ケベックシティー(カナダ):装飾画の名手シャルル・ユオーの生誕地

装飾画の名手といわれた人物が『シャルル・ユオー』である。カナダに生まれ、その恵まれた才能からフランスに留学し、美術を学んでいった人物。ケベック議会の壁の装飾画を担当するなど、鮮やかな画風から未だにファンは多いという。そんなシャルル・ユオーの生誕地が、カナダの『ケベック・シティー』である。“北米のパリ”とも称される美しい街で、公用語がフランス語であることも有名だろう。シャルル・ユオーと故郷ケベックシティーの魅力を紹介しよう。

Public Domain/ ‘Québec vu du bassin Louise’ by Charles Huot. Image via WIKIMEDIA COMMONS

装飾画の名手『シャルル・ユオー』

『シャルル・ユオー(Charles Édouard Masson Huot)』は1855年生まれ、カナダのケベックシティー出身のイラストレーターです。ケベック議会の壁に描かれた“言語に関する議論”が代表作で、その緻密かつ写実的な描写は、歴史を経ても普遍の輝きを放っています。

商人の家系に生まれたシャルル・ユオーは、10歳で学校に入学し勉強に勤しんでいきました。その才能は学校の教師たちも認められており、彼の留学のために資金集めもおこなわれたほどだったといいます。才能を見出されたシャルル・ユオーは1874年にパリの美術学校に無事入学し、感性に磨きをかけていきました。パリに滞在して2年後の1876年には、サロン・ド・パリに出展を果たしています。その後も多くの展覧会に出展しては、当時の有力者に作品を買い上げられていきました。

カナダに帰国して以降1887年に教会の装飾画を担当し、その後も多くの作品を描き続けました。1903年にドイツなどヨーロッパ圏を旅行したこともあったとのことです。装飾画の名手と呼ばれたシャルル・ルオー。時代を経ても色褪せることのない作品たちは、今後もたくさんの人たちの心を魅了していくでしょう。そんなシャルル・ユオーの出身地が、カナダの『ケベックシティー』です。ケベックシティーの魅力を紹介していきます。

シャルル・ユオーの生誕地『ケベックシティー』

『ケベック・シティー(Ville de Québec)』は、カナダ東部のほとんどを占めるケベック州の州都です。ケベックとは“川が狭くなっているところ”を意味しています。“北米のパリ”ともいわれるケベックシティーは公用語がフランス語で、北米では珍しくフランス文化が根付いている地域になります。

カナダにいながらにしてヨーロッパを訪れたような錯覚におちいることは、間違いないでしょう。看板や標識のほとんどがフランス語表記ですので、少し困惑してしまうかもしれませんね。

ケベックシティーの歴史は1608年から始まりました。1775年には、アメリカ独立戦争の初期に発生した戦い“ケベックの戦い”の舞台にもなっています。気候は冬の冷えこみが特に厳しく、積雪量は毎年3mを超えることも珍しくありません。

そんな寒さにも関わらずケベックシティーの、特にクリスマスシーズンは、街はたくさんの人々で溢れかえるといいます。旧市街は1985年にユネスコ世界遺産に認定されており、街には長い歴史を歩んだ建物が美しく大切に保存されています。

崖の上にある“アッパー・タウン”と崖の下にある“ロウアー・タウン”、2つの街並みがそれぞれに異なる雰囲気を醸しだしています。2つの区画は徒歩やケーブルカーでアクセスできるので、利便性も確保されていますよ。そんなケベックシティーの見所は1647年に建造された『ノートルダム大聖堂』や北米で最大規模の要塞『ケベック要塞』、“世界一美しい議事堂”といわれる『ケベック州議事堂』です。また、名物の『プーティン』は必食ですよ。街の見所を紹介します。

ケベック大司教座の所在地『ノートルダム大聖堂』

『ノートルダム大聖堂(Basilique-cathédrale Notre-Dame de Québec)』は、1647年に建造されたケベック大司教座の所在地です。つまりはケベックシティーの信仰の中心地ですね。1647年に建造された建物は火災などで焼失してしまい、現在の建物は1843年に再建されたものです。外観の白亜の石造りはシンプルで重厚な印象であり、堂内は白と金の豪華な雰囲気です。印象のコントラストも大聖堂の大きな魅力でしょう。ステンドグラスも設置され幻想的な雰囲気を醸しています。

特に主祭壇は金色の装飾が全面に施されており、圧倒的に荘厳な雰囲気をたたえています。天井には空の風景が描かれているので、忘れないように眺めてみてくださいね。また、大聖堂内には歴代の司教や伯爵のお墓があります。『フランソワ・ドゥ・ラヴァル』は、“カナダ教会の父”と呼ばれる、最初の司教だった人物です。人物像をかたどった棺があるのでそちらもぜひ鑑賞してみてください。ケベックシティーの信仰の中心地に、ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。

