チュニス(チュニジア):イスラムを代表する歴史家、イブン・ハルドゥーンの故郷

中世のイスラム世界を代表する歴史家が「イブン・ハルドゥーン」である。アラブの天才とも称された人物で、政治家や思想家としての活動を行い歴史書の執筆や講演活動など、さまざまな領域での活躍ぶりは非常に有名だろう。そんなイブン・ハルドゥーンの故郷が、北アフリカの国チュニジアの首都「チュニス」である。旧市街が世界遺産に認定されている美しい街。歴史家イブン・ハルドゥーンとチュニスの魅力を、詳しく紹介していこう。

イスラム世界を代表する歴史家「イブン・ハルドゥーン」

イブン・ハルドゥーン(Ibn Khaldun)は1332年生まれのチュニス出身の歴史家です。思想家や政治家の顔も持ち合わせており「イスラム世界最大の学者」や「アラブの天才」とも称されています。その果たした功績の偉大さは、チュニジアの紙幣に肖像が描かれていたことがその証明をしているでしょう。故郷であるチュニスには銅像が設置されており、今も変わらずに尊敬を集めています。また、エジプトのカイロにも胸像が設置されています。

すでに幼少期にチュニスの学者たちから法学や哲学を学んでいたというイブン・ハルドゥーン。父親がモロッコから訪れた学者たちと交流を深めていたため、学ぶ機会は豊富にあったといいます。学びを深めたイブン・ハルドゥーンは宮廷の書記官などの仕事に就き、イスラム政権の宮廷に仕えてきました。そのほか歴史書の執筆やエジプトのカイロでの講演活動など、枠に収まらない幅広い活動をおこなっています。学院の教授職などを歴任したともいわれています。

中世のイスラム世界を代表する稀代の歴史家、イブン・ハルドゥーンの残した功績は、非常に偉大なものです。そんな人物の出身地が現在のチュニジアの首都である街チュニスです。

イブン・ハルドゥーンの出身地「チュニス」

チュニス(Tunis)は北アフリカの国であるチュニジアの首都です。チュニス県の県都でもあり、チュニジアの商業の中心地、アフリカでも有数の世界都市のひとつです。チュニスの原型は古代フェニキア人によって建造されました。1574年にはオスマン帝国の傘下に入り、国際的な街へと発展を遂げ、その後はフランスの保護領になったものの、1956年に独立を果たしました。

人気のあるイベントで特に有名なものは2年毎に開催されるカルタゴ映画祭でしょう。

ユネスコ世界遺産に認定された旧市街をはじめとした観光スポットも豊富です。チュニジアの歴史を色濃く伝える「バルド国立博物館」や旧市街と新市街を繋ぐ「フランス門」、など見所必見です。また、名物のクスクスもぜひ食べておきたいところです。注目スポットを紹介します。

チュニスの世界遺産「旧市街」

旧市街(Medina of Tunis)はメディナと呼ばれるチュニスの貴重な世界遺産です。およそ7世紀からの長い歴史を誇っています。1979年にユネスコ世界遺産に認定されてから、チュニス観光では欠かせない注目の見所として爆発的な人気を誇ってきました。石畳が広がるエキゾチックな雰囲気は、メディナの特徴でしょう。かつては城壁に囲まれていたという歴史の変遷も、その興奮を加速させてくれるはずです!

メディナは迷宮のように入り組んでおり、土地勘がなければ迷子になってしまう可能性もあるほどです。この構造は外敵の侵入を防ぐために考案されたもので、今もなおその特徴が残されています。食品や雑貨、工芸品など、さまざまなジャンルのお店が軒を連ねています。値段は交渉が必要なケースも多いため、駆け引きを楽しんでみるのも一興でしょう。

メディナを訪れる際の注意点として、平日の夕方以降と日曜日はほとんどのお店が閉店してしまいます。人通りも少なくなり、治安も悪くなるそうなので、訪れる時間には注意してくださいね。まるで迷路のようなチュニスの旧市街、メディナを探検家気分で散策してみてはいかがでしょうか?

