ローザンヌ(スイス):木版画発展の担い手、フェリックス・ヴァロットンの生まれた街

現代の木版画の発展に大きな貢献をした人物が『フェリックス・ヴァロットン』である。スイスのローザンヌに生まれたのち、パリでその感性に磨きをかけた芸術家。白と黒の見事な対比は、彼の木版画が描き出した唯一無二の個性だろう。そんなフェリックス・ヴァロットンの生まれた街が、スイスの『ローザンヌ』である。オリンピック委員会の本部があることから“オリンピックの首都”と呼ばれる街だ。フェリックス・ヴァロットンとローザンヌの魅力を詳しく紹介していこう。

木版画発展の担い手『フェリックス・ヴァロットン』

(Public Domain/‘Self-portrait’ by Félix Edouard Vallotton. Image viaWIKIMEDIA COMMONS)

『フェリックス・ヴァロットン(Félix Edouard Vallotton)』は1865年生まれ、スイスのローザンヌ出身の芸術家です。白と黒の対比が美しい木版画がとりわけ有名な作品でしょう。1891年に初めて木版画を制作してから数多くの作品を手掛けていきました。その影響力はヨーロッパをはじめアメリカにも及んでいたのだといいます。当時としては素朴で、注目されることの少なかった木版画の名誉を回復した重要な人物です。

出生後ローザンヌで育ったフェリックス・ヴァロットンは、地元ローザンヌの大学を卒業後、フランスのパリに移住し芸術家として感性に磨きをかけていきました。そのインスピレーションの源泉はもっぱら過去の巨匠たちの作品で、ルーヴル美術館に入り浸っては偉大な作品を鑑賞していたといいます。制作を続けながら新たな道を模索し、木版画を革新したといわれるほどの名作を作り上げていきました。まさしく、木版画発展の担い手といえます。

木版画のほか絵画や小説、美術批評まで手がけていたフェリックス・ヴァロットンは、日本の浮世絵のコレクションをしていたことでも有名です。独特なフラットな印象を持つ作品の数々は、幅広い知見を元に生み出されていたのでしょう。木版画発展を担ってきた芸術家・フェリックス・ヴァロットン。その故郷が、スイスの街『ローザンヌ』です。

フェリックス・ヴァロットンの生まれた街『ローザンヌ』

『ローザンヌ(Lausanne)』はスイス南西部に位置するヴォー州の州都です。フランス語圏に属しており、三日月型の湖『レマン湖』の北岸に面しています。ローザンヌ大学をはじめとした教育機関が数多くあり、スイスで屈指の文化都市としても有名です。また、国際オリンピック委員会の本部があることから、“オリンピックの首都”とも呼ばれています。雄大なレマン湖とアルプス山脈が織りなす光景は、絶景というほかありません。

古代ローマ時代から軍の野営地として生活拠点になっていたローザンヌは、ローマ帝国崩壊後に現在の場所に移ってきました。1803年にはヴォー州の州都に就任し、20世紀中盤に周辺各国からたくさんの移住者を受け入れてきたといいます。自然、文化、そして国際性に満ちた街といってもよいでしょう。ローザンヌには『オリンピック博物館』や『ローザンヌ大聖堂』、世界でもあまり類を見ないアウトサイダー・アートの美術館があります。ここからはローザンヌの見所を紹介していきましょう。

ローザンヌの見所No.1!『オリンピック博物館』

スポーツの祭典オリンピック、世界を熱狂に巻き込むこのビッグイベントの本拠地がローザンヌです。『オリンピック博物館(Musée olympique)』は1993年に開館を迎え、2013年に規模を拡大してリニューアルオープンしました。1896年に開催されたアテネオリンピックから続く歴史を、豊富な資料やコレクションの数々を通して体感することができるでしょう。夏季と冬季、それぞれの歴史を物語る圧倒的なコレクションは必見です。

館内には歴代のオリンピックの名シーンを最新の音響施設で体感できるブースがあります。あなたが生まれる前の熱狂の渦を、当時の臨場感を通して知ることができますよ!常設展のほか企画展も開催されるので、訪れる時期によって感じる印象も異なるでしょう。

