リュブリャナ(スロベニア):近代スロベニア最高の作家、イヴァン・ツァンカルゆかりの街

(Public Domain /‘Ivan Cankar’ by Avgust Berthold. Image via WIKIMEDIA COMMONS)

近代スロベニア最高の作家といわれているのが『イヴァン・ツァンカル』です。明確な方法論を持たない散文を、スロベニア語で初めて芸術の領域にまで高めた人物。自然の美しさや人間の感情を文章に込めたイヴァン・ツァンカルの作品は、大きな支持を集めてきた。そんな偉大な作家ゆかりの街がスロベニアの首都である『リュブリャナ』です。スロベニアを代表する作家イヴァン・ツァンカルとリュブリャナの魅力を、ご紹介します。

近代スロベニア最高の作家『イヴァン・ツァンカル』

作家や劇作家、詩人とさまざまな肩書きを持つ『イヴァン・ツァンカル(Ivan Cankar)』は、近代スロベニアで最高の作家と称されています。かつては、スロベニアの紙幣に肖像が描かれていました。1902年に発表した『丘の上で(Na klancu)』や、1914年に発表した『我が人生(Moje življenje)』など、現在も親しまれている傑作を次々と生み出しています。スロベニア語による散文を、初めて芸術の領域まで高めた人物としても有名ですね。

1876年、現在はスロベニアの首都であるリュブリャナ近郊の街『ヴルフニカ』に誕生したイヴァン・ツァンカル。父親は出稼ぎで稼いでいる職人であり、幼少期のほとんどは兄弟や母親と過ごしたといいます。このときの母親の懸命な姿は、後のイヴァン・ツァンカルの作品に少なくない影響を与えてきました。リュブリャナの高等学校へ進学後からは小説の創作を始め、ウィーン大学に進学してからは文学や哲学に没頭していったといいます。

(Public Domain /‘Ivan Cankar with some female friends in Rožnik Ljubljana’ byUnknown author. Image via WIKIMEDIA COMMONS)

象徴主義や自然主義の考えに触れたイヴァン・ツァンカルは、意欲的に作品を発表していきました。1907年以降は政治的な主張を文章に盛り込み、執筆をおこなっていたといいます。同時にスロベニア各地を回り講演活動もおこなっていました。この活動は当時のオーストリア=ハンガリー領への体制批判とみなされ、2回の監獄生活も経験しています。小説の制作のみならず、幅広く活動の幅を広げてきた人生はまさしく激動といえるでしょう。

自然の美しさや人間の怒りや愛情などの感情を、文章で表現してきた稀代の作家イヴァンツァンカル。そのゆかりの街が、スロベニアの首都である『リュブリャナ』です。

イヴァン・ツァンカルゆかりの街『リュブリャナ』

『リュブリャナ(Ljubljana)』は、中央ヨーロッパに位置する国スロベニアの首都です。スロベニアは交通の要所として発展を重ねてきた国です。その首都であるリュブリャナも、さまざまな文化の影響を受けながら発展を遂げてきました。特に1991年のスロベニア独立後は政治や経済、文化の中心地として注目を集めています。街のシンボルである『リュブリャナドラゴン』は力や勇気の象徴であり、市章や紋章にも姿が描かれています。

リュブリャナの歴史は古く、紀元前2000年頃には近郊の土地に人類が居住していたといわれています。15世紀には芸術の分野で認められ脚光を浴びました。1511年にはルネサンス様式で街が再建され、城壁が街を囲んだといいます。1895年には震災がリュブリャナを襲い、多くの建物が倒壊。その後の再建で街の近代化は加速していきました。現在のリュブリャナは中世の雰囲気が香る街並みが残る、スロベニア屈指の観光都市となっています。

リュブリャナの見所

多種多様な文化の交差点として発展を重ねてきたリュブリャナ。その街並みはオレンジ色の屋根が連なって広がる、美しい景観が特徴です。中でも見所は『リュブリャナ城』や街の中心を流れる『リュブリャニツァ川』にかかる3つの橋、緑色のドーム天井が目印の『聖ニコラス大聖堂』でしょう。また、スロベニアで愛される国民的なビールブランド『ウニオン』の工場も見逃せません。リュブリャナの魅力が詰まった見所を紹介します。

森林に囲まれた『リュブリャナ城』

『リュブリャナ城(Ljubljanski Grad)』は、小高い丘に佇むリュブリャナのランドマークです。1144年に前身の建物が建造されました。現在のお城は16世紀〜17世紀に建てられたものだといいます。森林に囲まれたリュブリャナ城は、さながら丘の上の孤城です。豪華絢爛な王のお城というよりも、街を侵攻から守るための城塞といったほうがよいでしょうか。その歴史は華やかなものだけではなく、刑務所としても利用されていました。

現在のリュブリャナ城はカフェやレストランが設置され、地元民や観光客の憩いの場として愛されています。『バーチャル・ミュージアム』ではリュブリャナ城の歴史や築城の過程を知ることができるでしょう。また、礼拝堂も併設されています。中庭や展望台など、一部のエリアは無料で見学できますよ。展望台から望むリュブリャナの街並みは絶景です。市街地から徒歩なら20分ほど、ケーブルカーならおよそ1分〜2分の距離です。

