レーゲンスブルク(ドイツ):ドナウ派の代表画家アルブレヒト・アルトドルファーの故郷

光と色の鮮やかな共演が魅力のドナウ派、その代表的な画家が『アルブレヒト・アルトドルファー』である。16世紀のドイツを代表する存在であり、神聖ローマ帝国皇帝が制作を指示した写本の挿絵なども担当してきた。経歴や生涯に謎は多いが、生み出した作品は圧倒的な描写力から注目を集めている。そんなアルブレヒト・アルトドルファーの故郷が、ドイツの街『レーゲンスブルク』である。それぞれの持つ魅力を詳しく紹介していこう。

ドナウ派の代表画家『アルブレヒト・アルトドルファー』

『アルブレヒト・アルトドルファー(Albrecht Altdorfer)』は1480年頃に誕生したといわれる、ドナウ派を代表する画家です。ドナウ派とはドイツを中心に発生した芸術運動で、光と鮮やかな色使いに、美しい風景画や詳細な人物描写がされていることが大きな特徴といえます。アルブレヒト・アルトドルファーはそんなドナウ派を代表する存在として知られ、 “アレクサンダー大王の戦い”はルネサンス期を代表する傑作です。

アルブレヒト・アルトフドルファーの父親も、同様に画家として活躍している人物でした。主に写本の挿絵を手がけていた父親の才能を、大いに受け継いだといえるでしょう。幼少期や修行時代の経歴については未だ謎も多いですが、20代半ばにはすでに芸術家として独立を果たしていました。活動当初は、写本の挿絵を描いていたとされています。

画家としての活動のほか、版画や建築なども手がけたマルチな才能の人物でもありました。建築家としての経歴も残されているほどです。また、レーゲンブルクの市長就任を打診されたこともあったのだとか。芸術家としての才能のほかにも、人望を獲得していた人物像も垣間見える事実ですね。西洋絵画の歴史上、初めて純粋な風景画を描いたとされる“アルブレヒト・アルトドルファー”。その故郷がドイツの街『レーゲンスブルク』です。

アルブレヒト・アルトドルファーの故郷『レーゲンスブルク』

『レーゲンスブルク(Regensburg)』は、ドイツ南東部に位置するバイエルン州に属する街です。ドナウ川とレーゲン川の合流地点に位置するレーゲンスブルクは、交通の要所として発展を遂げてきました。2006年に“レーゲンスブルクの旧市街とシュタットアムホーフ”として、街の一角がユネスコ世界遺産に認定されています。また、温暖で過ごしやすい気候はドイツでも随一、保養地としての人気も獲得しています。魅力が満載の街でしょう。

レーゲンスブルクの起源は、1世紀にローマ帝国軍の駐屯地が置かれたことに遡ります。6世紀にバイエルン公国の“バイエルン大公”の居城が置かれたことから、政治や経済の中心地として急速な発展を遂げていきました。また、中世にはその地理的な立地の好条件から、交通の要所として注目を集めてきたのです。歴史を重ねた街並みはもちろん、11月末からおこなわれる“クリスマス・マーケット”の時期には、世界から多くの観光客が訪れます。

そんなレーゲンスブルクの見所は、旧市街の玄関にあたる『レーゲンスブルク大聖堂』やドナウ川に架かる『シュタイナーネ橋』、かつて帝国議会が開催されていた『帝国議会博物館』です。また、レーゲンスブルクは世界最古のソーセージ屋さんやドイツ最古のカフェ、映画に登場する帽子を製造する帽子屋さんなど、魅力的なお店が数多くあります。観光はもちろんグルメやショッピングも楽しめる、レーゲンスブルクの見所を紹介します。

レーゲンスブルクのシンボル『レーゲンスブルク大聖堂』

『レーゲンスブルク大聖堂(Regensburger Dom)』は1273年に建造を開始、1869年に完成を遂げた教会です。堂々そびえる2本の尖塔は高さ105m、ゴシック様式の造りが目を引く旧市街のランドマークです。

レーゲンスブルク大聖堂はバイエルン地方で最も重要な大聖堂といわれており、とりわけ設置されたステンドグラスの美しさが有名です。東西南北それぞれに設置されたステンドグラス、最古のものはなんと14世紀のものだそうです。

3つある扉のうち、出入りに使用する扉の横には“悪魔の彫刻”があります。この彫刻には魔除けの効能があるとのこと。出入りをするときにはぜひ注目してみてください。そのほか世界最大級の壁掛けのパイプオルガンや、大聖堂よりも長い歴史を誇る2つの礼拝堂など、見所は豊富です。また、日曜の10時から開催されるミサでは、“大聖堂の雀たち”と呼ばれる『レーゲンスブルク大聖堂少年聖歌隊』の歌声を聴くことができます。その歌声は必聴ですよ!

