インスブルック(オーストリア):デザインの巨匠エットレ・ソットサスの故郷

イタリアンデザインの評価を高めた偉大な人物が『エットレ・ソットサス』である。父親と同じ建築家の道を歩み、独自のデザインセンスから大きな脚光を浴びてきた。現在でも回顧展が開催されるなど、その功績が色褪せることはない。そんなエットレ・ソットサスの故郷が、オーストリアを代表する芸術都市の一つ『インスブルック』である。デザインの巨匠・エットレ・ソットサスとその故郷インスブルックの魅力を紹介していこう。

デザインの巨匠『エットレ・ソットサス』

『エットレ・ソットサス(Ettore Sottsass)』は1917年生まれ、オーストリアのインスブルック出身の人物です。イタリアンデザインの評価を高めた立役者であり、タイプライターのデザインが特に有名な人物です。独創的なデザインと芸術作品を彷彿とさせるあざやかな色使いは、世界中でたくさんの人々を魅了してきました。代表作とされるタイプライター“ヴァレンタイン”はMoMA(ニューヨーク近代美術館)に所蔵されています。

オーストリアに生まれたのち、建築家として勤めていた父親の仕事の都合でイタリアに移住したというエットレ・ソットサス。1939年にはトリノ工科大学の建築学科を卒業しています。このキャリアの選択は、同じく建築家として活躍していた父親の影響が色濃いのでしょう。1947年に自身の事務所を設立し、建築家・デザイナーとして活躍してきました。1959年にはイタリアのデザインにおける最高賞を受賞しています。斬新なアイデアは世界を魅了してきました。

現在も回顧展が開催されるなど注目を集めているエットレ・ソットサス。その故郷がオーストリア第5の街『インスブルック』です。インスブルックの魅力を紹介しましょう。

エットレ・ソットサスの故郷『インスブルック』

インスブルック(Innsbruck)はオーストリア西部に位置するチロル州の州都です。ウィンタースポーツの聖地ともいわれており、1964年と1976年にオリンピックが開催されるなど注目を集めてきました。街の名前は“イン川の橋”を意味しており、周辺各国の交易の中継都市として発展を重ねてきました。チロル州はワルツ発祥の地として有名で、州都であるインスブルックは芸術都市として名を馳せています。演劇などの芸術に触れる機会も豊富にあるでしょう。

1239年に都市権を獲得したインスブルックは、オーストリア大公『マクシミリアン一世』が治世する時代にとりわけ発展を重ねてきました。マクシミリアン一世は領土内のさまざまな言語を操る巧みな人物で、“中世最後の騎士”として尊敬を集めていることでも有名です。インスブルックはそんなマクシミリアン一世が特に愛した街として知られており、美しい街並みと雄大なアルプス山脈、そして長い歴史が根付いたインスブルックは、観光に最適の街としておすすめできます。

インスブルックの見所は、マクシミリアン一世の結婚を祝って設置された『黄金の小屋根』が最も人気を集めるスポットです。また、女帝『マリア・テレジア』が増改築を施した『王宮』や、チロル地方のカトリック教会の総本山『聖ヤコブ教会』も見逃せないスポットです。あざやかな街並みが広がる旧市街も、散策するにはおすすめの場所です。名物の『チローラー・グレステル』も必食です。インスブルックの観光で絶対に見逃せない見所を紹介します。

インスブルックで最も人気のスポット『黄金の小屋根』

『黄金の小屋根(Goldenes Dachl)』はインスブルックの旧市街にある人気の観光スポットです。5階建ての建物のテラスにあり、総数2,657枚の金箔を使って装飾された屋根部分は必見です。黄金の小屋根はオーストリア大公マクシミリアン一世の結婚を記念して設置されたもので、1500年に完成しました。黄金の輝きを放つ屋根はもちろん、精巧な装飾や彫刻も見逃せないでしょう。マクシミリアン一世と2人の妻を描いたモチーフがテラスの欄干を彩っています。

クリスマスの時期は正面の広場に巨大なクリスマスツリーが設置され、大規模なクリスマス・マーケットを目当てにたくさんの観光客がインスブルックを訪れます。また、建物の内部は博物館になっているのでぜひ覗いてみてください。マクシミリアン一世がお祭りなどのイベントを特等席で眺めるために、この黄金の小屋根は設置されたといわれています。

