ヘイワード・ギャラリー:「ロンドンでもっとも完璧なギャラリー」と評された美術館

ヘイワード・ギャラリーはロンドンのサウス・バンク地区にある美術館で、複合芸術施設である「サウスバンク・センター」の一角をなしています。粗削りなコンクリート空間に現代美術の展示を行っており、「ロンドンでもっとも完璧なギャラリー」とも評されています。そんなヘイワード・ギャラリーの歴史と行われた展覧会について詳しく解説していきます。

■ヘイワード・ギャラリーとは

ヘイワード・ギャラリーはロンドンのサウス・バンク地区にある、1968年に開館した美術館です。ロイヤル・フェスティバル・ホール、クイーン・エリザベス・ホールとともに複合施設サウスバンク・センターを構成しており、多くの人が訪れる場所となっています。

サウスバンク・センターでは毎年音楽やダンス、文学などの1000を超える有料プログラムが開催されるほか、ロビーでは無料のプログラムやイベントも行われています。年間300万人以上が来館するということもあり、ロンドンでも注目度の高い施設です。ヘイワード・ギャラリーでは年3回から6回の美術展が開催されています。

参考サイト:wikipediaサウスバンク・センター

■ヘイワード・ギャラリーの建築

ヘイワード・ギャラリーの内部は粗削りのコンクリートをそのまま活かした展示空間となっており、こうした建築様式はブルータリズムと呼ばれています。ブルータリズムは1950年代に見られるようになった建築様式の一つで、カナダのトロント大学図書館やアメリカのストーニーブルック医学校の建築にも用いられています。

2018年には、50周年を記念して行われた2年間に及ぶ大規模な改修工事が終了し、再オープンしました。この改修で、ギャラリー屋上のスチールとガラス製の四角いピラミッドにも手がつけられ、さらにギャラリー内にあった天井が取り除かれたことにより、自然光がそのままに入る展示空間となりました。

参考サイト:wikipedia ブルータリズム

参考サイト:wikipedia ヘイワード・ギャラリー(日本語)

参考サイト:wikipedia ヘイワード・ギャラリー(英語)

■ヘイワード・ギャラリーで行われる展覧会

ヘイワード・ギャラリーでは常設の展示は行っておらず、展示会のみとなっています。これまでポール・クレーやルシオ・フォンタナ・フランシスベーコンといった近現代アーティストたちの作品を中心に、幅広い時代・ジャンルの芸術を紹介してきました。その企画は極めてユニークかつ斬新なことで知られており、ガーディアン誌では「ロンドンでもっとも完璧なギャラリー」と評されたこともあります。

そんなヘイワード・ギャラリーではこれまでどんな展覧会が行われてきたのでしょうか。注目度が高かった展覧会を中心にご紹介します。

・マーティン・クリード展2014年1月29日-4月27日

マーティン・クリードは1968年にイギリスのウェイクフィールドに生まれたアーティストです。スコットランドのグラスコーで幼少時代を過ごしたのち、1986年から1990年にかけてロンドン大学スレード美術学校へ。2001年までロンドンで活動し、その後イタリアのアリクーディに移住しています。2001年にはターナー賞を受賞していますが、一度もノミネートされたことのない人物だったため、大変な話題となりました。

クリードの芸術意識を明確に表す作品としては《Work No. 227: The lights going on and off》があります。この作品はターナー賞受賞のきっかけとなった作品で、室内の電気が5秒ごとについたり消えたりするというもので、そもそもこの表現は芸術なのかという議論を巻き起こしました。

ヘイワード・ギャラリーで行われたクリードの展覧会でもっとも注目を集めたのは、《N0.1092 Mothers》でした。この作品は「Mothers」という文字のライトが台に置かれている作品で、規則的に回るように設計されています。かなり大型の鉄製の作品であることから、部屋いっぱいに作品が回転する展示は迫力がありました。ヘイワード・ギャラリーだからこそできた展示であるといえるでしょう。

参考サイト:wikipedia マーティン・クリード

・アフリカ・リミックス展2005年2月10日-5月17日

アフリカ・リミックス展はデュッセルドルフのクンスト・パラスト美術館、パリのポンピドゥー・センター、東京の森美術館、そしてロンドンのヘイワード・ギャラリーを巡回した展覧会で、現代アフリカ美術をテーマとしたことで大変話題になった展覧会です。アフリカ・リミックス展では25か国出身、84人のアーティストによる約140点の作品が展示されました。タイトルの「リミックス」は音楽用語で、複数の音声をつなぎ合わせ、効果的な演出を行うことを意味しています。アフリカの国々の文化、そして様々なアーティストたちの作品によって、アフリカ大陸の魅力をダイナミックに表現する展示がなされました。

アフリカというとキュビスムの芸術家たちが注目したプリミティブ芸術に目を向けがちですが、近年は絵画や素描、そしてインスタレーションや写真、デザイン家具などさまざまなアフリカ芸術が生み出されています。

画像はイメージです

本展覧会で展示された作品の一つにモロッコ出身のアーティスト、ムニール・ファトゥミによって製作された《障害物》というものがあります。この作品は、乗馬で用いられる障害物のバーが赤や黄色、青などの原色に塗り替えられて並べられたものです。彼は本作と同じようなバーを使った作品を他にもいくつか発表しており、この素材・テーマに何かしらの意図や想いがあるように思います。

http://www.mounirfatmi.com

スペースシフター(2018-2019)展示Anish Kapoor’s Sky Mirror, Blue (2016)

■おわりに

ヘイワード・ギャラリーは、ヨーロッパでも最大規模の芸術複合施設サウスバンク・センターにあり、開館当時からきわめて斬新でユニークな展覧会を行ってきました。現代アートを知るうえでは欠かせない美術館であるといえるでしょう。現代アートに興味がある方は、ロンドンを訪れた際ぜひ訪れてみてください。

公式ホームページ

※本記事はコロナウイルス感染拡大より以前に執筆・掲載された記事です。

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