ハンブルガー・バーンホフ現代美術館:ベルリンで楽しむ充実の現代芸術作品

◼️はじめに

ドイツのベルリンにあるハンブルガー・バーンホフ現代美術館は、世界でもあまり類を見ない、かつての鉄道駅舎を利用した美術館です。現代美術に限定して収集、展示された世界屈指のコレクションは、新しい発想と創造に満ち溢れています。ベルリンで人気の美術館、ハンブルガー・バーンホフ現代美術館の歴史やコレクション、魅力を詳しく紹介します。

◼️ハンブルガー・バーンホフ現代美術館とは

ハンブルガー・バーンホフ現代美術館はドイツのベルリンに位置する美術館です。ベルリン国立美術館群(SMB)を構成する施設のひとつであり、現代美術作品に限定した個性的なコレクションで人気を博してきました。「ハンブルガー・バーンホフ」は「ハンブルグ駅」を意味しており、その名前の通り、かつてはハンブルグとベルリンの間に立つ駅舎として利用されていました。

駅舎は閉鎖後改修がおこなわれ、1996年に美術館として開館しています。改修を担当したのは建築家のJ・P・クライフスで、展示スペースは1万平方メートルにも及びます。建物の端から端が見えないくらいの空間が広がっており、コレクションはもちろん、建物自体の歴史を重ねた趣あるたたずまいにも注目です。

◼️ハンブルガー・バーンホフ現代美術館のコレクション

ハンブルガー・バーンホフ現代美術館が所蔵する現代美術コレクションは、世界有数の規模を誇ります。コレクションの中核にあるのは収集家のエーリッヒ・マルクスが集めた作品で、ドイツ国内はもちろんのこと、ポップ・アートが有名なアメリカ画家の作品まで網羅しています。

ドイツ人アーティストでは、ドイツを代表する現代美術家であるヨーゼフ・ボイスの作品、アメリカ人アーティストでは、ポップ・アートの旗手であるアンディ・ウォーホル、コンテンポラリー・アートを牽引したマシュー・バーニー、蛍光灯を使ったインスタレーションが有名なダン・フレイヴィンの作品などがあり、コレクションの豪華さと充実度は目を見張るほどです。ダン・フレイヴィンの作品は美術館の2階正面に設置されており、建物の外からもそのきらきらとした輝きを目にすることができます。

ここからはハンブルガー・バーンホフ現代美術館のコレクションの中から主要な作品を紹介します。あなたのお気に入りを探してみてはいかがでしょうか。

・《毛沢東》1973年アンディ・ウォーホル

ウィーン・アルベルティーナ美術館所蔵のもの

中国の最高指導者・毛沢東をモチーフに描いたポップ・アートは、1973年アメリカの現代美術家アンディ・ウォーホルによって制作されました。

アンディ・ウォーホルはアメリカの画家でありポップ・アートの旗手として知られる人物で、銀髪のカツラがトレードマークです。

ニューヨーク・近代美術館所蔵のもの

ウォーホルが33歳のときに生み出したキャンベルのスープ缶の作品は、ポップアートの流行を生み出しました。ポップ・アートは、大量生産・大量消費をテーマとし、身近なものや人物を題材に表現することが多い芸術です。

カイシャ・フォルム・マドリードでの展示会の様子

ウォーホルによって描かれた毛沢東の肖像は、コピーを使用して中国大革命後の当時の様子を痛烈に表現したものです。カラフルな色使いに作者の示唆が大いに含まれているのでしょう。毛沢東の肖像は空間の一角を占めるように設置され、美術館のシンボルになっています。そのあざやかな肖像から、アンディ・ウォーホルの力強いメッセージが伝わってきます。

・《20世紀の終焉》1982−1983 ヨーゼフ・ボイス

「20世紀の終焉」は1982年〜1983年、ドイツの現代美術家ヨーゼフ・ボイスによって制作されました。

ヨーゼフ・ボイスは1921年に生まれ、幼少期から自然や動物に親しんで育ちました。このときの経験がのちの作品制作に大きく反映されています。リトアニア発祥の芸術運動フルクサスのメンバーとして活動するなど、多方面に積極的な働きかけをおこない、20世紀後半以降の芸術分野に多大な影響を与えた人物です。

本作品「20世紀の終焉」は、ひとつの部屋を使ったインスタレーションで、長さ1m〜2.5mほどの玄武岩が長方形に整形され、部屋中に横たわっています。それぞれの岩の上部には円錐形の穴が開けられています。これらの穴は滑らかにされたあと、粘土とフェルトを使って裏打ちされています。暗い絶望を示唆する玄武岩と、そこに埋め込まれた粘土とフェルト、これらは生命の終わりと始まりを示唆しているのかもしれません。空間を共有することで感じることが大いにあるでしょう。

・《ピンク・ドア》1954 ロバート・ラウシェンバーグ

「ピンク・ドア」は1954年、アメリカの美術家ロバート・ラウシェンバーグによって制作された作品です。

ロバート・ラウシェンバーグは1925年に生まれました。彼の活動の中で、1950年代後半〜1960年代にかけて流行した芸術運動「ネオダダ」がよく知られています。1955年頃から発表した一連のシリーズ作品「コンバイン・ペインティング」も有名でしょう。「コンバイン・ペインティング」は、大振りの筆致で描かれたキャンバスに、古いタイヤなどの廃品や衣類などの日用品を貼り付け、表現する手法です。2次元を超えた独自の表現は作者の名声を確立させました。

「ピンク・ドア」はウールやガーゼ、絵画やドアのフレームなどを合わせた、一種のコラージュです。吸い込まれるような色使いと不可思議な素材の組み合わせは、まさしく新しい芸術の境地でしょう。向かって左側は赤色を基調とした色彩の表現が施されており、反面右側は木のフレームのみと、色彩と素材のコントラストが明確な作品です。この空間にどのような意味を見出だすのか、これは作者から鑑賞する人への、新しい問いかけの形なのかもしれません。

◼️おわりに

世界有数の希少な現代美術コレクションが魅力のハンブルガー・バーンホフ美術館。ベルリン中央駅から徒歩圏内と、アクセスも抜群によいです。ドイツのベルリンを訪れたときは、ぜひ足を運んでみてください。駅舎を利用した貴重な施設の中では、あざやかでカラフルなポップアートや、空間全体を使ったインスタレーションなど、さまざまな芸術の形が出迎えてくれますよ。

公式HP:
https://www.smb.museum/museen-einrichtungen/hamburger-bahnhof/ueber-uns/profil/

公式YouTube

※本記事はコロナウイルス感染症拡大より以前に執筆・掲載された記事です。

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