トゥルク(フィンランド):世界的なチェリスト、アルト・ノラスの出身地

(Public Domain /‘Leonskaja-Noras-Kagan’ by Pentti Koskinen / Helsingin Sanomat. Image via WIKIMEDIA COMMONS)

フィンランドのトゥルク出身のチェリスト『アルト・ノラス』。正確無比な演奏技術で世界にその名前を轟かせている、著名な音楽家です。その演奏を一度でも耳にすれば、クラシック音楽の奥深さを知ることができるでしょう。『トゥルク』は、そんなアルト・ノラスの出身地。フィンランドで最古の街としても有名なトゥルクは、さまざまな魅力を備えています。世界的なチェリスト、アルト・ノラスとトゥルクの魅力を、お伝えしていきます。

世界を代表するチェリストの一人『アルト・ノラス』

『アルト・ノラス(Arto Noras)』は、現代を代表するチェリストの一人として著名な人物です。正確かつ緻密な演奏技術で知られるアルト・ノラスの奏でる旋律は、世界中で多くの人々を魅了してきました。また、後進の音楽家の育成に熱心に取り組んでいることでも有名です。

1942年、フィンランドの古都トゥルクに生まれたアルト・ノラスは、8歳の頃からヘルシンキの音楽院でチェロを学んでいきました。その後はパリの音楽院でも研鑽を積み、1964年に卒業。1966年にチャイコフスキー国際コンクールで2位に入賞してから、本格的な音楽活動を始めていきました。

1970年には、母校であるヘルシンキの『シベリウス音楽院』で教授に就任しています。以降は、欧米各地でたくさんの音楽家指導にも情熱を注いできました。音楽祭の創設芸術監督など、さまざまな方面で功績を残してきたアルト・ノラス。その出身地が、フィンランドで最古の歴史を誇る街『トゥルク』です。

アルト・ノラスの出身地『トゥルク』

『トゥルク(Turku)』は、フィンランド南西部に位置する街です。バルト海に面し、アラウ川の河口にあるトゥルクは、港湾都市として発展を重ねてきました。夏と冬の寒暖差が大きいことも特徴です。街中には劇場や映画館などの文化的な施設も多く、観光地としてのスポットも豊富。また、スカンジナビア半島で最古のロック音楽祭『ルイスロック』やトゥルク音楽祭など、音楽にまつわる造詣が深い街としても有名です。

トゥルクの起源は、1229年に設置された司教座(カトリック教の教会)です。ローマ教皇が設置したこの司教座から、トゥルクの歴史は始まりました。トゥルクはフィンランドで最古の街として、1812年にヘルシンキに遷都されるまで、首都の役割も担っていたのです。1840年代の終わりまでは、国内で最大の人口数を誇っていました。中世にはバルト海周辺の街が加盟していた『ハンザ同盟』の主要な街として、繁栄してきたのです。

現在のトゥルクは近隣地域の商業や文化の中心地として、主要な役割を担っています。トゥルク港はフィンランドでも屈指の規模の港として、多くの人々が旅行の起点に利用しています。フィンランドでも屈指の歴史と見所が満載のトゥルク。そんなトゥルクの見所を、次章からご紹介していきます。

フィンランドで最古の教会『トゥルク大聖堂』

『トゥルク大聖堂(Turun Tuomiokirkko)』は、フィンランドで最古の教会です。1300年に建造が完了したトゥルク大聖堂は、フィンランドの国教であるルーテル教の総本山。その歴史上、火災や改装工事でたびたび姿を変えてきた、美しいトゥルクのランドマークです。トゥルク大聖堂は、国内で唯一のバジリカ様式を採用した教会としても知られています。内装は白を基調とした、落ち着いた雰囲気が特徴です。壁や天井に描かれた、キリストやフィンランドに関する歴史上の出来事の描写には、息を飲むでしょう。

また、トゥルク大聖堂の2階には博物館が併設されています。教会の建設から現在までの充実した資料を目にすれば、大聖堂の持つ魅力を一段と堪能することができるでしょう。堂々たる佇まいは必見です。トゥルク大聖堂で、長い歴史に酔いしれてみてはいかがでしょうか?

