バレンシア(スペイン):スペインの小説家、ブラスコ・イバニェスの出身地

(Public Domain /‘Vicente Blasco Ibáñez’ by Unknown author. Image via WIKIMEDIA COMMONS)

スペインのバレンシア出身の小説家『ブラスコ・イバニェス』。代表作である『血と砂』などで知られる、世界的に著名な人物です。その作品は幾度も映画化され、注目を集めてきました。そんなブラスコ・イバニェスの出身地が、スペインで3番目の規模を誇る街『バレンシア』です。地中海西部で最大の港を備える港湾都市であり、世界遺産も持つ国内屈指の観光都市。スペインを代表する小説家ブラスコ・イバニェスとバレンシアの魅力を、ご紹介していきます。

スペインを代表する小説家『ブラスコ・イバニェス』

『ビセンテ・ブラスコ・イバニェス(Vicente Blasco Ibáñez)』は1867年生まれ、スペインのバレンシア出身の小説家です。闘牛を題材に書かれた作品『血と砂』は、世界的に知られるベストセラー。時代を経ても色褪せない魅力を持った、ブラスコ・イバニェスの代表作です。映画化もされ、多くの人々に愛されてきました。活動初期には、出身地であるバレンシアを舞台にした作品が多いことでも有名です。自らの故郷を、心から愛していたのでしょう。

大学を卒業してからは。法学士として活躍していたブラスコ・イバニェス。その後は政治家としての活動をスタートし、同時に論文や小説の執筆も手がけていきました。スペイン国内ではもちろん、その知名度は海外にも及んでおり、アメリカ各地での講演実績のほか、ジョージ・ワシントン大学からは名誉文学博士の称号を授与されています。バレンシア州の国会議員にも選ばれるほどの影響力のほか、小説家としての功績も目を見張るものだといえるでしょう。

(Public Domain /‘Vicente Blasco Ibáñez in 1919’ by Unknown author. Image via WIKIMEDIA COMMONS)

闘牛士の栄光と苦しみを綴った代表作である『血と砂(Sangre y arena)』のほか、1916年に出版された『黙示録の四騎士(Los cuatro jinetes del Apocalipsis)』も、代表作として有名です。歴史に翻弄される家族の姿を描いた作品は、200版を超える増版を記録した傑作。『聖書以外で最も読まれた作品』とも称されているほどです。歴史に残る偉大な小説家ブラスコ・イバニェス。その出身地であり生涯に及んで愛した土地が、スペイン東部の『バレンシア』です。

ブラスコ・イバニェスの出身地『バレンシア』

『バレンシア(València)』はスペイン東部に位置するバレンシア州の州都です。人口数はおよそ80万人。その規模はマドリードやバルセロナに次いでスペインで第3位です。地中海性気候で年間を通して温暖な気候が続くバレンシア。冬の気温の高さはヨーロッパでも屈指のものだといいます。観光地としても最適の場所でしょう。また、『ファジェス(Falles)』と呼ばれる火祭りは、スペインの3大祭りとして有名です。世界から多くの人々が訪れるのも納得でしょう。

バレンシア湾に面している港湾都市。バレンシアの起源は、紀元前138年頃に建造されたローマ人の集落です。帝国の首都とも呼ばれたこの土地は、1世紀の半ばにかけて大きく成長したものの、3世紀には衰退を経験しました。その後、15世紀には経済の発展を背景に文化や芸術が見事に開花。この時代はバレンシア黄金時代ともいわれています。1982年にはバレンシア州が設置され州都に認定。地中海西部で最大の港を要する港湾都市として、注目を集めているのです。

バレンシアの見所

華やかな港湾都市としての側面を持ち、スペインで最古の大学『バレンシア大学』や、サッカーチーム『バレンシアCF』の活躍も注目されるバレンシア。太陽が似合う鮮やかな街並みは、世界から多くの観光客を引き寄せています。さまざまな建築様式が混在した『バレンシア大聖堂』や、近年注目を集める複合施設『芸術科学都市』、世界遺産に認定されている『ラ・ロンハ・デ・ラ・サダ』などは、見逃せない名所でしょう。バレンシアの見所をご紹介します。

バレンシアのランドマーク『バレンシア大聖堂』

『バレンシア大聖堂(Valencia Cathedral)』は1262年から数世紀にかけて建造された街のランドマークです。バレンシアを訪れたら、この大聖堂を見ずして帰ることはできないでしょう。旧市街の中心にあるバレンシア大聖堂は、3つの門があることで有名です。13世紀に建造されたローマ様式の『パラウの門』、14世紀に建造されたゴシック様式の『使徒の門』、18世紀に建造されたバロック様式の『鉄の門』の3種類。それぞれに異なる装飾には要注目です。

