ロイヤル・アカデミー・オブ・アーツ:イギリス最古の美術学校に併設する美術館

ロイヤル・アカデミー・オブ・アーツはロンドンのピカデリーにある美術館で、イギリス最古の美術学校として知られています。もともとは1768年に国王ジョージ3世によって設立が認可されて開校した、王立の美術学校です。そんなロイヤル・アカデミー・オブ・アーツには、イギリスを代表する画家たちの作品や、数々の傑作が所蔵されています。
ロイヤル・アカデミー・オブ・アーツの歴史と所蔵品について詳しく解説していきます。

■ロイヤル・アカデミー・オブ・アーツとは

ロイヤル・アカデミー・オブ・アーツはロンドンのピカデリーにある美術館です。ロイヤル・アカデミー・オブ・アーツの目的は、イギリスにおける芸術を高めるため若手芸術家たちに訓練を行うこと、芸術家たちの職業的な地位を高めることにありました。また同時代の画家の作品を展示することで、イギリス国民の芸術への関心を高めるという動きもあったと考えられています。

創立メンバーにはロココ期に活躍した画家ジョシュア・レノルズら36名が名を連ねており、彼らに続く教授陣によって若手芸術家たちに教育が施されることによって、アカデミーからは数多くの芸術家たちが巣立っていきました。

■ロイヤル・アカデミー・オブ・アーツのコレクション

ロイヤル・アカデミー・オブ・アーツでは、アカデミーの会員として登録される際に作品を寄託する決まりになっており、そうした作品が現在の美術館の所蔵作品につながっていきました。1824年にはロンドンにナショナル・ギャラリーが創設されますが、それ以前は特に、巨匠たちの作品を目にしたいと望むイギリスの芸術家や学生たちにとって、作品を鑑賞できる貴重な場でした。

そんなロイヤル・アカデミー・オブ・アーツのコレクションには、どのような作品が含まれているのでしょうか。主要な作品をご紹介します。

・《跳ねる馬》1825年ジョン・コンスタブル

本作品は1825年に制作された、19世紀のイギリスを代表する画家ジョン・コンスタブルによって描かれた作品です。

ジョン・コンスタブルは、1776年ロンドンの北東にあるサフォーク州イースト・バーゴルトに生まれた画家です。当初は家業を手伝うつもりだったものの、ジョージ・スミスという風景画家に出会うとコンスタブルは画家を志すようになります。1799年にはロイヤル・アカデミー付属美術学校の見習い生に、翌年には正規の学生になっています。

ストゥール川の風景

同時代に活躍したウィリアム・ターナーがロマン派的な劇的な場面を描いたのに対し、コンスタブルは生涯にわたってサフォーク周辺の身近な風景を描き続けました。コンスタンブルは戸外制作を通して光の効果を捕えることに関心を抱いており、パレットの上で色を混ぜ合わせるのではなく、画面上に異なる色を並べていくといった、のちの印象派の技法を先取りするような表現も試みていました。

そんなコンスタブルによって描かれた本作品は、1819年から描かれた6フィート画と呼ばれる大きなキャンバスの連作の一つであり、行手を塞ぐ柵のようなものを飛び越えようとする馬を描いた作品です。ロンドンのナショナルギャラリーにある「ストラットフォードミル」や「乾草の車」などと比べて、連作の中ではあまり目立たない作品ですが、ストゥール川のあたりを描いた6つの風景画のうち一番最後に書かれており、より色味やタッチに深みがあるように思います。

参考サイト:wikipedia ジョン・コンスタブル

・《人魚》1900年ジョン・ウィリアム・ウォーターハウス

本作品は1900年にジョン・ウィリアム・ウォーターハウスによって描かれた、人気のない入り江で長い髪をとかす人魚を描いた作品です。

ウォーターハウスは、1849年に教皇領のローマに生まれた画家です。両親ともに画家であったため幼いころから芸術に関心を抱いており、1870年にはロイヤル・アカデミー・オブ・アーツに入学。1874年には《眠りと異母兄弟の死》を夏の展示会で発表し、好評を得ます。1895年にはロイヤル・アカデミー・オブ・アーツの最高芸術院会員に選ばれており、名声を博しました。

そんなウォーターハウスによって描かれた本作品は、アルフレッド・テスニンの詩《人魚》に着想を得たと考えられている作品です。ウォーターハウスはよく神話や文学作品に登場する女性たちを主題として作品を制作していますが、テスニンの詩には特に影響を受けており、代表作《シャロットの女》もその一つです。

参考サイト:wikipedia ジョン・ウィリアム・ウォーターハウス

・《ドルバダーン城》1800年ジョセフ・マロード・ウィリアム・ターナー

本作品は1800年に制作された、19世紀イギリスを代表する画家ウィリアム・ターナーの作品です。

ウィリアム・ターナーは1755年、ロンドンのコヴェント・ガーデンに理髪師の息子として生まれました。母親が精神疾患をもっていたため、十分な学校教育を受けることもかないませんでしたが、1789年には風景画家トーマスマートンに弟子入りし、ロイヤル・アカデミー・オブ・アーツに入学。1797年にはアカデミーに初出展し、1802年には正会員となっています。

初期のターナーは写実的な作品を描いていたものの、徐々に大気や光、雲といった自然の事象の劇的な表現を描くようになりました。こうした作品はイギリスのロマン派を代表する作品となっていきます。


ドルバダーン城の写真

本作品は1800年に行われたアカデミーの展覧会に出品された作品で、ウェールズの北西部にある13世紀に建造されたドルバダーン城を描いた作品です。ドルバダーン城はウェールズの王子であったオーウェンが兄弟間の権力争いに敗北して、1255年から1277年の23年間幽閉された地として知られています。作品全体にはそのことを表すように厳粛さと陰鬱な雰囲気が漂っています。

参考サイト:wikipediaジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナ

参考サイト:wikipediaドルバダーン城

■おわりに

ロイヤル・アカデミー・オブ・アーツはイギリス王立の美術学校であるとともに、芸術家や学生たちに作品を鑑賞する場を提供する美術館としても機能してきました。アカデミーのコレクションは無料のガイドツアーで鑑賞することができ、イギリス国内はもちろん、世界中の人々が訪れる地となっています。ロンドンを訪れた際には足を延ばしてみてはいかがでしょうか。

参考サイト:wikipediaロイヤル・アカデミー・オブ・アーツ

公式ホームページ

※本記事はコロナウイルス感染拡大より以前に執筆・掲載された記事です。

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