最上階にはカフェが併設されており、のんびりと休憩することもできます。テラス席からはレマン湖とアルプス山脈の絶景が堪能できますよ。

世界唯一のオリンピック博物館。オリジナルの商品もあるので、ローザンヌのお土産探しにもおすすめのスポットです。

ローザンヌのシンボル『ローザンヌ大聖堂』

『ローザンヌ大聖堂(La Cathedrale de Lausanne)』は、ローザンヌの旧市街にたたずむ教会です。ローザンヌらしいオレンジ色の屋根とブラウンの外壁が印象的でしょう。正式名称は“聖マリア大聖堂”といい、ローザンヌの信仰の中心地となっています。スイス屈指のゴシック建築で、尖塔と直径9mのバラ窓が放つ存在感は圧倒的ですよ。旧市街の街並みとの調和は、息を飲むほどに美しいです。

ときにスイスでもっとも美しいといわれるローザンヌ大聖堂は、外観だけでなく内装も素晴らしいものです。白色を基調とした内装は、シンプルながら上品で優雅な雰囲気を醸し出しています。アーチを描いたヴォールト天井やステンドグラスも見逃せません。2003年に設置されたパイプオルガンの全長は11m、初代から数えて5代目になるという事実にも驚きでしょう。また鐘楼に登ることもでき、頂上からはローザンヌの街並みが一望できます。暗くなるとライトアップされるので、明るい時間と異なる印象を楽しんでみるのもおすすめです。

“アウトサイダー・アート”を展示した『アール・ブリュット・コレクション』

アウトサイダー・アートとは、芸術の訓練を受けていない人たちが制作した芸術作品のことをいいます。『アール・ブリュット・コレクション(Collection de l’art brut)』は、1976年に開館したアウトサイダー・アートのための美術館。その所蔵作品は現在も増え続けているといいます。囚人や精神病の患者によって制作された作品の数々は、どこか独特で個性的な世界観を持っています。あなたの持っている芸術の概念をくつがえす、新しい出会いがあるかもしれません。

アール・ブリュット・コレクションは、その独自のコンセプトにも関わらず、ローザンヌで屈指の人気観光スポットになっています。刺激的で魅力的な作品の数々に、ぜひあなたも魅了されてみてください。

スイス最大の湖『レマン湖』

『レマン湖(Lac Léman)』はスイスとフランスにまたがる巨大な湖です。三日月型のレマン湖はスイスで最大、中央ヨーロッパで2番目の大きさを誇っていますよ。ローザンヌはもちろん近隣には多くの観光名所があり、クルーズツアーも催行されています。湖の周辺をゆったり散策したり、絶景が見渡せるカフェで穏やかな時間を堪能したりと、思いおもいの時間を過ごすことができますよ。もちろん写真撮影スポットとしても秀逸です。季節の変化もぜひ楽しんでみてください。

ローザンヌの名物『パペ・ヴォドワ』

『パペ・ヴォドワ(PapetVaudois)』は、西洋ネギとタマネギをじっくりと炒めて甘みを出し、その上にヴォー州特産のソーセージを乗せた名物料理です。一緒にマッシュしたジャガイモを加えることで、より濃厚な甘みと旨味を堪能できるのだとか。ソーセージの塩味と野菜の優しい甘さがベストマッチ、これ以上ない至福の味わいを演出してくれますよ!世界最古のブドウのひとつ“シャスラ”を使った、名産ワインと一緒に味わってみてください。繊細な酸が料理を引き立ててくれますよ。

美しいレマン湖のほとり、ローザンヌで充実の時間を

木版画発展の担い手・芸術家フェリックス・ヴァロットンの出身地、ローザンヌの魅力や見所を紹介してきました。自然と街並みの共存が美しいローザンヌは、今日のスイスでもっとも人気のある街のひとつでしょう。オレンジ色の屋根が連なる景観は、太陽のように明るい印象を与えてくれます。

ローザンヌへのアクセスは、電車の利用が一般的です。スイス北部の街ジュネーブからおよそ40分の距離、世界金融の中心地チューリッヒからおよそ2時間30分の距離にあります。スイスの雄大な自然を堪能しながら、優雅な電車旅を楽しめるはずです。観光に最適のローザンヌは、世界各地からの観光客を魅了し続けています。あなたもその魅力に浸ってみてはいかがでしょうか?

※本記事はコロナウイルス感染拡大より以前に執筆・掲載された記事です。

関連記事一覧