エレバン(アルメニア):民族的色彩を愛した作曲家、アルノ・ババジャニアンの生誕地

アルメニアの民族的な音楽を愛した作曲家がアルノ・ババジャニアンである。故郷であるエレバン音楽院とモスクワ音楽院でその才能を磨いた人物。アルメニアの歴史を象徴するような印象的な曲の数々は、時代を重ねても色褪せない名曲ばかりだ。そんなアルノ・ババジャニアンの故郷が、アルメニアの首都であるエレバンである。聖書の重要な舞台といわれる歴史ある街。アルノ・ババジャニアンとエレバンの魅力を紹介しよう。

アルメニアの作曲家アルノ・ババジャニアン

アルノ・ババジャニアン(Arno Babajanian)は1921年生まれ、アルメニア出身の音楽家です。作曲家でありピアニスト、民族的な色彩を前面に出した名曲の数々は、とりわけ故郷であるアルメニアで屈指の人気を集めています。その功績の象徴としてアルメニア共和国人民芸術家やスターリン賞などの名誉ある賞をいくつも受賞しています。アルメニアの切手には横顔の肖像が描かれており、国内でその顔を知らない人はいないでしょう。

出身地であるエレバンの音楽院を卒業したアルノ・ババジャニアンは、1947年にモスクワの音楽院に進学しました。作曲とピアノを専攻し、その才能に磨きをかけた後、故郷であるアルメニアに戻り母校で教職に就いています。代表曲であるアルメニア狂詩曲は、この時期に作曲をおこない、1965年には同様に有名な『6枚の描写』の作曲をおこなうなどし、ピアニストとしての活躍も同様に注目を集めました。

偉大な作曲家アルノ・ババジャニアン。その故郷がアルメニアの首都であるエレバンです。次章からはエレバンの歴史や魅力を紹介していきます。

アルノ・ババジャニアンの故郷エレバン

エレバン(Yerevan)は東ヨーロッパの国であるアルメニアの首都です。世界最古の街のひとつともいわれており、聖書の最初の章創世記に登場する「エデンの園」が存在していた場所ともいわれています。また、隣国トルコとの間に佇むアララト山は、「ノアの方舟」が流れ着いた神聖な場所です。聖書に描かれたさまざまな場所が位置する、重要な地ともいえるでしょう。山に囲まれた自然豊かな景観はエレバンのもうひとつの特徴といえます。

紀元前8世紀にはすでに要塞が築かれていたというエレバンの地。交易の中継地としてや、1854年に多くの大学が設立されて以降、発展を遂げてきました。1918年にはアルメニアの首都に任命されています。その近郊には世界最古の教会であるエチミアジン大聖堂や巨大な階段カスケード、エレバンの原型になったエレブニ要塞などが残されています。さまざまな観光スポットがあるエレバンの見所を、詳しく紹介していきましょう。

ユネスコ世界遺産の教会エチミアジン大聖堂

エチミアジン大聖堂(echmiadzin)は、2000年にユネスコ世界遺産に認定された、世界最古の教会です。エレバンの西、およそ20kmの地点にある街エチミアジンに建てられています。301年に木製で建造されたエチミアジン大聖堂は、7世紀に石造りの堅牢な造りに改修されました。エチミアジンはアルメニア正教会の総本山が置かれている場所で、アルメニアは世界で初めてキリスト教を国教として採用した国としても知られています。

ドーム天井が印象的なエチミアジン大聖堂は、アーチ状の窓が目を引くアルメニア建築の代表作ともいわれています。エチミアジンは「神の唯一の子が降りた」の意味をしており、その言葉通りの神聖な空気を感じとることができるでしょう。内部の壁や天井にはさまざまな絵画の装飾が施されています。ロウソクの灯りに照らされた大聖堂内は、幻想的な雰囲気に満ちていますよ。世界で最古の教会が持つ畏敬の空気は、ぜひとも堪能していただきたいです。

