サンセポルクロ市立美術館:20世紀に再評価されたピエロ・デッラ・フランチェスカ作品を見るならココ!

サンセポルクロ市立美術館は、イタリアのトスカーナ州の北部アレッツォ県にある街、サンセポルクロにある市立美術館で、もともと宮殿・市庁舎だった建物を改装して作られました。サンセポルクロ市は画家ピエロ・デッラ・フランチェスカが生まれ、晩年を過ごした場所としても有名な街です。そのため、サンセポルクロ市立美術館にはピエロ・デッラ・フランチェスカの代表的なフレスコ画などが多く展示・所蔵されています。
今回はサンセポルクロ市立美術館について、その歴史と所蔵作品を詳しく解説していきます。

サンセポルクロ市立美術館とは

サンセポルクロ市立美術館は、イタリアのトスカーナ州の北部にあるアレッツォ県の山間にある街サンセポルクロにあり、かつての宮殿および市庁舎を美術館に改装したつくりとなっています。
なかなか耳にする機会のない場所かと思いますが、美術好きには堪らない場所となっています。その理由は、この地が初期ルネッサンスを代表する画家のピエロ・デッラ・フランチェスカの出生地であり、晩年を過ごした場所でもあるからです。そのため、サンセポルクロ市立美術館の所蔵作品はピエロ・デッラ・フランチェスカの作品が中心となっています。
サンセポルクロ市立美術館の近くにはピエロ・デッラ・フランチェスカの家もあるので、併せて訪れると良いでしょう。
サンセポルクロ市立美術館で注意したいのは、イタリアの特徴ともいえる“昼休みが長い”ことや、季節によって開館時間が変わることです。ですので、足を運ぶ際は公式HPで開館状況を調べてから向かうことをおすすめします。

サンセポルクロ市立美術館

サンセポルクロ市立美術館の所蔵品

サンセポルクロ市立美術館は、ルネッサンス初期に活躍したサンセポルクロ出身の画家ピエロ・デッラ・フランチェスカの作品を中心に展開された市立美術館です。そのため、彼の作品を押さえるには最適の美術館となっています。もちろん、ピエロ・デッラ・フランチェスカ以外の作品もありますので、心行くまでフレスコ画を堪能してみてください。
そんなサンセポルクロ市立美術館コレクションの主要な作品をご紹介します。

《キリストの復活》1460年ピエロ・デッラ・フランチェスカ

本作品は1460年に制作されたピエロ・デッラ・フランチェスカの代表作であり、サンセポルクロ市立美術館所蔵作品の中でも目玉のひとつとなっています。
ピエロ・デッラ・フランチェスカはイタリア・ルネッサンス初期に活躍した画家です。彼の生涯はこれまで謎に包まれていましたが、近年になって少しずつ明らかになってきています。

靴職人の子供として生まれたピエロ・デッラ・フランチェスカは、同じくサンセポルクロ出身の地方画家アントーニオ・ダンギアーリのもとで修業を行っていました。修行後はアントーニオ・ダンギアーリの助手および協力者として活動し、生涯の多くを故郷であるサンセポルクロやその周辺で過ごしていました。ピエロ・デッラ・フランチェスカは、数学や幾何学、そして遠近法の研究に打ち込んだ最初期の画家としても有名です。
晩年のピエロ・デッラ・フランチェスカは、目の病気にかかり視力をほぼ失っていたとされています。そのため数学に打ち込み、最終的に数学者としての人生を歩んだということが近年解明されました。

本作品は、サンセポルクロ市立美術館がかつて宮殿だった時代に壁画として描かれた作品です。イエスが磔の刑に処され亡くなった三日後の、“キリストの復活”を題材に描いた作品です。当時の神学を基礎としたイタリア美術の特徴がよく現れながらも、イエス・キリストがサンセポルクロの旗を掲げている様子が描かれていることから、政治的意図も垣間見える作品に仕上がっています。また、本作の下側左から二番目にいる眠った兵士の姿が、ピエロ・デッラ・フランチェスカ本人の自画像であると言われています。

(Public Domain /‘Madonna della Misericordia’by Piero della Francesca. Image viaWIKIMEDIA COMMONS)

《慈悲の聖母(サンタゴスティーノ多翼祭壇画)》1445年~1463年ピエロ・デッラ・フランチェスカ

1445年から1463年に制作されたもので、ピエロ・デッラ・フランチェスカの特に有名な作品です。
木の板の上に描かれた独特の画風ではありますが、とても印象に残る絵画となっています。本作品は、テンペラ画慈悲同信会という団体のために描いた作品です。

絵画の真ん中にたたずむ聖母マリアの広がったマントにひざまずく人物たちは、いずれもキリスト教の信者とされており、男性と女性がそれぞれ4名います。この4人の男性の中にも、作者であるピエロ・デッラ・フランチェスカがいるといわれています。王侯貴族や商人たちが貧しい人々を救済する時、自らを隠すのに使用したミゼリコルディアと呼ばれる覆面をかぶっている人物の右横、マリアの隣の人物がそうであるとされています。

おわりに

サンセポルクロ市立美術館は、この地に生まれたピエロ・デッラ・フランチェスカの作品を多く所蔵しており、彼の作品がメインとなっています。彼の作品を集めたコーナーもあり、全体的な所蔵作品数は少ないものの、ピエロ・デッラ・フランチェスカのファンにとっては聖地ともいえる場所でしょう。ピエロ・デッラ・フランチェスカの作品は20世紀に入ってから再評価され、近年人気が高まりつつある画家です。明るくて、実に単純明快な絵画構成は、私たちにまるで外にいるような感覚を与えてくれます。ピエロ・デッラ・フランチェスカの作品は、今でも多くのファンを魅了してやみません。サンセポルクロ市立美術館は訪れて損はない美術館ですので、イタリアに足を運んだ際は是非立ち寄ってみてください。

※本記事はコロナウイルス感染拡大より以前に執筆・掲載された記事です。

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