街の中心を流れる『リュブリャニツァ川』にかかる3つの橋

『リュブリャニツァ川(Ljubljanica)』はリュブリャナの市街地の中心を貫くように流れている川。そこにかかる3つの橋は、リュブリャナ観光で外せない見所として有名です。

『龍の橋(Zmajski most)』はリュブリャナのシンボルである『リュブリャナドラゴン』の銅像が4体置かれた橋です。街で初めての鉄筋コンクリートの橋として、1901年にお披露目されました。完成した当初は『祝賀橋』と呼ばれていたものが、ドラゴンの銅像があることから、いつの間にか『龍の橋』に変わっていったのだといいます。ウィーン分離派の建造物の中でもとりわけ注目されている橋。3つの橋の中でも一番の存在感を放っています。

『肉屋の橋(Mesarski most)』は、『愛の南京錠』と呼ばれる愛のパワースポットとして有名な橋です。橋の欄干には、恋人同士が永遠の愛を誓った南京錠が設置されています。南京錠をかけた後は、その鍵を川に投げることによって、効果を期待できるのだとか。また、2010年に完成した肉屋の橋は、両脇がガラス張りになっており、下を流れる川を眺められるのも特徴です。スロベニアの彫刻家『ヤコヴ・ブルタル』の彫刻にも注目ですよ。

『三本橋(Tromostovoje)』は、リュブリャナの旧市街と新市街を結ぶための橋。その名前の通り、3本の橋が1ヶ所に架けられています。中央の最も大きな橋は1280年に造られたものが火災で焼失、1842年に新しく架けられたものです。両脇の歩行者用の橋は、1932年に新しく設置されました。世にも珍しい3本の橋の共演は、見逃せない人気スポットです。

リュブリャナで最も有名な教会『聖ニコラス大聖堂』

『聖ニコラス大聖堂(Stolnica Sv. Nikolaja)』は、2本の塔と緑色のドーム天井が特徴の教会です。1262年に建てられた教会が元祖のもので、1469年のオスマントルコ軍侵攻の際に焼失してしまいました。現在の建物は1701年〜1706年にかけて、イエズス会の建築家『アンドレア・ポッツォ』によって設計されたものです。最も目を引く外観の緑色のドーム天井は、1841年に設置されました。街に佇むその姿は、まさしく荘厳といえるでしょう。

聖ニコラス大聖堂は入口に設置されている青銅の扉も有名です。内部に足を進める前に、ぜひじっくりと鑑賞してみてください。大聖堂の内部は、白を基調とした豪奢な雰囲気です。細部まで施された金色の装飾は、多くの人々の心を虜にするでしょう。イタリアの画家『ジュリオ・クアーリョ』によって描かれた壁一面のフレスコ画も、圧倒的な美しさをたたえています。目を見張るほどの内装の美しさを、じっくりと堪能してみてください。

スロベニアの国民的ビール『ウニオン』と名物の『カツレツ』を楽しんで

『ウニオン』は、スロベニアを代表する代表的なビールブランドです。『ウニオン・エクスペリエンス(Union Experience)』では、そんなウニオンの歴史や、19世紀〜20世紀に使用されていた醸造用の機械を見学することができます。ガイドツアーは1日に数回おこなわれていますよ。もちろんツアーの最後には出来立てのビールが試飲できます。無濾過で作られたビールは、スッキリしていながらも濃厚な味わい。ココでしか楽しめませんよ!

リュブリャナの名物といえば、『リュブリャナ風カツレツ』です。豚ヒレ肉にハムとチーズを挟んで揚げた、ジューシーな味わいが特徴の料理。サクサクとした食感もその特徴です。シンプルに塩やレモンをつけて食べるのがオススメですよ!リュブリャナのレストランはもちろん、テイクアウト用にも販売されています。気軽に楽しんでみてくださいね。

スロベニアの首都リュブリャナは見所豊富!ぜひ訪れてみてください

スロベニア最高の作家と称される人物イヴァン・ツァンカル。そのゆかりの街であるリュブリャナの魅力や見所を紹介してきました。気になるスポットは見つかったでしょうか?オレンジ色の屋根が演出する街並みは、まさしく中世の雰囲気です。まるでタイムスリップしたかのような不思議な感覚を、あなたにもたらしてくれるはず。リュブリャナ城や聖ニコラス大聖堂、ウニオン・エクスペリエンスなどの見所も、ぜひ訪れてみてください。

リュブリャナの玄関口は、『リュブリャナ空港(Letališče Jožeta Pučnika Ljubljana)』です。市街地からの距離はおよそ25km。空港から市街まではシャトルバスやタクシーの利用がメジャーです。所要時間は25分〜40分ほどですよ。また、隣国であるクロアチアの首都『ザグレブ』へは、電車で2時間半ほどの距離です。併せて訪れてみるのもオススメです。魅力たっぷりのリュブリャナへ、ぜひ次回の旅で向かってみてはいかがでしょうか?

※本記事はコロナウイルス感染拡大より以前に執筆・掲載された記事です。

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