市立古典美術館:コンパクトにまとまった全てが美しいトリノの美術館

市立古典美術館は、イタリア北部に位置する都市トリノのカステッロ広場にある、マダマ宮殿内の美術館です。マダマ宮はトリノ宮とも呼ばれており、宮殿自体が「サヴォイア王家の王宮群」として1997年に世界遺産に登録されています。その歴史的価値のある建物の中に市立美術館が組み込まれている、という感じです。トリノ周辺を治めていたサヴォイア家の一族、エマヌエーレ・フィリベルト公の命令でこの宮殿は建設されました。市立古典美術館の敷地面積はそこまで広くないものの、中世からバロック期までの素晴らしい美術品や工芸品などを数多く所蔵・展示しています。今回は市立古典美術館の歴史とその所蔵作品について詳しく解説していきます。

市立古典美術館とは

市立古典美術館は、イタリアのトリノにあるマダマ宮殿にある美術館です。マダマ宮殿は1997年に「サヴォイア王家の王宮群」として世界遺産に登録されています。その一部が市立美術館として一般公開されているのです。

マダマ宮殿は17世紀にサヴォイア家の貴婦人たちが住んでいた建物で、16世紀末にトリノをサヴォイア公国の都と定めた、サヴォイア王家のエマヌエーレ・フィリベルト公の命で建設されました。この宮殿の設計はアスカニオ・ヴィトッツィ。のちの拡張工事はフィリッポ・ユヴァラが手掛けています。多くの芸術家がマダマ宮殿の建築をはじめ、サヴォイア公国の都市計画に基づいた豪華絢爛な建物の建設に関わりました。
サヴォイア家はその後イタリアの王となった一族です。このような建築物や街づくりは、サヴォイア家の権力の象徴でもあったのです。美術館として一般に開放されるようになったのは1832年からで、市立古典美術館としての始まりは1934年です。
市立古典美術館(トリノ)は建物自体も歴史があるため、とても見学しがいがあります。また、その存在感は隣接するトリノ宮に引けを取らないものとなっています。

市立古典美術館の所蔵品・展示

市立古典美術館は、中世からバロック期にかけて製作されたイタリアの絵画を中心に、彫刻や陶器、磁器、マジョリカ、象牙(主に東洋起源)、金と銀の作品、家具や布など数多くの作品を所蔵・展示しています。中世からの美術の歴史をたどるには最適の空間です。市立古典美術館は地下1階から地上3階の4フロアからなり、サクッと見ることのできる広さですが、素晴らしい作品が凝縮されているので見学者は大変満足いく時間を過ごすことができます。では市立古典美術館のコレクションには、どのような作品が含まれているのでしょうか。ここで、市立古典美術館の作品および展示品をご紹介します。

《Madonna and Child Enthroned with Four Angels》1475-1480年ジョヴァンニ・マルティーノ・スパンゾッティ

本作品は、イタリアで活躍した画家のジョヴァンニ・マルティーノ・スパンゾッティによって描かれた絵画です。ジョヴァンニ・マルティーノ・スパンゾッティの代表作で、彼の最初の作品でもあります。

ジョヴァンニ・マルティーノ・スパンゾッティは、1455年頃カザーレ・モンフェッラートというイタリアの町で生まれましたが、幼少期については正確な資料が残っていないことから謎に包まれています。
父も同じく画家であり、その影響を受けてジョヴァンニ・マルティーノ・スパンゾッティも絵画を始めたのではないかとされています。また、ジョヴァンニ・マルティーノ・スパンゾッティと兄弟関係にあるフランセスコも画家だったようです。
1470年から1480年の時期は、ミラノでの修業時代だったとされています。本作品はその時に描かれたようです。
本作品以外にも、トリノにあるサン・ドメニコ教会のフレスコ画なども手掛けていました。彼は1528年にこの世を去ります。

サン・ドメニコ教会のフレスコ(Public Domain /‘The alms of Sant’Antonio Pierozzi’by Giovanni Martino Spanzotti. Image viaWIKIMEDIA COMMONS)
(Public Domain /‘Trivulzio Portrait / Portrait of a Man’by Antonello Da Messina. Image viaWIKIMEDIA COMMONS)

《Portrait of a Man (Turin)トリブルツィオの肖像》1476年頃アントネロ・ダ・メッシーナ

本作品は、15世紀のルネサンス期に活躍したアントネロ・ダ・メッシーナによって描かれた肖像画です。アントネロ・ダ・メッシーナの描く肖像画には着飾ったモデルが描かれることが多く、本作もそのうちのひとつにカウントされます。
また、彼はイタリアで最初に油彩の技法を本格的に使用した画家でもあります。

アントネロ・ダ・メッシーナは、1430年頃にシチリア島に近いメッシーナという街にある大理石職人の家で生まれました。
彼の人生も謎に包まれている部分が多いのですが、人生の半分以上は故郷のメッシーナで過ごしていたとされています。
修業時代はナポリで過ごしていて、精密に描き込む手法をとるフランドル派の画家と多く接していた可能性があることから、彼の作品にもフランドル派の影響が強く残っているとされています。また、1475年にはヴェネツィアにも滞在していたとされ、その記録もわずかながら残っています。そんなアントネロ・ダ・メッシーナは、1479年に50歳前後で亡くなっています。

おわりに

市立古典美術館には、今回紹介した絵画以外にもサヴォイア家のゆかりのコレクションがたくさんあります。所蔵・展示されている作品は、どれも見る価値のあるものばかりです。また、世界遺産に登録されている宮殿の、豪華で美しい内部も見る価値は十分にあります。美しい室内と、至極の作品たちのコラボレーションが見事な美術館です。
どちらかというと自動車をはじめとした工業が有名なトリノですが、文化面においても豊かな都市であることがわかります。
美術館からトリノの町を一望出来るので、是非お天気の良い日に足を運んでみましょう。定休日が火曜日なので、そのことだけ頭にいれておいてくださいね。行けば優雅な気分に浸れること間違いなし!きっと、あなたの知らないトリノがここにあるでしょう。

市立古典美術館

※本記事はコロナウイルス感染拡大より以前に執筆・掲載された記事です。

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