バレンシア大聖堂には、キリストが最後の晩餐で使用したといわれる『聖杯』が収められています。収められている部屋のステンドグラスには、その姿も描かれていますよ。その他、タイルの装飾なども特筆すべき美しさです。また、高さ51mにもなる『ミゲレテの塔』も忘れてはいけません。頂上まで登ることができ、バレンシアの街並みが一望できますよ。階段の数は207段です。登る前に覚悟が必要な高さですが、頂上からの景色が疲れを癒してくれるはずです。

新しい観光名所『芸術科学都市』

『芸術科学都市(Ciudad de las Artes y las Ciencias)』はオペラハウスや水族館など、幅広いジャンルの建物が集まった複合施設です。バレンシア出身の建築家『サンティアゴ・カラトラバ』と、マドリード出身の建築家『フェリックス・キャンデラ』によって、設計されました。

『レミスフェリック』は、人の目を模した建物です。プラネタリウムやレーザーを使用したショーが開催される施設。芸術科学都市の中でも、その独特の外観から人気を集めていますよ。

『パラウ・デ・レス・アルツ』は近代的なデザインが目を引く、流線型の建物です。4つのホールを要するオペラハウスとして、バレンシアの芸術の聖地として役割を果たしています。『オセアノ・グラフィック』は地中海や太平洋、北極に至るまで世界中の海洋生物の姿を見ることができる水族館です。水槽を眺めながら食事をすることができるレストランも設置されていますよ。映画の舞台にもなったという新しい観光名所。ぜひ訪れてみてはいかがでしょうか?

ユネスコ世界遺産に認定!『ラ・ロンハ・デ・ラ・サダ』

『ラ・ロンハ・デ・ラ・サダ(La Lonja de la Seda)』は1548年に完成を遂げた、バレンシアの歴史的な資産です。古城のような見た目を持つラ・ロンハ・デ・ラ・サダは、かつては絹の取引所として使用されていました。バレンシア商業の中心地のひとつともいえるでしょう。大広場が3つ並んだ『柱のサロン』や、礼拝堂や牢獄が設置されている『塔』など、内部の見所も豊富です。当時の繁栄を想起させるゴシック様式の建物は、バレンシアでも屈指の見所です。

1996年にユネスコ世界遺産に認定されたラ・ロンハ・デ・ラ・サダは、バレンシアのマーケットに面しています。『中央市場(Central Market of Valencia)』は面積8,000平方メートルを誇る、モダニズム様式のマーケットです。1928年に創設されてからバレンシアの台所事情を支えてきました。ガラスのドームを要する中央市場は、宮殿のような外観です。野菜や果物、肉類まで何でも揃う市場内で、ドリンク片手にショッピングを楽しんでみてはいかがでしょうか。

芸術鑑賞ならこの場所『バレンシア美術館』

『バレンシア美術館(Museo de Bellas Artes de Valencia)』は、目も醒めるような鮮やかな青色のドーム天井が目印の建物です。バロック様式で建てられた美術館の館内では、バレンシア出身の画家の作品を中心に鑑賞することができますよ。中でも19世紀〜20世紀にかけて活躍した画家『ホアキン・ソロヤ』の作品は充実しています。また、スペインの3大画家と称されるベラスケスやゴヤ、エル・グレコの作品も鑑賞することが可能です。入場も無料でお得ですよ。

バレンシアなら外せない名物『パエリア』

バレンシアの名物といえば『パエリア(Paella)』が有名です。バレンシアが発祥の郷土料理で、スペインを代表する料理としても知られていますね。パエリアは米と野菜、魚介類をたっぷりと詰め込んだ贅沢な炊き込みご飯です。作るときは『パエジェーラ』と呼ばれる、耳付きの専用鍋で炊き上げます。野菜や魚介類、肉類の旨味をたっぷりと吸い込んだパエリアの味わいは、まさしく至福のもの。バレンシアを訪れたら、パエリアを食べないと始まりませんね!

スペインきっての港湾都市、バレンシアで思い出深い滞在を!

スペインを代表する小説家、ブラスコ・イバニェス。その出身地であるバレンシアの魅力をご紹介してきました。歴史を重ねた建造物が連なる反面、新しい近代的なスポットも豊富に揃っています。珠玉の名所が揃うスペインでも、バレンシアは指折りの観光地です。雄大な地中海にバレンシア湾を望む絶景の街。ぜひ、次回の旅の目的地に決めてみてはいかがでしょうか。

バレンシアの玄関口は、『バレンシア空港(Aeropuerto de Valencia)』です。バレンシアの中心街から西へおよそ8kmの地点に位置する空港。地下鉄が運行しており、市街地へのアクセスも簡単にできますよ。主要都市のマドリードへは電車でおよそ2時間の距離、バルセロナまでは電車でおよそ3時間の距離です。せっかくの滞在、スペインのさまざまな魅力を堪能する旅に出かけてみるのもよいかもしれませんね。魅力たっぷりのバレンシアをぜひ訪ねてみてください。

※本記事はコロナウイルス感染拡大より以前に執筆・掲載された記事です。

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