ドイツで最古の石造りの橋『シュタイナーネ橋』

『シュタイナーネ橋(Steinerne Brück)』は1146年に建造された、ドイツで最古の石造りの橋です。ドナウ川に架けられたシュタイナーネ橋のモデルは、チェコのプラハにある“カレル橋”といわれています。全長は310mにもなり、世界遺産に認定された旧市街への文字通り“架け橋”となっています。15個になるアーチはとても美しく、中世の雰囲気を当時と変わらず現代に伝えています。橋から望む旧市街の街並みも、非常に美しいものです。

シュタイナーネ橋では、橋を渡るだけでなく“橋の小人”の石像を探してみましょう。橋の小人はレーゲンスブルクのパンフレットにも登場する人気者で、大聖堂の方角を眺めながら橋の中腹に腰をおろしています。なんでも橋を建造する職人が、大聖堂を建造する職人に対して、『俺はいつもみているぞ』という意味を込めて制作したのだとか。橋にあるのはレプリカですが、ぜひ探してみてくださいね。

神聖ローマ帝国の帝国議会が開かれた『帝国議会博物館』

『帝国議会博物館(Reichstagsmuseum)』は14世紀に建造された建物で、1663年〜1806年にかけて“帝国議会”の舞台になりました。現在1階部分は観光案内所として運営されており、2階部分は帝国議会が開催されていた“帝国の広間”などが公開されています。内部にある部屋の数は11に及び、会議室や控えの間など、さまざまな種類の部屋を見学することができますよ。また、地下は牢獄や拷問用の部屋、拷問用の器具などが展示されています。

舞踏会の舞台になったり、現在は結婚式もおこなわれたりしている帝国議会博物館ですが、内部鑑賞するには有料のガイドツアーへの参加が必須です。所要時間はおよそ1時間ですよ。神聖ローマ帝国の重要な話し合いがおこなわれたであろう歴史的な場所。ガイドツアーに参加して、内部を隅々まで鑑賞してみてください。見所もたっぷりとありますよ。

世界最古のソーセージやドイツ最古のカフェで充実の時間を!

『ヒストリッシェ・ヴルストキュッへ(Historische Wurstkuchl)』は、世界最古のソーセージ屋さんとして有名なお店です。シュタイナーネ橋の横で営業を続けており、開業したのはなんと12世紀。炭火で焼いたソーセージから生まれる香りは、食欲を刺激してやみません。また、伝統的なレシピで作られた自家製マスタードもおいしいですよ。ソーセージが名産の国ドイツでも屈指の名店の逸品、ぜひ堪能してみてください。

『カフェ・プリンツェス(Café Prinzess)』は1686年に創業した、ドイツで最古のカフェです。薄い緑を基調とした鮮やかな外観のお店は、いつでもたくさんの人々で賑わいをみせています。テラス席もあるので、屋外でのんびりと休憩するのもおすすめですよ。帝国議会が開かれていた時代には、ここのコーヒーやお菓子が供されていたそうです。かつての皇帝や貴族が愛した至福の味わい、変わらぬ伝統的な味わいを楽しんでみてはいかがでしょうか?

レーゲンスブルクのお土産なら『フート・ケーニヒ』

『フート・ケーニヒ(Hut König)』は1875年に創業した、ドイツで最古の帽子屋さんです。ひとつひとつが職人による技術の結晶、手作りで製造される帽子の数々は、まさしく芸術品です。世界中のセレブをトリコにするセンス溢れる帽子を購入することができます!また、映画“アリス・イン・ワンダーランド”で『ジョニー・デップ』が演じた“マッド・ハッター”の帽子も、このお店が制作したそうですよ。お土産探しにもおすすめです。

中世の雰囲気が残る世界遺産の街レーゲンスブルク

ドナウ派を代表する芸術家、アルブレヒト・アルトドルファーの故郷レーゲンスブルクの魅力や見所を紹介してきました。ユネスコ世界遺産にも認定された美しい旧市街、街を流れる雄大なドナウ川、歴史を彩ってきたさまざまな建造物など、見所は圧倒的に豊富です。レーゲンスブルク大聖堂やシュタイナーネ橋など、注目のスポットにもぜひ訪れてみてくださいね。また、ヒストリッシェ・ヴルストキュッヘの絶品ソーセージも必食です。

レーゲンスブルク近郊には空港がありません。アクセスは同じくバイエルン州にある2つの街からが便利でしょう。州都でもあり最大の街である“ミュンヘン”からは、電車でおよそ1時間30分の距離、州で2番目の規模を誇る街“ニュルンベルク”からは電車でおよそ1時間の距離にあります。また、観光には交通機関が乗り放題と、主要な施設の割引が受けられる“バイエルンチケット”の購入がおすすめです。滞在を心ゆくまで楽しんでくださいね。

※本記事はコロナウイルス感染拡大より以前に執筆・掲載された記事です。

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