サン・マルコ美術館:建物そのものが芸術品・フィレンツェの国立美術館

サン・マルコ美術館は、元々修道院として建造されました。建築家ミケロッツォによって当時の最新ルネサンス様式で建築されており、建造物としても芸術的価値があるといえます。一度はナポレオンによって接収されるも没落後に返還され、一般に公開されるようになり、現在は美術館として多くの人が鑑賞できるようになっています。それでは、どのような美術館なのか見て行きましょう!

サン・マルコ美術館とは?

イタリアフィレンツェにある、サン・マルコ広場の中にあるドメニコ会の修道院の一部を美術館としています。建築家ミケロッツォによって、5年の歳月を費やし当時の最新ルネサンス様式で建築されると、簡素な中にも優美さを兼ね備えた建造物となりました。

館内では主に宗教画を始めとしたフレスコ画が展示されています。他にもフィレンツェが首都であった時代の遺構の一部も展示されており、フィレンツェの歴史にも触れる事が出来ます。また、収蔵品の多くはフラ・アンジェリコによるもので、彼は実際にここの修道院に居住していたと言われています。

FlorenceMuseum
サン・マルコ美術館

サン・マルコ美術館は、収蔵品のみならず建造物でも芸術性を感じさせてくれる美術館です。フラ・アンジェリコやフラ・バルトメオの作品などを収蔵し、修道院の作りを生かした展示方式となっています。修道士であったアンジェリコは多くの宗教画を残しており、サン・マルコ美術館の象徴とも言えます。また、美術館の二階は図書館となっています。美しい芸術に囲まれながら書物を手に優雅な一時を送れるでしょう。

果たしてどのような作品が収蔵されているのでしょうか?主な作品を見て行きましょう!

(Public Domain /‘Annunciation’by Fra Angelico. Image viaWIKIMEDIA COMMONS)

〈受胎告知〉1430年頃フラ・アンジェリコ

こちらは1430年頃フラ・アンジェリコによって描かれた、彼の敬虔さを表しているとも言うべき作品です。

アンジェリコはイタリアの一般家庭に生まれました。彼に関する記録は少なく、幼年期の生活に関して謎が多い人物です。特に宗教画の才能に恵まれていた事から、「福者アンジェリコ」という意味のベアート・アンジェリコと呼ばれることもありました。前半期の人生は不明ながら、既に1417年頃には画家として生計を立てていたと言われています。修道会の仕事にも就いており、敬虔さと実直さを備えた人物であったことが絵画からも読み取れます。

受胎告知は回廊を抜けた階段前方に設置されており、キリストの母マリアが天使から突然受胎の告知を受ける、キリスト神話の一幕が描かれています。静かで柔らかな表情の天使と告知を静かに聞き入るマリアの母性を感じることができる一枚です。彼が名乗っていたフラ・アンジェリコの「アンジェリコ」とは、天使のような人物という意味で、その名の通りこの作品は彼の内面性をも写し出していると言えます。この場面をアンジェリコは複数枚描いています。

ディオチェザーノ美術館所蔵作品(Public Domain /‘Annunciation’by Fra Angelico. Image viaWIKIMEDIA COMMONS)

また、アンジェリコはフィレンツェ大司教の地位に推薦された事もあるほど、修道士としても人格者であった事がわかります。彼の聖母や天使は全て優しく穏やかな表情をしているとともに、あたかもその場で表情を見ていたかのように写実的です。

〈最後の審判〉1499年~1501年頃フラ・バルトロメオ

こちらはフラ・バルトメオの代表作として知られ、アルベルティネッリとの共作と言われている作品です。

1:47-『最後の審判』

バルトロメオはコジモ・ロッセリに師事した後、共に修行していたアルベルティネッリと工房を開きました。しかし、絵画は贅沢品ではなく文字を読めない人々に教えを広めるものだ、というドミニコ会の指導者サヴォナローラの教えに強く傾倒した彼は、ドミニコ会修道士となり絵画活動もやめてしまいます。数年後に絵画製作を復活させますが、遠近法やヴェネツィア派の影響を受け、初期作品とは異なった作風となっています。

最後の審判は剥落が激しいため、細部や作成当時の本来の姿は拝めませんが、審判の内容を見守っている姿は分かります。この作品はサンタ・マリア・ヌオーヴァ病院の礼拝堂に飾るために注文されたという古文書の記述が残されています。下絵を書いたのはバルトロメオですが、彼が絵画製作を中断したため、同じ工房のアルベルティネッリが色を付けたと言われています。

バルトロメオの作品の多くは祭壇画で、繊細な色使いと明暗法を用いる事で巧みな描写をしています。彼は一部の人々から、人物像が小さいという理由で力量不足と言われていますが、セバスティアヌス像ではその表情を細かく描いており、必ずしも彼の画力が低いという訳ではありません。

〈最後の晩餐〉1486年ドメニコ・ギルランダイオ

こちらは、ギルランダイオとその助手によって制作された物です。

フィレンツェの人気画家として活躍した彼は、宗教画を得意としていましたが、実在の人物や日常生活を描き込むこともあり、世俗性に富んだ画家でもありました。父親が彫刻家として活躍していた事から、早くから芸術に触れていたことでしょう。また、かのミケランジェロの師としても知られています。

ギルランダイオは複数の教会のために最後の晩餐を描いており、オンニッサンティ教会にも最後の晩餐を描いています。サン・マルコ美術館のものは、その最後の晩餐よりも小さいながら、同一の構図を利用したと考えられており、ギルランダイオは下絵と構図を考えただけで他の大部分は工房に任せていたのではないかと言われています。そのため、どれだけこの絵に関わっていたかわかりません。

終わりに

サン・マルコ美術館はフレスコ画の聖地とも言うべき場所で、多くの宗教画に触れる事ができます。特にフラ・アンジェリコの作品を楽しむにはお薦めの美術館です。美術館と同時に修道院の雰囲気も味わいましょう!

※本記事はコロナウイルス感染拡大より以前に執筆・掲載された記事です。

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