ブカレスト(ルーマニア):航空力学の先駆者アンリ・コアンダの出身地

世界で初めてのジェット機を開発した人物が『アンリ・コアンダ』である。ルーマニア出身の発明家で、軍隊を除隊してから大学に入学し、航空工学のクラスを主席で卒業した。開発した“コアンダ=1910”が世界に与えたインパクトは、計り知れないものだろう。そんなアンリ・コアンダの出身地が、ルーマニアの首都の『ブカレスト』である。現在のルーマニア成立のキッカケとなった街。アンリ・コアンダとその故郷の魅力を、お伝えしよう。

(Public Domain /‘Henri Conada 1982’ by Andrei Mihai. Image via WIKIMEDIA COMMONS)

航空力学の先駆者『アンリ・コアンダ』

『アンリ・マリ・コアンダ(Henri Marie Coandă)』は1866年生まれ、ルーマニア出身の発明家です。“航空力学の先駆者”と称されるアンリ・コアンダは、1901年に世界初のジェット機である“コアンダ=1910”を発明しました。残念ながら本体は地上での実験中に破損してしまい、空を飛ぶことは叶いませんでしたが、その功績は非常に偉大なものでしょう。1956年には世界初のジェット機の発明者として、ニューヨークで表彰も受けています。

ルーマニアの首都ブカレストに生まれたアンリ・コアンダの父親は、将軍であり数学の教授であったといいます。幼少期から、風の起こす現象に魅了されていたというアンリ・コアンダは軍学校に進学し、曹長として卒業しました。卒業後はベルリン工科大学に進学し、飛行の研究を続けたといいます。ここまでの経歴は、将軍であった父親の影響が色濃いのでしょう。その後はパリにある大学へ進学し、航空工学のクラスを卒業しています。

卒業した1910年、その年にアンリ・コアンダは世界初のジェット機の開発に成功しました。このときの衝撃は計り知れないものだったのでしょう。“コアンダ=1910”の開発に成功してからは、飛行機会社で技術監督を務めています。現代の生活に不可欠ともいえるジェット機。その起源を生み出したアンリ・コアンダの功績は、歴史的にも相当に偉大なものでしょう。そんな偉大な発明者の故郷が、ハンガリーの首都『ブカレスト』なのです。

アンリ・コアンダの出身地『ブカレスト』

ルーマニアは東ヨーロッパに位置する共和制国家です。『ブカレスト(București)』はそんなルーマニア南東部に位置する首都。国内の経済や政治、文化の中心地として発展を遂げてきました。周囲に湖も多く、公園や植物園などもたくさんあるブカレストは、自然豊かな街としても有名です。また、近郊に7つの丘がある“7つの丘の街”としても有名でしょう。東ヨーロッパの中では治安もよく、地下鉄やバスなどの公共交通機関も発達しています。

ブカレストが歴史上その名前を表したのは、1459年の文書上です。1862年にはルーマニアの首都に任命されました。街中には新古典様式〜現代的な建築様式まで、幅広い時代の建物が残されています。散策するだけで、その魅力の虜になることは間違いないでしょう。かつては“小パリ”とも称されていたブカレスト。今も残る旧市街では、石畳が広がる中世の雰囲気を楽しむことができます。タイムスリップしたかのような時間を過ごせますよ。

ブカレストの見所としては、世界で2番目の規模を誇る一大建築物『国民の館』がハイライトです。“独裁者”とも称された『チャウシェスク大統領』によって建造が指示された建物は、アメリカのペンタゴンに次ぐ世界第2位の規模を誇っています。また、ルーマニア革命が起こった舞台である『革命広場』や“小パリ”を象徴する『凱旋門』なども見逃せないでしょう。正面にある彫像がユニークな『国立歴史博物館』も、外せない見所です。

圧倒的な規模を誇る『国民の館』

1984年に建造が開始された『国民の館(Casa Poporului)』は、ブカレストの街を代表するランドマークです。総建築費用1,500億円にもなる豪華絢爛な建物は、アメリカにあるペンタゴンに次いで、世界で2番目の規模を誇る建造物です。ルーマニア革命などで建造は一時中断されたものの、1997年には一旦の完成をみました。しかし、現在も完全な完成にはいたっていないようです。幅275mにもなる圧倒的な規模は見逃せません。

国民の館の部屋の総数は、なんと3,000以上にもなるといいます。目も眩むような数ですが、一般公開されているのはそのうちの一部だとか。これは敷地があまりに広すぎるため、管理ができなくなることが原因といわれています。柱や床、階段など大理石でできた内装は圧巻です。最大のホールである“ユニオン・ホール”の収容人数はなんと2,000人!その規模のホールがいくつもあるということから、その大きさがよくわかります。

