モンテマルティーニ美術館:発電機とともに彫刻作品が並ぶ一風変わった美術館

モンテマルティーニ美術館はローマにある美術館で、カピトリーノ美術館の分館として開館しました。古代ローマ時代の彫刻を中心に展示しており、400点ほどをコレクションしています。元々は公共の発電所で、無機質な鉄骨や部品、レトロな発電機が現在も残っています。それらが古代ローマの彫刻作品と同じ空間に配置されているため、唯一無二の雰囲気をもつ美術館となりました。それでは、モンテマルティーニ美術館の歴史と所蔵品について詳しく解説していきます。

モンテマルティーニ美術館とは

モンテマルティーニ美術館はローマ市内の地下鉄、ガルバテッラ駅から徒歩5分ほどの場所にあり、カピトリーノ美術館の分館として1997年に開館しました。

建物は1912年にローマ公共発電所として開業したものを使用していますが、1963年頃に廃業したため発電所自体は稼働していません。しかし、館内には当時のレトロな発電機や部品、むきだしの鉄骨が多く残っており、古代の彫刻作品との対比が面白い美術館となっています。

術館となったのは1995年にカピトリーノ美術館の改装が始まったことがきっかけです。カピトリーノ美術館は世界最古の美術館として有名で、ローマのシンボルでもある「カピトリーニの雌狼」が展示されています。改装にあたりカピトリーノ美術館の彫刻作品の避難先として選ばれたのが、モンテマルティーニ元発電所でした。

カピトリーノ美術館

当初、元発電所への保管は一時的なものとされていました。しかしカピトリーノ美術館がすでに入りきらない数のコレクションを抱えていたこともあって、そのまま元発電所で展示し続けることになりました。1997年にカピトリーノ美術館の分館として正式に開館しています。

ローマ市内にある美術館としては知名度もそこまで高くないため、作品をひとつひとつじっくりと心ゆくまで鑑賞することが出来ます。

モンテマルティーニ発電所

モンテマルティーニ美術館の所蔵品

モンテマルティーニ美術館には、古代ローマをテーマに彫刻やモニュメントが集められています。もともとカピトリーニ美術館で展示していた作品や、スペースの都合で未公開だったものを含め400点ほどを鑑賞することができます。

展示物はテーマによって3つの部屋に分かれています。「円柱の間」は共和制時代(紀元前509年~紀元前27年頃まで)の作品、「ボイラーの間」はモザイクなど個人所有の庭園・別荘地から出土した作品、「機械の間」ではギリシャ神話をモチーフとした人物像など、というようにそれぞれの違いを分かりやすく展示しています。

モンテマルティーニ美術館ならではという点では、発電機の残る「機械の間」が特徴的です。近代と古代のコントラストを楽しむことができるでしょう。

では、そんなモンテマルティーニ美術館にはどんな所蔵品があるのでしょうか。主要な作品をご紹介します。

《トーガを着たバルベリーニ》紀元前1世紀~後1世紀頃作者不明

本作品は紀元前1世紀~後1世紀頃に制作された彫刻作品です。大理石で作られた立像は約165cmあり、頭部はオリジナルではなく後世に追加されたものであると判明しています。この作品を所有していたイタリア貴族の家名がバルベリーニであったことから《トーガを着たバルベリーニ》と呼ばれるようになりました。

モデルとなった人物は不明ですが、初代ローマ皇帝アウグストゥスが正装として制定したトーガを着用していること、柔らかい革を使用した高級靴(カルケウス)を履いていることなどから、元老院に関わる上流階級の人物だと推測されています。

この彫像には、両手に先祖の彫像を大事に抱えているという特徴があります。これは父と祖父の頭部であると考えられており、先祖のルーツを非常に大切にしていた当時の人々の思いを知ることができます。

《フォルトゥーナ》紀元前101年前後ギリシャ人彫刻家

本作品は1925年にローマ市のアルジェンティーナ広場から出土した彫刻作品です。作者は不明ですが、ギリシャ人彫刻家が制作したものであると判明しています。

神殿B

アルジェンティーナ広場には共和政ローマ時代に建てられた4つの神殿の遺跡があります。これらは紀元80年の火災で一度失われ、ローマ帝国時代に再建されたものです。4つの神殿は北から順番に神殿A・神殿B・神殿C・神殿Dとアルファベットで呼び分けられています。本作品が発掘されたのは「神殿B」で、現在も6本の柱が残る丸い形の神殿です。

1909年にローマを部分的に再建することが決まり、アルジェンティーナ広場の一部の取り壊し作業が始まりました。その作業中に巨大な大理石像の頭部と右腕部が見つかったことにより、この場所がかつて「神殿」としてあがめられていたことが判明します。発掘された大理石像が《フォルトゥーナ》でした。モンテマルティーニ美術館に展示されているのはこの像の頭部・腕・足です。

《物思いに耽る女神像》古代ローマ時代作者不明

本作品は1928年にウァリウスの庭園の遺跡から出土した作品です。

モンテマルティーニ美術館のシンボルアイコンとして有名な作品で「ボイラーの間」で展示されています。エレガントな存在感がその空間を圧倒しており、館内の展示物の中でも一番と言っていいほどの人気があります。

本作品は大理石から作られた彫像です。残念ながら鼻や左手が欠けてしまっていますが、綺麗にまとめられた髪、体のラインが浮かびあがるようなマントの表現力は素晴らしく、女性が一人静かに考える様子がリアルに感じられる作品です。左手にはパピルスの巻物を持っていたという説もあり、どんな内容であったのか想像をめぐらすのもロマンがあって良いのではないでしょうか。

おわりに

モンテマルティーニ美術館は古代ローマをテーマとした彫刻、モニュメントを専門としている美術館です。元発電所だったことから当時の部品や発電機が残っており、古代の彫刻作品とのコントラストが楽しめます。有名美術館も良いですが、たまにはこんなユニークな美術館にも立ち寄ってみてください。

※本記事はコロナウイルス感染拡大より以前に執筆・掲載された記事です。

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