ミュンヘン・レジデンツ:4つの博物館と劇場を要する巨大な宮殿

ミュンヘン・レジデンツはドイツ第三の街ミュンヘンにある巨大な宮殿です。ヴィッテルスバッハ王家の王宮として使用されてきた建物は、現在4つの博物館と劇場を擁する一大施設として、ミュンヘンを代表するスポットのひとつになっています。豪華絢爛な装飾が施されたかつての王宮は見応えも抜群でしょう。ミュンヘン・レジデンツの歴史や見どころを紹介します。

◼︎ミュンヘン・レジデンツとは

レジデンツがあるのはドイツ第三の街ミュンヘンの旧市街の一角です。ミュンヘンはかつて栄えたミュンヘン公国、そしてミュンヘン王国の主要な街でした。統治していたのはヴィッテルスバッハ家で、バイエルン地方を発祥とするヨーロッパを代表する君主でした。またさまざまな家系があることから総称してバイエルン家とも呼ばれています。レジデンツはそんなヴィッテルバッハ家が王宮として使用していた建物で、現在は博物館として一般に公開されています。

レジデンツの建造が始まったのは1363年、シュテファン3世によって統治されていた時代です。増改築を経てレジデンツには時代ごとのさまざまな建築様式が盛り込まれていきました。ルネサンスやバロック、ロココや古典主義など、多種多様な建築様式がみられるのもレジデンツの大きな魅力のひとつです。現在の姿に完成をみたのは1918年のことでした。14世紀から現在まで、およそ500年の歳月を過ごしてきたのです。ドイツのほかの建物と同様に第二次世界大戦時に大きな被害を受けるものの、修復を経て現在は昔のような美しい姿を取り戻しています。

レジデンツで公開されているのは博物館や宝物庫、宮廷教会や劇場など多岐にわたります。また北側に宮廷庭園が、南側にミュンヘン国立劇場が隣接しています。庭園は1613年から整備が開始され、レジデンツ同様に何度も設計が見直されてきました。建物内を見学した後は庭園を散策して、美しい花々と過ごしてみるのもおすすめです。歴史的経緯もあり見どころも満載のレジデンツは、今日のヨーロッパでもっとも重要な博物館のひとつとみなされているのです。

◼︎ミュンヘン・レジデンツの見どころ

レジデンツの外観は驚くほど簡素です。左右対称の見事なシンメトリーになってはいますが、装飾はそれほど多くなく、ここが王宮かと目を見張るほどです。ですが、なかに広がる空間はその驚きを覆すほど豪華かつ華やかな印象をあなたに与えてくれます。特に主要な見どころである博物館の豪華さには圧倒されるでしょう。総数130の部屋の数々は豪華な装飾が施されており、かつての王家の暮らしぶりを伺い知ることができます。宮殿内の見どころを紹介します。

・レジデンツ博物館

レジデンツ博物館はレジデンツ内の主要な見どころです。公開されている部屋の総数は130にもなり、そのいずれも豪華絢爛な装飾が施されています。あざやかな絵画や高級感溢れるタペストリー、すみずみまで抜かりなく磨かれた家具や調度品など、予想を超える豪華さに圧倒されることは間違いありません。王家が過ごした寝室やコレクション・ルーム、音楽鑑賞用のための部屋など、当時の暮らしぶりをありありと想像することができるでしょう。

部屋ごとにはそれぞれテーマカラーのようなものが決められており、基調となる色の上から金色の豪華な細工がされています。赤色や青色、緑色など部屋ごとに異なる色合いから、同じような空間が180°C異なるものに感じられるでしょう。なにしろ部屋の総数は130と膨大ですから、同じ色合いばかりだと迷子になってしまいます。色で異なる部屋の印象にもぜひ注目してみてください。また鏡が設置されていることで、想像以上に部屋が大きく感じられます。

2011年に復元が終了したという「グリーンギャラリー」には、約70の絵画が展示されています。名前の通り壁一面は緑色に塗られており、優しげな雰囲気が部屋中を満たしています。天井は白色で統一されており、壁面のグリーンを際立たせています。ほかの部屋と同様に金色の細工が空間に豪華な雰囲気を添えています。鏡と絵画が交互に設置された展示方法も注目でしょう。

・レジデンツ最古の部屋・アンティクヴァリウム

博物館内のハイライトとなる部屋がアンティクヴァリウム、考古館を意味する言葉です。アンティクヴァリウムは16世紀にアルブレヒト5世によって造られた部屋で、その目的は自身が蒐集したコレクションの展示をすることでした。レジデンツ最古ともいわれる部屋の天井や壁一面には、キリストをモチーフにしたフレスコ画が描かれています。ルネサンス様式の丸みを帯びた天井は優雅な空間を演出し、壁側にはアルブレヒト5世のコレクションが飾られています。

壁を覆い尽くすような膨大な数の彫刻には、畏敬の念を抱くほどです。総長69mにもなるアンティクヴァリウムは、レジデンツ内でもひときわ注目を集める芸術鑑賞の聖地といえます。

また芸術鑑賞という点で外せないのが、博物館の出口にある「祖先画ギャラリー」です。白色と金色を基調とした豪華な空間には、121枚もの肖像画が飾られています。1730年に現在の内装に改装され人気を博してきました。壁を覆う一面の肖像画に、圧倒されるでしょう。

(Public Domain /‘Sankt Georg Statuette’Image viaWIKIMEDIA COMMONS)

・宝物庫

レジデンツのなかにある宝物庫では、10世紀からの貴重な王家の宝物を鑑賞できます。金を素材にした時計や王冠、光り輝く宝石を配した豪華な家具や希少なダイヤモンドやルビーの展示まで、ミュンヘンを拠点にしたヴィッテルスバッハ家のコレクションをじっくり鑑賞できます。なかでももっとも注目を集めているのが聖ゲオルグの彫像で、金色の馬にまたがった聖ゲオルグの勇姿を再現したものです。豪華絢爛な宝物群を、ぜひ間近で眺めてみてください。

◼︎おわりに

ヴィッテルバッハ王家の宮殿、レジデンツの歴史的経緯や見どころを紹介してきました。レジデンツのチケットはそれぞれの施設ごとにわけられたもののほか、2ヶ所・3ヶ所がまとめて見学できるものも用意されています。予定に合わせてアレンジしてみてはいかがでしょうか?オーディオガイドはドイツ語をはじめ、5ヶ国語で用意されています。利用すればレジデンツ見学をより楽しむことができ、歴史の理解も深まるので一石二鳥ともいえます。

最後にひとつ、レジデンツにあるブロンズ製のライオンに触れると幸運が訪れるといわれています。訪れたときはぜひ忘れずにライオン像を探してみてください。

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