ハリコフ(ウクライナ):ピアニスト、アレクサンドル・ジロティの故郷

音楽家、教育者として著名な人物が『アレクサンドル・ジロティ』である。交響詩の創始者『フランツ・リスト』最後の高弟として、幅広いジャンルの音楽活動をおこなってきた。また、著名な音楽家を育てた経験も豊富である。そんなアレクサンドル・ジモティの故郷が、ウクライナの第二の街『ハリコフ』。アレクサンドル・ジロティとハリコフの魅力を紹介しよう。

ピアニスト『アレクサンドル・ジロティ』

『アレクサンドル・ジロティ(Александр Ильич Зилоти)』は1863年生まれ、ウクライナのハリコフ出身の音楽家です(出生当時はロシア帝国領)。ピアニスト・指揮者・作曲家と、音楽にまつわるさまざまな肩書きを持っており、中でも演奏や指揮に関わる評価がとりわけ高い人物です。指揮者としては同時代の音楽家の作品を積極的に演奏し、啓蒙活動に取り組んでいました。彼に演奏してもらうために曲を作った作曲家もいるほどです。

アレクサンドル・ジロティは、ハンガリーの音楽家で交響詩の創始者として広く知られている『フランツ・リスト』最後の高弟(特に優れた弟子)としても知られている人物です。そんな彼の原点は、母親の音楽に対する造詣の深さからくるものでした。モスクワ音楽院に入学し1881年に卒業、1883年にドイツのライプツィヒで演奏家としてデビューを果たしています。1887年に結婚後は、自身のコンサートをおこなうようになりました。

母校であるモスクワ音楽院で教鞭を振るい、1901年〜1903年までモスクワ・フィルハーモニー管弦楽団の指揮者を務めています。1921年にアメリカに渡り、1925年からはジュリアード音楽院大学院でも教鞭を執っていました。後進の音楽家育成に関わる功績も、相当に高いものでしょう。演奏・指揮・作曲と音楽家としての活動以外に、後進育成にも情熱を傾けてきたアレクサンドル・ジモティ。その故郷がウクライナ第二の街『ハリコフ』です。

モスクワ音楽院スタッフ

アレクサンドル・ジモティの故郷『ハリコフ』

『ハリコフ(Харьков)』は東ヨーロッパの国・ウクライナの北東部にあるハリキウ州の州都です。ハリコフのほか、ハリキウの名前で呼ばれることもあります。ハリコフはウクライナで二番目の規模を誇る街で、首都キエフと同様に国の発展を担ってきました。

ハリコフの歴史は比較的新しく、創設されたのは17世紀中盤のことです。当時はロシア帝国南部の軍事拠点として利用されていました。19世紀以降に工業都市として発展を遂げると、人口は急速に増えていったといいます。第二次世界大戦時代は『ハリコフの攻防戦』と呼ばれる激しい戦いの舞台になりました。しかし、現在のハリコフは美しく整備され、のどかな雰囲気が漂う街並みが広がっています。1805年に創設された歴史あるハリコフ大学もあるため、ウクライナの文化・教育の中心地でもあります。

ハルキウ川・ロパン川・ウドゥイ川、3つの川の合流地点にあるハリコフは観光の見所も豊富にあります。白と茶色のボーダー模様が美しい『受胎告知教会』や、歴史ある『ポクロフスキー大聖堂』、ウクライナ初の劇場として開館した『ルイセンコ記念ハルキフ国立オペラ・バレエ劇場』は必見です。また、『ミラーストリーム噴水』もおすすめのスポットです。それでは、ハリコフの見所を紹介していきます。

パッと目を引くあざやかな『受胎告知教会』

『受胎告知教会(Свято-Благовіщенський кафедральний собор)』は白と茶色のボーダー模様が目を引く、ハリコフのランドマークです。17世紀に建造された教会を前身に、1901年に現在の建物に改築されました。ネオ・ビザンチン様式が特徴的な外観は、驚くほどにあざやかな姿を披露しています。街を散策する中で、意図せずその姿に驚くこともあるでしょう。

一転して、受胎告知教会の内部はシンプルで落ち着いた色合いの装飾が施されています。外観と内装のコントラストも、教会の見所のひとつでしょう。金色に輝く祭壇は荘厳というほかありません。ハリコフのランドマーク、ぜひ足を運んでみてください。

『ポクロフスキー大聖堂』

『ポクロフスキー大聖堂(Pokrovsky Cathedral)』は1689年に建てられた教会で、ハリコフ最古の建物といわれています。淡い水色の外壁は、華やかさはないものの落ち着いた雰囲気を醸し出しており、ウクライナの典型的な教会建築といわれています。

Independence Monument “Ukraine flying”

ウクライナ初の劇場『オペラ劇場』

『ルイセンコ記念ハルキフ国立オペラ・バレエ劇場(Kharkiv State Academic Opera and Ballet Theatre named after M.V.Lysenko)』はウクライナで初めての劇場として、1925年にオープンしました。1991年に改築されモダンなデザインに変更されています。大ホールと小ホール、2つのホールでは国内外のオペラやコンサートが開催されています。ウクライナ語・英語・フランス語など、さまざまな言語で上演されるショーを楽しんでみるのも一興です。芸術に浸る時間を楽しんでみてくださいね。

公式

ハリコフを彩る2つのシンボル『ミラーストリーム噴水』

『ミラーストリーム噴水(Mirror Stream fountain)』は1947年からの歴史を誇るハリコフのシンボルです。白いアーチの建物が目印でしょう。周辺は花壇で満たされ、季節ごとにさまざまな花々が咲き乱れます。夜はあざやかにライトアップされるので、カップルで訪れる人も多いのだとか。この場所は第二次世界大戦の勝利を祝う記念碑の役割もあるそうです。純白のアーチの下で、記念撮影をしてみてはいかがでしょうか。

ハリコフの名物『ソリャンカ』

『ソリャンカ(Solyanka)』はウクライナで愛される国民食のひとつです。簡単にいえばスパイスや具材がたっぷりのスープのことで、ピクルスやケッパー、肉や魚に野菜など、種類豊富な材料が詰まっています。そのボリューム感からソリャンカは『飲むオードブル』と呼ばれることもあるそうです。旨味の詰まったソリャンカは、添えられたスメタナ(サワークリーム)を溶かしていただきます。滋味深い味わいに癒されてみてください。

ウクライナ第二の街・ハリコフで充実の滞在を

ウクライナ第二の街・ハリコフで充実の滞在を世界的な音楽家、アレクサンドル・ジロティと、その故郷であるハリコフの魅力を紹介してきました。ハリコフは17世紀中盤に創設された比較的新しい街ですが、観光の名所として人気を博しているスポットが多々あります。ウクライナの首都キエフに比べてスポットライトはあまり当たらない街ですが、実は隠れた魅力が豊富な街です。さまざまな教会建築や劇場、街中に点在する彫刻や噴水の鑑賞など、充実した滞在になるはずです。

ハリコフの玄関口は『ハルキウ国際空港(Kharkiv International Airport)』です。空港から市街地までは車で約20分。タクシーを使えばおよそ500円の料金でアクセスできます。また、ウクライナの首都キエフから電車では約7時間です。日帰りは少し大変かもしれませんが、キエフから足を運んでみるのもよいかもしれませんね。ウクライナ第二の街ハリコフで、充実の滞在をお過ごしください。

※本記事はコロナウイルス感染拡大より以前に執筆・掲載された記事です。

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