余談ですが、ケベックシティーには『勝利のノートルダム教会』という建物もあります。こちらは旧市街の“ロワイヤル広場”にあり、上記の“ノートルダム大聖堂”とは別の建物です。1723年に完成した北米で最古の石造りの教会で、丸窓と鐘楼のシンプルな外観が特徴です。英仏戦争のフランスの勝利を記念して建てられたその教会には船の模型などが展示されています。同じ“ノートルダム”を冠した建物、併せて訪れてみてはいかがでしょうか。

北米で屈指の規模の要塞『ケベック要塞』

『ケベック要塞』は、“ラ・シタデル(La Citadelle)の通称で知られる星型の要塞です。ケベックシティーの象徴でもある“ディアマン岬”にあり、17世紀に建造されました。敷地内にはおよそ25の建物が集まっており、中にはかつての刑務所を利用した博物館もあります。

現在は軍隊の駐屯地として稼働しており、夏には衛兵交代式も見学できます。毎朝10時から行われていますので、時期が合えばぜひ訪れてみてください。北米屈指の大規模な要塞は、一見の価値ありですよ。

ケベック要塞は、ケベックシティーの世界遺産も構成しています。現在の星型になったのは1820年〜1831年にかけてのことで、イギリス軍によって増築されました。独特の形状は“要塞攻城の名手”といわれた『ヴォーバン』の影響を、強く受けているようです。内部見学はツアーへの参加が必須です。広大な敷地を隅々まで。ぜひ体感してみてはいかがでしょうか。また、要塞からの眺めはまさしく絶景です。ケベックシティーの街並みを、楽しんでみてくださいね。

“世界一美しい議事堂”といわれる『ケベック州議事堂』

『ケベック州議事堂(Hôtel du Parlement)』は、1886年に建造されたフレンチ・クラシック様式の建物です。白亜の外観と正面の広場に広がる庭園が織りなす景観はとても美しく、“世界一美しい議事堂”とも称されています。庭園にある“トゥルニーの噴水”はフランスのボルドーにあったもので、なんでもフランスの蚤の市で販売されていたものだとか。議事堂自体にも注目ですが、そのほか庭園や噴水も見所です。散策がてらに立ち寄ってみるのもよいでしょう。

議事堂内の入場は無料で、ガイドツアーも無料で参加できます。所要時間はおよそ45分です。議事堂の構造や歴史などを、詳細に知ることができるでしょう。また、建物内にはカフェやレストランも完備されています。利用できる時間は限られていますが、贅沢な気分でグルメを楽しむことができます。夜は議事堂全体がライトアップされ、心を奪うような幻想的な雰囲気を演出しています。建物の外観も内部も必見のケベック議事堂、ぜひ訪れてみてください。

ケベックシティーの名物『プーティン』

『プーティン(Poutine)』は、ケベックシティーを代表するファーストフードです。フレンチフライに肉汁の旨味をたっぷりと閉じこめたグレイビーソースと、熟成していないチーズ、チーズカードをふんだんにかけた料理です。溢れんばかりの旨味が楽しめる名物は、ケベックシティーを訪れたら必食でしょう。食べるなら発祥のお店“シェ・アシュトン(Chez Ashton)”が圧倒的におすすめです。塩味と旨味の絶妙なバランスは、ほかでは味わえません。

北米のフランス、ケベックシティーで異国情緒溢れる時間を!

装飾画の名手シャルル・ユオー、その出身地であるケベックシティーの魅力を紹介してきました。まさに北米のパリといえる、街に根付いた文化はカナダの中の異国でしょう。独特の文化背景を楽しんでみるのも、ケベックシティーを楽しむ秘訣ですよ。

宿泊を考えているのであれば、1893年創業の『シャトー・フロンテナック(Chateau Frontenac)』がおすすめです。お城を思わせるような造りで、イギリスの『エリザベス女王』も利用したことがあるのだとか。

見所が満載のケベックシティーの玄関口は、『ケベック・ジャン・ルサージ国際空港(Aéroport international Jean-Lesage de Québec)』です。また、ケベック州で最大の街“モントリオール”からバスでアクセスも可能です。所要時間はおよそ3時間ですよ。さらにほかの選択肢としてクルーズツアーもあります。モントリオールを朝に出発し、その日の夕方に到着しますよ。カナダの中のフランスへ、独特の異国情緒ある世界へ、飛びこんでみてはいかがでしょうか。

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