくつかあるユニテ・ダビタシオンの中でも、マルセイユのものは最も高い評価を獲得しているそうですよ。

合計で337戸、8階建てにもなるユニテ・ダビタシオンは現在も住居として使用されています。四角いコンテナが連なったようなコンクリートの外観が特徴的。青や黄、緑の鮮やかな装飾が美しく、目を引きます。3階〜4階部分は1961年からホテルとして使用されており、宿泊することも可能です。7階〜8階には郵便局、屋上にはプールや体育館、保育園までが完備されていますよ。近代建築の傑作は、マルセイユで見逃せない見所の代表です。

地中海に浮かぶ『イフ城』と、旧港の『大観覧車』

『イフ城(Chateau D’if)』は、マルセイユの旧港からおよそ3km沖合に浮かぶ小さな島です。フランソワ1世の命令により、1524年〜1531年にかけて建造されました。その元々の役割は、マルセイユの港を守るための要塞です。断崖絶壁のロケーションから、1540年〜1914年までは監獄としても利用されてきました。1890年からは観光用としても開放されています。マルセイユの旧港から定期的に船が出ていますので、ぜひ訪れてみてください。

『マルセイユ旧港の大観覧車(Grand Wheel of Marseille Old Port)』は、マルセイユ旧港の人気スポット。頂上は高さ42mにもなります。この大観覧車の特徴はガラス張りのゴンドラではなく、バスケット形状のゴンドラであることでしょう。肌で風の流れを感じながら、マルセイユの街並みを堪能することができますよ。夜の幻想的な風景は一見の価値ありです。旧港はマーケットも並ぶ人気のスポット!グルメも一緒に楽しんでくださいね。

魚介の旨味たっぷり!名物『ブイヤベース』

地中海に面したマルセイユの名物は、海の幸をふんだんに使った『ブイヤベース(Bouillabaisse)』です。新鮮な魚介類をタマネギやジャガイモ、サフランと一緒に煮込んだ贅沢なスープ。『ルイユ(Rouille)』と呼ばれるニンニクのソースを溶かしていただくのが食通の楽しみ方です。魚介の旨味がたっぷりと詰まったブイヤベースは、贅沢な時間を演出してくれるはず。ひと口ごとに旨味が広がる至福の味わいは、必食といえます。

雄大な地中海に愛された街、マルセイユの魅力を堪能!

19世紀のフランスの詩人アルチュール・ランボー。その最後の地であるマルセイユの魅力をご紹介してきました。輝くように美しいマルセイユの街並みは、一目見た瞬間に恋に落ちてしまうはずです。ノートルダム・ド・ラ・ガルド寺院やマルセイユ大聖堂、近代建築の巨匠の代表作であるユニテ・ダビタシオンなどは、見逃せない見所。鮮やかなオレンジ色の街並みはフランスでも屈指の美しさです。心が虜になることは間違いないでしょう。

『マルセイユ・プロヴァンス空港(Aéroport de Marseille-Provence)』は、マルセイユの中心から27kmの地点に位置している空港です。マルセイユの街までは、20分ごとにバスが発着しています。アクセスも簡単にできるでしょう。たくさんの魅力が宿ったマルセイユ。パスポートを用意して、ぜひ次回の旅でこの街を訪れてみてはいかがでしょうか?

※本記事はコロナウイルス感染拡大より以前に執筆・掲載された記事です。

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