チュニジアの歴史を伝える「バルド国立博物館」

バルド国立博物館(National Bardo Museum)は、13世紀にハフス朝の宮殿として建造された建物です。館内にはチュニジアの歴史の変遷を伝える、貴重なコレクションの数々が所狭し展示されています。

中でも古代ローマ時代のモザイク画やタイル画のコレクションは圧巻です。その質の高さは世界でも有数のものだといわれているのだとか。キラキラと輝くような貴重なコレクションを眺めれば、古代にタイムスリップしたかのような錯覚を起こします。

そのほか、古代ギリシャに関する所蔵品や、世界遺産カルタゴ遺跡が有名なカルタゴのマスクなども展示されていますよ。展示は時代別、テーマ別になっているので、自然と歴史の流れを学ぶことができるでしょう。

また、世界に名だたる名作といわれるコレクションヴァージルとミューズの女神たちは見逃せません。世にも貴重なコレクションの数々を堪能してください。

チュニスの旧市街と新市街を結ぶ「フランス門」

フランス門は、バブ・バハル(Bab El Bhar)とも呼ばれる重厚な佇まいの門です。その言葉の意味は「海の門」かつてはこのフランス門から城壁が伸びていたといわれています。チュニスの旧市街と新市街の境界線に位置しているため、地元の人々は待ち合わせのためによく利用しているそうです。周辺にはカフェやレストランも豊富にあるため、散策中の休憩にもおすすめの場所です。パリの凱旋門を彷彿とさせるフランス門、ぜひ写真に収めてみては?

チュニジアで2番目に古いモスク「ジトゥナ・モスク」

ジトゥナ・モスク(Zaytuna Mosque)はチュニス内では最も古い歴史を持つモスクです。その名称の意味は「オリーブのモスク」で、建設当時は周辺にたくさんのオリーブの木があったことからこの名前がつけられたと言われています。ジトゥナ・モスクの名称のほか、グランド・モスクとも呼ばれ親しまれていますよ。シンボルである四角形のミナレット(尖塔)の鮮やかなオリーブグリーンが目を引く建物は、9世紀に建造されました。

ジトゥナ・モスクの建造には近郊に位置するカルタゴの石材が用いられています。中央にある柱も、カルタゴの遺跡から持ち出された貴重なものといわれていますよ。内部に入れるのは残念ながらイスラム教徒のみですが、外観だけでも鑑賞する価値は十分にあります。敬虔(けいけん)な気持ちを持ちながら、ぜひモスクの厳かな存在感を全身で噛みしめてみてください。

チュニスの名物クスクス

クスクス(Couscous)とは小さなお米のようなパスタです。クスクスはチュニジアもある北アメリカ発祥の料理で、主食のひとつになっています。しっとりと滋味深い味わいが特徴のクスクスは、トマトやチーズを用いたスープと食べたり、じっくり煮込んだ牛肉や鶏肉、ラム肉などと一緒にいただいたりします。野菜や肉の旨味をたっぷりと吸ったクスクスの味は間違いなく絶品です!何度でも食べたくなるチュニスの名物、ぜひ味わってみてください。

歴史の街チュニスで充実した滞在を!

イスラム世界を代表する歴史家、イブン・ハルドゥーンの故郷チュニスの魅力や見所を紹介してきました。長い歴史を誇るチュニスには、その歴史に裏打ちされた魅力がしっかりと根付いています。建物や料理、足元に広がる石畳を感じるだけでも訪れる価値は十分にあるでしょう。旧市街であるメディナや歴史を知ることができるバルド国立博物館など、さまざまな見所も余すところなく訪れてみてください。エキゾチックな雰囲気は、チュニスの醍醐味です。

そんな魅力満載のチュニスの玄関口はチュニス・コルタゴ国際空港(Tunis‐Carthage International Airport)です。市街地から北東におよそ8kmの地点にあります。アクセスはタクシーかバスを利用しましょう。所要時間はおよそタクシーだと約15分、バスだと約30分です。めくるめく発見があなたを興奮の渦に巻き込んでくれるでしょう。チュニスで充実した時間を、お過ごしください。

※本記事はコロナウイルス感染拡大より以前に執筆・掲載された記事です。

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