イスタンブール現代美術館:最先端の現代アートを体感できる美術館

イスタンブール現代美術館はトルコ・イスタンブールの海岸沿いにある美術館で、2004年に開館しました。トルコ出身の芸術家の作品はもちろん、世界的にも著名なアーティストの現代アート作品をコレクションしています。そんなイスタンブール現代美術館の歴史と所蔵品について詳しく解説していきます。

■イスタンブール現代美術館とは

イスタンブール現代美術館は2004年に開館したトルコ・イスタンブールにある美術館です。トルコとヨーロッパの文化を融合した芸術作品の展示や、芸術の交流を目的として設立されました。

美術館はマルマラ海に面したボスポラス海岸にあり、政府の貨物倉庫であった建物を再利用しています。トルコ初の民間博物館としても知られており、イスタンブール文化芸術財団とエジザージュバシュ家が出資しています。

常設展示・特別展示のほか、図書館・映画館・レストラン・ショップが併設されており、1日あたり約5000人が訪れていました。

2018年に新しく美術館を建て替える計画が発表され、一時的にコレクションを移転しました。移転先として同じイスタンブールのベイオール地区のビルが選ばれています。このビルは1896年に建築家アレクサンダー・ヴァラウリーの設計によって建設されました。

■イスタンブール現代美術館の所蔵品

イスタンブール現代美術館のコレクションは、公的機関・個人のコレクター・トルコ在住の芸術家などからの寄贈品が中心です。

トルコの芸術家はもちろん、イスタンブール・ビエンナーレに参加した有名作家の作品も数多く所蔵しています。作品形態は人物画・抽象絵画・彫刻・写真・インスタレーション・グラフィックなどバラエティに富んでいます。

そんなイスタンブール現代美術館では、どのような作品を鑑賞することができるのでしょうか。主要な作品をご紹介します。

・《Red Emotional Globe》2010年オラファー・エリアソン

「Weather Project」で世界的に有名な芸術家オラファー・エリアソンが2010年に制作した作品です。

オラファー・エリアソンは1967年にデンマーク・コペンハーゲンで生まれました。1989年からは王立デンマーク芸術アカデミーで学び、1995 年にはヴェネツィア・ビエンナーレに初参加しています。現在はベルリンを拠点として世界的な展覧会・アートプロジェクトに数多く招待される一方で、オランダ・スウェーデン・東京など世界各国で個展を行っています。

エリアソンの作品は大掛かりなインスタレーションが中心です。照明や機械を使用して霧・光・影などの自然現象を人工的に作り、鑑賞する人に新しい感覚を呼び起こす作品に特に力を入れています。なかでも、テート・モダンのタービンホールで行った「Weather Project」は高い評価を受け、エリアソンを一躍有名にしました。

この作品はステンレス・鏡・カラーフィルターのガラス・電球を使用した照明型のインスタレーション作品です。電気をつけると光の波が展示室に広がり、模様の広がりが空間のゆらめきを感じさせます。

・《応用流体力学Hydrodynamica Applied》2015年リアム・ギリック

2015年にイギリスの代表的な現代アーティストであるリアム・ギリックによって描かれた作品です。ギリックは現在、ニューヨークを拠点に制作活動を行っています。

リアム・ギリックは1964年にイギリス・アリスバーリーで生まれました。ゴールドスミス・カレッジで美術の学位を取得し、1987年に卒業しています。1989年に初の個展を開催してからは、シカゴ・アイルランド・ニューヨークなど世界中のギャラリーや美術館の展覧会に参加しました。

1990年代はバンドのメンバーとして活動する一方で、世界中から脚光を浴びた「YBA (Young British Artists)」初期のアーティストとして知られるようになります。2009年にはヴェネツィア・ビエンナーレのパビリオンにドイツ代表として参加しました。また、2010年には元妻サラ・モリスが制作した映画「北京」のために曲を描き下ろしたり、2019年にはテクノロックバンドのニュー・オーダーとコラボレーションしたりするなど、他のアーティストとも積極的に交流しています。

ギリックの作品は「理想的な生活のための社会システムを芸術として表現すること」がテーマであり、その表現方法はインスタレーション・グラフィック・テキスト作品など多岐にわたります。

この作品は第14回イスタンブール・ビエンナーレのために制作されました。イスタンブール現代美術館のボスポラス海岸側の壁面に描かれています。ギリックは芸術と科学の融合をイメージし、エネルギーを節約できる物理方程式をモチーフに選びました。数学は言語に関係なく世界中の人々が認識できるものであり、ギリックはその普遍性に強い関心を示しています。

・《地獄への階段》2003年モニカ・ボンヴィチーニ

ベルリンを拠点に活動する芸術家モニカ・ボンヴィチーニによって2003年に制作されました。

モニカ・ボンヴィチーニは1965年にイタリア・ヴェネツィアで生まれました。ドイツ・ベルリンとアメリカ・バレンシアの美術学校で学んだのち、1998年からはロサンゼルスで働きながらデザイン学校で美術を教えるようになります。その後も教壇に立ち続け、2003年にはウィーンの美術学校・2017年からはベルリン大学でそれぞれ教授となりました。

ボンヴィチーニは、世の中の慣習・社会ルールが人間に与える影響について深く突き詰め、空間・性別・権力・監視・制御などを作品で表現しています。取り扱う手法は幅広く、彫刻・インスタレーション・写真・ビデオ作品などがあります。1999年のヴェネツィア・ビエンナーレで金獅子賞を受賞したことや、2012年に彫刻「RUN」がロンドンのクイーンエリザベス2世オリンピック公園で展示されたことがきっかけで、ボンヴィチーニの作品は世界中から注目を集めるようになりました。

この作品は2003年の第8回イスタンブール・ビエンナーレのために制作されました。前面に鎖が垂らしてあり、上部には銃弾を撃ち込んだガラスを配置した彫刻作品です。ボンヴィチーニは男性的なモダニズム建築を破壊することで、建築物の圧倒的な力と人間の誘惑のイメージを融合させています。

■おわりに

イスタンブール現代美術館はトルコ・イスタンブールにある美術館です。トルコをはじめ世界中の現代アーティストの作品を所蔵しており、最先端アートにふれることができます。

※2019年11月現在、イスタンブール・ベイオール地区のビルへ一時的に移転しています。訪れる際には最新の情報をチェックしてください。

Website : https://www.istanbulmodern.org/en

※本記事はコロナウイルス感染症拡大より以前に執筆・掲載された記事です。

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