ミラノ市立自然史博物館:歴史的価値のある化石・剥製を多くコレクションする博物

ミラノ市立自然史博物館は、イタリア・ミラノ市にある博物館です。自然科学者ジュゼッペ・ダ・クリストフォリスの遺産である膨大なコレクションをもとに創設されました。「イタリアで初めて発見された恐竜の化石」を所蔵するなど、歴史的にも大きな意味をもつ博物館です。展示物は恐竜の骨格模型や化石、動物の剥製、ジオラマなど興味深いものが多くあり、子どもから大人まで多くの人が訪れています。そんなミラノ市立自然史博物館の歴史と所蔵品について詳しく解説していきます。

ミラノ市立自然史博物館とは

ミラノ市立自然史博物館はイタリア・ミラノ市にある博物館で、1838年に創設されました。ヨーロッパの中でも極めて重要な自然博物館に位置付けられています。

自然科学者ジュゼッペ・ダ・クリストフォリスの遺志により、彼の死亡後に膨大な収集品がミラノ市に寄贈されました。彼の友人であったジョルジョ・ヤンが管理を担当し、1844年にミラノ市内のサンタ・マルタ修道院で収集品が一般公開されます。ここからミラノ市立自然史博物館の歴史がスタートしたといえるでしょう。

1888年~1893年には、増加し続けるコレクションの収容スペースが無くなってきたため、インドロ・モンタネッリ公共庭園内にネオロマン様式の建物を新築しました。しかし、第2次世界大戦が始まり1943年の空襲によって建物のほとんどが破壊され、貴重なコレクションも半分以上が失われます。終戦後に再建が始まりましたが、一般公開を再開できたのは1952年のことでした。

現在は23の展示室があり、鉱物学、古生物学、人類学、無脊椎動物学、脊椎動物学の5分野に関する展示を見ることができます。またこれらの研究も日々続けられています。

展示物を詳しく紹介しながら館内を回るガイドツアーも人気で、子どもから大人まで幅広く楽しめる博物館です。

ミラノ市立自然史博物館

ミラノ市立自然史博物館の所蔵品

ミラノ市立自然史博物館の所蔵品は、自然科学者ジュゼッペ・ダ・クリストフォリスが遺した膨大なコレクションが基盤となっており、現在その数は300万以上にも及びます。恐竜の骨格、動植物の化石、ヨーロッパ全土から集められた動物の剥製、鉱物などが展示されていて、それぞれに丁寧な解説(英語・イタリア語)が用意されています。

巨大な恐竜の骨格を間近で見られたり、12mもの大きさのマッコウクジラの骨格を観察したり、楽しみながら自然史を学べるように細やかな工夫がある博物館です。そんなミラノ市立自然史博物館の所蔵品の中から、特に注目してほしい3点をご紹介します。

《スキピオニクスの化石》白亜紀前期

スキピオニクスの化石は、1981年にナポリから約70km北東にあるピエトラローヤ村の採石場で発見されました。現在までに発見されているのは、ミラノ市立自然史博物館で保存してある1標本のみです。

スキピオニクスは、白亜紀前期に現在のイタリアで生息していた恐竜です。化石では羽毛の確認はできませんが、似たような恐竜と照らし合わせた結果、全身を羽毛で覆われていたと推測されています。化石は約50㎝で、生まれたばかりの赤ちゃん恐竜であると推定されています。大人であれば約2mまで成長すると考えられています。

発見者であるアマチュア古生物研究家は当初、絶滅した鳥類の化石だと考えており、自分自身で発掘作業を行いました。それほど重要な化石とは思っていなかったため、失われた尾をポリエステル樹脂で付け加えるなどのアレンジも行っています。数年間は自宅で保管していましたが、1993年にイタリアで初めての発見となる恐竜の化石だと判明しました。

さらにその後の研究で、血液・血管・軟骨・筋組織・呼吸器・消化器など軟組織の痕跡が保存された、極めて珍しい化石であることが判明しています。腸には消化されていない食べ物も見つかり、トカゲや魚を食べていたことが分かっています。スキピオニクスが雑誌「ネイチャー」(1998年)の表紙を飾るなど、この研究成果は考古学界で大きな話題となりました。

《ジオラマ》

ミラノ市立自然史博物館ではジオラマ展示に力を入れています。ジオラマとは生き物が生活している環境の風景も含めて、リアルかつ立体的に作り上げる表現方法です。イタリア国内でも最大級の、100を超えるジオラマを展示しており、地上で生活する生き物はもちろん、海中での生き物の生態まで繊細に創られています。

「親ゾウと子ゾウが戯れる瞬間」「タイガーが獲物を追う瞬間」など一瞬の動きをとらえる表現力と緻密な背景画によって、生命力あふれる展示となっているのは見事です。1点1点のサイズも大きく、動物園のような見応えがあります。また、それぞれの生き物の生活環境に合わせて照明も再現されているため、よりリアルな姿を知ることができます。

《小ゾウの骨格》第四紀

小ゾウの骨格はイタリア・シチリア島で発見された2頭のゾウの骨格です。このゾウはファルコナーゾウとも呼ばれており、約258年前から約1万年前までの期間に生息していたと考えられています。

ゾウは基本的に大きな動物ですが、島などの面積が少ない環境にいると次第に小さくなっていく現象がおきます。その代表的な例がこのシチリア島のファルコナーゾウで、生体(大人)になっても肩までの高さが1m~1.5m程度です。

一般的には高さが4m近くなるゾウが、環境に合わせて変化したとはいえここまで小さくなった進化の過程には多くの謎が残っています。それを研究する上でも、この博物館にある2頭の骨格は大きな価値があると言えます。

おわりに

ミラノ市立自然史博物館はイタリア・ミラノにある博物館で、特に恐竜の化石や動物の剥製が人気を集めています。所蔵品がとても多いのですが、丁寧な解説文を読みながら進んでいけば飽きることなく見学できるでしょう。また、ネオロマン様式が特徴的な建物も見応えがあり、躍動感あふれる展示物と合わせて一見の価値があります。イタリアといえば美術館に人気が集中しますが、ときにはヨーロッパでも有数の博物館を訪れてみてはいかがでしょうか。

※本記事はコロナウイルス感染拡大より以前に執筆・掲載された記事です。

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