バクー(アゼルバイジャン):著名な女性指揮者、ヴェロニカ・ドゥダロワの生まれた街

ロシアを代表する女性指揮者が『ヴェロニカ・ドゥダロワ』である。5歳から音楽に親しみ、モスクワ交響楽団の監督も務めた人物。後年は自身の交響楽団を設立し、総責任者を務めてきた。ロシアの歴史を代表する音楽家の一人だろう。そんなヴェロニカ・ドゥダロワの生まれた街が、“第二のドバイ”とも呼ばれるアゼルバイジャンの首都『バクー』である。世界遺産にも認定された旧市街と、発展した新市街のコントラストが印象的な街。双方の魅力を紹介しよう。

著名な女性指揮者『ヴェロニカ・ドゥダロワ』

『ヴェロニカ・ドゥダロワ(Veronica Borisovna Dudarova)』は1916年生まれ、現在のアゼルバイジャンの首都バクー出身の指揮者です。ロシアの指揮者の中でも特に有名な人物で、後年には自身の交響楽団を設立し、勢力的に活動をおこなってきました。旧貴族の家系に生まれたヴェロニカ・ドゥダロワは5歳の頃にバクーの音楽学校でピアノを始め、1939年にモスクワ音楽院の指揮科に入学しています。指揮者を志したのは当時の師匠の勧めによるものなのだとか。

1944年に指揮者としてデビューを果たし、1947年にはモスクワ国立交響楽団の指揮者に就任しています。モスクワ音楽院を卒業したのが1947年といいますから、指揮者としてのキャリアは在学中から築いていたのですね。1960年には同楽団の首席指揮者に就任しています。後年の1991年に自身の楽団を設立し、総責任者の役割を果たしてきました。生涯を通して指揮の道を追求してきたヴェロニカ・ドゥダロワのすばらしい演奏は、CDなどにも収められています。

次章からはヴェロニカ・ドゥダロワの故郷『バクー』の魅力や見所を紹介していきましょう。

ヴェロニカ・ドゥダロワの故郷『バクー』

『バクー(Baku)』は南コーカサスの主要国アゼルバイジャンの首都です。国内最大の街で、世界最大の湖『カスピ海』に面した港湾都市です。カスピ海沿岸に広がるバクーの街並みは、歴史を重ねた旧市街と、急速に発展を遂げている新市街のコントラストが印象に残ります。また、温泉や鉱泉が豊富にある保養地としても有名な街ですよ。アゼルバイジャンは石油の産油国として発展を遂げており、バクーも急速に発展していることから“第二のドバイ”と呼ばれています。

美しいカスピ海や旧市街と新市街、観光資源が豊富なバクーの歴史は紀元前から始まっていたといわれています。5世紀には街が創設され、8世紀にはすでに石油の存在が発見されていました。12世紀〜16世紀にシルバン・シャー朝の領土として栄え、首都の役割も担ってきました。1813年にはロシア帝国に編入、20世紀初頭には世界の産油量の大半を占めておりバクーは発展を遂げています。1991年のアゼルバイジャン独立後も繁栄を続け、首都の座に就いています。

バクーの見所はユネスコ世界遺産に認定されている旧市街や、シルバン・シャー朝時代に建造された『シルヴァン・シャー宮殿』、旧市街のシンボル『乙女の塔』です。対してバクーの新市街にある『フレイム・タワー』や、モダンな設計の文化複合施設『ヘイダル・アリエフ・センター』も絶対に見逃せないスポットですよ。それぞれの見所を紹介していきます。

ユネスコ世界遺産『シルヴァン・シャー宮殿』

『シルヴァン・シャー宮殿(Shirvanshah’s Palace)』はバクー観光のハイライトになる建物で、2000年に『城壁都市バクー、シルヴァンシャー宮殿、及び乙女の塔』の名称でユネスコ世界遺産に認定されています。アゼルバイジャンで初めての世界遺産を見逃す手はありませんよね。15世紀に建造されたシルヴァン・シャー宮殿はアゼルバイジャン建築の最高傑作とも称されています。12世紀〜16世紀に栄えたシルバン・シャー朝の君主が暮らしを営んでいた建物です。

シルヴァン・シャー宮殿の敷地内には霊廟や浴場、謁見の間や複数のモスクがあります。宮殿部分は博物館として一般公開されていますので、ぜひ訪れてみてください。2000年に発生した地震で一時期は危機遺産とされましたが、現在は復旧工事を終えており安全に観光することができますよ。城壁に囲まれたバクー旧市街の中でも最も人気のある観光スポットです。当時にタイムスリップしたような感覚を味わうことができますよ。じっくり鑑賞してみてください。

