アヴィニョン(フランス):アヴィニョンの画家クロード・ジョセフ・ヴェルネの出身地

“絵画の魔術”と称されるほどの高い技術を持った画家『クロード・ジョセフ・ヴェルネ』。彼の描いた港の風景はとりわけ著名な作品である。息子と孫も同様に画家として活躍していた、画家の家計であることも有名だろう。そんなクロード・ジェセフ・ヴェルネの出身地が、フランスの『アヴィニョン』である。かつては教皇庁が置かれていた歴史的な街。画家クロード・ジェセフ・ヴェルネと、その出身地であるアヴィニョンの魅力を、お伝えしていこう。

アヴィニョンの画家『クロード・ジョセフ・ヴェルネ』

『クロード・ジョセフ・ヴェルネ(Claude Joseph Vernet)』は1714年生まれ、フランスのアヴィニョン出身の画家です。港の風景を描いた作品群がひときわ有名で、“フランスの港”シリーズでは、幻想的なフランスの港の風景を巧みに写しとってきました。“絵画の魔術”とも称されるその確かな技術は、後世の芸術家への影響も色濃いでしょう。生まれた家計は画家のそれであり、父親はもちろん、自身の息子や孫も画家としての活動を生業としてきました。

そんなクロード・ジョセフ・ヴェルネが画家としての手ほどきを受けたのは、やはり画家であった父親からだったといいます。その後は地元であるアヴィニョンの画家のアトリエで学びを深め、プロヴァンス地方の芸術都市“エクス=アン=プロヴァンス”の画家の元で、さらなる修行に励みました。1734年にはイタリアのローマに留学し、およそ20年間にわたって滞在したといいます。1753年には帰国し、国王ルイ15世からも依頼を受けるなどして活躍していきました。

(Public Domain /‘marina di anzio’), Kohlezeichnung’ by Claude Joseph Vernet. Image via WIKIMEDIA COMMONS)

クロード・ジョセフ・ヴェルネの代表作は、1743年のローマ留学中に描かれた『アンツィオの海岸』でしょう。アンツィオの美しい海と傾いた帆船を描いた傑作です。1762年に描かれた『ラ・ロシェル港の眺め』は、連作である“フランスの港”を構成する1枚です。誰しもこの絵を見れば、夕暮れ時の美しい描写に息を飲むことでしょう。“絵画の魔術”とも呼ばれるほどの巧みな表現をした画家クロード・ジョセフ・ヴェルネ。その出身地が、フランス南東部の街『アヴィニョン』です。

クロード・ジョセフ・ヴェルネの出身地『アヴィニョン』

『アヴィニョン(Avignon)』は、フランスの南東部に位置するヴォクリューズ県の県庁所在地です。ローマ帝国時代にはすでに主要都市のひとつであったアヴィニョンは、1309年〜1377年に教皇庁が置かれ、キリスト教界の首都としての役割を担っていました。当時の歴史的建造物が残るアヴィニョンは、“アヴィニョン歴史地区”としてユネスコ世界遺産に認定されており、毎年開催されるという“アヴィニョン演劇祭”には、世界各国からたくさんの観光客が訪れます。

アヴィニョンの街の周囲には、全長4.3kmにもなる城壁が今も残されています。これは14世紀に建造されたもので、中世の雰囲気を残す貴重な資産となっているのです。そのほかアヴィニョンには『教皇宮殿』や世界遺産の『アヴィニョン歴史地区』、フランスの民謡で有名な『サン・ベネゼ橋』があり、非常に人気な観光スポットとして注目を集めています。また、芸術鑑賞に最適な『プティ・パレ美術館』も見逃せないでしょう。では、アヴィニョンの見所を紹介していきます。

教皇が住んだ『教皇宮殿』

『教皇宮殿(Palais des papes d’ Avignon)』は、アヴィニョンに教皇庁があった時代に建造された建物です。1334年〜1352年にかけて建造された教皇宮殿には、歴代の教皇が暮らしてきました。中世ゴシック様式の建物としてはヨーロッパで最大の規模だといわれています。現在の教皇宮殿は博物館として開放されており、じっくりと鑑賞することが可能です。また、毎年開催される“アヴィニョン演劇祭”の舞台にもなっており、多くの人々で賑わいをみせます。

旧宮殿と新宮殿から構成される宮殿内部には、さまざまな部屋が完備されています。枢機卿の会議の間やサン・ジャン礼拝堂、小法廷や大法廷など、各部屋の異なる装飾にも注目でしょう。宮殿内を巡ってみれば、教皇が暮らしていた当時の状況を想像することができますよ。夜にはライトアップもされ、幻想的な雰囲気をたたえます。教皇宮殿はアヴィニョンでも屈指の見所です。ぜひじっくりと時間をかけて、見学してみてください。

