ファドゥーツ(リヒテンシュタイン):オルガン作曲の名手!ラインベルガーの故郷

(Public Domain /‘The picture of German musician Joseph Rheinberger’ by Unknown author. Image via WIKIMEDIA COMMONS)

オルガン奏者であり作曲家として知られている人物が、『ヨーゼフ・ラインベルガー』です。手がけた20のオルガンソナタはとりわけ有名な作品。奏者や作曲家としての活躍以外に、教師としての才能も発揮したことは有名な事実でしょう。そんなラインベルガーの故郷が、世界で6番目に小さい国リヒテンシュタインの首都『ファドゥーツ』です。世界に名だたるオルガン作曲の名手と、その故郷の街の魅力を、たっぷりとお伝えしていきます。

オルガン奏者であり作曲家『ヨーゼフ・ラインベルガー』

『ヨーゼフ・ガブリエル・ラインベルガー(Josef Gabriel Rheinberger)』は、オルガンの奏者であり作曲家、指揮者も務めていた著名な音楽家です。ドイツのベルリン王立芸術アカデミーの名誉賞や、ミュンヘン大学の名誉哲学博士号など、生前から高い評価と名誉を獲得していました。演奏家や作曲家としての功績だけでなく、出身の音楽院で教師や教授を務めた事実も有名です。後世の音楽家の輩出にも、多大な影響を及ぼしているのです。

1839年、リヒテンシュタインの首都であるファドゥーツに誕生したラインベルガーは、5歳の頃から音楽に親しんできました。7歳の頃には、すでに教会のオルガン奏者としての立場を確立していたといいます。作曲もこの頃からおこなっていたというから驚きでしょう!1851年にはミュンヘンの音楽院に入学し、ピアノと音楽理論の勉強を進めていきました。1859年からは母校の音楽院に教師として就任、1867年には教授の地位に就任しています。

ラインベルガーは教師としてもとても優秀、かつ著名で、1877年にはバイエルン王のルートヴィヒ2世によって『宮廷楽長』にも任命されています。宮廷楽長とは、宮廷に属する音楽家の長です。1994年まで、この名誉ある地位に就いていました。そんなラインベルガーの代表作といえば、20に及ぶオルガンソナタが有名です。亡くなる直前まで精力的に作曲もおこなっていたというラインベルガーは、音楽を心の底から愛していたのでしょう。

高い評価と名誉、世界的な知名度を誇る音楽家ヨーゼフ・ラインベルガー。そんな彼の出身地が、中央ヨーロッパの国リヒテンシュタインの首都『ファドゥーツ』です。

世界で6番目に小さい国リヒテンシュタインの首都『ファドゥーツ』

『ファドゥーツ(Vaduz)』は、中央ヨーロッパに位置する国であるリヒテンシュタインの首都です。リヒテンシュタインはスイスとオーストリアの間にある君主制国家で、世界で6番目に小さな国といわれています。面積はおよそ160平方km。美しい切手を発行していることでも有名でしょう。その首都であるファドゥーツは、リヒテンシュタインの中西部に位置しており、スイスとの国境にあります。街の見所は1日あれば見て回れる規模ですよ。

ファドゥーツの起源は13世紀に建造された街にあります。1322年にはお城が建造され、繁栄を重ねてきました。歴史的な契機は17世紀です。リヒテンシュタイン家によって隣接する土地が購入され、領土を拡大していきました。1719年には神聖ローマ皇帝カール6世によって、神聖ローマ帝国の国家に認定。1938年にリヒテンシュタイン公がファドゥーツ城に移り住み、ファドゥーツはリヒテンシュタインの首都として認められた背景があります。

ファドゥーツの見所

穏やかな丘陵地帯とスイスの遥かなアルプスを望む、絶好のロケーションにあるファドゥーツの街。その見所は集中しており、1日もあれば全てを巡ることも可能です。小高い丘に佇む『ファドゥーツ城』や、ラインベルガーがオルガン奏者としてデビューした場所『ファドゥーツ大聖堂』、人気の記念切手を販売している『リヒテンシュタイン・センター』は屈指の見所といえます。ファドゥーツの魅力的な観光スポットをみていきましょう。

ファドゥーツのシンボル『ファドゥーツ城』

『ファドゥーツ城(Vaduz Castle)』は小高い丘の上に佇む、ファドゥーツの街のシンボル的な建物です。12世紀に要塞として建造され、1712年からはリヒテンシュタイン家の所有となっています。現在は第13代公爵である『ハンス・アダム2世』とその家族が公邸として使用しており、残念ながら内部鑑賞はできません。しかし、その雰囲気ある佇まいや外観は、ぜひ近くで鑑賞してみたいものです。市街からは徒歩で20分ほどの距離にあります。

中世の古城といった雰囲気のファドゥーツ城は、丹念に積まれた石が目を引く特徴的な造りです。敷地内には壁の厚さが4mにもなるという塔や、中世の建築である『アンナ礼拝堂』があるといいます。周辺に設置された散策路から、じっくりと鑑賞してみてください。また、ファドゥーツ城は高台に位置しているため、近隣からは街並みが一挙に望めます。雄大なアルプス山脈とお城の姿が見事に溶け込んだ風景は一見の価値がありますよ!