ロココ調の優雅な建物『王宮』

『王宮(Hofburg)』は1463年に建造された建物で、1763年に現在のロココ様式の建物に再建されました。白亜の外観が特徴の王宮は、ハンガリー女王やオーストリア大公として知られる女帝マリア・テレジアが愛した建物として知られています。建造後に幾度も増改築を経てきた王宮は、マリア・テレジアの時代に大規模な改築がおこなわれ、豪華絢爛な大広間や礼拝堂などが増築されました。

壮麗な天井画やさまざまな絵画は絶対に見逃せない見所でしょう。当時の舞踏会のテーブルセットを再現した部屋や、ハプスブルク家に関する資料も展示しています。建物の魅力のみならず歴史にも触れることができます。オーストリア皇帝の生活を垣間見られる貴重な機会、インスブルックの王宮は必見のおすすめスポットです。

チロル地方のカトリック教会の総本山『聖ヤコブ教会』

『聖ヤコブ教会(Dom zu St.Jakob)』は2つの尖塔がシンボルの、ゴシック様式の教会です。ゴシック様式の先駆けとも呼ばれる教会は、チロル地方のカトリック教会の総本山として知られています。素朴な外観とは裏腹に内部の装飾の美しさには息を飲みます。天井には教会名にある『聖ヤコブ』が幻想的に描かれており、教会内を穏やかな雰囲気で包んでいますよ。また中央祭壇にある“救いのマリア”は特に有名な作品です。ぜひ間近で鑑賞してみてください。

チロル地方で最も美しいといわれるパイプオルガンがあるなど、教会内の見所は豊富です。金色と銀色のあざやかな色のコントラストは相当に美しいものですよ。インスブルックの信仰の中心地、聖ヤコブ教会にぜひ訪れてみてください。神秘的な空気感にきっとあなたも魅了されるはずです。

インスブルックの旧市街で散策を楽しむ

インスブルックの観光の中心になるのが旧市街です。黄金の小屋根をはじめとした観光スポットの多くが旧市街に集まっています。オレンジ色の屋根とターコイズブルーのドームが織りなす光景はとても美しいものです。背後には雄大なアルプス山脈が広がっており、自然との調和も感じることができるはずです。目抜き通りである『マリア・テレジア通り』でショッピングやカフェタイムを楽しむことができるでしょう。ゆっくりと散策するのもおすすめです。

旧市街のシンボルになっているのが『聖アンナの記念柱(Annasaule)』です。1701年〜1714年にかけて発生したスペイン継承戦争で、バイエルン軍を撃退したことを記念して建造されました。この撃退した日が“聖アンナの日”だったことが名前の由来になっています。土台には4人の聖人の彫像が置かれていますよ。精巧に作られているので、ぜひ近くで鑑賞してみてください。“エルカー”と呼ばれる独特の出窓にも注目の旧市街で、散策を楽しんでみてくださいね。

インスブルックの名物『チローラー・グレステル』

『チローラー・グレステル(Tiroler Groestel)』はチロル地方で愛される郷土料理です。牛肉や豚肉、ジャガイモやタマネギなどを炒め合わせた料理で、素朴でシンプルな味わいが特徴です。フライドエッグを乗せて食べることも多いといいます。フライパンのまま提供されるのも特徴のひとつで、肉や野菜の素朴で深みのある味わいはクセになります。ビールとの相性も最高なので、ぜひ合わせてみてください。

オーストリアの芸術都市・インスブルックで滞在を堪能!

イタリアンデザインの巨匠・エットレ・ソットサス、その故郷であるオーストリアのインスブルックの魅力や見所を紹介してきました。歴代の皇帝に愛されてきたインスブルックには、歴史的・文化的な魅力が根付いていました。雄大なアルプス山脈のお膝元、あざやかな街並みを散策してみるだけでも楽しめるでしょう。ゆっくりと芸術鑑賞をしてみるのもおすすめです。

そんなインスブルックの玄関は『インスブルック国際空港(Flughafen Innsbruck)』です。市街地の西およそ5kmの場所にあり、空港から市街地まではバスでおよそ20分です。またオーストリアの首都・ウィーンからはバスを使い約2時間でアクセスできます。歴史や文化、そして芸術を堪能するために、オーストリアを周遊してみるのもおすすめですよ。オーストリアで人気の観光都市インスブルック、次回の旅はこの街を目的地に定めてみてはいかがでしょうか?

※本記事はコロナウイルス感染拡大より以前に執筆・掲載された記事です。

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