フィンランドの誇る三大古城『トゥルク城』

『トゥルク城(Turun linna)』は、フィンランドの三大古城のひとつです。要塞が前身になっているというトゥルク城は、こぢんまりとした石造りの建物。スウェーデンがフィンランドを統治している時代に建てられたというお城、歴史を重ねた趣ある佇まいです。

見る角度によって印象がガラリと変わることも、トゥルク城の特徴でしょう。国内では最古の歴史を誇るお城というだけあり、外壁は色褪せた印象です。現在館内は歴史博物館として開放されており、城内は隅々までみて回ることができますよ。トゥルクの辿った歴史を色濃く知るなら、トゥルク城での時間は外せないでしょう。

フィンランドの伝統工芸を体感できる『ルオスタリンマキ手工芸博物館』

『ルオスタリンマキ手工芸博物館(Luostarinmaen Kasityolaismuseo)』は、フィンランドの伝統的な暮らしや文化を現在に伝える、貴重な施設です。小さな村のようになっている博物館の敷地内には、18世紀に建てられた建物がそのままの姿で残されています。

ルオスンタリンマキは、かつてトゥルクの職人たちが集まっていた地域です。金細工や時計職人、印刷屋など、さまざまなジャンルのエキスパートが集っていました。ルオスタリンマキ手工芸博物館は野外にあり、現在も伝わる職人たちの伝統的な手工芸と、暮らしの歴史を垣間見ることができます。

目の前で繰り広げられる職人たちの精巧な手さばきに、思わず感嘆の声が出てしまうでしょう。ひとつひとつの作業に思いの込もった職人の技術の結晶を、この場所で体感してみてください。

ムーミン谷の生活を垣間見る『ムーミンワールド』

『ムーミンワールド(Muumimaailma)』は、フィンランド出身の児童文学作家『トーベ・ヤンソン』が生み出した人気キャラクター『ムーミン』の世界を堪能できる、人気のスポットです。ムーミンハウスやスナフキンの家など、見所も豊富にあり、ムーミンのキャラクターが表情豊かに出迎えてくれます。写真撮影をしたくなるようなシーンの連続でしょう。ココでしか買えない限定のムーミングッズも、たくさん販売されていますよ。

ムーミンランドは、トゥルクからバスでおよそ30分の距離にあります。ナーンタリという地域の小島にあり、バスを降りてから徒歩でおよそ20分かかります。また、オープンしている時期が限られており、例年は6月〜8月の夏場と、2月中の1週間のみなどです。訪れる前には必ず予定を確認してください。ムーミン好きなら訪れておいて損はないでしょう。可愛らしい童話の世界に、あなたもぜひ飛び込んでみてください。

フィンランド名物の『ニシン』を食べるならこの場所で

フィンランド名物として名高い『ニシンの酢漬け(Silakat)』。揚げたニシンを野菜と一緒に酢漬けにしたもので、クセがなくさっぱりとした味わいが特徴です。トゥルクを訪れたら、ぜひ試してみてください。いくらでも食べられてしまいますよ!

ニシンを食べるなら、1896年創業の『マーケット・ホール(Turun Kauppahall)』がおすすめです。赤茶色のレンガが目印のマーケット・ホールは、朝8時からオープンしています。ニシンのほか肉や魚、パンなど多種多様なジャンルの食にまつわるお店が集結していますよ。思いがけない食の魅力に、出会ってしまうかもしれません!

フィンランドの古都トゥルク、ぜひ訪れてみてください

世界に名だたるチェリスト、アルト・ノラスの出身地であるトゥルクの魅力をご紹介してきました。フィンランドで最も長い歴史を持つトゥルクには、同様に長い歴史を持つ見所が豊富にあります。トゥルク大聖堂やトゥルク城、ルオスタリンマキ手工芸博物館など、さまざまなスポットの魅力を、心ゆくまで堪能してみてくださいね。

トゥルクへのアクセスは、フィンランドの首都ヘルシンキから電車かバスを利用するのが一般的です。フィンランドの有名なバス会社である『オンニバス』なら、インターネットからの事前予約でお値打ちに旅することができます。また、電車で訪れてみるのもよいでしょう。どちらにせよ、所要時間はおよそ2時間です。めくるめく旅の過程も楽しんでみてください。たくさんの見所が溢れるトゥルクへ、ぜひ次回の旅で訪れてみてくださいね。

※本記事はコロナウイルス感染拡大より以前に執筆・掲載された記事です。

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