ラインベルガーがオルガン奏者になった場所『ファドゥーツ大聖堂』

『ファドゥーツ大聖堂(Florinskirche in Vaduz)』は1874年に建造された、ネオ・ゴシック様式の教会です。その基礎になったのは中世の教会といわれており、1997年に教区教会から大聖堂へと昇格を遂げました。白を基調とした外観は洗練されています。黒色の屋根と赤と金の文字盤が目を引く時計台も、同様に注目でしょう。正面から見ると見上げるほどの高さです。時計台の全てを写真に収めるのは、少し工夫が必要かもしれませんね。

ファドゥーツ大聖堂の祭壇周りには、鮮やかな色味をたたえるステンドグラスが設置されています。溢れんばかりの陽光に照らされた姿は、息を飲むほどの美しさですよ。また、ファドゥーツ出身のオルガン奏者『ラインベルガー』がデザインしたオルガンにも注目です。ラインベルガーはこの大聖堂で7歳からオルガン奏者として活躍をし始め、12歳までその役割を務めていました。見事な姿のオルガンを目に、静かな時間をお過ごしください。

ファドゥーツの思い出はこの場所で『リヒテンシュタイン・センター』

『リヒテンシュタイン・センター(Liechtenstein Center)』は、ファドゥーツの目抜き通りである『シュテットル通り』に面している建物です。シュテットル通りは長さ500mに及ぶ大通りで、ファドゥーツ観光の中心地です。ファドゥーツを訪れたら、間違いなく立ち寄ることになるでしょう。そこに面するリヒテンシュタイン・センターには、街の地図などが掲載されたパンフレットが設置されています。観光の前に立ち寄ってみてください。

リヒテンシュタイン・センターでは、通常なら押してもらうことのない『入国スタンプ』を押してもらうことができます。これはリヒテンシュタインが隣接するスイスやオーストリアとシェンゲン協定を結んでおり、審査なしで入国することができるためです。有料ですが、旅の記念に押してもらうのもよいでしょう。その他リヒテンシュタインで有名な美しい切手も販売されています。絵葉書を購入して、自分宛てに出すのもオススメですよ。

リヒテンシュタインの歴史を伝える『国立博物館』と、名物の『カスクノーフル』

『リヒテンシュタイン国立博物館(Liechtenstein National Museum)』は2003年にリニューアルオープンを迎えた博物館。42に及ぶ展示室にはリヒテンシュタインにまつわる出土品や伝統的な工芸品が多数展示されています。歴史的な背景や文化の発展について、詳しく知ることができるはずですよ。中には、自然の中に暮らしている動物の剥製の展示もあります。国の歴史や成り立ちを知ることで、滞在を120%楽しむことができるでしょう。

『切手博物館(Briefmarkenmuseum)』は1936年に開館した、リヒテンシュタインの切手のためにある博物館です。1912年に初めて発行された切手からの歴史を、隅々まで知ることができます。充実した切手の他にも、昔に使われていた黄色いポストや切手の自動販売機なども展示されています。世界の切手マニアからの熱視線を集める施設。入場料も無料のため、気軽に訪れることができるでしょう。切手好きならずとも、必見の場所です。

ファドゥーツでぜひ食べてもらいたい名物が『カスクノーフル(Kasknopfle)』です。イタリアでいう『ニョッキ』のような小麦粉を使った料理で、卵が入ったパスタのような味わいです。たっぷりのチーズや揚げたタマネギ、リンゴのソースをかけていただきます。また、リヒテンシュタインではワインが生産されているのですが、その数はとても少なくいため、国外で味わえることは稀です。ファドゥーツでの食事のお供にはワインがオススメですよ。

穏やかな空気が流れる街、ファドゥーツで充実した時間を!

世界でも屈指のオルガン奏者であり作曲家、ヨーゼフ・ラインベルガーの故郷であるファドゥーツの魅力を深く掘り下げてきました。自然豊かで穏やかな空気が流れるリヒテンシュタインの首都には、魅力的な見所がいくつもあります。ファドゥーツ城やファドゥーツ大聖堂、リヒテンシュタイン・センターなど、旅の思い出を彩ってくれる綺羅星のようなスポットの数々。ぜひあなた自身の目と足で、ファドゥーツの魅力を堪能してください。

リヒテンシュタインには空港がありません。それは首都であるファドゥーツも同様です。アクセスするときは、隣国スイス最大の都市『チューリッヒ』から向かいましょう。特急とバスを乗り継いで、所要時間はおよそ2時間です。日帰りで訪れることも十分可能でしょう。ファドゥーツでの時間は、あなたの印象に残る豊かな時間になること間違いなし!雄大な山々に囲まれた自然溢れる国の首都へ、足を伸ばしてみてはいかがでしょうか。

※本記事はコロナウイルス感染拡大より以前に執筆・掲載された記事です。

関連記事一覧