また、同じく世界遺産に認定されているズヴァルトノツの考古遺跡も一緒に訪れてみてください。歴史を遡る古代の遺跡には、未だ未知の謎も多いのだとか。朽ちた遺構ですが、神秘的な魅力をたっぷり備えています。また、敷地内には宝物館もあり「ノアの方舟」の破片や、磔にされたキリストの生死を確認するために使用された「ロンギヌスの槍」の一部などが展示されています。じっくり鑑賞に浸ってみてはいかがでしょうか。

エレバンの景観を一望できる巨大階段カスケード

カスケード(Cascade)は1970年に建築家ジム・トロスヤンによって設計された巨大な階段です。1971年に建造を開始、1980年に完成を迎えました。階段のほか、エスカレーターも設置されており、頂上からはエレバンの街並みが一望できます。天気がよければ、遠景に聖なる山アララト山の姿を捉えることもできるでしょう。贅沢な景色を独り占めすることができます。

また、カスケードにはさまざまな種類の芸術作品が展示されています。タイヤを使用したライオンの像など、見応えも十分にある作品の数々は必見ですよ!

夜はライトアップもおこなわれ、幻想的な雰囲気を醸し出してくれます。ロマンチックな景観は見逃せません!

エレバンの原型になったエレブニ要塞

エレブニ要塞(Erebuni Fortress)は、エレバンの郊外にあるアリンベルドの丘にある要塞です。建造されたのはなんと紀元前8世紀のことで、エレバンの名称の由来もこのエレブニ要塞にあります。現在も大切に当時の遺構が保存されています。隣接する博物館は1968年に創設されたもので、要塞周辺から出土した品々を展示しています。エレバンの発展の礎になった重要な歴史的資産。エレブニ要塞で歴史の神秘に触れてみてください。

アルメニアの負の遺産アルメニア虐殺記念館

アルメニア虐殺記念館(Armenian Genocide Museum-Institute)は、150万人のアルメニア人が虐殺された負の歴史を現在に伝える施設です。オスマントルコ帝国によっておこなわれたという虐殺の経緯や概要を、当時の生々しい写真や展示と共に伝えています。近隣にそそり立つ「追悼のモニュメント」は、天に向かって槍のように伸びており、祈りのような静謐な空気を感じます。内部には消えることのない炎が、煌々と燃え続けています。

虐殺記念館はアルメニアの歴史を伝える、いわゆる負の遺産です。このような出来事が起きたことを目の当たりにするのは心が痛むかもしれません。しかし、その事実を知ることで、考えることもあるでしょう。入場も無料ですので、ぜひ訪れてみてください。

エレバンの名物ハリサ

エレバンの伝統的な名物料理ハリサ(Harisa)は、挽き割り小麦を鶏肉と一緒に、とろけるまで煮込んだものです。ハリサは、バターを溶かしながらいただきましょう。滋味深い家庭的な味わいは、やみつきになるおいしさです。パンも一緒に供されるため、ディップして食べるのもおいしいですよ!冷えた体も温まる優しい味わいが特徴です。エレバンで長年ずっと愛される名物のハリサ。広がる旨味をぜひ堪能してください。

アルメニアの首都エレバンで、思い出深い時間を

音楽家アルノ・ババジャニアンの故郷、エレバンの歴史や見所を紹介してきました。世界遺産や街の景観を楽しめるスポット、直視できないほどの暗い歴史を伝える「虐殺記念館」など、訪れるべき場所はいくつもあります。エレバンで印象的な滞在をお過ごしください。

エレバンの空の玄関口はズヴァルトノッツ国際空港(Zvartnots International Airport)です。市街地からの距離はおよそ10km、空港から街へのアクセスにはタクシーかバスを利用しましょう。所要時間はおよそ20分〜30分です。歴史深い魅力が堪能できる古都エレバン。ぜひ次回の旅は、この魅力溢れる街を訪問してみてはいかがでしょうか?

※本記事はコロナウイルス感染拡大より以前に執筆・掲載された記事です。

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