公式:ユネスコ

バクー旧市街のシンボル『乙女の塔』

『乙女の塔(Maiden’s Tower)』は高さ28mの石造りの塔です。アゼルバイジャンの貨幣に印刷されているため、国内で知らない人はいないでしょう。8層構造の重厚な塔は、バクー旧市街のシンボルといえます。12世紀に旧市街を囲む城壁の一部として建造されました。塔内部は博物館になっておりバクーの歴史に触れることもできますよ。また128段のらせん階段を登れば、頂上から360°Cの絶景が眺められます。街並みや雄大なカスピ海を一望することができますよ。

乙女の塔には悲しい伝説があります。それは当時の王女が望まない結婚を強要され、塔からカスピ海に身を投げたというものです。乙女の塔という名称も、この伝説から付けられたといわれていますよ。現在カスピ海は離れた場所にありますが、建造当時の塔はカスピ海の浅瀬にあったのだとか。バクーの歴史を象徴する伝説ともいえますね。バクー旧市街のシンボルである乙女の塔へ、散策がてら訪れてみてください。デートスポットとしても人気のようですよ。

炎をモチーフにしたバクーのアイコン『フレイム・タワー』

バクーのあるアゼルバイジャンは“炎の国”とも呼ばれています。その炎をモチーフにした建物が『フレイム・タワー(Flame Towers)』です。高さ約180mの3つの高層ビルからなる建物群で、2012年に完成しました。総工費はなんと350億円ともいわれており、アゼルバイジャンの繁栄を象徴する建物ともいえるでしょう。フレイム・タワーは新市街と旧市街、バクーのどのエリアからも目にすることができます。レトロな旧市街の背景にある姿は、なんとも不思議ですよ。

昼間の姿も美しく、写真にも映えるフレイム・タワーですが、おすすめはなんといっても日没後の姿です。名前通りに炎をモチーフにしたライトアップがおこなわれ、バクーの夜景を幻想的に彩ってくれます。しかもこのライトアップにはバリエーションがあり、アゼルバイジャンの国旗の色や旗を振る人など、文字通りの七変化を楽しめます。遠目にホテルの窓から眺めたり、散策中に眺めたり、毎晩のお楽しみになるはずです。夕暮れどきも美しいですよ!

建物のすばらしさに魅了される『ヘイダル・アリエフ・センター』

2012年にバクーに登場した新しいランドマークが『ヘイダル・アリエフ・センター(Heydar Aliyev Center)』、アゼルバイジャンの前大統領の名前を冠した建物です。博物館や美術館、コンサートホールなどを要する複合文化施設で、建築家『ザハ・ハディド』によって設計されました。ザハ・ハディドは奇抜な設計で実際に建築されることが多かったことから“アンビルトの女王”とも呼ばれています。そんな建築家が手がけた建物は、前衛的なデザインが特徴です。

白を基調としたヘイダル・アリエフ・センターは、見る角度によって印象が変わります。まるでSF小説に登場する宇宙基地のような外観は、童心を刺激するでしょう。流れるような建物の曲線美を見るだけでも、訪れる価値は十分にあります。周辺は芝生に覆われており、カタツムリやウサギをモチーフにした動物のオブジェがたくさん置かれていますよ。また『I LOVE Baku』のオブジェがあり、建物と一緒に記念撮影ができるスポットとして人気です。

バクーの名物『クタブ』と『ドナル』

バクーの名物『クタブ(Qutab)』はアゼルバイジャンで愛される伝統的な料理です。挽き肉や野菜、香草を薄いクレープ記事で包んだもので、具材の旨味を口いっぱいに堪能できます。生地は薄く軽いので、何個でも食べることができますよ。また街歩きにおすすめなのが『ドナル(Donar)』です。パンに肉の薄切りや野菜を挟んだ、手軽に食べられるアゼルバイジャンを代表するファストフードです。屋台で手軽に買えるので、散策の合間に挑戦してみてください。

見所満載のバクーで観光を楽しむ

ロシアを代表する指揮者、ヴェロニカ・ドゥダロワの故郷バクーの魅力を紹介してきました。アゼルバイジャンの首都バクーは、近年急速に発展を遂げつつあります。特に新市街の発展は、第二のドバイと呼ばれるほど著しいです。反面旧市街には歴史的な風情もあり、観光を楽しませてくれます。新旧が混在したバクーは旅の目的地に最適です。ぜひ訪れてみてくださいね。

そんなバクーの玄関口は『ヘイダル・アリエフ空港(Heydar Aliyev International Airport)』です。バクーの中心街からの距離は約20kmです。空港から市街地までのアクセスはバスの利用をおすすめします。所要時間は約30分です。バス利用時には合わせて『BakiKART』というICカードを購入しておきましょう。地下鉄も利用できるので滞在中もお世話になるはずです。

公式:BakiKART

歴史と文化の溢れる街バクー。新旧が交差する街で思い出に残る時間を過ごしてみてくださいね。

※本記事はコロナウイルス感染拡大より以前に執筆・掲載された記事です。

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