シュテーデル美術館:ヘッセン州にある美術作品の宝石箱

シュテーデル美術館は、ドイツのヘッセン州・フランクフルト・アム・マイン市にある、ドイツ国内でも豊富なコレクションを持つことで有名な美術館です。14世紀のルネサンスから21世紀のモダンアートまで、幅広いコレクションを有しています。

■シュテーデル美術館とは

芸術といえば、ミュンヘンやベルリンというイメージが強いかと思いますがドイツの経済都市、フランクフルトにも世界的に知名度のある作品を有する美術館があるのです。シュテーデル美術館は、ドイツのヘッセン州・フランクフルト・アム・マイン市にある美術館です。シュテーデル美術館はフランクフルトの銀行家であるヨハン・フリードリヒ・シュテーデルが残した遺言によって1818年に設立されました。

シュテーデル美術館にはじっくり見学するのなら1日かけても物足りないほどの膨大な数のコレクションが展示されています。絵画は年代ごとに分けられて展示されており、フロア毎の雰囲気が異なっているので、見飽きることがありません。

シュテーデル美術館は第二次世界大戦の空襲により一時閉館に追い込まれ、その後ナチス・ドイツ政権による「退廃美術狩り」の標的にもなってしまうなど、美術館として非常に苦しい時期がありました。ですがそれを乗り越え、1966年に現在の姿に再建されました。

■シュテーデル美術館の所蔵品・展示

シュテーデル美術館は現在では絵画約3,000点、彫刻約600点、素描や版画に至っては100,000点を超える非常に膨大なコレクションを所蔵しています。さらに、14世紀のルネサンス期の作品から現代アートに至るまで、700年分の芸術作品が一堂に会するシュテーデル美術館は、まさに美術の宝石箱といえます。

膨大な数のコレクションを所蔵するシュテーデル美術館には、どのような作品が展示されているのでしょうか。ここで、シュテーデル美術館の主な作品ご紹介します。

・《地理学者》1668-1669年ヨハネス・フェルメール

(Public Domain /‘The Geographer’by Johannes Vermeer. Image viaWIKIMEDIA COMMONS)

ネーデルラント出身のバロック期を代表する画家、ヨハネス・フェルメールによって描かれた作品です。フェルメールと言えば、まるで映像を見ているかのような写実的な描き方、綿密な空間構成、そして光を巧みに用いた表現が特徴です。

(Public Domain /‘The Procuress.’by Johannes Vermeer. Image viaWIKIMEDIA COMMONS)

この作品は、フェルメールの署名と制作年度が記されている3点の絵画のひとつで、着物のようなローブを羽織った人物が描かれています。作品が描かれた当時は南蛮貿易が盛んに行われており、それによってもたらされた和服をガウンに仕立てて着るスタイルが、知識層の間で流行っていたとされています。

フェルメールは1632年にネーデルラント連邦共和国のデルフトに生まれ、生涯のほとんどをこの地で過ごしたとされています。彼には11人もの子どもがおり、画家としての収入だけでは養うことができなかったため家業を継ぎ、パブ兼宿屋を経営していたといいます。そのためか現存する作品は33-36点。記録にのみ残っている作品も10点ほどと非常に寡作な作家としても知られています。そんなフェルメールは、1675年に43歳という若さで亡くなっています。

・《フランクフルトのシナゴーグ》1919年マックス・ベックマン

20世紀を代表するドイツのライプツィヒ出身の表現主義の画家、マックス・ベックマンによる作品です。シナゴークとは、ユダヤ教の会堂のことを言います。鑑賞する人を惹きつける不思議な色使いが彼の作品の特徴といえます。手前に座る猫の姿も、とてもかわいらしく描かれています。

(Public Domain /‘Portrait of Germain painter Max Beckmann’by Hugo Erfurth. Image viaWIKIMEDIA COMMONS)

マックス・ベックマンは、1884年にドイツ・ライプツィヒで生まれ、フランクフルトでも一時期芸術活動をしていました。彼の作風が誕生したきっかけは、第一次世界大戦にあります。

マックス・ベックマンは、第一次世界大戦に衛生兵として従軍しており、その体験からそれまでの印象派風のスタイルを一変させ、表現主義に近づきます。歪められた空間が、その特徴です。

しかし、第二次世界大戦時に政権を握っていたナチス・ドイツ政権によって、マックス・ベックマンの作品も「退廃芸術」とみなされてしまい弾圧を受けます。ヒトラーは、モダンアートを好まず、これらを「退廃芸術」と呼び没収していました。マックス・ベックマンの作品も同様の扱いを受けてしまいます。
その後、マックス・ベックマンは戦後アメリカへ移住するも、1950年にマンハッタンで亡くなっています。
シュテーデル美術館では、このように戦争で翻弄されながらも、数多くの功績を世に残した芸術家の歩みを忘れないように、マックス・ベックマンだけの展示室が存在します。

■おわりに

シュテーデル美術館には、上記でご紹介の作品以外にも、様々なコレクションがあります。所蔵作品も展示作品もかなり豊富であることから、幅広い美術ファンを飽きさせない、満足のいく展示内容となっています。

Website : https://www.staedelmuseum.de/de

※本記事はコロナウイルス感染症拡大より以前に執筆・掲載された記事です。

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