バルセロナ海洋博物館:船に囲まれ運河の歴史を知る博物館

かつて航海技術が発展すると多くの国は船を作り諸外国と貿易を開始しました。この貿易によって国の発展と繁栄に繋がり、文化は益々進化していきました。スペインの産業都市として知られるバルセロナも中世から貿易港として栄え、多くの国々の船が行き交っていました。バルセロナの隆盛を知る上で海洋の歴史は最も重要で、その一角を知る事が出来るのがこの海洋博物館です。特に船好きの方にはたまらない美術館です。

○バルセロナ海洋博物館とは

現在でも海上交通の要として産業が発展しているバルセロナは、近年ではクルーズ船の就航港でもあり、多くのクルーズ船が行き来している場所です。その歴史は古く、大航海時代から多くの人々がアジアやアメリカといった土地を発見する為のスタート地点の港として使用されていました。地中海貿易で栄えたスペインは、かつて太陽の沈まない国と言われる程の繁栄を誇り、その歴史を如実に伝えてくれるのが海洋の要として栄えたバルセロナの歴史です。そしてそれを現代に伝えているのがバルセロナ海洋博物館です。

元々13世紀に建築された王立造船所だった建物を、1941年に博物館として開館しています。建物の壮大さからいかに航海技術の発展により国が栄えていったのかを想像することが出来ます。飛行機の無い時代にとって船は諸外国を結ぶ貴重な文明であり、その船の進化により国の繁栄が左右されると言っても過言ではありませんでした。音声ガイドは幾つかの言語に対応しており、自国語に対応しているか事前に確認しておくと良いでしょう。自国語に対応しているようなら音声ガイドと共に聞いた方がより楽しむことができます。また、港とのクルージングのセットの券も発売されているので天候が良い場合には是非利用してみましょう。

また、博物館の外の庭には造船スペースを改造してつくられたカフェレストランも併設されており、ランチもおすすめです。

○バルセロナ海洋博物館の展示品とは

海上大国の歴史と礎を知ることができる博物館では中世の発展と歴史を主に知る事が出来ます。多数の船の模型が並び、その中でも実物大のガレー船の壮大なスケールには大変驚きくでしょう。建物その物もゴシック建築で建てられており、当時の建築様式の結集です。最も古い記録によると、1243年にこの場所で船を製造していた記録が残っています。博物館としてオープンした当初は地中海の海洋学校がパトロンとなり、かつて海軍が保管していた海洋の歴史についての莫大な資料を展示するようになりました。そして市民戦争の際には、貴重な文献を守るべく村の山に疎開させる事で焼失を免れたという話があります。ましくの苦難と時代を乗り越えて海の歴史を今に残してくれています。

果たしてどのような船が有るのでしょうか?早速見て行きましょう!

〈ガレー船レプリカ〉

元は造船所だった為に館内の天井はかなり高く、大きな船でもすっぽりと収まります。1571年のレパントの海戦で使用されたレプリカのこちらの船は、壮大かつ当時の文明の力を知ることができる圧巻の船です。レパントの海戦は、オスマン帝国とスペイン王国の大規模な海上戦でガレー船が多く活躍しましたが、ガレー船は構造が複雑で建造費が高いことから17世紀以降は安価な帆船が使用されるようになりました。全長は60メートルあり、その大きさや装飾の豪華さに驚きます。実際に船の内部にも入る事も出来、船上に掲げられたスクリーンには、200人もの奴隷が手漕ぎで船を漕いでいる様子が写され、これだけ大きい船を動かすのにどれだけの労力が掛かっていたのか実感することができます。地中海は風が弱い為不安定で、航行には人力が貴重な労力でした。

実物大の他にミニチュアもあり、実物大との大きさを比較することが出来ます。レプリカは1971年にレパントの海戦から400年を記念して作られました。当時の漕ぎ手は戦争捕虜や罪人で、彼らは鎖で繋がれており食事やトイレ、睡眠すらもままならないという劣悪な環境でした。

〈サンタマリア号模型〉

航海士であるコロンブスを乗せ大海原を駆け巡ったのがこのサンタマリア号です。コロンブスは、次々に新大陸を発見すると黄金や真珠や金銀を原住民から奪い取り島を支配しました。キリストの教えを伝えるべく幾人かを連行するなど手荒な真似をした上、インディアン(現代では北米ネイティヴ・アメリカンを示す)虐殺など残忍な行為を繰り返しました。また、インディアン達もスペインから持ち込まれた病によって次々と倒れていきました。

そんなコロンブスがインドに向かう際、三隻の船で出掛けましたがその中でも最も大きい船がサンタマリア号でした。ニーニャ号とピンタ号と出向き、総乗組員は120人でした。情報も何も無い時代に航海に出るという事がどれだけ命懸けだったのかが分かりますね。それだけ新大陸を発見した際には、歴史的発見であり人々は喜んだはずです。しかし、それが人々の繁栄にもなり衰退にも繋がるという両方の側面も持っていました。

〈造船所の色々〉

建設中の船の様子などか置かれ、船がどのようにして造られているかを知る事が出来ます。造船所の中を再現した風景のレプリカと漁具が置いてあり、造船所の中でどれだけの人が働いていたのか想像出来る楽しさもあります。ヨットや帆も大量にあり、ヨット好きにはたまらない場所となっています。博物館の建築当時のミニチュアもあり、当時の建築風景を感じ取ることができると同時に、建物の内部は現代的に改装されている部分もあり、ギャップを感じる事もできるでしょう。19世紀頃のバルセロナの町並みの地図には多くの船が航海しており、遥か昔から港町として栄えて来た歴史が良く分かります。世界的に船の歴史を知るには、うってつけの博物館です。一時間程度で回りきる事が出来るのでちょっとした観光がてらに寄るのも良いでしょう。

海上大国として栄えた歴史があってこそ、スペインは隆盛を極めることができました。海洋博物館はそのような歴史を知る事が出来る貴重な文化財です。

※本記事はコロナウイルス感染症拡大より以前に執筆・掲載された記事です。

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