ユネスコ世界遺産認定地区『アヴィニョン歴史地区』

1995年にユネスコ世界遺産に認定されたアヴィニョンの歴史地区。その中には前述の“教皇宮殿”も含まれています。歴史地区は教皇庁が置かれていた地域を中心に指定されており、さまざまな歴史的建造物が内包されています。中世の色濃い香りを感じることができるでしょう。

世界遺産指定地区に建てられている『ノートルダム・デ・ダム大聖堂(Cathédrale Notre-Dame des Doms)』は、12世紀半ばに建造されたロマネスク様式の教会です。シンボルになっているのは鐘楼の頂上にある“金色の聖母像”で、1859年に設置されました。白を基調とした外観は落ち着き、洗練を重ねた雰囲気です。内部は石造りが目を引く豪奢な雰囲気が特徴でしょう。ノートルダム・デ・ダム大聖堂も含んだアヴィニョン歴史地区で、散策を楽しんでみてください。

フランスの民謡にも登場する『サン・ベネゼ橋』

『サン・ベネゼ橋(Pont Saint-Beneze)』は、“アヴィニョンの橋”とも呼ばれる有名な橋です。フランスで昔から親しまれている民謡“アヴィニョンの橋の上で”の舞台にもなっています。1185年の完成当時の全長は920mにもなり、幅は4mでした。しかし現在はローヌ川の洪水によって幾度もの崩壊を経験。22あったアーチは4つにまで減り、橋も途中までしかありません。

過去には崩壊のたびに再建されていたようですが、17世紀以降は修復がおこなわれておらず、現在も老朽化が進んでいるのだとか…。にもかかわらず、橋の上には『聖ニコラ礼拝堂』が残されています。老朽化が進んでいても、サン・ベネゼ橋はアヴィニョンの重要なシンボルのひとつでしょう。歴史を感じる佇まいは、ローヌ川の輝きによく映えます。サン・ベネゼ橋と聖ニコラ礼拝堂へ、ぜひ合わせて訪れてみてはいかがでしょうか?

アヴィニョンの芸術鑑賞ならこの場所で『プティ・パレ美術館』

『プティ・パレ美術館(Musee du Petit Palais)』は14世紀に建造された建物で、14世紀〜15世紀には大司教が暮らしを営んでいた場所です。19に及ぶ展示部屋にはアヴィニョン派の作品やイタリアの絵画が充実してコレクションされています。中でもイタリアのフィレンツェ出身の画家『ボッティチェッリ』の“聖母子”は傑作です。そのほか聖人を描いた作品や受胎告知など、聖書の場面を描いた作品が多数所蔵されています。芸術鑑賞ならこの場所で決まりです!

アヴィニョンの名物菓子『パパリン』

『パパリン(Paparin)』はアヴィニョンを代表する名物のお菓子です。パパリンはいわゆる“ボンボン”で、中には60種類の薬草を使った“薬草酒”がたっぷりと包み込まれています。周りにはホワイトチョコレートを使っており、ピンク色に鮮やかにコーティングされています。特徴的な“トゲトゲ”の見た目は、写真映えもバツグンですよ!トロッととろける薬草酒とホワイトチョコレートのハーモニーは至福の味わいです。アヴィニョンの大人の味を、ぜひ堪能ください。

教皇が過ごした歴史的な街、アヴィニョンの魅力を堪能

フランスの画家クロード・ジョセフ・ヴェルネ。その出身地であるアヴィニョンの魅力をご紹介してきました。14世紀には教皇が暮らし、繁栄を謳歌してきたアヴィニョンには、今なお中世の雰囲気が色濃く残っています。教皇宮殿や世界遺産のアヴィニョン歴史地区を散策して、ぜひ歴史の名残を存分に感じてみてください。その居心地のよさにきっと驚くことでしょう。

アヴィニョンへのアクセスは、フランスの首都パリから高速鉄道“TGV”の利用が一般的です。所要時間はおよそ2時間40分。めくるめく電車の旅を楽しむことができるでしょう。到着する『アヴィニョン・セントル駅(Avignon Centre)』は、船体の形状を採用したモダンな空間ですよ。アヴィニョンの市街地からはおよそ2km〜3kmの距離にあります。歴史的な資産が数多く残る街アヴィニョン。ぜひ、次回の旅の目的地に選んでみてはいかがでしょうか?

※本記事はコロナウイルス感染拡大より以前に執筆・掲載された記事です。

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