内部の見学はガイドツアーに参加する必要があります。自由見学ができないのは残念ですが、お金を払ってでも見学する価値が十分にありますよ。敷地内には美術館も完備されているようです。テラスからの眺めも美しいものですよ。ブカレストのランドマークたる国民の館。すべての場所を回るのは大変ですが、ぜひ隅々まで堪能してみてください。

ルーマニアの歴史のターニングポイント『革命広場』

『革命広場(Piata Revolutiei)』は、1989年に“ルーマニア革命”が起こった場所です。“独裁者”といわれた『チャウシェスク大統領』が最後の演説をした場所で、その後市民や軍隊による革命運動が激化し、チャウシェスク大統領の独裁は終わりを告げました。最後の演説をおこなった旧共産党本部のビルはもちろん、革命時に亡くなったたくさんの人々の死を尊ぶための慰霊碑や、犠牲者の名前が刻まれた石碑なども広場内に設置されています。

また、革命広場の周辺には1722年に建造された『クレツレスク教会』や、レンブラントやルーベンスなどの著名な画家の作品を所蔵した『国立美術館』。

白と黒のコントラストが美しい『大学図書館』など、見所となる建物が豊富にあります。観光のスポットとしても有名でしょう。ルーマニアの歴史のターニングポイントを、ぜひ訪れてみてください。

“小パリ”を象徴する『凱旋門』

『凱旋門(Arcul de Triumf)』は、ブカレストの北部にある美しい“小パリ”を象徴する建造物です。パリにある“エトワール凱旋門”をモデルにして、1922年に建造されました。当時は木製の漆喰を使ったものでしたが、1936年に現在の花崗岩を使ったものに改築されました。ルーマニアの建国記念日である12月1日には、凱旋門の周辺でパレードもおこなわれます。この時期を狙ってブカレストを訪れてみるのもおすすめですよ。

豪華な王室のコレクションは必見『ルーマニア国立歴史博物館』

『ルーマニア国立歴史博物館(Romanian National Museum of History)』は、石畳が広がるブカレストの旧市街の一角にあります。宮殿のような豪奢な印象の建物は、1970年に建造されました。館内ではルーマニアの宝石や工芸品が所狭しと展示されています。中でもルーマニア王室の宝飾コレクションは一番の見所です。初代国王の玉座や王冠なども展示されています。また、正面にある彫像もユニークで有名なものです。

ブカレストの名物『ミティティ』と『サルマーレ』

旅の楽しみといえば、観光やショッピングだけではありませんよね!現地の名物料理を楽しむことも、旅の醍醐味のひとつです。ブカレストでおすすめは『ミティティ(Mititei)』です。ミティティは牛肉と豚肉のひき肉を使ったソーセージ状の料理で、こんがりとグリルをしていただきます。バーベキューのときは欠かせない定番だそうですよ!付け合わせのフライドポテトやほうれん草と一緒に食べれば、ジューシーな味の虜になるはずです。

『サルマーレ(Sarmale)』も、ミティティと同様にルーマニアの伝統料理のひとつです。サルマーレもひき肉を使った料理で、味付けしたタネをキャベツに丁寧に包み込み、ブイヨンやトマトソースで煮込んだものです。添えられたサワークリームと一緒に食べれば、アッサリとまろやかな味わいが、口の中いっぱいに同時に広がります。ルーマニアでは特別な日に食べる特別な料理です。ブカレストを訪れた記念に試してみてはいかがでしょうか。

ルーマニアの首都ブカレストで充実した滞在を!

世界初のジェット機を発明した航空力学の先駆者アンリ・コアンダ。その出身地である、ルーマニアの首都ブカレストの魅力をご紹介してきました。自然豊かな環境にあり、歴史的な雰囲気を持つブカレストは、東ヨーロッパでも屈指の人気を誇る旅の目的地です。圧倒的な規模を誇る国民の館や、ルーマニアの重要な場所である英雄広場など、それぞれの場所の持つ魅力を堪能してみてください。きっと充実した時間を過ごせるはずです。

『アンリ・コアンダ空港(Aeroportul Internaţional Henri Coandă – Bucureşti)』は、ブカレストから北におよそ16kmの地点に位置する空の玄関口です。2004年に現在の名称に改称されました。市街へのアクセスはバスを利用しましょう。タクシーは“ぼったくり”が多いことで有名なので、利用するときは料金に注意してください。所要時間はおよそ20分です。魅力溢れる街ブカレスト。ぜひ次回の旅の目的地に、定めてみてはいかがでしょうか?

出典:
【ウィキペディア】Henri_Coandă 2021.02.10 
【ウィキペディア】アンリ・コアンダ 2021.02.10 
【ウィキペディア】ブカレスト 2021.02.10 

※本記事はコロナウイルス感染拡大より以前に執筆・掲載された記事です。

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